| 「愛国心」の押しつけを許すな かけはし2006.10.9号 |
教基法改悪にシ
フトする新政権
安倍政権は、新自由主義と国家主義が結合した教基法改悪法案を改憲の前哨戦として位置づけ、臨時国会で成立を強行することを宣言した。安倍は、自民党総裁選から改憲と教基法改悪を掲げ、政権人事においても教基法改悪シフトを敷いた。安倍は、天皇制賛美と国家主義の日本会議に所属し、先頭で教基法改悪「国民運動」をになってきた。そして、自民党幹部、官邸、内閣にも日本会議が応援し、会員である自民党議員を多数配置した。
安倍とともにNHK番「『女性国際戦犯法廷』の改ざんを強要した中川昭一が自民党政調会長、改憲と教基法改悪を持論とする伊吹文科相、教基法改正促進委員会幹部の下村官房副長官、ジェンダーフリーバッシングと愛国心教育の山谷えり子教育再生担当補佐官などだ。このような教基法改悪シフト内閣を厳しく批判し、教基法改悪を阻止する闘いを国会内外のスクラムによって作り出していかなければならない。
すでに自民党、公明党は、九月二十八日、衆院で教基法改悪のための特別委員会の設置を強行に決めてしまった。また、中川自民党幹事長は、NHK番組(十月一日)で教基法改悪法案の採決強行を行うことを明言した。
公明党は、九月二十五日に自民党との連立政権の合意の一つとして教基法改悪成立を再確認している。つまり、公明党は、教基法改悪法案の「愛国心教育」の項目は、「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできたわが国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと」という文言で自民党、さらに創価学会との妥協を成立させたが、自民党の教基法改悪推進派と民主党の教基法改悪推進派によって愛国心などを明記した共同修正の可能性があるため、政府原案で成立させたいという思惑がある。また、来年の統一地方選や参院選を射程にして悪法諸法案を早期成立させ、党内や学会内の不満、危惧感を一掃させようとしているからだ。
なお民主党案は、前文に「日本を愛する心を涵養し、祖先を敬い、子孫に想(おも)いをいたし、伝統、文化、芸術を尊び、学術の振興に努め、他国や他文化を理解し、新たな文明の創造を希求する」という文言になっている。愛国心を明記した民主党案には、日本会議や天皇主義者たちから「民主党案のほうがいい」と喝采をあびていたほどだ。いずれにしても政府・与党が一体となって強行突破する布陣を固めつつあるのだ。
政府・与党は、先の通常国会の特別委員会で計十回、四十九時間の審議強行を根拠にして、採決動議提案のタイミングをねらっている。教基法改悪をめぐる国会状況は、まさに緊迫した局面にあることを確認しておかなければならない。
「教育再生」と
いう教育破壊
安倍は、所信表明の教育再生の項目において、「教育の目的は、志ある国民を育て、品格ある国家、社会をつくること」だとして新国家主義に比重をおきながら新自由主義的教育改革を押し進めていくことを強調し、教基法改悪を最優先課題とし、さらに新自由主義教育の推進イニシアチブとしての「教育再生会議」を設置することを明らかにした。具体的には、差別・選別・競争主義の推進に貫かれた学校選択制、国家主義と統制のための学校評価、教育予算削減と差別予算配分化などだ。
この教育破壊路線は、「日の丸・君が代」義務化(一九八九年)、「国旗・国歌法」制定(九九年)以来、全国的に広げてきた新国家主義的教育再編と新自由主義的教育改革の集約であり、グローバルな戦争と資本大競争を勝ち抜く人材育成という国家戦略にもとづくものなのである。そして、この路線のバックボーンは、〇五年中教審答申、日本経団連の「これからの教育の方向性に関する提言」(〇五年一月)、「義務教育改革についての提言」(〇六年四月)に忠実に応えるものである。
