| 教育関連4法案は何をねらうか かけはし2007.4.16号 |
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愛国心教育と管理支配体制の強化はねのけ法案成立阻止へ |
改悪教基法の
現場への貫徹
安倍政権は、グローバル派兵大国建設の一環として改悪教育基本法を教育現場に貫徹していくために、学校教育法、教員免許法、教育公務員特例法、地方教育行政法(教育関連四法案)の改悪をねらっている。
安倍首相は、「戦後レジーム(体制)を、原点にさかのぼって大胆に見直し、新たな船出をすべき」だとして改憲を前面に押し出し、改憲手続き法案の強行成立を加速化させている。同時に「抵抗はあるだろうが、だからこそやらなければならない」などと突進命令を出し、法案の強行成立を今国会でやりきろうと四月十日にも衆院本会議で四法案を連日審議することができる特別委員会設置を強引に議決しようとしている。
戦争と資本大競争を勝ち抜く人材育成にむけた改悪教基法の具体化のための四法案改悪を阻止していかなければならない。
「心のノート」は
「徳育」の教科書
学校教育法改悪の焦点は、改悪教基法第二条で戦争国家を支えるための「愛国心教育」について明記したことを根拠にして、「義務教育の目標」に新国家主義と愛国心作りのための指針を加えることにある。法案では、「自主、自律及び協同の精神、規範意識、公正な判断力並びに公共の精神に基づき主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養う」こととして、人間としての自律・人格を否定し、国家的利益を優先とした教育を行っていくことを強調した。その集約として「我が国と郷土の現状と歴史について、正しい理解に導き、伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する態度を養うとともに、進んで外国の文化の理解を通じて、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養う」ことを強調した。
そのために「副校長、主幹教諭及び指導教諭(「副校長等」という)の職務」を設置することによって、愛国心教育の貫徹、教職員間に管理職の介入を強め、成果主義による給与格差を拡大することによって個々に分断し、管理・統制の強化をねらっている。
つまり、戦争と新自由主義のグローバリゼーションを担いきるために国家的使命感、奉仕精神に貫かれた教育を行っていくことにある。この愛国心教育の先取り的実践が、東京都教育委員会を先頭とする「日の丸・君が代」を強制であり、反対・抗議する教職員の処分乱発だ。このような手法が全国で拡大する危険性がある。生徒・教職員の内心の自由の侵害を許してはならない。
すでに教育再生会議は、学校教育法改悪後のビジョンの一つとして、これまでの「道徳」教育を「教科」に格上げし、「徳育」にせよと提言している。要するに、文科省が二〇〇二年から全国の小中学生に天皇制と侵略戦争を賛美した「心のノート」を副読本と称してばら撒いたが、今度は正式な「徳育教科書」として検定し、配布していくことを獲得目標にしている。
文科省は、〇六年度の教科書検定において日本史教科書の沖縄戦下で日本軍によって強制された集団自決について、「日本軍の強制」を削除させている。これだけではない。高校教科書の場合、南京大虐殺事件、憲法九条と自衛隊、イラク戦争、靖国参拝に関して「諸説に配慮せよ」などと手前勝手な解釈をしたポーズをみせつつ、いずれも天皇主義右翼らが批判してきたことを受け入れるか、修正する形になっている。検定制度自体が国家的利益の観点から行っているのであり、制度自身が民主的なものでない。検定の反動化傾向は進行しており、徳育教科書の検定にいたっては天皇制、侵略戦争、新国家主義などを賛美した教科書にしていく意図がみえみえだ。教育再生会議の提言を糾弾し、絶対に許してはならない。改悪法案は、提言の具体化の第一歩なのである。
批判的教職員
の排除許すな
教員免許法の改悪のねらいは、当局の一方的な「不適格教員」認定によって教員排除を可能とする教員免許更新制の導入にある。具体的には、十年ごとに三十時間の講習を義務付け免許更新するとしている。また、教育公務員特例法を改悪し、「指導力不足教員」の「認定・研修」を盛り込んだ。
