| 国会前で3回目のヒューマンチェーン
かけはし2006.12.18号 |
自由と権利を
うばう改悪案
安倍政権が臨時国会での最重要課題とした教育基本法改悪案をめぐる状況は、会期末を控えていよいよ緊迫の度を増している。十二月八日にも与党が参院で採決・成立に持ち込むという報道がなされたが、世論調査でも「慎重審議」を求める声は高まっている。こうした中で、十一月八日、十六日に続いて十二月六日、国会前で三度目のヒューマンチェーンが行われた。
午後四時すぎから、参院議員面会所で集会が始まった。社民党の福島みずほ党首が国会情勢を報告する。「与党は十四、十五日に委員会と本会議での採決に野党が応じることを条件に十二日に中央公聴会を入れると言ってきた。しかし四野党は臨時国会冒頭に今国会で成立させないという確認をしている。私たちは、七日、八日の採決にも十四、十五日の採決にも応じることはできない」。「現在の教基法は国家が守らなければならない義務だが、改悪案は国民が守らなければならない徳目を並べ立てている。しかし『やらせ』問題に見られるように政府にはそもそも規範意識のかけらもない。尊重すべき『伝統』の中には夫婦同姓も入っているのかと聞いたら、入っているという答弁だった。こんな言い方で国民一人一人の自由や男女平等に敵意を隠さないのが改悪案の本質だ」。
共産党の赤嶺政賢衆院議員は、沖縄弁護士会が教育基本法の改悪に反対する声明を出したことを紹介しながら、「戦前・戦中の教育の誤りを二度と繰り返してはならない」と訴えた。そして「改悪案の中身はすべてボロボロとなっており、国民の中から『改正』を求める声などない。伊吹文科相も、数値目標を立ててイジメをなくすという文部省の指導がいじめ隠しにつながったことを認めたではないか」と述べた。
アジアの平和を
作り出すために
八十九歳という高齢の太田尭東大名誉教授(日本教育学会元会長)は、都教委の「日の丸・君が代」強制と処分を「違憲・違法」とした東京地裁「予防訴訟」判決を引き合いに出しながら、都教委通達と同質の論理に貫かれている教基法改悪案も「違憲・違法」と喝破し、改悪案で奪われるのは「子どもの権利」だけではなく「国民の学習の権利」も侵害されるのだ、と強調した。太田さんは、自ら韓国の中央日報にも教基法改悪を批判する文章を寄稿して注目を集めている、と語り「教基法を守ることがアジアの平和にとっていかに重要か」と述べた。
都留文科大教授の田中さんは、「教育の目的は、あらゆる機会に、あらゆる場所において実現されなければならない。この目的を達成するためには、学問の自由を尊重し、実際生活に即し、自発的精神を尊重し、自他の敬愛と協力によって、文化の創造と発展に貢献するように努めなければならない」という教育基本法第二条の精神が完全に換骨奪胎されてしまうことの誤りが、子どもの「発達援助」のために働いている人びとの中で共有されていることを紹介し、「大人同士、大人と子ども、専門家の間での相互的敬愛と協力、子どもの自立、学問の自由を守るために改悪に反対しよう」と呼びかけた。
日本消費者連盟の富山洋子さんは、教育基本法の前文を読み上げながら「憲法を変えさせない力を養うための教育を」と主張した。日本YWCAの藤谷さん、「日の丸・君が代」訴訟弁護団に続いて発言した新潟大の世取山洋介助教授は、地方公聴会で参考人として陳述した印象を「だれも真剣に考えていない。『改正』を主張する側がなぜそれが必要なのかについて語ることができない」と語った。
廃案まで国会に
かけつけよう!
