| 岩国 この勝利を全国に拡げよう かけはし2006.3.27号 |
闘いはこれからが本番だ
有権者の過半数が反対の意志「米軍再編」強行に痛烈な反撃 |
【広島】三月十二日、岩国市が実施した「米空母艦載機の岩国基地への移駐案受け入れの賛否を問う住民投票」の結果は、投票率五〇%を超えて(58・68%、男性55・27%、女性61・73%)成立した。そのうち反対が八七・四%、賛成が一〇・八%であった。四万三千四百三十三票という圧倒的多数が受け入れ反対の意思を示した。この数は全有権者と在日外国人投票有資格者の計八万四千六百五十九人の五一・三〇%に達し、絶対過半数を超えるものである。岩国市民は明確に、米・日政府に対して反対の意思表示をした。
戦後六十年間、一部の闘う市民を別とすれば、米軍基地を許容してきたのが岩国住民の多数だ。今回の住民投票結果も基地そのものへの拒否感ではない。基地沖合移設工事が引き寄せてしまった現実、すなわち旧施設の返還はなく「拡張」という騙しの事実=米軍増強に対する強烈な違和感の表明である。沖縄・神奈川の抵抗闘争に連なる、米軍再編に抗する貴重な運動が実った。闘いの本番はいよいよこれからだ。投票成立│勝利までの経緯を振り返って報告する。
岩国市住民投票
実現への流れ
岩国市議会は昨年六月、全会一致で「今以上の基地機能の強化は容認できない」という決議を上げた。自治会の連合体である組織が上からおろした厚木からの艦載機部隊移転反対署名は短期間に六万人を超えた。井原勝介岩国市長は、中央へ頻繁に足を運び、早期の情報提供と移駐計画案反対を訴えた。しかし、政府は十月二十九日地元に一方的に米軍再編中間報告を突きつけた。厚木の艦載機五十七機(要員1600人)が配備されれば、それまでの戦闘攻撃機や電子戦機、輸送ヘリと合わせて、総計百三十機体制となり極東最大級の内容になる。井原市長は白紙撤回を求め、ぶれなかったが、一月下旬、市議会議長や商工会議所一部が条件闘争に移るよう圧力をかけた。
三月十九日の市長失職、三月二十日の周辺八市町村による合併、三月下旬の米軍再編「最終報告」、そして四月の新市長を決める選挙。完全に追いつめられた、市民目線を重んじる保守的市民派(経歴は労働省官僚上がり)井原市長は大きな賭けに出た。二年前に自らが成立させた住民投票条例に基づいて、住民投票を実施する市長発議を二月七日に行った。
投票率50%突破
がすべてのカギ
「岩国にも沖縄にもどこにも基地はいらない」との原則的立場の大川清牧師と田村順玄市議(革新無所属)は、この住民投票という好機を全力で活かすことを決めた。二月三日沖縄で「日米軍事再編・基地強化と闘う全国連絡会」が結成したおり、その決意を固めた。二月七日、信頼できる仲間と共に「住民投票を成功させる会」を結成した。ピースリンク広島・呉・岩国をはじめ広島で全面的に下支えした。保守的な岩国の政治風土と情勢展望から、投票率五〇%を超え、住民投票が成立しさえすれば、自ずと反対の民意は示される、すなわち投票率五〇%がすべての攻防の環であるとさだめた。
徳島の姫野雅義さん、沖縄の高里鈴代さん、安次富浩さんを始めとして全国からいろんな人が駆けつけてくれた。住民投票を成功させる会は、組織がない中で五万所帯への全戸ビラ入れを県外の市民運動含めて何とかやりきった。
みんなで描こう
平和の人文字
そして、告示日の三月五日午後、錦帯橋河川敷で開催された「3・12住民投票を成功させる岩国市民集会 みんなで描こう平和の人文字」を主催した。予想を超える千五百人の結集で弾みがついた。井原市長は集会開始前に集会参加者へあいさつをした。平和フォーラム三百人と「移転受け入れ反対に○をする会」(共産党系)二百人、岩国市民と広島・呉・福山、北九州・山口、岡山、神戸・大阪、四国、名古屋の運動体で千人というバランスのいい構成であった。
地元岩国出身で、『世界』4月号に前原執行部に対する対案=「民主党が目指すべき安全保障」を発表した平岡秀夫衆議院議員、社民党党首の福島瑞穂参議院議員、辻元清美衆議院議員、厚木基地爆音防止期成同盟のメンバーらが岩国市民を激励した。紹介されたのは、栗原君子新社会党委員長と神戸の仲間、矢山有作元衆議院議員と岡山の仲間、岩国基地拡張・強化に反対する広島県西部住民の会。スピーチだけでなく、よさこいを踊った岩国いいとも隊の皆さん、地元のソプラノ歌手・赤川優子さん、憲法9条を歌詞にしている「さよなら戦争」を感動的に歌い上げた早苗ネネさん、大川さんの息子さん、男性保育士バンド、着ぐるみのパンダと出演者も多士済々で、硬軟織り交ぜたよい集会であった。
また、沖縄県民総決起大会との電話でのライブ中継もあり岩国だけの問題ではないとのスタンスが見事に演出されていた。ピースマークと「3・12GO!」を描ききった人文字パフォーマンスはその日のうちに、地元はもとより沖縄県民総決起集会の報道と共に全国に発信された。
投票日前日の
市民集会が成功
