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チェルノブイリ原発事故20年シンポジウム         かけはし2006.5.1号

被害はいまも広がっている悲劇を記憶しつづけよう

なにが起きたか、なにが続いているのか
がん患者が急増、放射能の影響を過小評価するIAEAの報告

あらためてその
意味を問い直す

 四月十六日、国立オリンピック記念青少年総合センターで「チェルノブイリ原発事故20年シンポジウム―なにが起きたか、なにが続いているのか」がシンポ実行委の主催で行われ、四百五十人が参加した。
 最初に実行委代表の和田あき子さんは「この事故が被災者一人ひとりの運命にもたらした深刻な影響に視線を据えて、原発事故のリスクを考えてきた。事故を知らない若い世代にもこのことを伝えたい。脱原発の流れを逆転させようとする動きが国の内外で起こっている。今こそ、あらためてチェルノブイリ事故の意味を考えたい」とあいさつした。続いて、駐日ウクライナ大使が日本民衆の支援に感謝するあいさつをした。
 次に、当時八歳で、事故の日を覚えているというオクサーナ・ステパニュックさんがバンドゥーラ演奏と歌のミニコンサート「チェルノブイリへの想い」を披露した。ステパニュックさんはチェルノブイリへの想いを透き通るような高い声で歌い上げ、会場の人々の心に深い感動を与えた。

若い世代に知ら
せ支援の継続を

 続いて、ユーリ・シチェルバクさんが「チェルノブイリの遺産:21世紀へ向けて」と題して講演を行った(別掲)。シチェルバクさんは、ウクライナ出身の医師で小説「チェルノブイリからの証言」を出版し、チェルノブイリ事故やセミパラチンスク、ウラルでの核惨事の問題をソ連邦議会で初めて取り上げ、事故の責任を追及した。ウクライナ独立後は、駐米大使などを勤め、現在はウクライナ最高会議国際問題顧問を勤めている。
 講演の後、今中哲二さん(原子力工学、京大原子炉実験所助手)、振津かつみさん(医師、チェルノブイリ救援・関西)、広河隆一さん(フォトジャーナリスト、チェルノブイリ子ども基金顧問)によるシンポジウムが行われた。
 今中さんは、「多くの専門家が『科学的に明らかではない』という言い方で、事実がなかったかのように言ってきた。むしろ、明らかにできるのは災厄のほんの一部でしかない、と考えるべきで、ハッキリしない部分を切り捨てるべきでない。予防原則が重要だ」と訴えた。
 振津さんは「IAEAは評価してこなかったが、長年にわたり少しずつ被曝し続けている。甲状腺がんの進行が速い。事故処理作業者の白血病の増加など全体的に健康が悪化している。地域経済が成り立たない悪循環のなかで貧困が起きている。チェルノブイリ周辺だけではなく、遠くのスウェーデンでも被害が続いている。被害もグローバルなのだ。核被害のない社会を未来につなぐためにも若い世代がチェルノブイリを知って、支援を継続しよう」と提起した。

幕引きをはかる
IAEAを批判

 広河さんは次のように語った。「チェルノブイリに何回も行っている。四十代のガイドを勤めてくれたリマさんが脳腫瘍で亡くなった。日本のマスコミは二十周年で一斉に報道しているが、原子力エネルギーをどのように使っていくのかを前提にして、『人が住まないから動物保護区にする』などとチェルノブイリ事故を報道している。汚染地があることを隠すのは虐殺と同じ犯罪ではないのか」。
 「一九八九年、IAEAによって広島の放射能影響研究所・重松逸造を委員長とする『国際チェルノブイリプロジェクト』が作られ、一年間の調査を行った。その調査報告は『汚染にともなう健康影響は住民には認められない。もっとも悪いのは放射能を怖がる精神的ストレスである』とする許しがたいものであった。重松という人物は国や企業の側に立って、イタイイタイ病など公害を否定する調査結果を相次いで出していた。ヒバクという重い『権威』を使って、チェルノブイリの幕引きをはかったのだ。それはいまも続いている」。広河さんは原発推進派であるIAEAを厳しく批判した。

逆流を押し戻し
脱原発へ進もう

 主催の和田さんは「チェルノブイリ事故から十年間は脱原発が世界に広がったが、二十年目の今は推進になっている。日本は三十二基から五十五基に増大し、世界では四百基になっている。インド、中国ではどんどん原発を作っているし、アメリカも再開を始めた。チェルノブイリ事故を風化させてはならない」と結んだ。
 プログラム終了後にビデオ「ザ・サクリファイス(犠牲)」が上映された。チェルノブイリ事故後に、爆発を防ぐために作業をした男性の被曝の姿を描いたものだ。十年後に体がふらつき、動けなくなってしまった。そして臓器が崩壊していった。本人の「自分がなぜ、こんな目に合わなければならないのか、だれも援助してくれない」と悲嘆にくれる証言が映し出される。「最後は骨が突き出てきて、痛がった」と妻が証言した。事故後に生まれた二人の子どもたちに障がいが遺伝された。余りにも痛ましい告発の映像であった。       (M)

