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民主労総組織革新案の問題点              かけはし2006.9.11号 

財政の政府補助金拡大方針は労組の政治的自立の放棄

提出された2つの組織方針

 2004年3月、民主労総第4期(イ・スホ)執行部は革新委員会(委員長チャン・スンギュ)を構成し、1年以上の論議を経て2005年9月に産別推進、選挙制度・代議制度の革新、不正の厳重処断・財政の透明性強化、財政の安定性強化、組織執行体制の整備、政策・教育文化事業の強化など、組織革新の6大課題を提出した。だが、その年の10月、革新委員長だったカン・スンギュ首席副委員長の不正の事態が表面化することによって、革新の主体がむしろ革新の対象となってしまった。
 イ・スホ執行部の辞退後、その運動方向を継承したチョ・ジュノ補欠執行部が8月25日、民主労総臨時代議員大会に財政構造および地域本部の位置づけと役割強化の方針、選挙制度および代議体系の内実化方針など2つの組織革新方針を提出した。

説得力のない組合費値上げ

 民主労総執行部は義務金(負担金)納付率の低調(2005年末74%)によって総連盟と地域本部が人員難や事業費の不足にあえいでおり、その結果、さまざまな負担金を乱発し、また組合員らが納付した義務金を連盟(各産別)が一部しか納付しないために義務金の納付率が低調なものと分析している。
 このような診断の下に、革新案として07年から義務金を2千ウォンに引き上げ、08年6月までに義務金の定率制実施、3カ月未納の際は各種会議への資格制限によって義務金の納付率を高めること、また政府からの補助金枠の拡大など4項目を財政革新案として提出した。
 財政問題は極めて敏感な問題だ。政治的意味を推し測る以前に、まず数値計算上で見てみなければならない。執行部革新案によれば、義務金引き上げの要因を次のように提起している。
 中央10人、地域41人の増員と賃金引き上げ分として21億ウォン、地域事業費の増額分11億ウォン、犠牲者救済基金5億ウォン、選挙制度改善費用5億ウォンなど総額42億ウォンが必要だというのだ。
 革新案には義務金納付率を100%に上げる方針が提案されている。05年の1年間で54億ウォンの義務金が集まった(組合員60万人、納付率74%)の06年の組合員76万人を基準として義務金納付率を100%に上げれば追加で集まる義務金は37億ウォンとなる。それならば義務金引き上げの要因たる42億ウォンは組合員の増加と納付率を高めることによって、ほとんど解決される計算となる。
 千ウォンを引き上げれば組合員76万人の年間義務金は91億ウォンだ。この91億ウォンの用途については革新案では具体的に提出されてはいない。これに加え08年から定率制にする場合、少なくとも数倍の引き上げとなるだろう。
 さらに政府補助金をも拡大する案を提出し、使用の用途についての根拠もなしに、多ければ多いほど良い式の財政計画が提起されているのだ。
 民主労総の財政が劣悪だというのは事実だ。だが漠然と困難だという主張だけでは組合員らは義務金をこれ以上、出しはしない。今後の事業の方向、財政支出の優先順位が綿密に計算された説得力のある義務金引き上げ案を出さなければならない。
 そればかりではない。組織革新案は産別労組への転換期を義務金引き上げの好機ととらえている。産別労組へ転換するからと言って、義務金を引き上げやすいとの根拠にはならない。
 問題の核心は産別労組体制に転換するとともに労組運動全体が総連盟―産別労組―地域―現場間の役割の再配置計画を立てなければならないということだ。そのような中で労組全体の財政が各級組織間に再配置されなければならない。民主労総の革新案にはそのような問題意識が見られない。
 さらに深刻な問題は政府補助金を拡大しようという案だ。政府補助金の拡大が組織革新案に入っていること自体が話にならない。組織革新は組織の体質を強化するものであり、その中には財政の自立構造をしっかりとするという課題がある。
 執行部は建物の維持補修管理費、教育事業費、組織事業費、南北交流事業費をもらおうとの案を提出した。事務所用の建物賃貸料から運営費、事業費まで拡大しようというのだ。「自主性の原則を厳格に維持しつつ」という前提をつけている。労組の財政が政府補助金への依存をさらに拡大しつつ、厳格な自主性の原則を云々するのは、欺瞞的としか言いようがない。民主労総の南北交流事業の方向は「民間の自主交流」だ。政府(統一部=省)が管理する旅行経費をもらって白頭山観光に行くのが民間の自主交流なのか?
 2007年の複数労組・産別労組の再編時期を迎えて民主労組運動は各級組織間の役割分担を綿密に考えながら労組運動全体の財政計画を立てて、義務金の引き上げなどによって財政自立化の要所をうち固めなければならない。現在、提案されている民主労総執行部の粗雑極まりない財政計画案は、およそ説得力がなくて組合員らの同意は得がたい。財政自立化とは真っ向から対立する政府補助金の拡大案まで提起しているのだから、正当性さえ失っている。
 民主労総執行部は07年3月に8千人の選挙人団を構成して民主労総の役員を選出することとし、直選制を実施するかどうかについては09年に決定しよう、との案を提出した。争点は直選制だ。
 組合員名簿の確保の困難さ、義務金の未納に伴う選挙権の問題、選挙管理体制構築の難しさ、過度の政派的対決による不正選挙の問題、政権や資本による支配介入のおそれ、などを直選制実施上の困難さだと主張している。
 だが、少なくともすべての単位労組は自らの組合員名簿を確保している。直選制において義務金未納組合員の選挙権を当然にも制限しなければならない、との発想も問題だ。税金未納の国民の選挙権は、はく奪されるのか? 選挙権以外には義務不履行に伴う権利制限の方案はないのか? そうではない。不正選挙の問題についても、政派対決のゆえに発生するとの主張にも根拠はない。そして政権や資本による支配介入のおそれというのは、いつであれ存在するものだ。09年になったからといって変わるものではない。
 提出された執行部案は大田本部の選挙の例を挙げている。しかし、その例を直選制不可論に活用するよりも前に、問題の原因を診断して対案を示すという、「他山の石」として考えなければならない。直選制の選挙管理において発生し得るさまざまなケースについての事前の諸規定が準備されなければならない。
 ところで多くの場合、選挙管理委員会の解釈や決定によって問題を処理しようとしたために絶えず紛争が起きているのだ。民主労総の歴史にあって、民主労総中央が地域本部の選挙管理に直接介入したことによって結局、最悪の事態に陥った大田本部の選挙は、民主労総の無能力をさらけ出した典型的事例に属する。

