| イタリア-チョムスキーとタリク・アリ
かけはし2006.7.24号 |
| 共産主義再建党はアフガンでの軍の任務拡大を認めるな! |
世界的に有名な学者で平和運動家でもあるノーム・チョムスキーと、著名な作家で社会主義活動家のタリク・アリは、イタリアの共産主義再建党(PRC)がそのアフガニスタンのイタリア軍に対する立場を変更するよう求め、反戦派の国会議員を支援する人びとに加わって発言した。われわれはここにファウスト・ベルティノッチ(PRC委員長で現下院議長)へのタリク・アリの公開状と、チョムスキーの声明を、ジルベール・アシュカルの解説とともに掲載する。(「インターナショナルビューポイント」編集部)
ファウスト・ベルティノッチへの公開状
米政府を喜ばせるだけだ
タリク・アリ
親愛なるファウスト
共産主義再建党が「人道的理由」でアフガニスタンのイタリア軍派兵を続けることを支持する投票を準備しているという話を聞いて、私は驚きました。私は、前世紀にアフガニスタンへのソ連軍侵攻を支持した左翼の人びとに対して主張したように、それが深刻な誤りだということをあなたに納得させたいと思います。
大国や、大国に代わって行動している代理人国家には、他の諸国を占領する権利はありません。グローバルな新自由主義秩序の二大プロジェクトは、@今後、地球が破裂するまで、人類を組織する「唯一の道」は新資本主義であるということを強調することA「人権」の名の下で、国際関係にとって決定的に重要な国家主権を無視することです。
9・11の数週間後、私はカナダのテレビ放送でブッシュの指導的イデオローグであるチャールズ・クラウトハマーと一時間にわたって論議しました。彼はアフガニスタンでの戦争が私が述べた「残忍な報復戦争」であることを認めました。
その三日前、CIAはオサマ・ビンラディンを追跡し殺害するために作られた特別ユニットを解散しました。それは9・11以後、情勢は劇的に変化したという事実の暗黙の承認でした。それならば、アフガニスタンにおけるNATO軍の機能とはいったい何なのでしょうか。「人権」? イギリス(その兵士は恒常的に殺害されている)の保守的ジャーナリストでさえ、こうした想定を笑い飛ばすでしょう。最近カブールへの旅から帰り、ブレアに公開の警告状を書いたサイモン・ジェンキンスはその一人です。
「アフガニスタンにおけるイギリスのひどい失敗を無視することはできない。英軍が危機にさらされているからである。彼らが危機にさらされなければならない理由はないし、英軍のアフガニスタンへの駐留は、英国の安全とは何の関係もない」。
「彼らがヘルマンドにおいて猛暑に悩まされ、死んでいるのは、攻撃にさらされているカブールの政権を支えるためではない。そのためには絶望的なほど人手が足りない。欧州においてNATOを生き長らえさせるという無価値な使命のためである。……二〇〇四年、アメリカはいかにしてハミド・カルザイの傭兵とするようNATOを仕向けたのか。内閣はワシントンからどのような情報を得たのか。アメリカの当局は、バルカンでの修羅場の後で高慢なNATOに教訓を与えるために、アフガニスタンをNATOに押しつけようと公然と語っていたのだ。……私が聞いたすべての評価によれば、政府がアフガニスタン南部で構想しているような作戦には、三千人ではなく、一万人でもなく、十万以上の軍が必要であると示唆している。この後者の数でもイラクの作戦は失敗しており、暴力的ファナティシズムにおいてイラク人はアフガン人と比較すべくもない」(「ガーディアン」紙06年7月5日)。
アフガニスタンにNATOが派遣されていることは、米政府を喜ばせる以外のいかなる理由もありません。この数週間でアフガニスタンの一般市民の殺害は十倍に上昇しました。新聞の見出しで「タリバン五百人殺害」と書くのは故意の誤報です。当時私たちの一部が予測していたように、アフガンの人びとは占領を望まないし、遅かれ早かれ抵抗を開始するでしょう。ファウスト、なぜアフガニスタンに外国軍隊が少しでも駐留すべきなのかを自問して下さい。
