| 国連安保理の北朝鮮「非難決議」 かけはし2006.7.24号 |
「対テロ」戦争体制を阻もう!額賀の「敵基地攻撃」発言糾弾
常任理事国こそ
軍事化の張本人
サンクトペテルスブルクで開催されるG8サミット開会直前の七月十五日午後四時(日本時間十六日午前五時)、国連安全保障理事会は、日米などが提案した「北朝鮮ミサイル発射非難決議案」を全会一致で採択した。同決議は朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)のミサイル発射を非難し、北朝鮮のミサイルおよび「大量破壊兵器」開発に関する物資、技術、資金の移転阻止のため、必要な措置を取るよう加盟国に求めている。またG8首脳会談でも北朝鮮非難の政治声明が出された。
しかし日米などが提出した当初の「制裁」決議案に盛り込まれ、日本が最後まで固執した「武力行使」にまで行き着く国連憲章第七章に言及した「制裁」条項は削除され、「国際的な平和と安全を維持する安保理の特別な責任の下で行動する」という文面が付け加えられた。北朝鮮のパク・キルヨン国連大使は、同決議を「全面的に拒否する」と述べた。
われわれは本紙前号で明らかにしたように、北朝鮮による弾道ミサイル発射や核兵器開発計画を非難し、そうした構想の破棄を北朝鮮政府に要求する。しかし、イスラエルの国際法や国連憲章を無視したガザ侵攻非難決議案に拒否権を発動した米国をふくむ国連安保理による、このような全会一致の「非難決議」は欺瞞的である。何よりも安保理常任理事国五カ国はいずれも大量の核兵器保有国であり、ミサイル発射実験を繰り返し、世界の「平和と安全」にとって脅威となっている諸国だからである。
また北朝鮮にきびすを接するようにして、七月九日、核兵器搭載可能な弾道ミサイル「アグニ」を発射したインドには、いかなる「非難」決議もなされていない。われわれは地球全体の軍事化と戦争の脅威に責任を持つ安保理常任理事国や非常任理事国の日本こそ、核兵器など「大量破壊兵器」の全面廃絶をふくむ大幅な軍縮に踏み込むことを要求するものである。
浮き上がった日
本の制裁強硬論
同時に七月十五日の「非難決議」にいたる経過を見るとき、われわれは日本政府の果たした反動的役割とその無残な外交的失敗に注目することが必要である。
日本政府は、中国とロシアによる「議長声明」案にあくまでも反対し、国連憲章第七章にもとづく「制裁」決議案に非妥協的に固執した。七月九日、韓国政府が大統領広報首席室の文書で北朝鮮のミサイル発射を「日本のように未明から大騒ぎする必要はない」と日本政府を批判し、「安全保障の次元で非常事態につながるものではない。どこの国も非常事態宣言を発令していない。誰を狙ったものでもなかったからだ」「朝鮮半島の緊張を高めても核問題やミサイル問題の解決に役立たない。事件を軍備強化の大義名分に利用することもない」と述べたとき、小泉首相は「日本としては納得できない」と強い不快の念を表明した。
しかしこの時点で、日本がその強硬姿勢を共にする「同盟国」としてあてにしていた米国はすでに、中国政府と緊密な連携を取りながら「制裁」強硬派・日本の足をすくう「調停派」として登場していたのである。ワシントン・東京・ソウル・北京を幾度も往復したヒル米国務次官補は七月九日に韓国のイ・ジョンソク統一相らと会談し、南北閣僚級会談への韓国政府の対応に理解を示し、北朝鮮を訪れる中国の武大偉外務次官による働きかけへの期待を表明している。
そして日本の新聞休刊日の七月十日にスポーツ紙を除いて唯一朝からキオスクに並んでいた日刊紙である「ヘラルド・アサヒ」(英字紙)は、ミサイル発射問題の国連決議に関して「中国の提案を米国が支持」とする記事を一面トップで掲載していたのてある。しかしこの期に及んでも、日本のマスメディアは「日米の結束」と「中ロの抵抗」という図式に固執していた。そればかりではない。額賀福志郎防衛庁長官は、七月九日に「自衛隊が敵基地への攻撃能力を持つべき」とする事実上の「先制攻撃」論を展開するという公然たる違憲の暴言を発した。
しかしこの間、「制裁決議」案共同提案国の英、仏などが中国の意向に配慮した「修正」に傾き、中ロ両国が「制裁条項」を削除した「非難決議」案を七月十二日に提出して、米国もそれを評価する姿勢を示すなどの目まぐるしい外交的かけひきが続く中で、「制裁」強行に固執する日本政府・外務省は完全に浮き上がってしまったのである。
こうした中で山崎拓・前自民党副総裁は、七月十二日に「国内の世論は過熱気味。冷静沈着な議論が必要」「強制力を持った国連決議の実現に血道をあげる対応であってはならない。日本外交の戦略目標は北朝鮮がただちに六カ国協議に復帰することだ」と述べ、小泉内閣と自民党執行部の突出を厳しく批判した。こうして北朝鮮「制裁」決議に関する日本政府・外務省の強硬的突出は、ポスト小泉の自民党総裁選をめぐる自民党内の政争ぶくみの様相をも呈するようになった。
