| 都教委包囲・首都圏ネットが集会 かけはし2007.2.19号 |
173人の原告団が地裁に提訴
私たちは屈することはできない |
改悪教育基本法成立│
だが闘いは続く
二月三日、教基法改悪に反対し、「日の丸・君が代」解雇・処分撤回を求める総決起集会が開かれた。会場は東京・千代田区一ツ橋の日本教育会館ホール。昨年秋に国会を包囲した教基法改悪反対闘争以降、初めての大規模な集会だ。教育労働者、支援者ら約五五〇人が集まった。
開会に先立ち、リレーハンスト、座り込み闘争のスライドが上映された。最初に主催者である「都教委包囲・首都圏ネット」の見城さんがあいさつ。「昨年の集会との違いは、改悪された教基法が成立してしまっていることだ。これはまさに戦後民主主義の危機であり、本来は国民的反対運動に発展してもおかしくはなかった。そんな低迷状況をフォローしたのが、全国連運動のがんばりだった」。「学校現場の闘いは資本の論理、国家の論理に対する闘いだ。それは組合や活動家を守っていく闘いでもある。状況は厳しいが絶対にくじけない」。
成果を確認して
つぎに進もう!
仲間からの報告が始まる。「被処分者の会」の福島さんは、ハンストの回数が最も多かったことで発言を求められたという。「昨年末の二カ月間で多くの人に出会い、手紙をもらった。私は子どもたちには自然の豊かさや生命の大切さを教えたいといつも思っている。しかし『10・23通達』以後、それができなくなっている。先鋭な闘争には慣れていないが、みなさんと一緒にがんばっていきたい」。穏やかな人柄が伝わってくる発言だ。
集会呼びかけ人の大内裕和さんが登壇。「私には全国から多くの『心配メール』が届く。お金の心配、身体の心配、そしてお嫁さんの心配までしてくれる」。笑いをとりながらいつもの調子で元気に続ける。昨年の闘争の総括として、若い人々の参加や幅広い連携の構築を実現したことなど、五つの成果と三つの課題を挙げた。そして「格差の是正は、現代資本主義の方向と対立する。まさに社会主義運動である。十万人が集まる運動をつくろう」と、労働運動の再生、憲法改悪阻止の闘いを呼びかけた。
「予防訴訟(1)の会」からの報告。都高教の永井さんは昨年の「9・21判決」の意義を再確認。都教委も今年の卒入学式に賭けているという事情がある。この判決を私たちがどう守り抜いていくか、取組みの重要性を訴えた。弁護団の澤藤さんは、「10・23通達」は時代のきしみが生み出した断層だと指摘。「過去と同じ過ちを犯す危機感がある。戦争も改憲もある日突然起こるのではない。軍事力の増強だけでなく、法の改悪だけでもない。国家は戦争に反対する危険分子をあぶり出しつつ、国民の心理が徐々に戦争を賛美するように仕向けていくのだ」。
今年も笑顔で
ビラをまこう
被処分者たちは二月九日、東京都に対し処分撤回と一人あたり五十五万円の損害賠償を求めて、東京地裁へ提訴した。原告数は一七三名、過去最大規模だ。伏見さんは「負けるわけにはいかない。教師たちは人権を奪われ、思考を奪われている。柳沢大臣は『女性は子供を生む機械だ』と暴言を吐いたが、私たちは『しつけの機械』になるわけにはいかない。多くの仲間が『不起立』で立ちあがっている。共に勝利を味わおう」。
さらに「被解雇者の会」、「嘱託不採用者の会」「処分撤回を求める会」の発言が続く。「根津さん・河原井さんらを解雇させない会」の河原井さんは、「よく『がんばっているね』と言われるけど、そうじゃない。何ごともたった一人から始まる。がんばらないけど、あきらめない」と淡々と語った。そして昨年十二月に作られたドキュメンタリー映画「君が代不起立」(ビデオプレス)を紹介した。(2)
今年の卒入学式に向けての取組みが呼びかけられた。毎年学校前での情宣活動を防衛している雪竹弁護士が登壇。「昨年は六十三校中三十校に公安がいた。学校側が要請しているのだ。ひどいケースでは彼らに校門前を制圧され、学校に近づけないこともあった。異常な光景だ。子供たちの晴れの門出の日に、警察の出る幕はない。彼らの挑発に乗らず、今年も笑顔でビラをまきましょう」。
