| フランス大統領選をめぐる論争 かけはし2007.1.1号 |
LCRとPS(社会党)の間で政治的に揺れるPCF(共産党)
フランソワ・サバド |
フランソワ・サバドは、LCR(革命的共産主義者同盟、第四インターナショナル・フランス支部)政治局のメンバーである。このインタビュー記事は、ウェブサイト「ビエント・スル」(第四インターナショナルのスペイン語版機関誌)に最初に発表された。このインタビューが行われて以来、フランスの政治の舞台の「左翼」においてさらに多くの進展があった。社会党(PS)は、党員の投票によってセゴレーヌ・ロワイヤルを大統領候補に指名した。ロワイヤルは、自称トニー・ブレアの崇拝者で、たとえば、安全保障や教育制度に関する論争への参加を躊躇せず、ニコラス・サルコジに代表される右翼の立場とほとんど区別のつかない立場を表明してきた。 急進的左翼の側では、「反新自由主義」運動の統一候補を決定しようとする困難な過程が続いており、あらゆる地方的集団の中で、それぞれの集団が支持する候補を決定するための投票が行われている。この過程は、九月九〜十日の全国大会に頂点に達するはずであった。
グローバルな正義運動の農民活動家ジョゼ・ボベは、最初から「予想された候補者」であったが、手を引いた。候補者争いに残ったのは、PCF(フランス共産党)全国書記のマリージョルジュ・ビュフェ、パリ市副市長でパリ市評議会メンバーであるクレメンティーヌ・オースタン(彼女はパリ市評議会では党員でないのにPCFグループのメンバーである)、欧州憲法反対の最初のアピールを発した左翼シンクタンクであるコペルニク財団のイブ・サレス(高級公務員でもある)である。この三人が主要競争者である。このほかに四人がおり、その中で最も有名なのはパリ郊外サンドニの共産党市長であるパトリック・ブラウゼクである。
共産党はどちら
を選択するのか
「ビエント・スル」: 反新自由主義統一候補の可能性は、欧州のオルタナティブ左翼の広範な関心を呼び起こしました。しかし、この過程の展開と種々の政治的・社会的組織や潮流の立場は、まったく混乱しているように見えます。さらに、LCR内を含めて、論争的問題が存在します。この過程における諸問題に関するLCR指導部の立場とあなた自身の意見を知りたいのです。まず、LCRの全般的立場を要約していただけますか。
フランソワ・サバド: この過程の出発点は、二〇〇五年五月二十九日の欧州憲法に関する国民投票において「ノー」が勝利したことでした。これまでの長い間で初めての経済的自由主義的欧州プロジェクトの敗北でした。したがって、自由主義的攻撃に対する反撃の面においても、選挙における左翼の表現を構築したいという欲求の面においても、「ノー」の勢力が継続したことはまったく自然なことでした。このことは、行動面においては、特に、ボルケンシュタイン指令反対の動員や、CPE反対の若者の闘いへの連帯においては、大きな問題を提起しませんでした。
中道左派との
連合か独立か
しかし、運動の中には、権力の座にある右翼政府に挑戦することを拒否するPSや左翼潮流内のPCFと、シラク=ドビルパン政府に対して運動を向けようとする、少数派とはいえLCRのような組織との間に違いが見られることに留意する必要があります。選挙のレベルでもやはり統一の希望が存在しますが、しかし、そこでは問題は複雑です。なぜなら、選挙や制度に関する問題は、議会レベルにおいても権力に関する問題を提起するからです。全体的な政治的レベルにおいても、政府形態においても、何が自由主義と手を切ることなのかが提起されるからです。
二〇〇五年九月以来、われわれがPCFに対して、あらゆるこれらの問題について討論する用意があると語ってきた理由がここにあります。実際、われわれは、PCFは岐路に立っていると書きました。すなわち、欧州憲法に「イエス」投票をしたPS指導部とのすべての新たな議会内および政権内連合を明確に拒否して左翼の「ノー」の力学を推進することを選択するのか。この場合には、われわれは、選挙のために、PCFを含む左翼「ノー派」のすべての構成勢力との反自由主義統一戦線を構築する用意があります。
あるいは、PCFは、LCRと討論しながら、しかし同時にPSとの協定を維持するという、綱渡りをしようとする可能性があります。この場合には、PCFは、統一した政治的オルタナティブを構成するためにわれわれを当てにすることはできません。
われわれは討論する用意があったし、あの時点以来、二つの密接に関連する問題に関する討論が発展しました。第一は、反自由主義プログラムを一貫して防衛することは、資本主義と手を切る道を進むことを意味するのか。公共サービスの防衛は、右翼的民営化を元に戻すことだけでなく、左翼の私有物にも手をつけ、輸送、エネルギー、電気通信や経済の他の重要部門の公共的社会的財産の形態の全面的解決の促進を意味するのか、というものです。LCRは、資本主義と手を切る必要性を主張することによってこれらの問題に答えました。
