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国情研雇い止め裁判1審勝利の意義         かけはし2006.10.2号

公務非常勤労働者の均等待遇・権利保障かちとろう!



「任期満了」による解雇は不当

 三月二十四日、東京地裁において、国立情報学研究所(国情研)公務非常勤雇い止め裁判で、原告が被告に対して労働契約上の地位を有することを確認するという史上初めての画期的な勝利判決が下された。
 国情研で勤続十四年になる原告のMさんは、一日六時間の時間雇用として勤務、一年毎に十三回にわたり任用更新を繰り返してきたのだが、二〇〇三年三月末での雇い止めを突然、通告された。原告のMさんは女性ユニオン東京の支援のもとで、組合を結成し交渉を求めたが、当局は「任期が満了した」と述べるのみで雇い止めを強行してきたことを受け、〇四年三月、原告のMさんは同僚・女性ユニオン東京・弁護団の後押しによって地位確認などを求めて東京地裁に提訴した。
 しかし、公務非常勤雇い止め裁判では過去幾度となく争われてきたが、「非常勤公務員も公法上の任用関係であるから、使用者に広範な裁量権がある」として、これらをことごとく退けてきた経過があり、今回の原告Mさんの審理でも、当然にも公務非常勤の「任用」が最大の論点となった。つまり、民間の私法上の雇用契約では、雇用更新が反復すれば実質的に期限の定めのない雇用契約とみなされ、解雇に関する法理が適用されるという判例が確立されているのに、公務非常勤では公法上の「任用」ということで「任用満了」をもって解雇が認められてきたことに対する争いが焦点となったのだ。
 国情研公務非常勤雇い止め裁判の判決で東京地裁は「非常勤職員といっても、任用更新の機会の度に更新の途を選ぶにあたっては、その職場に対する愛着というものがあるはずであり、それは更新を重ねるごとに増していくことも稀ではないところである。任命権者としては、そのような愛着を職場での資源として取り入れ、もってその活性化に資するよう心がけることが、とりわけ日本の職場において重要であって、それは民間の企業社会であろうと公法上の任用関係であろうと変わらないものと思われる」「任用を打ち切られた職員にとっては、明日からの生活があるのであって、道具を取り替えるのとは訳がちがうのである」「本件任用更新拒絶は、著しく正義に反し社会通念上是認し得ないというべきであって、……任用更新を拒絶することは、信義則に反し、許されないもの」として解雇無効の断を下した。
 しかも、この勝利判決では横浜港郵便局ゆうメイト解雇高裁判決、岡山中央郵便局ゆうメイト解雇地裁判決を引用した上で、
 「@任命権者が非常勤職員に対して、任用予定期間満了後も任用を続けることを確約ないし保障するなど任用継続を期待させる行為をしたにもかかわらず、任用更新をしない理由に合理性を欠く場合、A任命権者が不当・違法な目的をもって任用更新を拒絶するなどその裁量権の範囲をこえたまたはその濫用があった場合、Bその他任期付きで任用された公務員に対する任用更新の拒絶が著しく正義に反し社会通念上是認しえない場合など、特段の事情が認められる場合には、権利濫用・権限濫用の禁止に関する法理ないし信義則の法理により、任命権者は当該非常勤職員に対する任用更新を拒絶できないというべきである」と結論づけたのだ。

国・公社による人権侵害にNO

 全国各地で争われている公務非常勤雇い止め裁判では、労働規制の緩和によって、公務非常勤が今や六十万人を超えているにもかかわらず、「法の谷間」に置き去りにされ、正当な理由も告げられず、一方的に「任用満了」で雇い止めされてきた。だが、国情研勝利判決は、公法の壁に風穴をあけた。こうした中でいま、大阪豊中郵便局ではゆうメイトが雇い止め裁判に立ち上がり、郵政ユニオン支援のなかで闘っている。
 この国情研公務非常勤雇い止め裁判の勝利判決を境に、各地での同様の裁判では、依然として原告の地位確認を認める判決は出されてはいないが、原告への損害賠償を認める判決がいくつか出されており、国情研判決は今後、公務非常勤労働者の権利闘争、裁判闘争に大きな影響を与えていくことになるだろう。
 しかし、被告・国側は全面的に争うとして東京高裁に控訴し、九月六日には第二回控訴審が開かれた。
 石川裁判長は以前青葉台郵便局ゆうメイト裁判の控訴審裁判長をしており、一回結審という強権的訴訟をした。また、半年前にはさいたま地裁での私教連事件解雇無効勝利判決を控訴審第一回結審で逆転させたいわくつきの人物である。今回の第一回控訴審でも一回結審をほのめかし、第二回控訴審でも口頭の意見陳述さえ拒否した。
 しかし、今回の控訴審を前に六月十八日、総評会館において日本労働弁護団と国情研弁護団の呼びかけで開催された「公務パート雇い止めの検討会」には、全国各地で公務非常勤裁判を闘っている弁護団・学者・研究者そして運動体から五十人を超える参加で国情研控訴審を闘うための実践的な検討を行ってきた経緯があったことや第一・第二回控訴審に四十人を超える傍聴者の参加でとりあえず結審の企みを打ち破ることができた。
 次回、第三回控訴審は十月十八日(水)午前十時から開かれることとなった。一〜二審を大きく上まわる傍聴参加で石川高裁裁判長の早期結審策動を打ち砕こう。
 まったく予断を許さない控訴審だが、非正規労働者の均等待遇・権利の保障の前進をかちとるために、国・公社の機関による理不尽な人権侵害を決して許してはいけない。負けても負けても粘り強く闘ってきたからこそ、国情研の今回の勝利判決への道を切り開いてきたのだから。(中村哲也)