理不尽な直選制実施の回避


 民主労総執行部は、直選制が難しいので8千人の選挙人団を選挙して役員を選ぼう、との案を示した。直選制ができないとする4つの根拠は選挙人団選出のやり方にも、そのまま該当する問題だ。組合員の名簿作成、義務金の免除、不正選挙の問題、資本や政権の介入などの問題が選挙人団の選挙ではどのように緩和できるのかが説明されていない。
 むしろ選挙人団の選挙は8千人の選挙人団を選んだ後、再び集まって選挙を行わなければならないので費用がさらにかかる。候補が決まってもいない状態で選挙人団は、どんな基準で政見を発表するのだろうか? おそらくはパク・チョンヒ維新政権時代の統一主体国民会議のようなものとなるだろう。一層、難しい、性格も不明確な選挙人団制度は、むしろ最悪の選択になりかねない。
 2009年に直選制を実施するかどうかを決定しよう、との案を出しているが、そのときも制度改善は困難だ。09年は選挙直前の時期なので選挙制度改善は事実上、不可能だ。
 こういったことから07年の選挙のために、すぐさま選挙制度を変えるのは簡単ではないというのが事実だ。しかも直選制の実施のためには極めてち密な準備がなされなければならない。現実的な方針は8月の代議員大会で、だんだんと役員選挙を直選制で実施するように規約改正を行い、07年の次期執行部が直ちに直選制の準備を実質的に行うということである。
 1999年第2期執行部の革新委員会が代議員大会に直選制の改正案を提出し、極どいところで3分の2の賛成を得られずに否決された経過がある。今、07年の労働運動体制を迎えるこの時期、直選制実施のための規約改正案が通過されることを望む。
 代議員数を半分の規模に減らす案も提出された。会議運営の効率性を高めること、それが根拠だ。だがもっと重要なことは女性割り当て制に続き非正規職、中小零細事業場など、少数者の代表制問題が解決されなければならない。代議員選出制度もまた整備されなければならない。この問題もまた1999年の革新委員会案として提出されたが、代議員選出は連盟が然るべく行う問題だとの主張の中で実行されなかった。効率性よりは民主性を前面に立てた代議制度の改善が実現されなければならない。(「労働者の力」第108号、06年8月11日付、キム・テヨン/民主労総前政策局長)



