もどる

韓国はいま、急造された民主労総補欠選挙         かけはし2006.2.20号

民主労組運動の革新と階級的復元の課題とは何か

 2005年、激動の1年を送った民主労総は06年2月10日に代議員大会で非対委(非常対策委員会)の体制と体系を打ち切り、補欠執行部を選出することを決定した。社会的交渉路線をめぐる内部闘争、カン・スンギュ不正事件や執行部総辞職、非正規職改悪立法阻止闘争などの過程を通じて、内外で総体的危機に直面していた民主労組運動は闘争と革新の課題を同時に提起されていた。
 イ・スホ執行部の辞職以後に構成された非対委体制は、12月のゼネストを通して非正規職改悪立法阻止闘争を力強く展開し、私学法通過に対する抗議した野党ハンナラ党の場外闘争という突発的変数によって非正規職改悪立法が留保されつつ、新年を迎えた。
 だが1月11日の民主労総中央委員会で2月10日の執行部補欠選挙が決定されたことによって、民主労総は急激に選挙の局面へと転換した。
 闘争や革新の過程についてのキチンとした実践や、これについての厳密な評価もなしに、いきなり選挙体制に突入することによって、はたして不正を生み出した体質や事態が発覚した時の指導力の危機として表れた民主労総の組織的危機が、今回の補欠選挙を通じて解決され得るのか、深刻な疑問を呈さざるをえない状況となった。

構造的限界を持った非対委

 昨年10月の執行部総辞職という、かつて例を見ない事態を通して発足した非対委は、非常指導部として闘争と革新の課題を抱えていた。だが結論的に言えば非対委は闘争と革新という2大課題をキチンと遂行できない危機管理型の実務的指導部の役割にとどまった。その結果、それなりに非正規職改悪立法阻止のための下半期闘争に集中したものの、下からの職場のエネルギーを創出できず12月ストは事実上、失敗した。
 危機管理体制としての非対委は構造的限界を持たざるをえなかった。委員長、事務総長など執行部が「総辞職」したとは言うものの、非対委の構成は実際のところ委員長や一部の役員を除けば前執行部と同一の延長線上に立っていた。下半期の局面で非対委は形式上、闘争指導部の形態を取りはしたものの、その指導力や執行力は初めから限界を持っていた。
 特に(本部の実務常勤者)15人の辞職者に対する措置はイ・スホ執行部の宗派主義を克明に見せつける問題だったけれども、非対委はこの問題をキチンと処理できなかった。
 そして、不正一掃や革新を対内外的に宣言したにもかかわらず、内部的で提起されていた27件の不正問題もキチンと処理できず、民主労総の組織的革新のための具体的計画を提出することも執行することもできず、またこのための大衆的運動を組織することもできなかった。
 その上、1月の中央委ではまるで追い立てられるかのように補欠選挙の日程を確定することによって非対委の役割は事実上、終結し、闘争と革新の課題は今回の選挙と補欠執行部の領分へと繰り延ばすこととなった。結局、非対委は組織内外の情勢の厳しさや内部秩序の構造的限界によって、政治的指導力を発揮できなかった管理指導部として評価されるだろう。

補欠選挙は組織の形式論理

 非正規職改悪立法阻止闘争の局面が国会の空転によって引き延ばされると、民主労総中央委は2月の定期大会で執行部補欠選挙を実施することに決定した。これは多分に組織形式的論理に従った性急な決定だった。現局面で全組織的レベルで2月闘争を準備すると言うよりは、選挙日程を通じて残任期間10カ月ばかりの補欠指導部選出へと旋回したのだ。
 これは依然として民主労総が最上層部で作動している政派の論理から自由ではありえないことを示している。政派を超えた階級的団結を訴える声は高まったものの、現実的には非正規職改悪立法阻止闘争や労使関係ロード・マップ闘争に備える当面の闘争課題よりは、補欠指導部選出という組織的手続きが優先視されたのだ。
 今回の民主労総補欠選挙は大衆的に確認された闘争や革新の課題を無視したまま、組織の形式論理にもたれた宗派主義の勝利だ。一切の問題は、だれが権力を握っているのかの問題に還元されているのだ。