午後五時からは国会前の路上で三千五百人人がキャンドルを灯して「ヒューマンチェーン」を開始した。この日は東京だけではなく、札幌、新潟、名古屋、大阪でも「ヒューマンチェーン」が行われていることが紹介され、大きな拍手。
VAWW―NETジャパンの西野瑠美子さん、人権アクティビストの会の川田龍平さん、教科書ネットの俵義文さんなども発言した。「ニュースペーパー」の新キャラクター「安倍晋三氏」も登場し、絶妙の演技で集会を盛り上げた。若い学生も元気良くキャンパスの中での活動を報告した。
一時間半以上にわたる「ヒューマンチェーン」では、何回も国会に向けたシュプレヒコールが続き、参加者の熱気は最高潮に達した。与党側が強行成立をもくろむ会期末の十二月十四日、十五日に向けて十二月十三日には第四回目の「ヒューマンチェーン」を行うことも確認された。(K)
全国連絡会議の毎週行動に2千人
教基法改悪に向けデマを繰り返す政府・与党を糾弾
十二月五日、教育基本法の改悪を止めよう!全国連絡会は、与党による教基法改悪法案の衆院に続いて参議院での強行採決をねらった強引な審議スケジュールを許さず、成立阻止をめざして国会前抗議集会を行った。連絡会は、教基法改悪法案の審議入りと同時に毎週火曜日、連続して国会前抗議集会を打ち抜き、十回目となる。緊迫した国会状況を反映して全国から二千人以上の仲間たちが駆けつけ、創意工夫に満ちた法案成立阻止にむけた横断幕、プラカード、ゼッケン、キャンドルを掲げた。
集会は、連絡会呼びかけ人の大内裕和さんの元気なアピールから始まった。大内さんは、「臨時国会で法案成立とマスコミは与党の願望を一方的に報道している。だがこれは真実ではない。法案をめぐる世論調査では、反対の人が過半数を越えている。教基法を変えれば教育問題が解決するようなデマは通用しなくなっている。これは全国連をはじめ全国各地の反対運動によって作り出したものだ。私も国会前座り込みに参加し、法案成立阻止を闘いぬきます」と決意表明した。
小森陽一さん(連絡会呼びかけ人)は、「教育現場の問題が教基法改悪で解決しないことが日々明らかになってきている。子どもたちを苦しむ場に追い込んでしまったのは、教基法を否定する文科省の無責任な教育政策だったことも明らかになってきた。これらは私たちの運動によって作り出され、真の民主主義を実現していく取り組みでもある。日程的に追い詰められているが、運動の基本に立ち返って、さらに多くの人々によって国会を包囲していこう。明日から連続して法案反対集会が行われる。主催者が誰かと問わず、全力で参加し、一つ一つ成功させ、反対世論を広げていこう」と訴えた。
三宅晶子さん(連絡会呼びかけ人)は、「タウンミーティングは、文科省によるやらせだったことが明らかになった。公聴会といいながら反対派を排除し、支持発言だけをやらせたプロパガンダと言える。文科大臣は、ゲッベルスのような宣伝大臣となってしまった。このような文科大臣に学校、子どもをまかすことはできない。九・二一日の丸・君が代強制違憲判決は、文科省と管理職による教員に対するいじめも認定した。強者による弱者への打撃の論理に貫かれている。しかし、日の丸・君が代強制反対の闘いは、北九州ココロ裁判、九・二一東京地裁、北海道人事院裁決で勝ってきている。良心の自由について明文化され、権利を獲得してきた。この新しい地平を国会闘争において共有していきましょう。私も座り込みに参加します。法案阻止を実現しよう」と発言した。
共産党、社民党の国会議員からは、この間の法案をめぐる地方公聴会において、公述人の発言がいずれも慎重審議、拙速な採決に反対、危惧する意見が多数を占めていたことを報告し、野党が一致して法案成立阻止、やらせ・金まみれの教育改革タウンミーティング問題を徹底追及していくことを強調した。
さらに発言は、都教組、横浜市立大学の学生たち、ZAKIさんの歌、七千人の反対集会デモを行った福岡の仲間、一万人集会を行った北海道教組、街頭宣伝を続けている京都の仲間たち、大分県の仲間、12・3渋谷・原宿パレードを行ったあんころチームが報告と闘う決意表明を行った。最後に参加者全体で国会に向けて反対のシュプレヒコールを繰り返し、首相官邸前に移動して抗議行動を行った。 (Y)
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