PCFは、右翼的民営化を元に戻すという考えは擁護しましたが、PCFが参加していた一九九八〜二〇〇二年の複数左翼政府が行った民営化を元に戻すことには賛成しませんでした。雇用に関しては、われわれは「株買占め」解雇の禁止のような急進的解決策を擁護しましたが、PCFは雇用者側との対決の問題を提起しない雇用防衛の一般公式に固執しています。
討論の第二の問題は、政府の問題です。われわれは、国民投票での「ノー」を継続する反自由主義プログラムの擁護は、PS指導部との議会内連合や政府への参加とは両立できないと考えます。現在の力の均衡の中で、PS指導部の社会自由主義政策に支配される政府に参加できるでしょうか。欧州憲法に対する「イエス」支持者と「ノー」支持者の連立政府があり得るでしょうか。
われわれの答えは、躊躇なくノーです。PCFはわれわれに対して、PS指導部の政策の変化の可能性を排除できない、圧力の下で転換する可能性があり、したがって政府を形成する可能性が予想されると説明しました。
しかし、PCFは二重言語を使い続けました。一連の多かれ少なかれ急進的な公式をわれわれに提案しながら、同時に、PS指導部とのトップ・レベル会談に参加し、PSが圧力の下で何ら転換の兆候を示していないのに、「左翼」全体の綱領的オルタナティブについて討論しました。また、PCFは、最近のボルドーにおける地方選挙において、PSとの合同候補者リストを作成し、反自由主義統一リストを拒否しました。われわれは、PCFを含む左翼「ノー派」のすべての構成勢力に対してそのようなリストを提案しましたが、PCFは拒否しました。われわれは、PCFは岐路に立っていると言いました。PCFは、PSとの従属的関係から解放されることを望みませんでした。
そこからは、状況は反自由主義勢力の崩壊の方向に至るだけです。われわれは、複数左翼政府の改訂版に引きずり込まれることを許容したくありません。これはフランスだけの問題にとどまりません。共産主義再建党の最近の政策に関連して、イタリアでもこの問題が提起されています。共産主義再建党はプロディの中道左派政府を支持しています。ベルリンでもこの問題が提起されています。ここでは、SPD指導部との連合に関連して社会自由主義的立場でベルリンを取り扱ったために、左翼党は罰を受けました。
われわれがセクト主義者であるから軽々しくこのような立場に立っているのではありません。われわれは、闘争や運動においては、PSを含む全左翼の行動の統一の一貫した擁護者です。しかし、政府の問題においては、避けることのできない根本的な、急進的左翼の独立性の問題にかかわる境界が存在します。この問題が、イタリアやドイツで提起されている問題の背後にあります。自由主義に対する社会的・政治的反撃が存在するような、あるいはこの自由主義と手を切ろうとする勢力が登場しているような状況において、急進的左翼は中道左派や社会民主主義指導部からの独立を維持すべきでしょうか、それとも中道左派や社会民主主義との連合の機構に関与すべきなのでしょうか。
われわれは断固として前者の道を選び、したがってPCFの政策を拒否します。PCFは、全体として、PSとの制度的連合によって依然として支配されています。この観点から、われわれは反自由主義統一候補の展望を擁護するものですが、それには二つの条件があります。すなわち、一貫した反自由主義的綱領と、特に政府問題レベルにおけるPS指導部の展望とは独立した展望です。
われわれは「われわれはこの討論を重視して、ある候補者を提案しているが、もしこれらの問題に関する政治的協定ができればこの候補者を撤回する用意がある」とも言いました。もっと正確に言うと、われわれの方法を要約するうまい言い方があります。すなわち、「われわれにとって重要なのは、シナリオであって、演じる役者ではない」ということです。しかし、現在までのところ、これらの統一集団指導者やPCF指導部は、LCRが提起した政治的問題に答えたくないようです。
問題は人ではな
く政治的基盤
「V・S」: この過程の中には、少なくとも三つの重要な政治的立場が存在するように思えます。すなわち、PCFの立場、ジョゼ・ボベの立候補を支持する部分の立場、そして、「無党派」合意に基づいた立場を望む人々です。これらについてあなたはどのように特徴付けますか。
