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                            かけはし2006.7.17号

差別と社会的排除に抗して

「持たざる者」の国際連帯集会

 仏NO-VOXと日本の運動との経験交流・連帯

二つの映像が発
するメッセージ

 七月三日、「〔持たざる者〕NO│VOXフランスを迎えて 越境する『持たざる者』の連帯」集会が、東京・恵比寿会館で行われ、百人以上の参加者があった。集会は、新自由主義グローバリゼーションの拡大によって社会的排除を受け周辺に追いやられた者たちのスクラムをめざしている「持たざる者」の国際連帯行動実行委員会が主催した。
 集会は、フランスの「持たざる者」の闘いの映像から始まった。一九八〇年代、失業問題が深刻化していくなか、居住環境の改善を訴えて空家占拠を行う「住宅への権利運動」に参加したのは、移民労働者たちだった。多くの失業者たちも加わり、一九九〇年にDAL(住宅への権利)を結成し、「住宅は権利だ!私たちの占拠は『不法』だが『正統』だ!」などのスローガンを掲げて運動の広がりと支持を集めた。映像は、DAL、移民労働者とその家族たちによる空家占拠の取り組み、警察権力による弾圧と抗議行動を写し出している。そのシーンを観る者に対して「持たざる者」たちの強烈なメッセージが、次々と迫って来る。
 第二の映像は、日本の「持たざる者」の闘いだ。〇六年一月三十日、大阪市は、大阪城公園・うつぼ公園の十九人の野宿労働者のテント小屋を強制排除・破壊した。全国から多くの仲間たちが強制排除反対のために駆け付け、テント防衛と座り込み闘争に突入した。野宿労働者と全国支援の「わっしょい!わっしょい!」のコールと抗議によって、当局の先兵となってしまった大阪市職員たち、暴力的対応しかできないガードマンたち。強固なスクラムシーンは、次の闘いにむけた指針を提示した。
 なお、この大阪市の暴挙に対して、二月八日、フランスNO│VOXは、パリの日本政府観光局を占拠して、大使面会要求など抗議・連帯の闘いが取り組まれている。
 さらに映像は、行政による野宿者労働者排除、外国人労働者に対する強制送還攻撃の拡大に対して、行政闘争を進めながら、人権破壊を許さない戦線を拡大している姿を映しだした。

社会運動として
の広がりが必要

 主催者あいさつが山谷労働者福祉会館活動委のなすびさんから行われ、「実行委は、第三回世界社会フォーラムで『声なき者の第一回世界会議』が行われ、世界統一行動が呼びかけられ、日本でもデモを行ったことを出発にしている(二〇〇〇年十一月)。以降、新自由主義的グローバリゼーションの競争社会の中で様々な権利剥奪に抗議し、国際連帯なども取り組んできた。フランスNO│VOXの仲間たちは、うつぼ公園の弾圧に抗議してくれた。『持たざる者』の交流と論議を深めていきたい」と述べた。
 DAL(住宅への権利)の中心メンバーであるブノワット・ビューローさんは、「フランスにおける『持たざる者』の闘い」というテーマから取り組みの経緯、成果と課題について報告した。
 「ホームレスのために行政当局が空家を接収して入居させるという法律があるが、まともに対応していないため自ら空家を占拠する取り組みをしてきた。一九九三年、コティ通りの空家を初めて占拠した。排除されたが、多くの支援と支持があって低家賃の住居に入ることができた。裁判所も人権問題としてそれを支持した。このような運動には、在留資格がない外国人、とりわけ映像を見てわかるように女性や子どもたちの多くが参加している。このところが日本との違いだと思った」と指摘した。
 さらに、「日本と同じ点は、こういう運動は非常にきついものであり、長く継続的に取り組まなければならいことだ。暴力的排除という結果に終わる場合もあるが、ただ社会的運動として有効性を持っている。いかに人々を持続的に動員し、広い支持を得ていくかということは、共通した課題だ。運動の違い、国境を超えて取り組んでいかなければならない」と発言した。