そして七月十五日の「制裁条項」を外した「非難決議」に対して、大島国連大使などは「日本が原則を最後まで押し通したために、中ロも妥協して強い非難決議を上げることになった」と強弁しているが、今回の経過は小泉政権の「対米一辺倒」の外交政策の破綻をあらためて確認するものとなった。
在日朝鮮人への
脅迫を許さない
北朝鮮のミサイル発射をめぐる日本政府の突出した「制裁」強硬政策は、その外交路線の破綻にもかかわらず、額賀防衛庁長官の「敵基地攻撃」発言をふくめて、「北朝鮮のミサイル発射の脅威」を口実とした軍事体制の強化をさらに促進する世論を醸成し、北朝鮮への排外主義的感情をさらに強めている。
在日朝鮮教職員同盟によれば、七月五日のミサイル発射以来、七月十四日までの十日間で全国の朝鮮学校などに対する「生徒を殺す」などの脅迫電話が百十三件に達している。七月六日には大阪府の生野朝鮮初級学校1年の男子生徒が通学路で男に頬を殴られ、七月七日には愛知朝鮮中高級学校て、中級部2年の男子生徒が男にあごを殴られた。
また京都府と京都市は、府と市が後援する「金剛山歌劇団京都公演」の実行委員会に対して「ミサイル発射は日朝の友好関係を願う府民の心情を踏みにじる」などの抗議の意を北朝鮮政府に伝えるよう求める文書を手渡した。「文化交流」団体に対するこうした抗議文書を手渡すことは、行政自ら脅迫などの排外主義的嫌がらせ行為に加担することを意味し、絶対に許してはならない。
北朝鮮の金正日軍事・官僚独裁体制による反民衆的なミサイル発射を糾弾するとともに、米日政府による北朝鮮に対する先制攻撃体制の構築と、排外主義的な「襲撃」キャンペーンに反撃しよう。MD配備と「対テロ」臨戦態勢に反対しよう。「国民保護訓練」などの治安動員訓練反対。日本政府の「追加制裁」反対。小泉首相の8・15靖国参拝を阻止しよう。東アジアの平和を民衆の国際的連帯で作りだそう。
(7月17日 純)
イスラエルはレバノン侵略戦争をやめろ
イスラエル軍はガザへの軍事侵攻と市民の虐殺と同時に、七月十二日にイスラエル・レバノン国境地帯の軍事衝突でイスラエル軍兵士二人がレバノンのシーア派民兵組織ヒズボラに拘束されたことを口実にして、同日以後、レバノンに全面的な軍事侵略作戦を開始した。それはまさに小泉首相のイスラエル訪問とオルメルト首相との首脳会談の日にあたっていた。オルメルトは小泉との会談の中で、レバノンに対する「大規模報復」を示唆したのである。これに対して小泉は「理性的な対応」を求めるだけで、軍事侵攻の中止を求めなかった。七月十三日にはレバノンの首都ベイルートの国際空港も空爆を受け、空港は閉鎖されている。
七月十三日のイスラエル各紙は「宣戦布告」「二正面作戦」などの見出しで、全面的侵略戦争をあおっている。イスラエルはその後、レバノンを陸海空から封鎖する作戦をさらに強め、シリアの首都ダマスカスとベイルートを結ぶ主要道路を繰り返し爆撃し、ベイルート沖に海軍を派遣して哨戒活動を展開している。七月十五日までにレバノン一般市民の死者は百人を超えた。ヒズボラもまたハイファなどイスラエルの都市へのミサイル攻撃で反撃している。
こうしたイスラエルの軍事侵略に対して、国連のイゲランド事務次長(人道問題担当)は、イスラエル軍によるベイルート空港空爆などを「国際法違反」として批判した。しかし七月十三日の国連安保理で、イスラエル軍によるガザ侵攻の中止を求めるカタール提出の決議案がアメリカの拒否権行使によって否決されたのに続き、七月十四日の国連安保理でのレバノン侵攻をめぐる討論の場で、アメリカはもっぱらシリアやイランを批判してイスラエルを擁護した。ブッシュ米大統領は「どの国にもテロリストの攻撃から自国を防衛する権利がある」と述べて、「対テロ」戦争の観点からイスラエルのレバノン侵攻を支持しているのだ。
一九八二年六月、レバノン南部に軍事侵攻したイスラエル軍は同年九月のシャブラ、サティーラのパレスチナ難民キャンプでの大虐殺に手をそめた。二〇〇〇年五月にレバノン南部からイスラエル軍が撤退して以来、六年ぶりのレバノン軍事侵攻は、シオニスト・イスラエル国家がパレスチナ民衆と周辺アラブ諸国に対する恒常的「戦争国家」「テロ国家」であることを事実をもって示している。イスラエルのガザ、レバノン軍事侵攻に対する抗議の意思を表明しよう。 (K)
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