3派選の構図が形成された

 1月20日の立候補締め切りの結果、補欠選挙は3派選の構図が確定した。記号1番イ・ジョンフン―イ・ヘグワン陣営、記番2番チョ・ジュノ―キム・テイル陣営、記号3番キム・チャングム―イ・ギョンス陣営が執行部補欠選挙に名乗りを上げた。前執行部の系列である全国会議・労連の連合候補、「新しい流れ」の候補、現闘団候補の間の3派選の構図が形成されたことにより、革新が核心的テーマである今回の選挙で、現在の多分に歪曲された政派的構図が再生産されたのだ。特に汎左派の分裂によって選挙戦の構図が相当程度、撹乱されざるをえない状況だ。
 選挙戦に突入した以上、すべてのことが選挙の論理によって裁断されざるをえない。闘争と革新の実践的課題もまた、選挙公約のレベルに還元されている。また切迫した選挙日程は事前に充分に準備された公約や政策についての充分な大衆的討論や意志疎通の機会を根本から、はく奪した。このような構造や構図の下で、すべての候補が革新や闘争を叫んでいるものの、それが民主労組運動の真の革新や階級性の復元へと結びついていくとは言いがたいようだ。

改革の公約を乱発する傾向

 記号1番イ・ジョンフン、イ・ヘグワン組は民主労組内部の諸政派に対する強力な批判を展開している。彼らは「社会的合意主義賛成、反対式の交渉形態論争を超えて、資本主義に対決する抵抗運動としての労働運動の伝統の復元」を旗じるしとして掲げている。1番陣営は核心的にはb革新なき連中の上層野合の審判b韓国労総と民主労総の統合反対b全国連帯闘争に基づいた産別労組の建設b労働者階級の政治ゼネストの組織などを基調として提出している。
 だが彼らは基本的に社会的合意主義反対闘争やイ・スホ執行部退陣闘争において一貫して両非論の観点を堅持した。言葉では、大衆が参加する地域連帯闘争、先導闘争でも大衆闘争でもないいかがわしい指導部闘争の止揚、主要闘争事案に対する組合員による直接投票の導入、運動の原則に反する組織に対する断固たる規律の適用、上層の官僚化を阻むために役員の任期を2年に短縮、上層役員の再選制限制の導入などの改革の公約を乱発している。
 また、イ・スホ執行部の「世の中を変える・闘争」を批判しつつ、「民主労総が主導的に政治ゼネストを決議し、民主労働党とともに堂々と06〜18年へとつらなる政治の激変期に民衆抗争を推進」しなければならない、と主張する。だが彼らは基本的に社会的合意主義反対闘争や主要な闘争の事案を民主労組運動の政治的志向や原則の問題とは考えず、戦術的問題に還元する態度と立場を繰り返してきた。
 特に民主労総内の他の政派を批判し、これらの間のすべての連帯を上層連中の野合だと罵倒するけれども、自らはもう1つの政派にとどまっている。今回の選挙で汎左派連合の提案を拒否し独自候補として出馬したこともまた、相当の政派的利害にそった政治的決定だった。

前執行部体質を引き継ぐ傾向


 記号2番チョ・ジュノ、キム・テイル陣営は中途辞職した指導部の「世の中を変える闘争」を継承する、との基調を維持している。彼らはb世の中を変える闘争b果敢な組織革新b非正規職の組織化事業b産別労組の建設b政策研究機能の強化および100人教育委員会の設置b女性委員会の強化b反世界化、反帝国主義国際連帯の強化b地方自治体選挙の勝利、民主労働党の強化戦略b6・15(南北)共同宣言の履行と反米反戦闘争b進歩運動陣営の総連合体建設など10大公約を提出した。
 だが彼らはカン・スンギュ不正問題を個人の不正に切り縮め、イ・スホ執行部の辞職によってすべての状況は終結したものと見なしている。不正事件や民主労総の危機に体する集団的、組織的反省はなしに、数的多数の論理によって事態に対応してきたのであり事実上、非対委がキチンと革新の課題に集中するよりは、選挙の局面に転換するように実力行使をした。
 彼らの陣営の実体は出馬過程のエピソードに赤裸々に表れた。「4期(イ・スホ執行部のこと)の名誉回復」を云々して出馬を強行しようとしていたイ・ソッケン前事務総長、「4期の代表性」を口実に副委員長候補に登録した後、取り消したシン・スンチョル副委員長などの理解しがたい突発的行動は、全国会議や労連に代表される民主労総右派の政派の論理がどれほど根深く、また彼らが道徳的にどれほどマヒしているかを端的に物語っているケースだ。
 彼らは基本的に、一切の事案を政派的に解釈し、その政派的利害関係に従って民主労総を動かしている。今回の早期選挙もまた彼らの作品であり、組織革新の問題をただただ人的刷新や規律委員会および倫理宣言など、形式的、官僚的枠組みの整備という水準に格下げしている。事実上、彼らの大げさな公約は補欠執行部の短い任期中には到底、実行不可能な内容で満ち満ちている。そしてさらに、今回の選挙を通じて強力に提起されている直選制の問題は選挙制度改善のレベル問題として回避している。