反権力にもとづ
く連帯社会へ

 フランスNO│VOXに参加している「是が非でも抵抗」集団のミゲル・ベナサヤグさん(哲学者・精神分析学者。『反権力』〔ぱる出版〕)は、「持たざる者」の抵抗と連帯│その意味するもの」という観点から問題提起した。
 「排除される者がいない社会は可能だろうか。それは不可能だ。今の時代は、次々と持たざる者を生み出しているが、この問題が最も中心的な課題だ。権力は、持たざる者たちの問題をそれぞれのテーマごとに分けて対応してきた。この分けること自体が権力の武器でもあった。ところが、すべて一つの問題であり、システムの下にある」と問題設定した。
 そのうえでミゲルさんは、「今日あるべき連帯の形は、持たざる者たちにとって別の世界、ビジョンを作るための可能性を探求し続けていくことだ。ネオリベラリズムに抗していく連帯のプログラムは、一時的な支援ではなく、反権力の概念に基づいた連帯社会の形成だ。さらに、どのような社会で生きているのかを理解する力を持つことだ。世界を理解するための連帯、過去の闘いの失敗から学び、打ち負かすのではなく共に取り組んでいこう」と呼びかけた。
 質疑討論に入り、フランスの運動の取り組みの成果と困難性について具体的に深めていった。
 最後に、日雇全協・笹島日雇労働組合から、この日、野宿労働者差別の『ホームレス大図鑑』を出版した竹書房への抗議行動の取り組みを報告した。   (Y)


シンポ・改めて共謀罪を問う
論議を深め秋の国会で廃案をかちとるために

与党が提出し
た最終修正案

 六月三十日、 東京しごとセンターで「シンポジウム 改めて共謀罪を問う」が、共謀罪法案反対NGO・NPO共同アピール、共謀罪の新設に反対する市民と表現者の集い実行委員会、共謀罪に反対するネットワークの共催で行われ、九十人が参加した。
 共謀罪新設法案は、国会内外にわたる反対運動によって継続審議に追い込まれた。しかし、与党は、六月十六日の衆院法務委員会で継続審議を確認しつつ、最終案を提出した。修正案は、以下のような内容となっている。
 @「組織的な犯罪の共謀罪」の対象犯罪については、従来通り「長期四年」とするが、「過失犯」「陰謀・共謀罪」など二十八を除外することにする。
 A「共謀」の定義をさらに明確にするために「具体的な謀議を行い共謀した者」と改める。「目配せ」だけでは、条文上も共謀にあたらないことを明確にする。
 B「組織的な犯罪の共謀罪」の処罰条件として「実行に必要な準備、その他の行為」を加えて、この行為がない限り「逮捕・拘留」が出来なくなるようにした。
 C自首減免について、「共謀を行った者が実行着手の前に自首した場合に刑を必要的に軽減又は免除する」を削除し、「情状により刑を免除する」と規定を改める。
 D「組織的な犯罪の共謀罪」を犯した者が、その犯罪を実行した場合には、実行犯罪によって処罰され、二重処罰にはならないことを明確にする。
 E「懲役・禁固五年以下」の犯罪については「当分の間、特に慎重適用されなければならない」と付則に明記する││という骨子だ。
 いずれにしても共謀罪新設法案の未遂を罰するという根本性格はそのままだ。与党と法務省官僚は、秋の臨時国会でなにがなんでも法案成立をめざして、法務委員会の最終日に駆け込みで最終修正案を出したのである。
 シンポは、このような与党らの意図を見抜き、これまでの反対運動を振り返り、あらためて共謀罪の問題点を浮き彫りにして、秋の法案成立阻止運動の前進にむけて議論が行われた。