F・S: ジョゼ・ボベはこのような状況を好まず、PCF指導者マリージョルジュ・ビュフェとLCR候補者オリビエ・ブザンスノートに電話で、手を引いて彼を統一候補にとするように言いました。われわれにとって、問題は人ではなく政治的基盤です。形は異なりますが、ビュフェとボベについてもPSとの関係の問題で同じ問題を持っています。基本的には、左翼「ノー」派のLCRを除くすべての構成勢力には、綱領および政権問題についてのオルタナティブをPSと討論することについて一致が存在します。
実際には、反自由主義的左翼「ノー」勢力は、左翼改良主義者、社会主義者やポストスターリニスト、「反自由主義的欧州」共和主義者、「グローバルな正義」活動家、反資本主義派および革命派の連合です。この運動の統一の力学が下降に向かうと、左翼改良主義機構は彼らの伝統的政策に回帰しました。特にPCF機構の場合、自らの組織的地位の管理が優先されます。
ジョゼ・ボベは機構を持たず、「グローバルな正義」運動のある部分を代表し(この部分とは、われわれは多くの闘いを共有しています)、政治的エコロジーの問題や、たとえば、GM(遺伝子組み換え作物)に対する闘いに関わってきました。しかし、この部分は、依然として、社会民主主義政党や支配的左翼政党に対する「ロビー活動による圧力」という概念にとらわれています。
「グローバルな正義」運動のこの部分は、反GM闘争のような実際的問題では非常に急進的であり得ますが、同時に、PSとの議会的連合あるいは政府連合の問題を提起することなしに政治を考えることはできないのです。したがって、われわれはPCFとボベの両者に、連合の問題に関して同じ質問を問いたいと思います。たとえば、彼は、もしローラン・ファビウス(「ノー」の運動に参加したPSの元首相)がPSの候補者になったら、彼は立候補しないと宣言しました。彼の立場には、問題とあいまいさが感じられます。
LCRの候補者
はブザンスノー
「V・S」: 統一委員会の現実は、どのようなものでしょうか。
F・S: 集団は、特に左翼「ノー派」の集会は、キャンペーン中は何千もの人々を結集しました。今日では、統一の希望は依然として強いものの、集団はもはや「ノー」キャンペーン中に持っていたような代表性や力を持っていません。これは、政治状況に対する左翼「ノー派」の効果のためです。五月二十九日は欧州自由主義政策に対して非常に強力な力学を発揮しましたが、政治的力関係を変化させるには、とりわけ人民階級と支配階級の間の政治的力関係を変化させるには十分強力ではありませんでした。また、労働運動内部のPS、PCF、一連の左翼改良主義潮流および革命派の間の力関係を変化させるほど強力ではありませんでした。キャンペーンの絶頂期の集団の集会の基盤になっていた力学と、キャンペーンから一年以上経った後の集団の力学は別のものです。集団は、今では主として特定の世代の、五十代の活動家で構成されています。
さらに、左翼「ノー派」は、社会党左派から革命派まで、複数主義的でしたが、今では多くの組織や潮流が元の団体の囲いの中に戻っています。社会党左派はPSに戻り、PCFの種々の潮流は左翼ノー派の力学よりも党内的均衡を優先させ、他の潮流もそれぞれの出身組織に戻りました。
これらの政治問題に関して、われわれは闘いに負けたことを認めなければなりません。統一の感情とPCF指導部のマヌーバーは、われわれの議論よりも強力でした。集団の全国集会は、提起された問題を明確化することを望みませんでした。このことが、PCF指導部が自己の立場を維持しPS指導部との会談を続けることを可能にしました。一部の人々は、PCFが集団に押し付けたいと考えている方向を理解し始め、このことがあらゆる問題を生み出していることに気づき始めています。
しかし、ここにおいて第二の問題が提起されるのです。それは選挙の問題の特殊性です。行動における統一戦線であれば、行動において最も断固としている者が勝ち抜きます。一般に、改良主義者は行動における統一戦線に参加することを警戒します。なぜなら、行動の過程での急進化の危険を知っているからです。
選挙の場合は、異なります。最強の勢力は、行動や動員で最も断固としている部分ではなく、最も多く制度上の地位を持つ者、最も巨大な機構を持つ者、選挙制度的力関係に最もよく対応した解決策を持っている者です。これは、右翼を打ち負かし、当選し、新しい地位を得るには、政策や内容以上にPSとの協定が物を言うことを意味します。
このゲームにおいては、PCFは、組織的に弱体化し選挙における影響力が弱体化しているとはいえ依然として公称十万の党員を擁しており、多目に見ても委員会における活動家数は五千人以下ですがその多くはPCF中堅幹部です。したがって、今日では、PCF指導部は、共産党候補かつ集団の候補者としてマリージョルジュ・ビュフェを提案し、党の相対的力を駆使して集団内の討論を窒息させ、集団をビュフェ支持に引きずり込もうとしています。
