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東京・檜原村の郵便局も集配業務が廃止される      かけはし2006.10.23号

民営化で切り捨てられる過疎地の郵便局を住民と共に守ろう

労働者と都市・山村の住民が連携し郵便局再編を阻む挑戦の始まり


 郵政公社は六月二十八日、全国千四十八局の郵便局で郵便集配と貯金・保険の外務業務を廃止することを発表した。「民営化」のうたい文句だった「サービス向上」が、全くのウソであることが露呈した。東京・西多摩の檜原村では、地域の住民と郵政労働者、監視市民ネットが協力して郵便局を守る運動を始めている。

破壊される住民サービス

 「ここからさらに歩いて四十分ほど奥にも人が住んでいるんですよ」と案内してくれた丸山美子・檜原村村議は、桧林の中を山の奥に向かって伸びている小道の向こう側を指して言う。これは郵政公社が発表した全国千四十八局の郵便局の集配、貯金・保険外務の廃止対象局になっている村唯一の郵便局、檜原郵便局の再編統合に反対する地元住民らでつくる「心の架け橋・檜原郵便局を守る会」が十月一日に実施した檜原村フィールドワークでの一幕だ。
 このフィールドワークに先立って、檜原村シルバー人材センター二階の大会議室で開かれた「檜原郵便局の集配・外務作業集約化を考えるシンポジウム」には、「心の架け橋・檜原郵便局を守る会」や村議をはじめ、村民、郵政労働者ユニオン、郵政産業労働組合、郵政民営化を監視する市民ネットワーク、ATTACジャパンなど約三十人が参加した。シンポジウムでは郵政労働者ユニオン副委員長で、檜原郵便局の集配等業務の統合先となる予定のあきるの郵便局に勤める棣棠(ていとう)浄さんがこの間の経緯を説明した。
 日本郵政公社は今年六月二十八日、全国千四十八局の郵便局で郵便の集配業務および貯金・保険の外務業務を廃止し、近隣の局に統合する再編計画「集配拠点、郵便貯金・簡易生命保険の外務営業拠点の再編について」を発表。これは全国で集配業務を行う四千六百九十六局の二二%に上り、地方の過疎地域が中心になっている。
 これは民営化前から「万が一にも住民の利便性を損なうことがないよう」にという参院付帯決議を反故にするものであり、許すことはできない。集配再編の対象となった郵便局にある檜原村の住民の方が反対に立ち上がっているなかで、郵便局で働くものとしてできる限りのサポートをしたい、という思いでこのシンポジウムが企画された。
 このシンポジウムに先立つ九月十八日、郵政労働者ユニオンは郵政産業労働組合とともに池袋駅頭で檜原郵便局のネットワークを守れ、という宣伝活動に取り組んだ。この宣伝活動には、村議会でも活発に郵便局の再編問題を取り上げてきた田倉榮村議と丸山美子村議も参加してマイクを握った。シンポジウムはこのような流れの中で開催された。
 「心の架け橋・檜原郵便局を守る会」の丸山二郎事務局長は、郵便局ネットワーク、とりわけ集配業務に携わる職員は村になくてはならない存在だと語る。
 「私の家は、一番近いバス停から二・五キロ離れている。私の家の上にも住民がいる。バス停の標高は三百五十メートル、うちは六百五十メートル。そんなところに家が点在している。郵便局の人はそこを上がってきてくれる。天候の悪いときは大変。細い道、カーブも急で、道から落っこちたこともあるという。命がけの仕事。もし集配業務があきる野郵便局に移った場合、檜原郵便局まで十五キロ、そこからさらに奥に入って、山の上にある私たちの家に来ることになるが、大変なことだ。これまで檜原郵便局の職員が築き上げてきた住民サービスやネットワークがなくなってしまう。民営化や集配業務再編で切り捨てられるのは住民サービスではないのか」。
 檜原村に深く根ざしてきた郵便ネットワークの将来と職員への思いやりがこめられた発言が続いた。