杉並教組の長谷川委員長は、都教委による教育破壊の現状を訴えた。杉並には独自の小学校教師養成塾「師範館」があり、区費採用で複数配置されている。彼らは「天に代わって教育する」と豪語しているという。北海道教組の吉田さんは、数千の規模で「不起立」を闘っている経過を報告した。
限られた時間のなか、発言は速いテンポで進む。自公与党は数の論理で改悪法の採決を強行したが、闘争を担った全国の仲間たちに、敗北感はまったくない。それどころか、さらに湧きあがる闘志と連帯、運動への誠実さがひしひしと伝わってくる。最後に、「やらせ」改悪教基法を許さず、「日の丸・君が代」強制反対、民主的な職場と教育を守り発展させるための決議。および柳沢厚労相の辞任を求める特別決議を全体で採択。「団結がんばろう」で閉会した。
(S)
注1「国家斉唱義務不存在確認等請求訴訟」
注2 東京上映会/2月23日(金)18時30分 中野ゼロ小ホール
共謀罪反対で院内集会
政府・与党の悪あがきに注意を! 廃案しかない
一月三十一日、衆議院第二議員会館で「共謀罪の新設に反対する市民と表現者の院内集会」が行われ、六十人以上が参加した。集会は、共謀罪法案反対NGO・NPO共同アピール、共謀罪の新設に反対する市民と表現者の集い実行委員会、共謀罪に反対するネットワークの共催。
司会の寺中誠さん(アムネスティ・インターナショナル日本)の開催あいさつで始まり、「先の臨時国会では皆さんの闘いによって審議入りをまぬがれた。しかし政府・与党は、いまだに共謀罪新設法案を成立させようとねらっている。通常国会前に安倍首相が法案成立を指示した。だが与党は、その後、予算案早期成立を優先、四月地方選、八月参院選、国会日程なども勘案しながら、最初から野党が『騒ぐ』法案成立のトーンを下げるように対応するというドタバタを繰り広げている。いずれにしても『話し合っただけで罪となる』共謀罪新設法案は必要ない。あれやこれやの噂に一喜一憂するのではなく、法案を出させないことを確認したい」とアピールした。
渡辺演久さん(子どもの育ちと法制度を考える21世紀市民の会)は、少年法改正が継続審議という状況の中で「なぜ、少年法の『改正』に反対するのか」というテーマで提起した。
改正案について@少年に対する警察の調査権限の拡大A十四歳未満の少年の少年院への収容B保護観察の遵守事項を守らなかった場合、少年院に送致する││などをあげ、これらは子どもの権利条約に反していることを強調した。また、「政府は、共謀罪に対しては国際法との関係で成立させなければならないと言いながら、少年法になると子どもの権利条約については全く無視し、国連の勧告に答えようとしていない。厳罰化、警察権力の拡大の方向に少年法が改悪されようとしている」と批判した。
山下幸夫さん(日弁連ゲートキーパー問題対策本部事務局長)は、「弁護士から警察への依頼者密告制度の狙い」について提起し、「すでに金融機関ではマネーロンダリング(資金洗浄)防止策が実施され、顧客の本人確認などが行われている。法案は、疑わしい取引ケースについて監督官庁への通報や弁護士、司法書士、行政書士、公認会計士、税理士など約五十の職種に増やそうというものだ。個人情報を監督官庁に密告し、警察権力が動き出す。共謀罪とともに監視社会を強めていく悪法だ。法案提出を許さない」と発言した。
横浜事件第三次再審請求人である木村まきさんから特別アピールが行われ、「横浜事件の再審控訴審で、東京高裁は十九日、裁判を打ち切る『免訴』の判決をした。過去の司法の正面から向き合おうとしない判決だ」と糾弾した。
保坂展人議員(社民党衆議院法務委員)、仁比聡平議員(共産党参議院法務委員)、喜納昌吉議員(民主党参議院議員)から国会報告と共謀罪法案反対のアピールが行われた。さらに市民運動団体からも共謀罪廃案にむけた決意表明が続いた。 (Y)
解説
共謀罪はいらない!
