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共謀罪・教育基本法改悪・改憲手続き法案を通すな!    かけはし2006.10.2号

安部極右国家主義政権に対する労働者市民の共同のたたかいを



「安部圧勝」が意味するもの

 九月二十日の自民党総裁選で、事前の予想通り安倍晋三官房長官が議員票・党員票合わせて層投票数の六六%(議員票二六七、党員票一九七。計四〇二)を獲得し、麻生外相(議員票六九、党員票六七。計一三六)、谷垣財務相(議員票六六、党員票三六。計一〇二)を大きく引き離して、自民党新総裁に就任した。メディアの直前の予想では安倍票が七〇%を超えることも予測されていたが、とりわけ議員票に安倍批判が相当程度反映されている。これは、小泉「構造改革」政治の五年間が作りだした「格差社会」や、靖国参拝の強行による「対東アジア外交」のかつてないほどの危機が、自民党内に「安倍大勝」への流れを抑制する意識を生み出したことのあらわれだろう。
 この結果は、来年七月の参院選での自民党の後退が予測されることとの関係で、安倍の党内運営に、小泉に比べてより「調整型」の手法を取らざるをえなくさせるような力学を作りだしている。メディアにおける改憲派の旗手である読売新聞の九月二十一日付社説は、安倍総裁選出にあたって憲法問題には一切ふれず「安倍氏の最大の勝因は、世論調査で一貫して見られた高い人気である。来夏の参院選などでの`顔aとしての期待感が安倍氏支持を広げたのだろう。安倍氏の掲げた理念・政策が強い支持を得たとは必ずしも言えない」と突き放した対応を取っていることにも、それが表現されている。
 これに対して首相の「靖国参拝」推進、「女系天皇」反対など、安倍政権の誕生をイデオロギッシュに後押しした産経新聞は、同じ九月二十一日の社説で「国民守る国造りが使命」として「憲法改正」こそ安倍政権の根本課題であることを強調しながら、同日1面の関田伸雄政治部長の署名記事で「首相就任後に安倍氏が公明党を含む与党内の事情や護憲勢力からの攻撃、参院選への影響に配慮して発言を封印することは許されない」と焦りに満ちてクギを刺している。

ブレーンは日本版ネオコン

 もちろん、安倍政権が小泉の新自由主義的「構造改革」を継承した「優勝劣敗」の競争至上主義を貫徹するとともに、「日本会議」や「つくる会」の中枢である「日本版ネオコン」とも言うべきブレーンに取り囲まれた、最悪の「極右国家主義政権」であることに変わりはない。安倍とともに、NHKの「女性国際戦犯法廷」報道に圧力をかけて番組を改ざんさせた張本人である中川昭一・農水相が、政調会長として党三役に入ったことも、安倍体制の思想的本質を露骨に示すものだ。そして、総裁選前日の九月十九日の閣議で、対北朝鮮「金融制裁」を了解し、即日発動したことも、安倍新政権の対外路線を規定するものである。
 われわれは、破綻を深める米ブッシュ政権のグローバル「対テロ」戦争戦略・戦略的な対中対決路線にぴったりと寄り添って、「改憲・戦争国家」体制と新自由主義の道を邁進する安倍政権との闘いに全力を上げなければならない。安倍体制を支える徹底した「日米同盟」=米国への従属的「軍事一体化」と硬直した排外主義的国家主義のイデオロギーは、ブッシュ戦略の「たそがれ」の中で、危機と矛盾を露呈していくだろう。安倍「極右国家主義」政権の登場に対して決して防衛的になる必要はない。労働者・市民の反撃の度合いが、安倍政権の命運を究極のところで握っているのである。