講習内容は、改悪教基法の「教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない」という文言を根拠にして国家への奉仕を強制させ、従順であれば「教員の身分は尊重され、その待遇の適正が期せられるとともに、養成と研修の充実が図られなければならない」と通告し、従順でなければ排除するということなのだ。都教委の「日の丸・君が代」強制に反対した教職員の思想転向を強要するための「再発防止研修」型攻撃を全国化しようとしているのだ。国家意志に従順な官僚、教職員管理職による恣意的な認定・判断によって「指導力不足教員」とレッテルを張り、研修所に「収容」し、監視と管理の繰り返しによって思想転向を強制しようとするのだ。こういった発想には、教職員の長時間過密労働の実態の是正、教員数の増員、メンタルヘルスの充実など政策的豊富化などはどこにも見当たらない。
さらに、潜ませたねらいとしては、これまで繰り返し日経連が教職員組合に対して「一部には自らの政治的思想や信条を教え込もうとする事例が見られ、これらが長年、教育現場を混乱させ、教育内容を歪めてきたことは否定できない。教職員による組合は、一定の範囲での職場環境、待遇の改善に取り組むという本来のあり方に徹すべきだ」と恫喝し、「勤務時間内の組合活動の禁止」、「就業ルールの徹底」を強調してきた。労働法全面改悪を主張している日経連の提言を受け入れ、教育現場に徹底させていくことに攻撃の本質があることを確認しなければならない。すなわち教職員の団結権、組合活動の否定であり、教職員組合への解体攻撃にあるのだ。
文科省による
集権的支配だ
地方教育行政法改悪は、教育委員会に対して国の関与を強化するために「指示・是正要求権」を新設した。また、都道府県知事が行う私学行政への教委の助言・援助規定も設けた。すでに教育再生会議の提言では、「教育委員会の在り方そのものを抜本的に問い直す」として「文部科学省、都道府県教育委員会、市町村教育委員会、学校の役割分担と責任を明確にし、教育委員会の権限を見直す」として、教育委員会制度を定めた地方教育行政法(地教行法)の改悪を強調していた。つまり、文科省の指導・処分・統制権を明確化することにあるのだ。
新自由主義的教育改革派は、「地方分権一括法で廃止した是正命令権の復活だ。地方分権の流れに逆行だ」などと叫んでいた。ところがこの傾向は、教育を商売の領域場所としか考えておらず、自らの権益が国家的統制・管理によって狭まることの危機感から改悪法案に反対しているにすぎない。新自由主義政策を押し進めつつ、新国家主義的傾向とバッティングしてしまうあり方を積み上げながら派兵大国化を支える教育再編が進行しているのだとも言える。安倍政権の国家再編攻撃として、真正面からとらえ対決していかなければならない。この闘いは、教基法改悪反対運動で作り上げた地域草の根ネットワークを基盤にして、逆包囲していく陣形作りが求められている。
教育四法改悪に反対していく大きなうねりを、改憲手続き法案成立阻止闘争とともに作りだしていこう。 (遠山裕樹)
都教委が35人に懲戒処分強行
「日の丸・君が代」拒否は正当だ学校現場に自由を取り戻せ
人権侵害の「再発
防止研修」中止を
東京都教育委員会は、三月二十九日、〇六年度の都立高校、養護学校、小・中学校の卒業式で「君が代」斉唱強制に抗議して不起立・不伴奏をつらぬいたことを理由に三十五人の教職員の懲戒処分を強行した。この攻撃は、改悪教基法の下で、天皇制と侵略戦争を賛美する「日の丸・君が代」を強制し、グローバル派兵大国を担う子どもたちを育成しようと愛国心教育と新自由主義的教育改革を押し進め、抵抗・抗議する教職員を処分攻撃によって押し潰し、排除していくことをねらったものだ。われわれは、不当処分強行を糾弾し、ただちに撤回することを要求する。
○三年十月二十三日の「入学式・卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱の実施について」の通達以降、被処分者は三百四十六人にも達している。憲法違反である改悪教基法を根拠として「日の丸・君が代」強制を批判する教職員に対して「教基法違反だ」として処分していくことを先取り的に行ったのである。また、「君が代」斉唱時、生徒の声量にまでチェック対象を広げることを徹底させようとしている。
都教委は、今後、被処分教員に対して、都教委路線を認めさせるための「再発防止研修」に出席させ、転向を強要してくる。研修は、明らかに憲法十九条の思想・信条の自由に対する侵害だ。人権侵害の「再発防止研修」を中止せよ!
