かけはし重要記事

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静岡と首都圏の反原発運動が共同で浜岡現地行動    かけはし2002.6.24号より

浜岡原発1・2号炉を廃炉に!

戸別訪問やデモ、申し入れ行動

 昨年十一月、浜岡原発一号炉は緊急炉心冷却装置配管爆発の大事故を起こし、1号炉と同型の2号炉で点検のため運転を中止していたが、「老朽化しており運転を再開しないように」という反対を押しきり強引に運転を再開した五月二十五日に、また水漏れ事故を起こしてしまった。
 「浜岡原発1・2号炉を動かさないで」という浜岡現地での取り組みが、浜岡原発を考える静岡ネット、浜岡原発止めよう関東ネット、ピースウォーク・浜岡、浜岡町原発問題を考える会、東海地震の前に浜岡原発を止めたい市民の会、ストップザもんじゅ東京、虹と緑静岡市民フォーラム、県共闘、きのこの会などの共催で行われた。
 六月八日午後二時に、二十人ぐらいの参加者が浜岡町役場前に集まり、浜ネット(静岡)による宣伝カーでの訴えと戸別訪問ビラ入れを行った。二月の戸別訪問の時より、町民の反応はよく、ほとんどの家で「ごくろうさん」と声をかけてくれ、気持ちよくビラを受け取ってくれた。
 あるメロン農家の女性は、私が東海JCO事故での農産物や海産物での風評被害がひどかったことを説明したら、「今回のような事故が起きると『浜岡の農産物は健康に害があるのではないか』という風評が広がるのが恐い。中電が『安全だ』と回ってくるが、その人に言ってやっただよ。いったん原発を止めると塩分の入った水が配管について、それがサビとなり事故を起こすんだ」と中電への不満を話した。この日は夕方まで、四十軒を回った。
 翌日九時三十分に、静岡県の浜松、富士、静岡、愛知、東京からかけつけた仲間たち七十余人が浜岡町役場前に集まった。白鳥良香さん(元静岡県議)が宣伝カーに乗り、町民に訴えた。戸別訪問は隣の御前崎町と浜岡町で行った。
 午後一時三十分から、浜岡原子力資料館内の休憩室で、浜岡原発を考える静岡ネットの代表長野栄一さんが「1・2号炉は運転再開しないこと、東海地震が過ぎ去るまで3・4号炉は止めておくこと」を中電へ抗議・要請を行った。この後、サーフィンin浜岡の沢村さんや参加した若い女性による詩の朗読など各団体が抗議や要請を行った。
 中電は「裁判中なので、本来なら会わない。申し入れに対する見解を述べることもしない」と不誠実な対応をした。それに対して、参加者から「東電は裁判中であっても、資料の提出など応じている。おかしいではないか」と批判すると「中電は中電ですから」と居直ったり、「横断幕を降ろせ」と執拗ないやがらせをした。
 二時三十分に、カラフルな横断幕を掲げて浜岡原発を囲む人間の鎖を行い、浜岡町役場までデモ行進をした。デモ後、浜岡町原発問題を考える会の菅野さんは「戸別訪問ではたいへんよい反応があった。これからも原発をやめさせる意志を強く持ってがんばっていきたい」と語った。さらに、白鳥さんは「焼津市議会は六月六日、徹底した原因究明と2号機の廃炉を含む抜本的な改善策を求めた申入書を中電に出した。六月十四日に、浜岡原発を止める仮処分裁判の第一回公判が始まる。なんとしても、廃炉に追い込もう」と訴えた。関東ネットの柳田さんは「明日、周辺五町と県庁への申し入れを行う。七月から九月まで毎月浜岡に来て行動を行う」ことを報告し解散した。    (M)



刈羽村住民投票勝利1周年

新潟・柏崎で全国集会

プルサーマル中止を!