「集団的自衛権」の発動策す


 安倍は、九月一日の総裁選出馬表明で「文化・伝統・自然・歴史を大切にする国=日本にふさわしい新憲法の制定」や「家族の価値」を前面に押し出した「教育の抜本的改革」に取り組む、と主張した。そして「主張する外交で『強い日本、頼れる日本』」とのうたい文句で「世界とアジアのための日米同盟」の強化、「米欧豪印など価値観を共有する国々との戦略対話」の推進、「拉致問題、核、ミサイル問題等、北朝鮮問題の解決」を強調した。そのために米国の「国家安全保障会議」(NSC)にならった安保・外交面での首相官邸の「司令塔機能」を強化することも主張した。とりわけオーストラリアやインドとの「戦略対話」という点に、中国のアジアにおける軍事・政治・経済的ヘゲモニーを封じ込めようとする米国の覇権主義的構想との「一体化」が浮き彫りになっている。
 憲法問題に関しては、昨年十一月の「結党五十年大会」で確認された「自民党新憲法草案」を、「前文」に関しては当初の中曾根・安倍案にそってより伝統主義的に改変するなどの見解を打ち出した。憲法改悪は五年間をめどに実現する、という。この「五年間」という時間の区切りは、安倍が「理想」とする憲法の実現のためには、一定の時間が必要だということを意味している。
 同時に安倍は、改憲を実現する以前の段階においても、「日米同盟」が要請する「対テロ」戦争への自衛隊の参戦のために「集団的自衛権」の発動を違憲とした政府解釈を再検討し、具体例に即してどこまで武力行使が可能なのかを詰めていくべき、と主張している。たとえば「日米の艦船が公海上でシーレーンのパトロールにあたっている時、米艦船が攻撃されても海上自衛隊の艦船が支援できない、ということでいいのか」と語った。つまり、「日米同盟の世界化」が緊急に要請する米軍指揮下での自衛隊の参戦のためには、九条の明文改憲を待つことができず、「政府解釈」を変更して集団的自衛権の発動を積極的に承認することで対応すべき、というわけである。
 自民党防衛政策検討委員会が確認した「国際平和協力法案」(自衛隊の恒常的派兵法案)は、国連などの決議にもとづくことなく自衛隊の実戦的海外派兵を可能とする法案だが、この法案が機能するためには、「集団的自衛権」の発動を避けることができない。
 自民党はこの間、自衛隊の海外派兵の実態と九条との「乖離」は、もはや「解釈改憲」では対応できない、ということを改憲の口実としてきた。「政府解釈」変更は、「九条明文改憲」への根強い反発、「九条の会」をはじめとする改憲反対運動の広がりに対応した苦しまぎれの選択だと言わなければならない。自民党が当初考えていた改憲のためのスケジュールは大きな遅れを見せている。
 だが、そうだからこそわれわれは、アフガン侵略戦争への事実上の参戦、イラク軍事占領への参加という既成事実の上に立ったグローバルな「日米同盟」に対する闘いを強化しなければならない。

「日の丸・君が代」強制は違憲

 安倍は総裁選勝利後の記者会見で、九月二十六日から始まる臨時国会の最優先課題として、「教育基本法の改正」と「テロ特措法の延長」を上げた。
 今年の通常国会で「継続審議」となっている法案は、他にも改憲手続き法案(改憲国民投票法案)、共謀罪法案、防衛庁の省への格上げ法案などがある。教育基本法改悪と「テロ特措法」の延長を二つの最重点法案としたところに、安倍政権のイデオロギー的性格が体現されているとともに、教育基本法改悪については与党の公明党が統一地方選や参議院選を抱えた二〇〇七年にまで持ち越したくないと考えていることへの政治的配慮もある、と考えられる。
 しかし「愛国心」を強制する教育基本法改悪案に対して、東京都教育委員会による「日の丸・君が代」強制通達を違憲とする九月二十一日の東京地裁判決が大きく立ちはだかっている。この東京地裁判決は、安倍政権の当面する最大課題である教基法改悪の成立にとって重大な政治的打撃であり、われわれは教育基本法改悪阻止・廃案に向けて全力を上げなければならない。さらに共謀罪法案、防衛庁の「省」昇格法案の廃案に向けた院内外の闘いを、野党の一致した反対を促しながら進めていかなければならない。
 「グローバルな日米軍事同盟」のための「米軍再編」に対する闘い、イラク・アフガニスタン占領に反対するキャンペーンもきわめて重要な局面に入っている。とりわけ十一月沖縄県知事選での野党統一候補・糸数慶子さんの勝利は、「米軍再編」反対にとって大きな位置を占めている。九月二十五日、米軍新基地建設のために名護市のキャンプ・シュワブに「遺跡調査」を名目に機動隊を伴って入ろうとした那覇防衛施設局に抗議した平良夏芽さん(平和市民連絡会・共同代表)が逮捕された。この弾圧に抗議し、辺野古現地の闘いと連帯して、糸数慶子さんの沖縄県知事選必勝をかちとろう。
 WORLD PEACE NOWは、アフガニスタン占領多国籍軍を支援するインド洋への自衛隊派兵のための「テロ特措法」延長に反対し、空自のイラク派兵「基本計画」延長に反対する行動を準備している。
 こうした闘いを積み重ねながら、安倍政権の「改憲・戦争国家」、新自由主義的「構造改革」推進政策に対する、緒戦の攻防を広範に組織しよう。
 安倍「極右国家主義」政権に対する闘いは、アジアの労働者民衆に対する日本の労働者・市民の国際主義的責務なのである。
(9月25日 平井純一)            


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