東京から全国へ
攻撃の拡大図る
石原都知事と都教委は、「東京都教育ビジョン」(○四年四月)を打ち出し、学校間の競争原理の導入である都立高校の学区制撤廃と統廃合、ニューパブリックマネージメント(新公共管理)を導入した学校経営と教員人事管理、都立学校の管理・チェックシステムの強化をめざした都立学校経営支援センターの設置など新自由主義的教育破壊を押し進めてきた。つまり教育を市場原理・効率主義に委ね、教職員を成果・業績主義による管理主義で縛ることをねらっているのだ。
このような政策とセットで、都立養護学校への性教育バッシング、ジェンダーフリーバッシング、侵略戦争と天皇制を賛美する「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書採択、愛国心教育と道徳教育を強制し、「日の丸・君が代」強制反対運動に対する処分乱発による排除も組み込んできたのである。この結果として、「学校運営の適正化」(〇六年四月十三日)と称して「教職員の意向を挙手等で確認するような学校運営は許されない
」などと教育現場の民主的運営と教職員の思想・良心の自由を認めず、管理職支配の強化を加速している。
教基法改悪法成立を実現した安倍政権は、今国会で学校教育法、教員免許法・教育公務員特例法、地方教育行政法の改悪をねらっている。安倍首相は、教基法特別委員会で愛国心を学ぶ姿勢や態度を評価対象とすることを明言したが、つまり、教員に対して「日の丸・君が代」強制などの愛国心教育を担わせ、生徒の内心にまで踏み込み、貫徹していくことをねらっているのだ。
教育現場では、「日本の伝統・文化の尊重」「国を愛する心」の教育と称して全国国公立私立の小中学生に国定教材「心のノート」をばら撒き、同時に教員を「日の丸・君が代」強制教育の担い手として強要してきた。その結果として「愛国心通知表」が、全国五十三市区町村二百五十六校で小学校六年生の社会科で採用されていた。改悪法を根拠として不当な「愛国心」教育と通知表を定着させ、抗議、反対する教員に対しては処分乱発で弾圧し、排除を強行していく手法を全国化していこうとしているのだ。安倍政権による「都教委攻撃」の全国化を許してはならない。
反撃の闘いが
始まっている
都教委の暴挙を許さず、被処分者、教職員、教員OB、保護者たちの反撃が始まっている。
第一は、〇六年九月二十一日、東京地方裁判所は都立高校の教職員らが原告で、東京都と都教育委員会(都教委)を被告とした国歌斉唱義務不存在確認等と損害賠償を求めた訴訟(いわゆる「予防訴訟」)について、原告らの訴えを全面的に認めた。10・23通達を憲法十九条の保障する思想・良心の自由を侵害するものであると規定し、違法と判断したのである。行政権力による教育への不当・不要な介入を厳しく批判した。
石原都知事は、九・二一判決に対して「式典で国旗・国歌に敬意を払う行為は(学校に)規律を取り戻すための統一行動の一つ」だと強調し、管理・統制強化の手段として「日の丸・君が代」を強制しているのだと居直った。そして、「義務を怠った教師が懲戒処分を受けるのは当たり前だ」として控訴した。
最高裁は、二月二十七日、改悪教基法によって吹き荒れる愛国心教育と不当処分攻撃体制を追認するために君が代伴奏の職務命令は合憲だというピアノ裁判不当判決を出した。九・二一東京地裁判決と真っ向から対立し、憲法十九条が保障する思想・良心の自由を否定しきった。
この不当判決は、改悪教基法を通した教育現場の歴史的転換局面において相対立する司法判断が出ているということだ。厳しい綱引き状況を闘う側に引き寄せるために九・二一判決の地平を防衛していく上で反処分闘争は重要な闘いなのである。被処分者、原告団と連帯し、支援していこう。
第二に、都立学校教職員百七十三人は、東京「日の丸・君が代」処分取消訴訟原告団を結成し、二月九日、東京地裁に提訴した。〇三年度周年行事・〇四年三月卒業式・四月入学式において「君が代」斉唱強制に抗議して不起立・不伴奏したことに対する不当処分を許さない闘いだ。裁判闘争と連動して、処分取消を求める東京都人事委員会の闘いも果敢に展開されている。改悪教基法、石原都知事・都教委と真っ向から対決する被処分者たちの闘いに連帯していこう。
被処分者と支援が
団結して抗議行動
三月三十日、「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会は、都立教職員研修センター正門前で、都教委による不当処分を許さず、被処分者への激励と支援行動が行われ、百人近くが集まった。
行動は、都教委が処分発令のために被処分者をセンターに呼び出し「権威主義」的に通告する「儀式」でしかないが、被処分者を先頭に支援も含めて、そんなふざけた場所を認めることはできない。センター正門前は、闘争宣言の場となった。
被処分者たちは、次々とマイクをとり、、処分の不当性、「日の丸・君が代」不服従の抵抗の正当性、戦争を許さず真の平和を実現するための教育を担いきっていくことを誓い合い、闘うスクラムをがっちりと強めていった。
会の抗議声明は、「自由で民主的な教育を学校現場に甦らせ、生徒が主人公の卒業式・入学式を取り戻すため、生徒・保護者・市民と共に手を携え、『日の丸・君が代』強制に反対し、都教委の暴圧に屈せず、不当処分撤回まで闘いぬくものである。何よりもこの国を『戦争する国』にさせず、『教え子を再び戦場に送らない』ために!」と結論づけ、新たな闘いをスタートした。(遠山裕樹)
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