「修正」しても弾圧法の本質は何も変わらない
共謀罪を創設する組織犯罪処罰法改悪について、一月十九日、長瀬法務大臣は、「安倍首相から今国会で共謀罪法案の成立を期すようにと指示された」と閣議後の記者会見で発言した。だが、安倍首相は、教育改革関連法案などの審議状況や夏の参院選への影響を懸念する与党内で慎重論が噴出し、通常国会成立方針をトーンダウンさせてしまった。これを受けて長瀬大臣は、「(これから成立に向けて)努力し始めるのに、こだわるとかこだわらないとかいう段階ではない。国会会期も十分でなく時間的な制約もある。円滑な国会運営をしなければいけない責任もあるから、いろいろ考えなければいけないという指摘は当然だ」とあくまでも法案成立をめざすが、急がないという苦しい答弁をしている。
すでに共謀罪新設法案は、人権侵害、憲法違反に満ちた欠陥法案であり、政府・与党の「国際的組織犯罪条約批准のために共謀罪新設法案が必要だ」という答弁のウソが満天下に明らかとなってしまっている。例えば、米国は批准しているが、共謀罪については留保していたことや、国連立法ガイドで条約の「第五 目的」において共謀罪の創設を求めているわけではないことを隠してきたことが次々と発覚している。だから自民党法務部会は、共謀罪を創設する組織犯罪処罰法改正案に関するプロジェクトチームとして「条約刑法検討に関する小委員会」(笹川堯委員長)設置し、法案の修正を検討する方針を決めた。
追いつめられた
与党の言い訳
二月六日の小委員会で、組織犯罪処罰法改正案の修正原案が提示された。なにがなんでも法案を制定するために「共謀罪という名前はイメージが悪く一般市民も対象になると思われる」から「テロ・組織犯罪謀議罪」と名称変更するというのだ。さらに、適用対象を@テロA薬物関連B銃器C密入国・人身取引D組織犯罪の五類型し、これまでの対象犯罪を六百十九から百十六〜百四十六大幅に削減した。小委は今月中に修正案を取りまとめる方針だ。
いずれにしても未遂で処罰することができる法案の骨格は変わっていない。日本の刑法は、「既遂」処罰が原則だが、この根本性格を変え、未遂の「合意」だけで処罰することをねらっている。要するに、国家権力の手前勝手な判断によって適用が可能であり、思想そのものを処罰対象にするということだ。
さらに「組織犯罪」を対象としているが、組織の規定そのものが問題だ。そもそも国際(越境)組織犯罪防止条約は、組織犯罪集団を「三人以上の者から成る組織された集団であって、一定の期間存在し、かつ金銭的利益その他の物質的利益を直接又は二以上の重大な犯罪又はこの条約に従って定められる犯罪を行うことを目的として一体として行動するものをいう」と定義している。しかし、旧法案では、条約の限定した範囲を超えて「団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を共謀したもの」としていた。「団体」とは、株式会社、市民団体、労働組合、サークルまで対象となってしまうのだ。とりわけ資本と新自由主義のグローバル化に反対する国際的な市民運動団体に対して適用する危険性が充分に考えられる。どのように修正しようが「話し合うだけで罪になる」=「テロ・組織犯罪謀議罪」は廃案しかない。
依頼者密告制度
法案を通すな
また、コンピュータ監 視法案に関して触れていないが、これまでと同じであることが考えられる。法案は、インターネット接続業者などに通信履歴(電気通信の送信元、送信先、通信日時など)の保全を要請できることを可能とし、また、差押許可状を出し、電気通信回路で接続されているすべてのコンピュータに保存されたデータをコピーすることもねらっている。憲法二十一条二項の「通信の秘密」の侵害である。共謀罪新設法案、コンピュータ監視法案はいらない。与党の修正法案提出、審議入りの動向を監視し続けていかなければならない。
なお警察庁は二月一日、依頼者密告制度=「仮称・犯罪による収益の移転防止に関する法律」案について、当初、弁護士、公認会計士、司法書士などの業種について疑惑取引の届け出義務を設定していたが、弁護士などの業種を入れないで国会に提出することを決めた。
警察庁は、日本弁護士連合会などの反対によって、法案の人権侵害などの危険性が暴露され、成立が危ぶまれることを回避した形だ。しかし法案は、新たに不動産業者、宝石、貴金属商などを加え、顧客の本人確認と取引記録の保存、職務で知り得たマネーロンダリングの疑いのある取引を届けさせるというものだ。グローバルな治安弾圧強化の一環として、とりあえずの突破口として制定し、強化していくことをねらっている。依頼者密告制度法案の制定に反対していこう。(遠山裕樹)
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