 六月一日と二日にかけ、「住民投票一周年、プルサーマル中止を求める全国集会」が新潟県柏崎市で開催された。副題は「柏崎刈羽原発をプルサーマル実施の突破口にさせないために」。
 政府・原発推進派は、余剰プルトニウム保有に対する国際的な非難を回避するため、「もんじゅ」の火災事故以降プルトニウムを通常の軽水炉の燃料とするプルサーマル計画を原発政策の中軸にすえてきた。その手始めに、関西電力高浜原発と東京電力柏崎刈羽および福島第一原発でのプルサーマル燃料使用をめざしてきた。
 しかし、高浜では燃料製造に関するデータねつ造が九九年に発覚、柏崎刈羽では住民投票によりストップし、福島では住民運動の多層の広がりで知事がゴーサインを出せず、立ち止まっている。
 昨年五月二十七日に実施された刈羽村の住民投票は投票率が八八%、プルサーマルに反対が五三%と賛成の四二%を大きく上回った。住民投票の告示直前に経済産業大臣名のチラシを全戸配布するなどの国家の圧力に対し、住民の草の根ネットワークが勝利した。しかし、集会宣言にもあるように、この七月の定期点検時にプルサーマル燃料を装荷しようと地元懐柔の圧力が高まっている。
 一日目は全国集会と柏崎市内デモが行われた。会場となった柏崎市民会館では主催者が用意した千部の資料が早々となくなり、千二百五十人の参加者との報告がなされた。基調報告は刈羽村を守る会の長世さんから行われ、続いて原子力資料情報室共同代表の山口幸夫さんから記念講演が行われた。山口さんは新潟県出身とのことである。
 晴天の中、数百個の色とりどりの風船を手に、デモ行進がはじまった。風船には全国各地の仲間や集会参加者が手書きしたメッセージが一つ一つにつけられている。風船は公園で遊ぶ子どもたち、買い物中の親子連れ、信号待ちの車の中の子どもたちにも手渡される。商店街の人々の反応もすこぶる良く、チラシのはけも良い。宣伝カーの女性たちは街頭の反応の良さに声をつまらせながらアピールを行った。
 二日目は六つの分科会に分かれ討論が行われた。二日目も、主催者の予測を大きく上回り、会場の椅子が足りなくなる。第二分科会の「MOX・プルサーマル」では、六ケ所村から参加した仲間が、「八月三・四日にピースサイクルとあわせて六ケ所現地で再処理工場を止めるためのアクションを計画している」ことなどを報告、高浜原発のデータねつ造燃料の輸送についての論議も行われた。討論後、参加者が一堂に会し、分科会の報告後、集会宣言を確認した。    (K・S)

集会宣言 プルサーマル中止を求める全国集会

 私たちは昨年五月二十七日に実施された、「新潟県刈羽村のプルサーマル住民投票一周年」を記念し、全国から世界最大の原発基地のある柏崎刈羽に集まりました。
 刈羽村がプルサーマル反対の民意を示したにもかかわらず、未だ当地のプルサーマル計画は正式に中止されていません。むしろ、国や東京電力は理解活動と称する問題行為を強めています。「プルサーマル連絡協議会」は推進計画を作り、「市民参加懇談会」は住民を懐柔しようとしています。
 今年三月東電は、説明もなく次期MOX燃料の製造を開始しました。
 柏崎市長は民意を確認せずプルサーマル推進を表明し続け、刈羽村長も新潟県知事も推進寄りで、あいまいな態度です。
 彼らは今年の夏のプルサーマル強行を画策していますが、続発する原発事故や電力自由化の進展など、プルサーマル反対の民意は強まるばかりです。
 このような状況の中、プルサーマルを中止すべく、全国から結集しました。
(……略……)
 核燃料サイクル政策は破綻しているにもかかわらず、青森県では危険な再処理工場やMOX工場の建設が依然進められています。このままでは、事業主体の経営破綻で、消費者・国民に負担が強いられることになるでしょう。
 事業者や文部科学省は「原子力・エネルギー教育支援事業交付金」などを使い、原子力の優位を説き、放射線の影響を受けやすい、子供たちや母親を原発見学に連れ出しています。
 現在原発を抱える地域では、点検・修理コストの削減や老朽化など危険性が高まっています。
 また、使用済み核燃料の中間貯蔵施設や高レベル廃棄物貯蔵施設建設、放射性廃棄物のスソ切り処分、ITER(国際熱核融合実験炉)誘致などが、国内外の反対を押し切って強行されようとしています。
 国や事業者は、嫌がられる危険な核利用を推進するため、「地域振興」と称して多額の投資を続けています。こうした政策は、地域の自立を妨げ、真の発展には役立っていません。刈羽村の「ラピカ事件」のような問題を各地にもたらします。
 私たちは、核利用のもたらす諸問題を知るにつけ、核と人類\生物は共存できないと確信します。核兵器原料を作る原発を止め、「再生可能な自然エネルギー」を開発することこそが、核のゴミを残される将来世代への責任を果たす道だと確信します。
以下、関係各位に要請します。
1.プルサーマル計画を中止すること
2.使用済み核燃料の再処理工場建設を中止すること
3.高速増殖炉もんじゅを廃炉にすること
4.高レベル放射性廃棄物の貯蔵施設建設を中止すること
5.使用済み核燃料の中間貯蔵施設建設計画を中止すること
6.MOX燃料製造工場の建設計画を中止すること
7.原発震災を未然防止するため原発を停止すること
8.原発の運転コストや処分費用などすべての情報を公開すること
9.原子力推進のための教育や宣伝活動を中止すること