どうなる「村ぐるみ」闘争


 檜原郵便局を守る会が始めた「檜原郵便局の外務業務を廃止しあきる野局に統合する計画の白紙撤回を要求する署名」は一万に届こうとしている。
 檜原村では昨年、村議会に郵政民営化反対の陳情が出され、議会は全会一致で採択し関係機関に意見書を提出した経緯がある。しかし、郵政民営化法案否決による衆院解散・総選挙で、村長を始め、議会多数派も、西多摩地区選出で郵政特別委員を務め、民営化法案に賛成した井上信次自民党候補を支持。選挙では「檜原郵便局はなくならない」と応援演説を行っていた。公社は村長や議長など一部の実力者だけに檜原郵便局が対象になっていることを説明したことで「理解を得た」とした。
 六月二十一日、東京都議会では「郵政事業分割・民営化に伴う地域住民の利便性確保に関する意見書」が採択された。川島忠一都議会議長が島嶼地区の大島出身ということもあって「国会及び政府に対し、これら郵便事業の果たす公共的・社会的役割の重要性を考慮し、現行の郵便事業の集配体制を維持し、民意に沿わない集配再編を行わないよう強く要請する」という強いトーンになっている。
 六月二十八日の報道発表で村の郵便局が集配廃止の対象になっていること知った村民らは一様に驚きを隠せなかったと言う。七月七日、全村議十一人で公社から説明を受けた。つづく七月十一日、自治会の代表や村役場など総勢約百名が、郵政公社による説明会に集まった。説明会では多くの疑問や質問が出され、計画を了承したものではないことが確認された。説明会を受け、村議会でも七月十三日に臨時議会を開いて「郵政事業分割・民営化に伴う地域住民の利便性確保に関する意見書」を採択した。檜原村自治会連合会は住民署名に取り組み七月二十四日までに中学生以上の村民のほぼ全員から賛同を集め、八月一日に村、議会、自治会連合会で、総務省、日本郵政公社に対して集まった署名を提出している。しかしその際「村の要望をまとめてほしい」という公社側の申し入れを受けたという。村長や議長などを中心とした「村ぐるみ」闘争は公社側による取り込みの危機にある状況だ。

郵便屋さんのありがたさ


 報告にたった田倉榮村議は次のように取り組みの強化を訴えた。
 「自治会連合会では、公社に言われていわゆる『住民の要望』を集めた。しかしまだ要望と引き換えに再編を出すような『条件闘争』の段階ではない。要望は要望でいいのだが、それを条件闘争にする段階ではないだろう。今の段階では公社側は予定通りに計画を進めたいからなんでも『ハイハイ』というに決まっている。しかし民営化されて三年後、五年後もいまのサービスが維持できるのはかは分からない。檜原郵便局の再編でどうなってしまうのかはまだ説明会に参加した自治会長止まりで、多くの住民の皆さんには知らされていない。一般の住民に知らせることが急務だ。計画実施予定の来年の三月五日まであらためて取り組みを強化しなければならない」。
 また田倉村議は、村民の参加が少なく、そして当の檜原郵便局の職員の参加がない事情を報告した。「わたしも今日の集会の宣伝してきたが、将来のことを考えたらいかないほうがいい、と局長からプレッシャーがかかっているらしい」。
 続いて報告にたった丸山美子村議からも次のような報告を受けた。「先日、檜原郵便局の局長さんから電話があった。局の職員が参加するのか、誰が参加するのか、という問い合わせだった。わたしは、ぜひ局長さんも参加して欲しい、とお願いしたが、用事があると言うことで断られた。職員に対するプレッシャーは残念でならない」。集配再編や民営化を控え、処遇の不安から自由にものが言えない状況は、ここ檜原村ではさらに深刻である。
 だが、そのようなプレッシャーの中でも郵送で丸山さん宅に送られてくる署名の一通一通が地元の郵便局の職員をも勇気づけていることは想像に難くない。「今日のシンポジウムには参加できないが民営化後のサービス低下は心配している、がんばってほしい」と村民からも電話をもらったことが報告された。
 つづいて丸山村議から報告を受けた。「檜原村はまだまだ男社会。一人の女性として、また一人の生活者として話したい。檜原に来て三十五年。四人の子どもを檜原で育てた。当時は車の入らない道だった。大きなお腹を抱えて荷物を持って一時間もかけて歩いたこともある。自宅に一人でいるときに外との関係が少ない。郵便屋さんが来てくれることもとてもありがたかった。山の中腹で一人で留守番している人間にとっては情報は貴重。男性は会社や地域の会合などの男社会で情報を仕入れてくる。女や家にいるものは郵便屋さんなどから仕入れる情報を利用してきた」。
 丸山さんは最後に、檜原村の豊かさの中で定住し子育てをしようとしている若い人のメッセージを紹介した。メッセージは地域に根ざす郵便屋さんの状況を紹介した上で次のように訴えている。
 「私たちは私たちの郵便屋さんがしょんぼりしてしまうようなことを絶対に許してはいけません。それは、私たちの毎日の暮らしが、しょんぼりしてしまうことと同じだからです」。「いま必要な改革は、合理的便宜上、地方の地域社会を崩壊させていくことではなく、殺伐とした都会の生活にも地域社会を取り戻していくことではないでしょうか」。郵便屋さんの行く末を案じ、都会に住む人々にまで思いをはせるこのメッセージは強く胸に残る。