組織民主主義を掲げる傾向


 記号3番キム・チャングム、イ・ギョンス候補は昨年11〜12月の下半期闘争に結集していた非正規職現場闘争団の成果を集め、「革新と闘争そして階級的労働運動強化のための選挙運動の会」の提案を通じて出馬を表明した。組織革新の課題としての執行部直選制、代議員大会の機能強化、組織内不正の公開および規律委員会の革新など、強力な革新の措置を主張している。
 厳しい情勢の中で強力な闘争指導部、キチンと革新する指導部、選挙期間からゼネスト闘争を準備する指導部を通じて当面する政府や資本の攻勢、民主労組運動の危機を突破しようとする決意を明らかにしている。彼らは選挙運動が直ちに闘争の過程であることを強調しつつ、代議員および単位労組代表者たちの団結署名運動を展開している。

2月闘争を指導できる選挙を


 今回の補欠選挙は切迫した日程や情勢的不安定性などの要因のゆえに、構造的に限界を持たざるをえない。また歪められた競選の構図は民主労組運動の革新や闘争を通した労働運動の危機突破という緊急な課題を完遂させがたくしている。
 はたして革新の課題はキチンと遂行していくことのできる指導部を選出できるかどうかは依然として疑問として残っている。特に最小限の反省や自粛の態度もなしに権力競争に飛び込んだ候補たちの場合、民主労総のアイデンティティーや自浄能力についての疑問を増幅させている。
 だが選挙日程は決定されており、現情勢は民主労総の選挙を中心に進められざるをえない。すべての候補が革新を叫んではいるものの、山積みした革新の課題はもっともらしい公約の乱発によっては解決され得ず、実践によって裏打ちされなければならない。組合員大衆の力によって保障されない革新は、たんなる口頭戦であり、もう1つの空約束に終わり、構造化している労働運動の危機は一層悪化するだろう。
 今回の選挙を通じて民主労組運動の階級的復元のための激烈な内部闘争が展開され、この過程で労働組合民主主義の原則を再確認しなければならない。
 このような意味において直選制の問題は1つの試金石となるだろう。組合員大衆を主体としてうち立て、大衆的信頼と支持の中で労働者階級全体を代表する大衆闘争の指導部を選出する制度的機能としての執行部直選制は、民主労組運動の組織的土台を強化する起爆剤として機能しなければならない。
 また、現情勢は実に厳しい。2月に予定された非正規職改悪立法案の再上程、4月に予定された労使関係ロード・マップの上程など、労働者階級全体に対する総体的攻勢に全階級的団結によって立ち向かわなければならない状況だ。
 したがって今回の民主労総の選挙は単純に残余の任期を埋める補欠執行部の選出に終わってはならない。当面の2月闘争を強力に組織できる闘争指導部を選出し、これを中心に強力な非正規職改悪阻止闘争を決意する場としなければならない。
 まさにそのような闘争と革新の指導部を選出する過程は、同時に民主労組運動の階級的強化のための闘争と革新の場へと発展することができる。よしんば歪曲された構図や構造的限界にもかかわらず、当日の選挙に参加する代議員たちだけの宴ではなく、現場の組合員すべてを主体として押し出すことのできる闘争の場とならなければならないだろう。(「労働者の力」第95号、06年1月27日付、ウォン・ヨンス編集委員長)

補欠選挙立候補名簿
b委員長―事務総長候補
記号1番:イ・ジョンフン(化学繊維連盟・韓国合繊労働組合委員長)、イ・ヘグワン(KT労働組合前副委員長)
記号2番:チョ・ジュノ(金属連盟・起亜自動車労働組合常任指導委員)、キム・ティル(公共連盟・韓国生産性本部労組委員長)
記号3番:キム・チャングム(金属労組・斗山重工業支会組合員)、イ・ギョンス(民主タクシー連盟組合員)
b一般副委員長候補
記号1番:イ・テヨン(建設連盟・京畿道建設労組指導委員)
記号2番:ユン・ヨンギュ(保健医療労組前委員長)
記号3番:ホ・ヨング(公共連盟・研究専門労組)
記号4番:チョン・ジュオク(サービス連盟・ロッテホテル労組常任顧問)
記号5番:イ・ナムシン(化繊連盟・イレンド労組指導委員)
b女性割り当て副委員長
記号1番:クォン・スジョン(金属労組・現自牙山社内下請け支会組合員)
記号2番:チン・ヨンノク(全教組対外協力室長)
記号3番:キム・ジヒ(金属労組東部支会組合員)
記号4番:チェ・ウンミン(富川・始興地区協議会議長)


もどる

Back