朝鮮半島はいま

タイ・バンコクで脱北者
175人が拘束される

8月7日 b米軍が保持している韓国軍の戦時作戦統制権を、09年にも在韓米軍から韓国軍に移管する方針を米国防総省高官が明らかにしたと日韓のメディアが伝える。
8月8日 b北朝鮮メディア(朝鮮中央通信)、先月の豪雨災害時に故金日成主席、金正日国防委員長の肖像画を運び出そうとして死亡した住民、自宅屋上に避難していて救助に来た男性に子どもよりも先に金主席らの肖像画を手渡した労働者などのエピソードを伝える。
8月9日 b北朝鮮の南北共同宣言実行委員会が、韓国側の同委員会にファクスで豪雨災害復旧の支援を要請。セメント、鋼材などの建設資材、トラックなどの建設機材。b7月16日に国連で北朝鮮ミサイル非難決議に中国が賛成したことに対して、同日に北朝鮮の駐中国大使らが中国外相に抗議の面会を求めたが断られたため、大使館員11人が中国外務省で2時間にわたって抗議(香港の月刊誌「争鳴」誌の記事としてメディアが伝える)。
8月11日 b韓国政府、7月の北朝鮮の水害に対する緊急支援(非常用食料、医薬品、衣類など約12億円規模)を発表。
8月13日 b北朝鮮と国境を接する中国・吉林省で、今年1〜7月にかけて密入国者(脱北者)420人、ブローカー29人、覚醒剤の密輸業者14人を拘束したと国営新華社通信が伝える。b北朝鮮で初めてのロシア正教会の教会(聖三位一体聖堂)がピョンヤンに完成し、ロシアから正教会幹部が参加して儀式を執り行う。
8月15日 b北朝鮮と中国の警察機関の間で、両機関の協調に関する合意書が調印される(北朝鮮メディアが伝える)。
8月17日 b米ABCテレビ、北朝鮮が地下核実験の準備を進めている可能性があるという国防総省高官の情報を伝える。
8月18日 b世界食糧計画(WFP)が、同組織の洪水被災者への支援(13000人に小麦粉30日分と植物油150トン)受け入れに北朝鮮が同意したことを明らかに。b東京都庁、埼玉県庁、横浜市役所に「朝鮮総連への課税やめなければ職員を一匹ずつ殺す」という内容の脅迫文とカッターナイフの刃が送りつけられる(その手口からして朝鮮総連を陥れるための右翼による仕業とみられる)。
8月19日 b「北側は支援の規模や品目など南側の計画を尊重」(南北の赤十字組織が北朝鮮・金剛山で北朝鮮の水害被災支援について協議し、韓国側がコメ10万トン支援を行うことで合意)、7月の豪雨被害で北朝鮮の食糧生産は10万トン以上減少し、食糧年間不足量は少なくとも116万トンに達し復旧作業に必要な重機などが不足していると韓国側は分析している。b北朝鮮が、核実験予定地付近の住民に対して疎開令を出したことを、韓国政府が通信傍受で確認したと韓国メディアが伝える。
8月20日 b韓国統一省、コメ10万トン、セメント10万トン、トラック100台など265億円相当の対北朝鮮水害復旧支援を赤十字を通して月末から実施すると発表、北朝鮮側は被災状況を死者・行方不明者150人、水没農地2万7千ヘクタール、水没住宅3万6千棟にのぼると韓国側に明らかにしている。
8月21日 b「中国は北朝鮮の地下核実験は地域の安全に重大な影響を与えるので協力できない」「米国の対北朝鮮金融制裁は北朝鮮側にルール違反があったためであり、朝鮮半島非核化はこの問題の解決を待っていられない」(中国の崔外務次官補が訪中した土井たか子元衆院議長との会談で)。b中朝国境沿いの鴨緑江を挟んで中朝双方が最近、相手国入国者の退去処分や通関検査を強化をしていると韓国メディアが伝える。b韓国国家情報院、北朝鮮スパイ1人を国家保安法違反容疑で7月に逮捕・送検したことを明らかに。
8月22日 bタイ警察当局、バンコクで脱北者とみられる175人を不法滞在容疑で拘束(今年は7月末までに1054人の脱北者が韓国亡命している)。b韓国が初の軍民共用通信衛星「ムグンファ5号」を南太平洋から打ち上げ、朝鮮半島上空に静止して活動することに。b日本防衛庁、北朝鮮の弾道ミサイル発射を受けて07年度予算の概算要求にミサイル対策関連費227億円を盛り込む方針を決める。
8月23日 b「全国の商業銀行に対して、違法性のある取引が行われている口座を洗い出すよう指示した」「北朝鮮の銀行口座凍結についてはデリケートな問題だ」(ベトナム中央銀行が、北朝鮮の2つの銀行口座を凍結したことを同政府関係者が認めたとメディアが伝える)。
8月25日 b京都で26日から開かれる「世界宗教者平和会議第8回世界大会」に参加予定だった北朝鮮代表団6人について、法務省が「宗教関係者ではなく公務員であると判断した」として入国を拒否したこと明らかに。


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