郵政職場の中でのしめつけ


 続いて郵産労東京地本書記長の吉沢利夫さんは、郵産労も民営化・集配再編に関するQ&Aパンフ『やっぱり郵便局が無くなる!!解説とQ&A』を作成し、再編対象になっている全国の自治体に送付、問題点を明らかにしながら全国的な世論をつくる活動に取り組んでいることを紹介したうえで、次のように語った。
 「住民が自主的に運営する守る会やこのようなシンポは全国的に見ても少ないことで、全国を励ますような取り組みだ。郵政公社の生田総裁は、サービス低下させない、もしサービス低下につながるという心配することがあればいつでも提起して欲しい、と言っている。しかし、このシンポへの参加に対する圧力でも分かるように、職場の中ではさまざまな締め付けがあるのが実態だ。住民の皆さんの心配をしっかりと受け止め公社や支社に上げていくことが労働組合にとって重要。それができないようでは労働組合の価値はない。組合は自分たちの労働条件だけを要求するのではない。住民の皆さんのためにサービスを維持する、その為に適切な労働条件を要求していく」と決意を語った。
 そして檜原村と同じく集配再編の対象となっている埼玉の入間郵便局を巡る取り組みを紹介した。「十五万都市の入間でも集配業務廃止が計画に上がっている。廃止反対の署名と意見書採択の取り組みを続けてきた。九月二十一日の定例市議会で廃止反対の意見書を採択した。以前は採択に反対した議員も賛成に回っている。各地の取り組みが良い方向で影響しあっている」。
 最後に報告した郵政労働者ユニオン東京地本委員長の中村智明さんは、「今回の集配再編は住民サービスとは何の関係もない。民営化に伴う分社化で職員の所属移行が問題になる。今回の再編は集配に携わる職員をできるだけまとめておくために行われたものだ。民営化とは儲かる事業はやる、儲からない事業はやらない、ということ。職員の所属問題とともにこのような考えのもとに公社の施策は進められていくと考えると分かりやすい」と公社の姿勢を批判した。
 東京では、檜原郵便局のほかは、小笠原諸島、利島、御蔵島、青ヶ島と島嶼の郵便局だけが再編の対象になっていることから、それ以外の職場では再編問題について関心が高くない。「檜原郵便局を守ろうという署名を職場の中で広めることで、集配再編の問題点を広めている。二〇〇三年に公社化されてから職場では効率最優先で、自分の仕事以外のことを考える余裕がなくなってきている。このような状況を変えていくことも労働組合の役割だ」。
 シンポジウムでは、同じように集配再編の対象となっている大阪府茨木市の大岩局でこの問題に取り組む「大岩局の今後を考える会」から寄せられたメッセージが紹介された。