中教審答申は、これまでの「ゆとり教育」路線に対して、より全国一律の競争主義、差別・選別主義を促進させていくために「全国的な学力調査の実施」と「学習指導要領の見直し」を強化を求めた。さらに「教員免許更新制の導入」、「教員評価の改善・充実」、「主幹」制度(中間管理職)、「スーパーティーチャー」の導入、新学校評価制、校長権限の拡大、教育委員会制度の強化など新たな管理システムを導入し、義務教育制度の再編を進めていくことだった。
日本経団連の提言は、戦後教育を「学校教育の現場では日本の伝統や文化、歴史を教えることを通じて、郷土や国を誇りに思う気持ち(国を愛しむ心)を自然に育んでこなかった」、「権利には責任と義務が伴うという点を教育現場で教えることは徹底されず、公共の精神の涵養は不十分であった」と総括し、「21世紀の国際競争を勝ち抜き、国際社会貢献」していくために「愛国心」教育を行っていくために教基法改悪を主張していた。さらに「小中高等学校の教員養成、研修制度の見直し」において、国家のために「教員の自己研鑽の強化」の必要性を求めるとともに、「教職員組合の本来のあり方への回帰」などと項目名をあげ、「一部には自らの政治的思想や信条を教え込もうとする事例が見られ、これらが長年、教育現場を混乱させ、教育内容を歪めてきたことは否定できない。教職員による組合は、一定の範囲での職場環境、待遇の改善に取り組むという本来のあり方に徹すべきだ」と恫喝し、「勤務時間内の組合活動の禁止」、「就業ルールの徹底」を提示し、教職員の団結権、組合活動の否定と「日の丸・君が代」強制運動の担い手としての教職員になることを強要していた。
安倍は、中教審、日本経団連の提言に忠実に応え、かつこれらの攻撃とセットで天皇制と侵略戦争を賛美する教科書を広げようとしている。さっそく下村官房副長官は、「自虐史観に基づいた歴史教科書も官邸チェックで改めさせる」と叫び、山谷補佐官が「新政権は真っ先に教育の正常化に取り組み、とくに行き過ぎた性・ジェンダーフリー教育の是正が必要だ」と吹きまくり、行動隊長として全国運動を展開しようとしている。
国会・官邸の前に
750人が結集
このような教基法改悪強行成立シフトの安倍政権発足の日である九月二十六日に、教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会は、国会前抗議集会を行い、全国各地から七百五十人が駆けつけた。集会の冒頭で、「日の丸・君が代」強制教育違憲判決(九月二十一日)の勝利を全体で確認する。涙、歓声、拳、握手などなど、どしゃぶりの雨をけちらし、あちこちで感動的一体感が作り出された。
教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会の呼びかけ人の小森陽一さん、大内裕和さん、三宅晶子さんが、教基法改悪法案成立絶対阻止と安倍政権打倒の熱烈なアピール。さらに共産党、社民党の国会議員が決意表明。
続いて、全国の市民、闘う教育労働者たちが、改悪阻止闘争宣言を次々と行っていった。処分攻撃が出ている仲間、差別・選別・競争主義教育と闘っている仲間などが教育現場や地域での厳しい圧力に抗して闘っていることを報告した。
さらに集会が盛り上がったのは、「日の丸・君が代」強制教育違憲判決の勝利をかちとった「日の丸・君が代」強制反対予防訴訟の会、都教委と果敢な闘いを行っている「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会、都教委の「日の丸・君が代」抗議への不当処分と闘っている根津公子さんの発言だった。九・二一勝利判決をバネにして、教基法改悪を阻止!安倍政権打倒!の闘いを職場、地域、身の回りから作り出していこうと元気よく訴えた。全体でシュプレヒコールし、首相官邸前に移動して、怒りのシュプレヒコールを安倍につきつけた。
法案強行成立阻止闘争が本格的にスタートした。闘う全国陣形を強化し、国会を包囲していこう。 (遠山裕樹)
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