この集会の成功が「岩国への空母艦載機部隊とNLP(夜間離着陸訓練)移転反対の市民の会」(市長応援団として、騒音問題にのみ絞り基地撤去派とは一線を画していた)が歩み寄ってくる雰囲気を作り出したのだ。それまでバラバラに取り組んでいた、成功させる会と○をする会と移転反対の市民の会の三者でやっと投票日前日、「住民投票を成功させよう! 岩国市民の集い」が五百人で開催された。騒音直下の川下地区の自治会連合会長の土肥康久さんが開会あいさつをして、広島県西部の抵抗拠点、廿日市市の山下三郎市長(被爆者)が基調的な発言をした。
危機感つのら
せる小泉政権
政府は投票率が五〇%に届かず、開票されない結果を想定していたはずだ。期日前の投票率のよさから危機感を募らせていたが、住民投票にケチをつけるしかできなかった。安倍晋三は岩国市入りしたもののマイクを握ることはできなかった。四月二十三日、新岩国市の市長選挙の投開票が行われる。井原氏と自民党の一騎打ちになる。基地のある住民としては、もっともおとなしいと言われてきた保守的な岩国市民の今回の貴重な意思表示を梃子に、米軍再編に対する闘いの飛躍的発展をかちとろう。(K)
辺野古・平澤・東京を結ぶ行動
韓国にも沖縄にも日本にも米軍基地はいらない
土地強制収用に
対決する平澤住民
三月十一日、上野水上音楽堂で「辺野古・平澤・東京を結ぶ3・11行動」が3・11実行委員会の主催で開かれた。第一部が辺野古・平澤・東京のアピールとデモ、第二部が知念良吉バンド、朴保(パクポー)、ヨッシー&ジュゴンの家などによるコンサートであった。
司会の太田武二さん(命どぅ宝)が、「三月五日の沖縄の県民大会に三万五千人が集まり、辺野古への新基地移設反対・米軍基地撤去を表明した。これは自分自身で沖縄のあり方を決めていこうとする強い意思の現われだ。なんとしても米軍再編の日米合意をつぶしていこう」と訴えた。
金城祐治さん(「命を守る会」代表の「……この沖縄の闘いは基地を抱える各市町村と沖縄をつなぎ、初めて連帯する全国規模での集会が行われました。このことは新たな運動を芽生えさせることが出来たと確信しております。私たち命を守る会は全国民が希求する未来永劫の平和を皆様と共に築いていきたい。共に作っていきましょう! 日米が進めようとする戦争政策・再軍備(再編成)をぜひとも止めていきましょう!!」という連帯メッセージがひろうされた。
韓国の米軍基地・平澤の拡張に反対して闘っている韓国の人を呼ぶ予定であったが、拡張のための強制収用攻撃が強まっているので参加できないことが司会から報告された、代わりに日韓ネットの加藤正姫さんが平澤の闘いの報告を行った。
「ソウルの近くにある米軍基地を撤去し、平澤に統合しようとしている。この地域は良いコメが採れる田園地帯だ。ここを強制収用して埋め立て、基地拡張をしようとしている。良いニュースがある。それは基地拡張予定地に文化財が発掘され、本来なら工事を延期させなければならない。さらに、天然記念物の鳥も見つかり、保護しなければならない」。
「悪いニュースは昨年末に土地収用委員会が田んぼの収用を決定したことだ。そして測量をめぐって争いが始まった。住民の激しい反対にあい、土地公社は測量ができず、航空写真に切り替えざるをえなかった。住民は田んぼに稲を植えようとしている。これに対して土地公社と国防省は三月六日から、田んぼの周りにフェンスを作りこれを阻止しようした。反対住民は鉄柵にチェーンを巻いて抵抗し、激しいもみあいになっている。夜にはロウソクデモを行っている」。
六ケ所村再処理
工場稼動許すな
加藤さんの報告の後、平澤で闘う韓国の仲間の「平澤での闘いは五百五十六日になる。米軍基地のない社会を、命をかけて闘いましょう」という連帯のメッセージが読み上げられた。
平和フォーラムの井上年弘さんが「米軍再編は日本全国の米軍・自衛隊基地の強化である。これに反対して平和フォーラムは沖縄をはじめ岩国や米軍座間キャンプ前で座り込み、デモを行っている」。
「二〇〇八年に、米軍は横須賀に原子力空母の配備を決定した。このことは敦賀原発と同じ規模の原発が東京湾に浮かぶことになるのだ。それもいつ『敵』に攻撃されかわからない空母だ。一方、青森県六ケ所村の再処理工場でプルトニウムを取り出すアクティブ試験が三月末から四月にかけて行われようとしている。もしこれが行われれば四トンものプルトニウムができる。試験中止を求めて三月二十七日から三十一日まで経産省前で座り込みを行う。四月九日に青森現地で全国集会を開く」と訴えた。井上さんは米軍再編強化と同時に進められている再処理工場の稼動に反対する運動への参加を呼びかけた。
続いて、WORLD PEACE NOWの須黒さんが、イラクからの自衛隊と米軍の撤退を求める3・18集会への参加を訴えた。最後に糸数慶子さん(参議院議員、沖縄社大党副委員長)から連帯のメッセージが代読され、上野を一周するデモを行った。 (M)
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