| 1・23千葉地裁が住民側仮処分申請却下 かけはし2007.2.5号 |
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「東峰の森」破壊の暴挙を許すな住民追い出しをはね返そう |
歴史的事実抹殺
する地裁判決
千葉地裁は、一月二十三日、政府・成田空港会社の暫定滑走路の二五〇〇メートル化北側延伸による二〇〇九年度中の供用のための新誘導路建設にむけた「東峰の森」破壊を認め、その中止を求めていた住民側の仮処分申請却下を決定した。「東峰の森」は、東峰住民の大事な生活・営農林であり、入会地として育んできた森だ。空港会社は、「東峰の森」が東峰住民の生活と営農を維持するための重要な存在であることを知りながら、B滑走路完成にとって絶対に必要条件である新誘導路完成のために「東峰の森」を破壊しようとしている。地裁判決は、政府・空港会社の目論見を全面的にバックアップし、東峰住民の追い出し攻撃に加担する犯罪行為だ。政府・空港会社・司法権力が一体となった人権・環境破壊の暴挙を糾弾する。
空港会社は、裁判の冒頭から「住民らが入会権を行使して東峰の森を利用した事実はない。空港の高度の公共性と比較すれば、保全の必要性が認められないのは明らか」「土地の所有権は空港会社にあり、入会権は存在しない」などと嘘を並べたて、これまでの東峰地区住民との「話し合い」と称する「歴史的事実」さえも抹殺し、手前勝手な主張を行ってきた。
そもそも暫定滑走路供用(二〇〇一年六月十六日)のために公団は東峰神社の神社林の伐採(〇二年六月十六日)を機動隊に守られて強盗丸出しで強行したが、東峰地区住民の一丸となった裁判闘争によって、神社が東峰地区の総有的所有にあることを認めざるをえず、和解(〇三年十二月五日)に応じた事実との関連性を、いったいどのように説明するのだ。和解による強盗伐採への謝罪文は、いったいなんだったのか。
さらに、東峰地区全域を含む貨物基地構想(二〇〇三年)によって、東峰地区を集団移転で追い出そうと企んだが、住民の断固たる抗議によって、「一方的に計画を策定し進めていくことはありません」(〇三年二月二〇日、空港公団)という回答書を出さざるをえなかった事実も、どこにいってしまったのだ。空港会社は、公団の「歴史の抹殺」手法を継承し、この裁判においてよりいっそう反動的な態度で立ち振る舞ってきたのである。
生存権と環境
を守りぬこう
東峰住民と弁護団は、このような空港会社の暴挙を許さず、「東峰の森」が東峰地区にとって水源滋養林、調整林、防風林、防音林、生産林、環境林の機能を担い、さらに堆肥材料、椎茸栽培の生産活動にとって欠かせない場所であり、集団的利用を行ってきたことを歴史的に明らかにし、入会権を有していることを証明した。
しかし、千葉地裁は、「入会権や森林保全契約の成立が認められない」「伐採が(住民の)農業生産や生活に何らかの影響を及ぼす可能性があるが、受忍限度を超えて侵害されるとまでは認められない」などと決めつけ、空港会社の主張を認める判決を出したのである。黒野空港会社社長は「当社の主張が認められ、公正な決定がなされたものと考えている。この決定を受け、当社としては、東峰区の皆様との話し合いを進め、北伸滑走路整備等のご理解を頂き2010年3月末までに供用すべく、鋭意工事を進めてまいりたい」とコメントを出し、東峰住民追い出し攻撃を加速化させていくことを明らかにした。黒野の開き直りを絶対に許さない。
〇七年反対同盟旗開きで東峰地区住民の石井紀子さん、らっきょう工場の平野靖識さんは、仮処分裁判の取り組みを紹介し、たとえ不当判決が出されたとしても抗告して闘っていくだろうとアピールした。東峰住民の闘いと連帯し、新誘導路工事中止、空港会社による東峰住民への生存権・環境破壊を許さない闘いを強化していこう。
アジア・ゲート
ウェー構想とは
安倍首相は、〇六年十一月二十四日の経済財政諮問会議で資本のグローバリゼーション政策の一環として「アジア・ゲートウエー」構想(情報、物流、金融、外国人労働者分野、自由貿易協定(FTA)の締結促進)を実現していくことを表明した。その中で「空港や港の二十四時間化が難しいのは分かっているが、時間を置かずに安倍内閣で解決する」、「日本の競争力強化にもなるし、アジアの人も歓迎する」と述べ、羽田空港への国際定期便の深夜時間帯(午後11時〜午前6時)乗り入れの実現を突破口にして、財界の「近隣国の大空港の二十四時間化が進む中、国際競争に遅れ、日本経済の足かせになりかねない」という苛立ちに答えるために成田空港も含めた深夜就航の検討を指示した。
資本の延命にとって国際空港は、重要な出撃拠点であり、二十四時間就航は前提条件である。すでにアジアのハブ空港争いが熾烈を極め、上海新空港、仁川国際空港、そして〇六年九月にバンコクでスワンナーム新国際空港が開港している。国内的にも中部国際空港の開港、羽田空港が一〇年五月の国際線供用開始をめざした四本目の滑走路を建設中だ。しかし三里塚空港は、一九六六年七月四日に閣議決定して以降、札束と暴力、嘘とペテンを四十年も繰り返してきたが、三里塚農民の闘いによっていまだに空港の完全完成を実現していない。