民営化とはこういうこと

 その後シンポジウム会場を車座に配置し直し、参加者全員で意見をだしあった。参加した永井忠士村議は「保守的なところがあるが、心では今回の出来事には反対のはず」として取り組みの継続を訴えた。参加した村民からも現存の郵便ネットワークは檜原村になくてはならない存在であることが語られた。これほど地域の住民からあついエールを送られつつも参加することができない地域郵便局の職員に思いをはせる。
 東京都心部から参加した学生は「昨年マスコミで騒がれた民営化。しかし当時の報道では実態が分からない危うさがあった。今回は実際に現場を見に来た。自分も東北の出身、他人事ではない」。
 市民監視ネットの事務局からは「全国で再編計画が進められている。みんな心配している。檜原村の情報を全国に発信することで世論をつないでいきたい」。かつて檜原村で教員をしたことのある参加者は「この村の保守的なところも知っている。民営化とはこういうことなのか、ということを話を聞いて歩いてみてわかった」。不安定雇用の問題や小泉改革を引き継いだ安倍新政権の問題も語られた。
 郵政労働者ユニオンの山口啓さんは「檜原村の郵便屋さんがこれほど地域に根ざし、また信頼されているのかを改めて知った。檜原郵便局の人に会えなかったのは残念だ。七月にも檜原村を訪れ、そのレポートを『伝送便』に書いた。住民からの信頼に応える郵便屋さんが立ち上がることで運動は大きくなるし、また郵便屋さん自身も尊厳を取り戻すことができる。昨年民営化反対をやってきたが、地域との密着した取り組みは実現できなかった。今回こそは地域の利用者とともにこの問題に取り組みたい」と元気よくアピールした。
 小泉構造改革がもたらした格差の問題として檜原郵便局の問題を追ってきたフリーライターの方や地元紙の記者も参加した。

山道のフィールドワーク

 昼過ぎから降り出した小雨は、シンポジウムが終わるころには本降りとなっていた。シンポジウムの参加者は車に分乗して、実際に郵便屋さんが配達する山道を見学することになった。檜原村は十月一日現在で人口三千十八人、千二百四十一世帯、東京都西多摩郡に位置し、山を越えると山梨だ。
 南北二股にわかれた谷底のバス通りが山間部を縫うように走っている。そのバス通りからいくつもの山道が斜面を駆け上り山の中腹に集落がところどころに点在している。私たちが訪れたのは北側の道のどん詰まり(北側は車では抜けられない行き止まり。南側は来るまで山梨に抜けることができる)の藤倉地区にある一角だ。
 車を降りた車道の行き止まりには、簡易モノレールが見えた。数人乗りの小さなものだ。ここからさらに上ったところ住んでいる村民が移動などに使うという。レールは山腹を這うように設置され林の中に消えている。フィールドワーク参加者は案内の丸山議員や田倉榮議員に説明を聞きながら山道を登っていく。道はコンクリートで一応は舗装されているが、こんな雨の日は滑りやすい。
 「これ都道なんですよ。バブルのときにはこの道を広げて車が通れるようにするという計画もあったんですけど、もうだめね」と丸山村議。車道から入ったすぐのところには、ぽつぽつと人家もあったが、数分もくねくねと曲がった急な坂道を登っていくと、すぐにうっそうとした桧林に「都道」が一本続いているだけの景色になった。片側は崖だ。歩くのにも一苦労というこの道を、檜原郵便局の郵便屋さんはバイクで配達しているというから驚きだ。
 徒歩で十分ほど山道を進むと、先ほどのモノレールの終点が見えてきた。「この先、用地買収が未解決なので、モノレールは一旦はここで終わり。すこし先からまたレールがある。」と田倉榮・檜原村村議。
 冒頭の丸山村議の「ここからさらに歩いて四十分……」という発言はこのモノレールの終着地点での一コマだ。細い坂道をアリの行列のようになりフウフウ言いながら登ってきた参加者一同は「さらに四十分も……」と一様に驚く。「天気がよければここから全部みられるんだけどな」と眼下一面にもやのかかった景色を前に案内してくれた田倉議員は残念そうにしていた。
 山間部の日没は早い。フィールドワーク参加者は山道を引き返し、車で地区の多目的施設、藤倉ドームで見学後の意見交換会と今後の取り組みについて相談した。郵政ユニオンの棣棠浄さんから、今後さらに署名を集めること、国会をはじめ都心部での取り組みを強化すること、そして今後も現地を訪れることなどが提起され、その日の行動を終えた。