解説
急増する非正規労働者
ゆうメイトの闘いを支える郵政ユニオン

 二〇〇一年に小泉政権が発足して以降、今日までの五年間に非正規労働者数は三百万人余増え、今や雇用労働者の三人に一人が非正規労働者で十五〜二十四歳の若年層では二人に一人を占めるに至っている。
 九〇年代の長期経済不況の下で、企業はリストラやコスト削減案を次々と打ち出すなかで、雇用労働者の非正規化も同時に押し進めてきた。一九九九年の労働者派遣法改「正」では「派遣労働」が原則自由化され、これまで専門業務に限定されていたものを一般事務にも派遣の対象として拡大した。さらには「有期雇用」でも同九九年の労基法改「正」では専門職の契約期間がこれまで一年であったのが三年間までの契約として延長された。
 構造改革=規制緩和を旗じるしに登場した小泉政権は、これらに加え、〇四年に「派遣労働」を製造業をも対象として、一般事務の派遣期間を一年から三年に延長した。同時に、「有期雇用」でも〇四年には専門職に限定されていたものを一般職にも拡大し、これによって非正規化への流れを決定づけたと言える。この労働規制の緩和によって、企業は非正規労働者を労働力の調整弁として「活用」してきたがゆえに、非正規労働者に対する人権侵害や雇い止めをめぐる労働相談や第三者機関を通しての訴訟が後を断たない。
 パート・契約・派遣・製造業の請負など非正規労働者は労働規制の緩和によって、〇六年には一千六百六十三万人に増え、雇用労働者の三人に一人が非正規労働者であることは前述したが、同様に国・地方の公務職場で働く非常勤労働者も六十万人にのぼっている。
 ところが今日においてさえもなお、民間非正規労働者に適用される解雇制限の法理が依然として適用されることなく、法的な身分は「雇用ではなく任用」であるとされ、正当な理由も告げられず、一方的に雇い止めされてきている。これまで過去何十人もの公務非常勤労働者が法廷で闘ってきたが、任期が一日(日々雇用)あるいは一年であるという公法上の「任用」が期間満了というだけでこれらすべての訴えは退けられてきた。郵政職場においても規制緩和・民営化への流れのなかで、公務非常勤労働者(ゆうメイト)が飛躍的に増大し、雇用は現在十六万人を超えている。こうした中で、この二十年間にわたり全国で十数件の雇い止め裁判が闘われ、負けても負けてもこれら裁判のほとんどを郵政ユニオンが支援・牽引してきた。 (N)



パンフ紹介
編集発行:日本共産青年同盟 頒価400円
『青年戦線』 169号
安倍政権とどう闘うか

フランス反CPE闘争に学び
新しい青年運動を作り出そう

直接民主主義と
草の根の運動

 表紙写真は街頭を埋めつくす人々。旗やプラカードを高らかに掲げ、フランス政府の「CPE」政策に反対する学生・労働者たちの力強い姿。最新一六九号が完成した。
 アジア連帯講座は七月、来日中のフランスSUD組合員、ボリス・シュノーさんを招いて「反CPE闘争」を考える公開講座を開催した。その採録と解説が特集。
 雇用の非正規化、不安定化攻撃が進行していることは、日本もフランスも同様だ。新自由主義グローバリゼーションの嵐が吹き荒れる世界で、労働者を一円でも安く使い捨てようとする資本の要求は共通している。既存の大労組が資本と運命共同体となり同化していくなかで、そこから独立した組織、職場での討論から生まれた共闘関係が、広範な人々を結集させ、その波はさらに新しい波を作っていった。
 学生が学生としてだけではなく、低賃金の不安定労働力として存在したことで、労働者と結びつき、直接民主主義に依拠した下からの運動が開始された。三百万人のデモと全国的なストライキは、フランスのみならず、全ヨーロッパ、そして世界のあり方を問う青年たちの、切実な危機感の表れだった。いっぽう日本の学生の置かれた状況はどうか。ボリスさんの報告、それを補足する解説で、反CPE闘争を総括し、日本の青年学生運動の可能性を探っていく。
 三里塚空港反対闘争は、実に四十年を迎えている。九月十五日、政府と空港会社は暫定平行滑走路の北側延伸工事に着手した。当初の建設予定から三十六年も遅れているが、ジャンボが離着陸できないこの欠陥滑走路の現状は、土地を守り続けた反対運動の成果の表現でもある。この日現地では着工に抗議する緊急デモ行進が闘われた。
 空港会社の派手な宣伝とは裏腹に、その経営状態は破綻寸前である。こうした乱開発が全国で強行され、自治体の財政を悪化させている。ずさんな環境破壊に異議を唱える人々は粘り強く、したたかに闘っている。今号では、そんな生活者の視点から「成田」の現在を問う。