シチェルバクさんの講演から
五百万人が汚染地に深刻な疾患と障がい


 チェルノブイリ事故の結果、広島に投下された原爆の二百七十倍にもあたる放射能が放出された。過去のことだと忘れさせようという圧力があるが、歴史学者にゆずり渡すことはできない。初めて事故現場に入った時、そこは戦争の作戦現場のようだった。1〜3号炉も爆発の可能性があり、百四十キロ離れた三百万人のキエフの人々全員を疎開させるという動きがあった。何百万人もの生活を破壊した。
 いま放射能汚染地に五百万人が生活している。疎開した人の健康状態は時間が経つにつれて問題が増える一方だ。事故後に処理作業に参加した人の二十九万千人で病気を持っていない人は一九八八年では七〇%だったのに、現在では七・四%に落ちている。汚染地から移住して来た百五十万人と事故処理に関わった人びとの子どもはあわせて三十万人になる。その子どもたちに甲状腺がんがウクライナで八〜十倍、ベラルーシで二十倍に増えている。
 小児科では骨の異常、発育不全が顕著だ。免疫低下、血管硬化症、白内障や火傷など深刻な疾患が二千人もいる。身体に障がいを負って労働できない人がウクライナだけで十万二千人いる。
 犠牲者の数についてはいくつかの論争がある。昨年IAEAなどがチェルノブイリフォーラムを行ったが、事故後とこれからを合わせて四千人くらいとしている。ウクライナ政府は一万七千人が亡くなったことを認めている。ウクライナのNGOは三〜四万人としている。ウクライナのグリーン党はこれらよりはるかに多い数を発表している。
 ソ連の独裁的あり方による安全神話によって、事故が秘密にされウソが流された。民主主義と自由が重要だ。チェルノブイリ事故は、核戦争が宣言されなくとも、核災害によって地域や国が丸ごと消滅してしまうモデルとなった。チェルノブイリは終わっていない。この教訓をどのように生かすのかが問われている。チェルノブイリを忘れるな。
(文責編集部)


止めよう静岡空港建設
5・13集会と5・31収用委公開審理に大結集を!

 五月三十一日、「大赤字必至・税金の無駄遣い・環境破壊」の静岡空港建設に向けて第一回土地収用委員会公開審理が開催される。(水、午前十時/グランシップ大ホール/JR東静岡駅南口下車三分)。静岡県による一貫した住民無視、資本・ゼネコンのための事業推進を糾弾し、「もう空港はいらない!」を合言葉に、土地収用裁決申請却下運動に連帯、支援していこう。
 県は、事業認定を申請(二〇〇四年)、用地の強制測量を強行し、反対地権者・共有地権者、トラストの立木所有者に対する強制収用を申請を強行した。このような暴挙に対して空港はいらない静岡県民の会は、第十一回総会(二月)で「土地収用攻撃といかに闘うか」をメインテーマに論議し、「世論を味方に抵抗拠点を築こう! 県収用委員会審理を徹底追及しよう!」のスローガンを押し出していくと同時に、具体的な課題として@事業認定取消訴訟を徹底的に準備して闘うことA不当、違法の土地・物件調書に反論し、県収用委員会を徹底的に追及することB強制代執行を見据えて、抵抗拠点構築を計画し、共同作業を実現することC県内外、各分野の結集(共同アピール、有識者メッセージ等)と、効果的宣伝(住民投票を含む)D県内外のネットワーク、現地動員態勢の構築E全行動、組織、準備のための財政確立F県(運営会社含む)への要請と行動などを確認した。
 さらに県民の会の闘いと連動して地権者・住民の会は、県の求める収用採決の却下をかちとるために、「土地収用裁決申請却下を実現する会」を結成(四月)し、闘う陣形を拡大しつつある。その第一歩として、「緊急アピール」を発し(別掲)、五月十三日に「『事業認定取消』と『収用採決却下』の実現をめざす5・13集会」(土/午後一時/アイセル21〈JR静岡駅〉)が行われる。5・13集会への参加を。5・31第一回土地収用委員会公開審理で徹底追及していこう。静岡空港建設を中止せよ!      (Y)

緊急アピール
公開審理にぜひ注目を
土地収用申請却下を実現する会


 去る二月十三日、静岡県は静岡空港用地の収用裁決申請を行い、三月二十日申請書類の縦覧が終了しました。縦覧期間中に、千四百名を超える権利者(土地所有者及び立木所有者)の大半が県収用委員会に意見書を提出し、県の申請には根拠がなく、手続きにおいても重大で明白な誤り(瑕疵)がある事実を述べました。五月三十一日に第一回が開催される収用委員会公開審理に向けての攻防がすでに始まっています。
 県収用委員会事務局は、収用委員会が建前の上では「中立、公正の独立した機関」であると言いながら、実際にはその役割は主として県が行う収用の対象地及び物件の補償額を評価、算定するための審理であり、県が強行する土地収用方針の可否には触れずに行政手続きを進めていくと説明しています。そうであるなら、収用委員会は県の一機関にすぎないと受け止めざるをえません。
 こうした収用委員会に対して、わたしたちがその審理に参加してたたかう理由は以下の点にあります。
 第一は、土地収用法第四七条の「却下の裁決」の規定であります。起業者の申請に重大かつ明白な瑕疵があれば、収用委員会はそれを却下しなければならないのです。わたしたちは、収用の前提である事業認定と申請に至る手続きの誤りをことごとく立証し、広く県民に伝えていきます。必ずや県民世論はわたしたちを支持するにちがいありません。
 第二は、この空港建設は事業計画の著しい変更が現在も続いている事実であります。審理において、計画変更とそうせざるをえない理由を明らかにしなければなりません。県には重大な説明責任があります。もし説明要求に応えないのであれば、まさに行政の責任放棄であり、県民から強く糾弾されることは疑いありません。
 収用採決を阻む最大の源泉は世論の支持にあります。わたしたちはこの世論に依拠しながら収用委員会公開審理に臨み、県民の血税を浪費する空港に土地収用の理由はないことを強く主張し、立証していきます。
 県民のみなさん、収用委員会審理に大きな関心を寄せてくださり、静岡県の理不尽極まる強権発動・土地収用攻撃をはねかえすまで、物心両面にわたるご支援とご協力をいただく、心からお願いいたします。

   二〇〇六年四月十日


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