再編計画と労働強化


 来年十月の郵政民営化を前に、郵政公社は公共サービス切捨てと労働強化の施策をすすめている。
 公社は再編後も郵便物は遅配なく届ける、という。しかし集配業務が廃止されることによって地元の郵便局は窓口業務だけとなり、集配や貯金・保険外務を担っていた職員はいなくなる。行政の配慮の行き届かない山間部の集落ひとつひとつに入り込み、集配や保険などの外務以外だけでなく、地域の情報網やネットワークのひとつとして人と人とをつないできた郵便職員が地域からいなくなってしまう。再編対象の地域は過疎化、高齢化が進む地域でもある。
 強い反対の声が上がっている。公社は再編計画の発表前に、自民党総務部会・郵政政策小委員会で影響を受ける六百六十七市町村のうち、反対七十、保留二十三という説明を行っている。公社の説明を受けたうえで明確な態度を示さなかった五百七十四市町村については「理解された」という強引な説明をした。
 しかし六月末の時点で、再編計画の撤回を求める意見書を国会などに提出した自治体は、北海道十三、新潟四、富山一、長野七、広島一、鳥取二、島根二、高知十二の計四十二自治体。議会で意見書を採択した自治体は北海道六、山梨一、長野三、岐阜一、鳥取十、高知十三、鹿児島一の三十五自治体に上っている。また東京都、新潟県、富山県、長野県、鳥取県、高知県では都・県議会で意見書を採択し国会に提出している。全国からの反対の声に、公社は七月十二日に再編計画の実施時期変更を、組合などに提示した。その後も反対の取り組みは全国的につづいており、現在百を超える自治体で意見書などの採択が行われている。当然である。沖縄では全集配局六十四局のうちの三十局(46・9%)が無集配化される。高いところでは鳥取二十四局(48%)、山梨二十二局(46・8%)、高知二十七局(38%)、山口四十三局(36・4%)、北海道百六十局(36%)、新潟五十五局(35%)、広島四十六局(30・3%)、長野四十五局(30・2%)、愛媛二十六局(30・2%)、と、まさに地方切捨ての新自由主義改革であるからだ。再編対象の高知県甲浦局では、統合先の室戸局配達センターまで片道約四十キロという信じ難い計画が進められている。
 しかしあくまで実施時期の変更であり、中止にはいたっていない。九月十一日から全国の百四十九局で再編計画が先行的に実施され、十月初めまでに四国で三十四局、中国八十三局、沖縄九局、関東十八局、南関東七局、東海四十二局、北海道六十五局、九州十四局、近畿二十八局、信越二十七局、東北三十七局の合計三百六十四局で集配業務や貯金保険外務が廃止された。組合の枠を超えた全国の郵便労働者でつくる月刊誌『伝送便』では集配再編が実施された結果、廃止された局の業務および職員の受け入れ先となった岡山のある局の現状が報告されている。「その日その日を何とか凌いでいるという有様」「年休どころか、非番週休も満足に取れない状況」「(4週間)で一人平均二日は廃休となっています。全員がですよ。異常な状態です」「再編後、一日で百五十キロ走る区がある」と、いう悲鳴が上がっている。労働強化によって従来のサービスを維持することはできない。労働者の健康と地域への影響は必至だろう。

排除される人々をつないで

 このような中で行われた檜原村のシンポジウムとフィールドワークは、全国でくすぶるが行動に移すまでには至っていない集配再編への不満の声をすくいあげていく重要な取り組みのひとつになっている。とりわけ村長や議長、自治会長など含む「村ぐるみ闘争」がひと段落した檜原村において、住民が主体的に動き、近隣の郵便局職員や都心部の住民と結びつきながら、再編計画の中止を公社に求めていく行動は、今後全国的にも注目される取り組みとなるだろうし、公共サービスの切捨てと現場の労働強化によってすすめられる民営化に向けたさまざまな施策にストップをかけることができるかもしれない。
 考えられうるさまざまな取り組みを、住民を先頭にして、そしてそれを孤立させないための取り組みを、職場で、地域で、学園で、そして国会周辺で拡大しよう。十月二十七日には「心の架け橋・檜原郵便局を守る会」の署名提出と院内集会が予定されている(午後2時半、参議院議員会館第2会議室)。檜原村で始まった取り組みは、小泉構造改革が押し広げた格差社会の亀裂を乗り越える一歩だ。そしてその一歩は新自由主義グローバリゼーション政策のほころびをつく世界の闘いにつながっている。
 郵政民営化に反対する第二ラウンドは始まっている。この取り組みに職場の中から立ち上がる郵政労働者の存在は決定的に重要である。私たちも国鉄や電電公社の民営化の教訓と経験をつなぎ、さまざまな公共サービスの職場が抱える問題を共有し、不安定で無権利な状態で低賃金と長時間労働に苦しむ人々の労働と生活のなかに入り込み、グローバリゼーションによって排除される人々の怒りを全国で、そして国境をこえてつないでいこう。立ち上がれ全国の郵便屋さん、立ち上がれ格差社会に反対するすべての人たち。集配再編の中止を勝ち取ろう。民営化を押し返そう。(早野 一)