中道左派がNATOを支持し、米国の戦争のほとんどを支援していることはよく知られています。フィニ、ボッシ、ベルルスコーニらの支援でやらせておけばいい(彼らは結局のところ同意見なのです)。
なぜ、外国軍の占領を信任投票として扱うべきなのでしょうか。そし正直な回答がなされるべきなのならば、私たちはアフガニスタンへのNATOの駐留にいかなる信任も与えません。共産主義再建党が賛成投票するならば、それは欧州左翼の悲劇であり、それがアフガニスタンにおいても、またイタリアにおけるオルタナティブを創出するという観点からも悲劇になるだけだ、と私は恐れています。
もしあなたが、それは西側の撤退に続く政権の性格にかかわる問題だという議論に入り込むのであれば、あなたは危険な海を泳いでいるのです。あなた自身の国の痛ましい帝国的過去を忘れないでください。ムッソリーニによるアビシニア(エチオピア)とアルバニアへの侵略は、同じ論理によって説明されました。私たちは、これらの後進的で封建的な王政への欧州文明の侵攻について取り上げているのです。こうした体制変革は彼らにとって受け入れられるものではなく、それは今であるべきではないのです。
私は、共産主義再建党の古い友人として書いています。私は次の火曜日の投票後も友人であり続けることを望んでいます。
友情を込めて
イタリアの反戦派議員への手紙
勇気のある立場に学ぶ
チョムスキー
親愛なる友人たちへ
私は、米国に従属した国際的侵略に転換したNATOの軍事作戦へのイタリアの参加に反対する、皆さんの勇気ある立場を学びました。
ゴルバチョフがNATOの枠組みの中でのドイツ統一に同意した時の確固たる保障を侵害したNATOの東への拡大は、詐欺ではなかったとしても、すでに国際的平和と安全へのきわめて深刻な脅威でした。
NATOの新たな、そしてさらに拡張的な役割は、国際秩序への深刻な脅威となるものです。私は、「イタリア国は、他国民の自由を侵害する手段として、および国際紛争を解決する方法として、戦争を否認し、他国と互いに等しい条件の下に、諸国家のあいだに平和と正義とを確保する秩序にとって必要な主権の制限に同意し、この目的を有する国際組織を推進し、助成する」とするイタリア憲法十一条の原則の擁護を強調する皆さんへの個人としての感謝の念を表明したいと思います。
敬意を込めて
解説
反戦派議員への支持を国際的に拡大しよう
ジルベール・アシュカル
いずれも与党連合(ロマノ・プロディ首相が率いる「ウニオーネ」〔連合〕)の左翼に属するイタリアの八人の上院議員と二人の下院議員が、アフガニスタン問題に関して政府に反対投票する意向を声明した。
ジョージ・W・ブッシュの親友であるイタリアの前首相シルビオ・ベルルスコーニは、アフガニスタンに展開しているNATO軍の一員としてその地に千三百人のイタリア軍を派兵するとともに、ブッシュの「有志連合」の一員としてイラクに二千六百人の兵士を送った。
新しい「中道左派」政権は、選挙民の多くの期待を裏切り、ベルルスコーニがすでに米政権と交渉した結果とはそれほど変わらないイラクからの段階的・部分的撤退を発表した。それと同時に「ウニオーネ」は、最近南部に再配置されたアフガニスタンのNATO軍が米国の補助的軍隊として戦争行為を拡大しているにもかかわらず、アフガニスタンでのイタリア軍の任務を拡大する意向を表明した。
かりにイタリア軍がアフガニスタン南部に送られなかったとしても、彼らはNATOの戦争機構の一部なのである。アフガン民衆が安全を保障される権利があるのはもちろんだが、米軍も米軍に支配されたNATO軍も安全を与えることはできない。
(アフガン派兵に反対している)八人がいなければ、「ウニオーネ」は上院で多数を確保することができないため、与党連合の連帯と利益という名目で、八人に対して立場を変えろという巨大な圧力がかけられている。そこには八人を、彼らの立場を否認するか、それとも政府を倒壊させるかという選択に直面させる信任投票という手段を通じて、拘束力のある指令を出すという脅しもふくまれている。