反対運動の成
果と問題点は

  司会の森原秀樹さん(反差別国際運動日本委員会)は、「共謀罪の廃案を掲げて、三団体のネットワークがそれぞれ運動展開を行ってきた。運動の広がりの結果として、今日は共催という形でシンポを開催することになった。予想される臨時国会での闘いにむけて、改めて共謀罪の廃案にむけて議論していこう」と開催挨拶した。
  足立昌勝さん(関東学院大学教授)から基調提起が行われ、@国会審議の経過A共謀罪で浮かび上がってきた論点(「対象とされる団体の定義」「共謀の概念と適用の限定化」)B今後の課題と切り開くべき展望について述べたうえで、「昨日のブッシュと小泉会談でものすごい宣言を出した。戦争に加担したから小泉は誉められた。共に戦争をしていくためには、改憲が必要なのだ。同時に、反対勢力への抑制機能をはたらかせるために共謀罪がなくてはならないのだ。六月を上回る力で十月の闘いを準備していこう」と強調した。
 シンポジウムは、寺中誠さん(アムネスティ・インターナショナル日本)がコーディネータをつとめ、海渡雄一さん(弁護士)、 旗手明さん(自由人権協会)、小倉利丸さん(富山大学教員)、 櫛渕万里さん(ピースボート)が、それぞれのポジションから共謀罪をめぐる状況、反対運動の評価と問題点、今後の方向性について次々と発言していった。

海渡│小倉論
議を深めよう

 討論の軸は、海渡さんの「共謀罪なしで国連条約を批准することは可能である」「わが国の刑法体系のもとにも、数々の組織犯罪対策の立法が存在している(共謀罪、陰謀罪、予備罪、準備罪の五十七の主要重大犯罪について、未遂よりも前に処罰できることになっている)。これらの多くについては、弁護士会や市民団体が反対してきた経過がある。しかし、いま、新たな共謀罪の新設を阻止するため、これらの措置で『もう十分だ』という意味で、これらの立法を援用することは、許される主張であろう」という問題提起だった。
 小倉さんは、「市民運動の立場から言えば、そもそも越境組織犯罪条約に批准する必要はない。民主党の修正案のように、より忠実に限定的に解釈して、越境的な組織犯罪に限って共謀罪を導入するという考え方は、在日や移住労働者のコミュニティ、彼等の支援グループなどが専ら共謀罪の容疑で捜査対象となる。原案であれ修正案であれ、共謀罪は、日本社会の中でマージナルな存在を余儀なくされている人々をますます排除し、警察や法執行機関による監視を正当化することになる。廃案しかないという主張を続けてきたことによって、現在の局面がある」と発言した。
 海渡・小倉論議は、秋の運動方針を構想していくうえで、国連条約の批准と国内法整備の問題の論議を深めていく必要がある。シンポでは、継続して論議だが、基本原則である「廃案」をあらためて確認した。
 盗聴法(組織的犯罪対策法)に反対する市民連絡会、国民救援会、移住労働者と連帯する全国ネットワーク、反住基ネット連絡会、グリンピース・ジャパンから秋の闘いに向けて発言があった。      (Y)


投書

ぼくは、日本を応援しない
                     S M

 「スポーツと政治は別だ」などといって、国際スポーツ大会で日本人が日本を応援することを正当化するのは間違っている。「スポーツと政治は別だ」というならば、国際スポーツ大会でドイツ人がナチス・ドイツ(ナチス時代のドイツ)を応援することも許されるべきだったというのだろうか。
 日本人が日本を応援するのは自然なことではない。日本を応援する日本人は、マスコミ(特にテレビ局)にだまされているのだ。そのことは、「日本の試合」の中継の時に、テレビの前でテレビの音を消してみれば、良く分かる。天皇制軍国主義の旗や歌やマーク(やた烏)を支持する人びとと一緒になって日本を応援することは、日の丸・君が代(の強制)に反対して闘う人びとへの裏切り行為だ。愛国心(の強制)に反対して闘う人びとへの裏切り行為だ。ぼくは、そう考える。「国家による愛国主義の押し付け」にも「マスコミによる愛国主義の押し付け」にも、両方とも、ぼくは反対だ。
 ぼくの間違いでなければ、他のすべての新聞がサッカーのワールドカップ(反動的で腐敗したスポーツの祭典)を支持するか黙認するかしている中で、『かけはし』だけがサッカーのワールドカップを大きく批判している。読者として、ぼくは、そのことを誇りに思っている。(2006年6月20日)


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