b署名は「郵政民営化を監視する市民ネットワーク」のウェブサイトからダウンロードできます。
http://ubin-watch.ubin-net.jp/
b集配再編や郵政職場問題などに関する豊富な情報は『伝送便』(購読料1年3千円)および「web伝送便」でも知ることができます。
http://densobin.ubin-net.jp/


立川反戦ビラ入れ裁判・最高裁闘争 
弾圧も戦争も許さぬ決意をこめて元気いっぱいに「無罪大行進」

立川から横田ま
で長距離デモ

 十月十五日、「立川・反戦ビラ入れ裁判 無罪大行進」が立川・反戦ビラ弾圧救援会の呼びかけで行われ、立川市曙一丁目公園に六十人が参加した。
 二〇〇四年二月二十七日、立川署・警視庁公安二課は、立川自衛隊監視テント村の仲間三人を立川市内の自衛隊官舎へのイラク反戦ビラ入れを「住居侵入罪」だとして不当逮捕した。起訴攻撃を行ってきたが、十二月十六日、東京地裁は無罪判決をかちとる。だが、〇五年十二月九日、東京高裁は、罰金有罪刑の不当判決を言い渡した。不当判決に対して被告は、ただちに上告し、最高裁無罪判決をかちとる闘いを行ってきた。
 高裁判決に対して被告と救援会は、@防衛庁官舎の敷地・階段・玄関前は「人の監守する邸宅」ではないA住民の意思ではなく管理権者の意思でビラまきが違法化されているB住民がビラまきに刑罰で対処してほしいと思っていたかは証明できないC多数の住民がビラまき禁止を望んでいても、住居侵入罪は成立しないD本件のビラまき態様においても害を与えていないE「表現の自由」と可罰性(刑罰をもって罰するに値いする程度のものか)についての論議を避けている││などについて批判をしてきた。これらの点について最高裁がどのように判断するのか、厳しく監視しなければならない。
 だが最高裁の審理は、公判が開かれず、文書のやりとりで進行し、ある日、判決が出るというシステムだ。不当判決を許さない持続した運動展開が求められる。被告と救援会は、最高裁での無罪判決を実現するために@上申書運動A無罪要求署名運動B最高裁情宣行動を軸に取り組んできた。九月一日時点で無罪署名一万三千筆、上申書が二百二十五通も達しており、最高裁に提出している。さらなる追加提出にむけて奮闘中だ。
 この日の「無罪大行進」も最高裁を包囲していく取り組みの一環として設定した。集会は、被告の大洞俊之さんの司会で始まった。発言は、救援会代表の大沢ゆたかさんの挨拶。続いて、被告の大西章寛さん、高田幸美さんから最高裁無罪判決をかちとるため元気なアピールが行われた。
 デモ隊は、反戦マーチングバンドを先頭に、「反戦ビラ無罪を! イラクから航空自衛隊は撤退しろ! 共和国(朝鮮民主主義人民共和国)は核実験を繰り返すな! アジアに核はいらないぞ!」と訴え、立川警察署横、自衛隊立川基地、米軍横田基地第五ゲート、福生公園まで長距離のデモコーを貫徹した。

寄せられた上申
書が本になった

 「無罪大行進」決行に合わせて、立川・反戦ビラ弾圧救援会は、『沈黙の社会にしないために │最高裁にあてた一五八通の上申書』(樹心社/千二百円)を発刊した。「基地の町から」「表現は自由だ」「だから反戦!」「警察おかしいぞ」というテーマに分けて熱い訴えが収録されている。
 救援会は、「最高裁裁判官が、この本を手に取って読み、慎重審理の必要を感じ取ってほしいと思います。司法の独立と、日本国憲法にのっとり、世界の人々に恥じない判断が下されることを願っています。私たちは判決が出る日まで、無罪要求署名と上申書を届ける運動を続けます」(本書)と力強く決意表明している。ぜひ一読をしてほしい。 (Y)


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