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「九条の会」学習会                   かけはし2007.6.25号

集団的自衛権行使は違憲だ

改憲を公約する首相は安倍でおしまいにしよう


 六月九日、日本教育会館で「安倍内閣と集団自衛権問題」学習会が「九条の会」の主催で行われた。
 最初に、「九条の会」の三木睦子さんが「戦争をしていた時代にも、平和を取り戻さなければならないと活動していた人がいる。その人が首相・安倍晋三の祖父の安倍寛だ。三木と熱心に非戦を貫くにはどうしたらいいのかと話し合っていた。安倍首相の関係では岸信介のことだけが言われるが、父方のこの祖父の生きかたこそ見習うべきだ」と語った。
 次に、九条の会事務局の渡辺治さんが「安倍内閣の改憲政策の新段階と集団的自衛権問題」について以下のような講演を行った。
 「安倍内閣が改憲手続き法案を強行成立させ、集団的自衛権の見直しのために懇談会を立ち上げた。待ったなしに九条改憲に突き進み、安倍は二〇一〇年に改憲を実現すると宣言している。これは時間のかかる明文改憲では、アメリカの自衛隊をイギリスのような同盟軍として使いたいという強い要請に応えられないから、集団的自衛権の見直しをしようとしているのだ」。
 「集団的自衛権見直しの懇談会で意見書を十一月にまでに取りまとめさせ、来年の通常国会に集団的自衛権の部分的解禁のための『安全保障基本法』を制定しようとしている。これを改憲に向けた大きなステップとすることをねらっている。しかし、これでも九条がある限り、全面的な集団的自衛権の発動はできないので、自民党政府はどうしても九条改憲をしなくてはならない」。
 「九条改憲をはばむためには、@争点を明確にすることである。自衛隊を海外で戦争できる『軍隊』とすることに改憲のねらいがあることをはっきりさせ、自衛隊そのものに賛成という八割の人、しかし、海外で戦争をするのに反対という六割の人を、九条改憲反対で獲得することA国民投票に負けないために、過半数を向けた結集をするための知恵をしぼり、さまざまな工夫と運動をつくるB安倍首相も危機にあり、あせっている。改憲を公約とする首相を彼が最初で最後にするために、憲法改悪反対を参院選の争点にして、国民的議論をまきおこそう」。
 渡辺さんの提起の後、質疑応答が行われた(別掲)。最後に高田健さんが、「『九条の会』は全国に六千以上できている。今年の十一月二十四日に第二回の全国交流会を行う。これをもっともっと広げよう」と訴えた。(M)

渡辺治さんとの質疑応答
新しい立法措置で武力行使への参加をねらう


――集団的自衛権の行使はできないとする旧来の政府見解とそれを変更する懇談会の見解が出たら、政府はそれをどうしようとするのか。

渡辺 歴代の法制局長官は集団的自衛権の解釈改憲に反対している。そこで、考えられているのが、立法的措置を行うことによって、部分的に武力行使を可能にしていこうとしている。これは集団的自衛権の行使と集団安全保障―国連などのルールを破った国に対して、武力発動するのに、自衛隊の参加も可能とするものだ。

――経団連が改憲を積極的に主張しているが、自衛隊が海外で軍事力を発動するとなれば、アジアなどでの輸出など経済活動に支障をきたすのではないか。

渡辺 経団連は日本経済の背景に軍事的な力を持つことでリーダーシップをとることが重要だと主張している。一方で、過去の侵略戦争や植民地支配について反省をしなければ、相手国と良好な関係が築けないとも考えているので、小泉首相の靖国参拝や従軍慰安婦問題には批判的だった。二〇〇六年時点で、日本企業三万社が中国に進出している。経団連はアジアを自由経済圏の拠点としてアメリカやEUと対抗とするとも考えている。矛盾した構造を抱えている。この矛盾を平和な東アジアを築くために、憲法を変えるなというわれわれの運動が大きくなることが重要なカギをにぎっている。

――北朝鮮が日本に押し寄せてきたらどう対処したらいいのか。

渡辺 北朝鮮は専制的・軍事的国家であり、大きな問題を抱える国である。しかし、その軍事力が侵略のためのものがどうか考えてみるべきだ。生産力は日本の二百六十分の一、軍事費は日本の二十分の一だ。国家財政的には東京都足立区の予算より少し上程度だ。軍隊は圧倒的に陸軍が中心で、それも三十八度線に張りついている。海を渡って軍隊を運ぶ艦船や輸送機もほとんどない。だから、日本を侵略しないしできない。アメリカに攻撃されないようにするために、ミサイルや核兵器の開発をしている。
 もちろん、核保有に対して反対だが、アメリカなど核保有国が北朝鮮を非難するのは筋違いだ。核兵器を使用した唯一の国はアメリカであり、もっとも多くの核兵器を持ち、核実験をもっとも多くやってきたのはアメリカだ。こうしたアメリカなどの国がまず、東アジアで核兵器を禁止する条約をつくることだ。アジアの「大国」で、唯一核兵器を持っていないのは日本であり、被爆国である日本が非核のイニシアチブをとるべきだ。九条のもとで、先制攻撃をしないと約束すれば、北朝鮮へも非軍事化・民主化をうながすこともできる。

――改憲手続き法に十八の付帯決議がつけられたが、それを改憲反対の運動に結びつけられないか。

渡辺 憲法審査会の中で議論することが決まっている。教員や公務員の地位利用をどのように制限する規定をもうけるのか、公報を投票前十日前にしか配布しなければならないとなっているが、事前投票は二週間前からできることになっている。印刷から配布に五十日かかるというので、十日前としているが、これなどは矛盾だ。どうするのか、解決していない論点はたくさんある。十分これをつかって論議させることが重要だ。

