| 国労差別の実態を証言 かけはし2006.12.4号 |
十一月十五日、東京地裁で「政府がILOヘ国鉄闘争1047名解雇問題で虚偽報告をしたことに対して、国家賠償を求めた裁判」で、溝口松男さん(九州姶良伊佐闘争団)と佐久間誠さん(北海道名寄闘争団)の原告が組合差別の事実を証言した。
こんな国家犯
罪を許せるか
溝口松男さん(九州姶良伊佐闘争団)は次のように証言した。
職場は保線―駅―機械―保線と合理化のために移った。国労への攻撃は、八二年に現場協議制が破棄され、八四年から始まった。民営化反対のワッペン、国労バッジをはずせと強要され、点呼の時、だれも意見を出すことが出来ず、一方的になった。身体洗浄も認められなくなった。「意識改革をしなければJRに行けない」と言われた。人活センターへは、国労組合員だけ二十六人が行かされ、小さな廃虚の工場で業務に関係ないことをさせられた。広域移動にはだれも応じなかった。それは家族、親などがあり、慣れ親しんだ職場から離れるのができなかったからだ。
一九八七年二月十六日、まじめに勤めていたのに、不採用になった。くやしい、腹が煮えたぎった。国労に入っているだけで首になった。家族には合わせる顔がなかった。清算事業団では長椅子があるだけの場所で、自学自習をやれと放任状態だった。当局は嫌気がさしてやめるのを待っていた。他に再就職してもよかった。八九年に小林旅行センターの研修にいった。まじめに働いたが、そこは雇用保険に入っていない、白タクを使っている、売春ツアーをやっていた。やめるように言ったが聞き入れなかったので結局やめた。三十三人の中で、二人が解雇された。
二度目の解雇で、娘は反抗期になり、家庭は積み木崩しのようになってしまった。妻は「国に逆らっても勝てない」と言い争いがたえず、別居・離婚せざるを得なくなった。家庭はめちゃくちゃになった。
一九九八年に国労がILOに提訴した。九九年に中間報告が出た。それは国の百パーセントの不当労働行為を認めるものであり、JRに戻せというものであった。それを薄めるために政府がロビー外交をやった。二〇〇〇年に最終勧告が出た。四党合意で解決しろ、不当労働行為はなかったと百八十度変わってしまった。政府が「広域異動やあっせんに応じなかったから、解雇された」とニセの情報を送り、国労の反論をさせないようにしたからだ。それは国家的犯罪だ。フランス、韓国、イギリスなどの運動団体とも連帯をつくり出してきたが虚偽の情報によって、「労働者にも問題があった」とする少なからぬ「不信感」を植え付け、連帯感が弱められた。国内的にも報道されたので、同じことが言える。
最後に言いたいことは、国労をつぶし、総評をつぶし、社会党をつぶすと言った中曽根首相は自主憲法をつくることを最終目標にしていた。いま憲法改悪・教育基本法の改悪とその道が進められている。反面、JRで人権が無視され、安全がないがしろにされることによって重大事故が多発している。国鉄分割民営化がもたらしたこうした事態を変えるために奮闘したい。
反論を放棄して
沈黙する被告側
続いて、佐久間誠さんが溝口さん同様に詳しく国労つぶしの採用差別があったことを証言した。佐久間さんは「裁判所は人権の最後の砦だ、国の行った行為を断罪し、労働者の救済をしてほしい」と最後に訴えた。傍聴者からは思わず拍手が起こった。
裁判長は、国労にも責任があったのではないか、国際連帯に影響があったというが、どのような被害があったのか、いつからILOの情報を知ったのか、などと原告に質問をしてきた。被告側はいっさい反論をしなかった。裁判は、厚労省の政治的圧力をかけた証人調べを却下し、次回で終結するとした。来年の二月十五日午前十時半から、民事710法廷。 (M)
解説
国家賠償訴訟とは
ILO2000年勧告の修正求めて
国鉄の分割民営化に際し、国労組合員などに採用差別が行われた。各地の労働委員会は救済を認め、JRに採用するように求めたがJRは履行せず、裁判での争いになった。そこで、国労は団結権の侵害としてILOに提訴、一九九九年十一月の中間報告は団結権の侵害に留意し、さらに情報提供を求めた。二〇〇〇年十一月、政府の虚偽報告(採用されなかったのは組合員に問題があったからなどとする)に基づき、団結権の侵害を認めぬ勧告を出した。この勧告が裁判へ波及し、解雇問題の解決を引き延ばし、その結果起きた家庭内の不和や子育ての苦労など精神的・肉体的苦痛に対して、国労組合員六人が起こした裁判。
この間の裁判では、当時の高橋義則国労委員長が「四党合意の時期であり、国労がILOに追加情報を出せば、政治解決が出来ないと運輸省から圧力がかかった」と証言した。国家による不当な介入と国労がそれに屈服せざるをえなかったことで、ILO勧告が出されたことが裁判で明らかになれば、勧告の修正を求めることもでき、重要な裁判となっている。 (M)
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