現在、われわれは集団内の一連の活動家、潮流や組織との討論を続けています。しかし、集団の組織者の大多数は、一連の政治的問題の明確化を拒否することによって、PS指導部から明確に独立した道を描くことを拒否しています。
したがって、統一候補の条件は存在しません。PCFは、独自の候補者と方針を持つでしょう。この状況においては、われわれはPCFが左翼ノー派の代表となることを許容できません。したがって、われわれはLCR候補としてオリビエ・ブザンスノーを立てることに決定しました。しかし、政治的合意が成立すれば、彼を引っ込めます。今日、政治的合意の可能性はますます少なくなっており、したがってわれわれはブザンスノー・キャンペーンの準備を始めています。
われわれの敵は権威主義者サルコジ
「V・S」: 新聞やLCRの指導的人物を含む一部の左翼活動家によれば、LCRは統一候補の条件づくりに全面的には参加しておらず、セクト主義の表れと見られることにより高い代償を支払う可能性があると言われています。あなたは、これについてどう考えますか。
F・S: われわれは、今キャンペーンを始めたばかりです。これは反資本主義キャンペーンです。われわれは、これを左翼ノー派の継続性の中に位置づけており、全体的なオルタナティブを提起するために、これを階級問題と社会自由主義からの独立の問題に結びつける必要があります。われわれのプログラムは、一連の社会的および民主的要求から始めます。すなわち、購買力の向上、公共サービスの防衛、安定した保証された雇用の権利と一時解雇を事実上禁止する仕事保障制度です。この手始めは株買占めによって引き起こされる一時解雇の禁止です。
オリビエ・ブザンスノーは、警官による移民および若者に対する差別と暴力に反対するキャンペーンを開始した唯一の候補でもあります。われわれは、一連の青年協会や書類を持たない労働者の協会と協力して多くの活動を行っています。
われわれの敵は、資本主義制度、政府、右翼、そして特に次の選挙におけるその代表である超自由主義的権威主義者ニコラス・サルコジです。しかし、われわれはまた、新自由主義に順応し、右翼の行為と手を切らず、雇用者側との和解を追及する左翼、特にPSを告発します。PS指導部は、ジョスパンの複数左翼政府の行為によって特徴付けられ、二〇〇〇年代初めに左翼が行った民営化の再検討を拒否しています。これらが、われわれがPS指導部とのいかなる連合も拒否する基本的理由です。
われわれは、最近二十年間に左翼と右翼が実施してきた新自由主義的政策と根本的に手を切ることを望んでいます。PSはこれを拒否し、PCFは反自由主義的政策よりPSとの協定を優先させています。
われわれが一貫した反自由主義的姿勢で青年と労働者の動員に基づいてオルタナティブを構築するのは、このような観点に立ってのことです。この姿勢は、疑いもなく住民の支持を得ています。この数カ月間に、世論調査はオリビエ・ブザンスノーの疑問の余地のない人気を示しています。ひとりの雇われ人、郵便配達人、若者、何百万もの人々が知っている反資本主義活動家│非常にゆがんだ選挙レベルを通してでも、展望を構築し、雇用者と新自由主義的資本主義体性に対する階級意識を再構築することが可能な基準点です。世論調査の支持の数字は、オリビエ・ベザンスノート四〜六%、「労働者の闘争」派のアルレット・ラギエ三〜四%、PCF候補のマリージョルジュ・ビュフェはわずか二〜三%です。このような状況の中では、オリビエの立候補を排除するためにPCF指導部があらゆる努力をしているわけがよく理解できますが、この努力は現在まで成功していません。
もちろん、世論調査の数字を票数と混同するほどわれわれは愚かではありません。PSのために「役立つ」投票を求める圧力は非常に強力になるでしょう。われわれのキャンペーンは非常に厳しくなるでしょう。しかし、現在の状況の中では、新自由主義的攻撃の厳しさと伝統的左翼の新自由主義への順応に対して、圧力に抵抗でき、必要な力のバランスの構築に役立つような、強力なオルタナティブの構築が不可欠であるとわれわれは考えます。このような状況の中で革命的左翼が重みを持つことが、またもや「フランスの例外」と言われるようになるかどうかは、われわれには分かりません。いずれにせよ、この「例外」を防衛する努力を続けることには価値があります。
▼ フランソワ・サバドは革命的共産主義者同盟(第四インターナショナル・フランス支部)政治局および第四インターナショナル執行ビューローのメンバーである。
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