――二十代のフリーターだが若者たちが政治に関心をもったり、考えたりすることができないでいる。これをどうしたらいいのか。

渡辺 都市部の若者は四〜五割が非正規や失業中だ。もうけるために軍事大国化しようとしている日本のありかたと貧困・失業の問題の根っこは同じだ。アメリカでは二年間かけて、ぼう大なカネをかけて選挙キャンペーンを行うが、それでも投票率は五〇%だ。なぜか。投票に行く暇がないか、投票しても変わらないとあきらめているからだ。十九世紀イギリスで、政治はカネと暇がある男性によって成り立っていた。政治には考える時間と知識が必要なのだ。
 いま、最も困難を抱える人たちが政治から遠ざけられている。政治は変えないとだめだ。しかし、それは一人ではできない。弱い者は徒党を組むこと、連帯し団結すること。仲間をつくり、組織をつくることが大事だ。労働組合のユニオン運動がこのことを立証している。ひとりでは闘えないが、みんな集まれば社長に堂々と要求でき、要求が実現できている。




教育3法廃案へ院内集会
3法案を葬り去り教育の国家主義的統制を阻もう


改悪教基法の
現場貫徹ねらう

 六月八日、衆議院第一議員会館で「教育3法案を廃案に!緊急院内集会」が行われ、百二十人近くが駆けつけた。集会は、旧・教育基本法「改正」反対市民連絡会、子どもと教科書全国ネット21、1974教育基本法を生かす全国ネットワークなどが呼びかけた。
 安倍首相は、「戦後レジーム(体制)」解体を叫びながら改憲を前面に押し出し、その前哨戦として教育基本法を改悪して教育現場に貫徹していくために、学校教育法、教員免許法、教育公務員特例法、地方教育行政法(教育関連四法案)の改悪の強行成立をねらっている。すでに五月十七日の衆院教育再生特別委員会で強行採決し、翌日の衆院本会議で可決を強行した。参議院段階でも首相官邸による法案成立の圧力を強化しながら、与党による強引な審議を押し進め、公聴会日程を設定し、国会会期末直前の十八日の週にも強行採決を行おうとしている。このような与党の暴走を阻止するために教基法改悪反対運動を粘り強く取り組んできた仲間たちによって緊急院内集会が行われた。

子どもの意見
表明権が重要

 俵義文さん(子どもと教科書全国ネット21)の司会で集会が始まった。俵さんは、緊迫した国会状況や教育関連法案改悪の問題点を取り上げ、法案強行成立阻止にむけて参議院文教科学委員会の国会議員に対するファックスとメールによる反対メッセージ送信の取り組み、国会包囲行動などの強化を訴えた。
 小森陽一さん(東京大学教授)は、「法案改悪を目論む流れには、市場・競争原理に基づき、金儲けをめざす規制緩和派と既得権を防衛する国家統制強化派が存在している。この二つの流れは、対立・矛盾を発生させながら動いている。地方教育行政法改悪で教育委員会に対して国の関与を強化するために『指示・是正要求権』を新設したが、規制緩和派は地方分権に逆行するものだと批判している。われわれは、このような対立・矛盾を追及し、国家や地方行政の権力強化ではなく、地域社会に学校がいかに重要な存在なのかという観点から主張をしていきたい」と発言した。
 教育現場をレポート活動している木附千晶さん(ジャーナリスト)は、「今最も必要なことは子どもの権利条約十二条の子どもの意見表明権だ。子どもたちが自主的に大人たちとの関係性を作る権利があるということだ。この立場からすると再生法案は、すべて条約違反だ。子どもたちの立場から考えていくことが重要だ」と強調した。
 さらに池田香代子さん(作家・翻訳家)が法案による国家に忠誠する人間づくりのための教育を厳しく批判し、斉藤貴男さん(ジャーナリスト)が新自由主義的教育改革と愛国心教育に貫かれた政府・与党の意図を暴き、法案阻止を訴えた。

教員を萎縮させ
る免許法の改悪

 井上哲士参議院議員(共産党)は、法案の問題点批判とともに「文部科学省の事業として認定された日本青年会議所制作の靖国神社と侵略戦争を讃える歴史教育アニメ『誇りある日本』が教育現場に持ち込まれていることを暴露した。教育改悪とともに国民の運動への監視を自衛隊の情報保全隊が行っていたことが明らかになった。久間防衛相は、『違法ではない。情報収集してなにが悪い』と居直り発言までしている。教育再生会議が徳育の教科新設を提言した。このように国家統制の教育システムを作り、戦争ができる国づくりのための動きが表面化した。教育関連法案は絶対に認められない」とアピールした。
 福島みずほ社民党党首は、「教育関連法案は、どれも認められないが、とりわけ教員免許法改悪は、問題だ。十年ごとに三十時間の講習を義務付け免許更新するとしているが、その中味はまったく決まっていない。国家への奉仕を強制させるところに目的がある。一生の仕事として教員を選択したのに十年ごとに免許更新によって選別されるとしたら、どんどん萎縮し、なにも主張できなくなってしまう」と批判した。
 続いて、「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク(VAWW│NET Japan)、許すな!憲法改悪・市民連絡会、学校に自由の風を!ネットワーク、盗聴法(組織的犯罪対策法)に反対する市民連絡会、自由法曹団などの呼びかけ団体からアピールが行われた。
 最後に主催者から法案廃案を訴える国会包囲のヒューマンチェーンを十八日、午後六時半、参議院会館前で行うことを提起した。(Y) 


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