しかしこの脅しは、アフガニスタンにおけるイタリア軍の任務を拡大する指令に賛成投票するという「中道右派」の一部の議員の声明によって効果を失っている。なぜなら、彼ら「中道右派」議員が所属していたベルルスコーニ政権がこのアフガン派兵を主導したのであるから、彼らは全面的に支持しているこの問題に関して棄権したくないのである。
反戦派議員は、彼らに対する圧力に反撃するために請願活動を開始し、支持表明を呼びかけている。これらのことは、七月十五日にローマで平和運動と反戦派議員が組織する重要な反戦集会で報告されることになっている。上院での討議と採決は七月の最終週に行われるだろう。
イタリアの反戦派国会議員への支持を、国際的支持もふくめて作りだすことは、彼らの闘いと圧力に抵抗する彼らの力にとってきわめて重要である。
イスラエル
パレスチナBDSキャンペーン
戦争犯罪を黙認するな!ボイコット、資産凍結、制裁を
国際司法裁判所が、イスラエルによる植民地主義的な「壁」の建設とその全占領体制を、非合法として非難してから二周年にあたって、イスラエルは「壁」の建設と入植地の拡大を緩めていないだけではなく、ガザ回廊の無防備なパレスチナ住民に対する無慈悲きわまる攻撃を開始した。イスラエルに対するボイコット・資産凍結・制裁(BDS)をめざすパレスチナ人キャンペーンは、いまこそイスラエルをボイコットするために行動し、占領と絶え間のない国際法侵害を終わらせるためにイスラエルの資産を凍結するよう、国際市民社会に呼びかける。
捕虜になったイスラエル兵を解放するという見せかけの下で、現在のガザへの侵攻が始まって以来、イスラエルは国際法の基本原則を侵害し、戦争犯罪を行ってきた。それはアムネスティー・インタナショナル、被占領地域パレスチナの人権状況に関する国連特別報告担当官、およびその他の人権機関の記録が示す通りである。こうした戦争犯罪およびそれによるパレスチナ人市民の悲劇的な死は、イスラエルによるパレスチナ人への非人間的取り扱いの長い記録、そして彼らへの集団的虐待を考えれば、驚くに値しない。
真に異常なことは、西側諸国の政府がほぼ完全にそれを黙認あるいは共謀していることであり、防衛の政治的楯をイスラエル軍に効果的に供与していることであり、包囲され、故意に貧困化させられてきたガザ回廊において、イスラエル軍が何の罪にも問われないまま、非人間的殺りく、家屋解体、樹木の伐採、死活的なインフラの破壊を続け、それとともに被占領西岸地域で選挙で選ばれたパレスチナ人の代表を誘拐しているのを認めていることである。
国際司法裁判所が、被占領パレスチナに建設された壁や入植地を否定する評決を下してから二年後、イスラエルはガザへの侵攻によって、基本的人権と国際法の適用原則への犯罪的無視を示している。イスラエルを信頼してきた国際社会のこの最新の失敗により、いまや流血を止めさせ、イスラエルに国際法の下での義務を尊重させるために行動することは、世界市民の良識が背負うべき道徳的責任になっている。
南アフリカのアパルトヘイト体制に対してなされたように、イスラエルに対して経済、学術、スポーツ、文化などのさまざまな形態でのボイコットや資産凍結を適用することは、この目標を達成し、われわれの地域に公正な平和を実現するチャンスを促進するための政治的かつ道徳的にもっとも健全な手段である。
パレスチナBDSキャンペーンは、すべての人間の生命の尊厳と人権を擁護し、国際法の権威を守り、この暗黒の時期にパレスチナ人民と連帯するすべての人びとに敬意を表するものである。(06年7月10日)
(イスラエル「オルタナティブ情報センター」のウェブサイトより)
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