成田空港会社は、アジアの空港建設競争からの遅れによる地位低下が許されないというギリギリの位置に追い込まれている。北側延伸工事のための公聴会(06・8・21)では、白戸千葉県副知事が「東アジア諸国で大規模な国際空港の建設が進む中、早期に成田空港の機能充実を図ることが地域の発展に不可欠」と発言し、「このままではハブ空港として機能しない」、「成田空港が地盤沈下する」などの危機感を現していた。黒野は、「(工事は)二〇〇九年度末を厳守する。できればもっと早く完成させたい。2500メートルの滑走路で終わりというわけにはいかないのでは」と発言せざるをえなかった。
だが黒野は、安倍首相の二十四時間空港化検討指示について答える形で国交省交通政策審議会航空部会で「平行滑走路が2500メートルでは十分とは言えない。南側用地問題が解決し、周辺住民の理解が得られるならば、南側に拡張したいと考えている」と表明した(06・12・1)。つまり、平行滑走路を北側に320三メートル延伸して2500メートル化させ、新誘導路建設のために「東峰の森」破壊を強行し、ジャンボジェットを飛ばすぞと東峰住民に対して脅迫したあげく、追い出しが実現したあかつきには南側に延長し4000メートル級の滑走路をめざしていることを宣言したのである。空港会社の上子常務は、「騒音問題などで、23時以降の運用は無理」と答えて(12・9)いるが、東峰住民追い出しができれば二十四時間就航化は不可能ではないというメッセージを込めた回答なのである。
政府・空港会社の野望を許さず、新誘導路工事による「東峰の森」破壊に反対していこう。 (遠山裕樹)
闇に埋もれた歴史に光を
はじめて語られるカンボジア内戦下の性暴力
サバイバーの
きびしい現実
一月十一日、「女たちの戦争と平和資料館(WAM)」、「アジア女性資料センター(AJWRC)」の共催でセミナー「今、はじめて語られる歴史│カンボジア内戦下の性暴力」が開催された。会場は東京・早稲田のWAM・オープンスペース。五十人を超える参加者でいっぱいになった。
連続セミナー二回目のこの日の報告者は、カンボジア在住の中川香須美さん(カンボジア弁護士の会・AJWRC会員)。「カンボジア大虐殺」として知られるポルポト政権時代について二〇〇六年七月、国際社会とカンボジア政府の間でようやく「クメール・ルージュ国際法廷」が始動し、今後三年をかけて裁判が進む。中川さんは、現地住民からの聞き取りを中心に、ポルポト時代の女性への暴力、――性犯罪についての研究を重ねてきた。
過去には政権そのものの研究は存在しても、「性暴力」という視点での研究はほとんどなかったという。闇から闇へと葬られようとする戦時下の暴力、その残虐の歴史をしっかりと記録し、現代から次世代に伝えるのが調査研究チームの目的だ。
まずビデオ「タン・キム│ポルポト政権下の性暴力を生きぬいて」が上映された。ポルポト時代の女性に対する暴力への一般的な理解は「被害者はすべて殺され、誰も生き残っていない」というもの。それでも生き残った証言者タン・キムさんが本編の主人公。
キムさんは、ポルポト兵士にレイプを繰り返され、死の恐怖におびえながらも必死で生きのびた。そして今回、悲惨な自身の体験を告白したことで、家族からも見放された。出家し、僧侶として人目を忍んでひっそりと生きる彼女を、カメラは追う。
カンボジア社会では、レイプに代表される性犯罪をタブー視し、一族の恥や汚点だととらえる風潮が根強く残っている。インタビューの対象となった被害者たちは、飢餓や拷問の体験こそ延々と語るが、こと「性犯罪」となると一転して貝のように固く口を閉ざしてしまう。被害者とその家族には、今なお恐怖のトラウマが消え去ってはいないのだ。
聞き取りは困難を極めた。しかし中川さんをリーダーとするスタッフのねばり強い情報収集と分析で、兵士や村落の権力者によるあらゆる女性への、残忍なレイプ殺人や強制結婚、強制売春の実態などが次々と明らかにされた。
予断許さない
裁判のゆくえ
昨年七月に始まった裁判の行方は予断を許さない。国内の法体系の水準の低さや、カンボジア側の弁護士のプライドの高さなどが、国際社会の近代的な理念と大きなギャップを生んでいる、と中川さんは指摘する。さらに「時効」の問題、政府が建前では性犯罪を禁止していたという事実など、幾重にも重なる壁が厳然と存在している。中川さんは限られた時間のなか、スライドを駆使したむだのない的確な研究報告で参加者をひきつけた。質疑応答も行なわれ、非常に密度の高いセミナーとなった。
市民の力で、闇に埋もれた歴史に、またひとつ光があてられようとしている。この調査研究の意義は大きい。注目と支援を。 (S)
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