戦争国家化に
向かう安倍体制

 九月二十日に行われた自民党総裁選挙。最有力候補だった官房長官安倍晋三は、三分の二の得票で予想通り総裁に選出された。
 反共政治組織・統一教会との関係が露呈した安倍は、同会代表が著した「美しい国 日本の使命」を流用したような自著を出版。これがベストセラーとなり話題をさらっている。
 今年の「8・15」――台湾・韓国・沖縄の人々の大きな抗議のさなか、小泉は初めてこの日に靖国参拝を強行した。後継総裁として小泉に支持された安倍は、彼の路線を継承しつつ、任期の三年間に最大の課題である憲法改悪と教育基本法改悪に着手することになる。さらに防衛庁の「省」への昇格、国家安全保障会議の設置、恒久的な海外派兵法の創設なども視野に入れ、小泉以上に戦争国家化への道をひた走るだろう。本号では、教基法改悪のための政府案および民主党案を厳しく批判している。
 北朝鮮に対する強権的な彼の物言いは、「拉致問題」では一定の支持を得たが、都合の悪いことや弱点はひたすら隠蔽する狡猾さも隠さない。札つきの極右イデオローグたちをブレーンにしたがえ、NHKの番組に不当な政治介入をしながら、臆面もなく自己を正当化し続ける厚顔無恥。
 安倍は「番組介入」と同様に、あるいはそれ以上のメディアへの統制と支配をもくろんでいる。小泉の靖国参拝を批判した加藤紘一の実家が、右翼によって放火され全焼した。この卑劣かつ許しがたい事件は記憶に新しいが、被害者は加藤一人ではない。元外相田中真紀子など、安倍を批判する人物への脅迫や暴力的な行動が、このかん頻発しているという。こうした時代の顕著な変化を見過ごすわけにはいかない。
 党内で圧倒的な支持を得て選出された安倍は、メディアによって持ち上げられてもいる。彼の出自や若さや私生活が、プラスイメージで宣伝されている。それは国民にとって、政策的な未熟さや経験不足を隠蔽するのには充分である。小泉が直情的な、連呼型の扇動を繰り返したのに対し、安倍の抽象的な発言や優柔不断さは、「調整型指導者」として、党内の各勢力に利用されつくすだろう。為政者にしてみれば、結果的に自民党が今後も安定多数を維持できればいいのであって、頂点に居座るリーダーは、誰でもかまわない。有権者受けするパフォーマンスが成功すればいいのである。

秋期闘争に
取り組もう

 九月二十一日、卒入学式での「日の丸・君が代」強制への不服従と懲戒処分禁止を求めた「予防訴訟」の判決が東京地裁であった。裁判長は、「思想信条の自由を保障した憲法に違反する」と都教委のやり方を批判して、原告側全面勝訴の判決を言い渡した。この判決をバネとし、さらに広範に運動の前進を勝ち取っていこう。
 「目配せ」だけでも犯罪が成立する共謀罪は、世論の激しい反対で成立が見送られたが、この悪法に代表される治安弾圧体制の強化が引き続き進行している。その典型が後を絶たない「ポスティング」への弾圧である。こうした微罪逮捕・別件逮捕は、正当な表現、言論活動、市民運動を萎縮させるのに充分な効果を持っている。さらに、人民の個人情報の徹底的な管理・監視社会実現へのステップとして、入管法改悪が強行され、ハイテク個人認証システムが、外国人犯罪、一般犯罪にまで利用されようとしている。こうした戦時治安弾圧の進行状況を、つぶさに分析し報告する。連載や職場からの投稿も続いている。
 秋篠宮に「待望の男児誕生」で浮かれる政界。全国民的慶事としてこれを演出し、奉祝を強要するメディア。デモや集会を妨害する天皇主義・歴史修正主義右翼の傍若無人。
 過労死するまで働かされる正規社員と賃金格差が止まらない非正規社員。残業代不払いを合法化する資本の「ホワイトカラーエグゼンプション」攻撃。私たちの眼前に広がる課題は依然大きいが、イラク反戦運動の大衆性・連続性の地平を維持拡大し、青年労働者運動の社会的・実行的な登場めざそう。青年戦線とともに街頭へ繰り出し、大いに奮闘していこうではないか。        (S)


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