2002年6月2日
住民投票1周年プルサーマル中止を求める全国集会参加者一同



「エネルギー政策基本法案」に反対する特別決議

 現在国会で審議中のエネルギー政策基本法案は、国のエネルギー政策の根幹を決める「基本法」案です。しかし、与党議員の提案する立法であるとして、パブリック・コメントなどを避けて、秘密裏に法案の作成が進められてきました。そのため、ほとんど国民的な議論がないままに、国会での審議が強行されています。
 私たちは、この法案には多くの問題があると考えます。
 @エネルギーの安定供給を異常に強調し、電力の自由化など、規制緩和の動きに、大きな制約が課されてしまいます。
 A環境との適合性について、二酸化炭素だけが取り上げられ、放射能による汚染や被曝など、「核利用の危険性」が無視されています。
 B電力事業者らは「原子力は安いエネルギー」と宣伝してきました。ところが最近は、再処理と放射性廃棄物の処分費用を含めると、相当に割高であると認めています。そして、他のエネルギー源との競争のため、核燃料サイクルや放射性廃棄物処分費用の、税金による負担や電力自由化の規制などを求めています。こうした核利用の優遇政策が強化されてしまいます。
 C与党の議員提案の立法であるとして、一般化したパブリック・コメントなど、各界の意見を聴く慎重な手続きをはぶいています。そのため、ほとんどの国民は法案の内容や、今国会でこのような重要法案の審議がなされていると知りません。(「原発押しつけ法に反対する市民連絡会」によるアンケートによると、法案のことを知っていたのは、地方自治体の四分の一にすぎません。)
 D法案は、地方自治体に国のエネルギー政策に協力する義務を課しています。最近、国のプルサーマル計画を福島県知事の決断や、新潟県刈羽村の住民投票で拒否したり、三重県海山町の住民投票の結果、原発の新設計画を拒否したりと、国のエネルギー政策と地方自治体レベルの、エネルギー政策は一致するとは限りません。しかし、法案が成立するとこのような地方自治体による、エネルギー政策の自己決定が、著しく制約されてしまいます。
 Eこの法案により国民の知らない間に、原子力の推進につながる法制度や税金の負担が決められ、エネルギーとして全く不要な、プルトニウム生産のために、危険な再処理工場が稼働され、放射性廃棄物が増え続けてしまいます。
 F内閣により「エネルギー基本計画」が作られるようになり、エネルギー政策には、もはや国会議員の意思さえ反映されません。
2002年6月1日
住民投票1周年・プルサーマル中止を求める全国集会
       参加者一同

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