かけはし重要記事

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イタリア                       かけはし2002.6.3号より

新自由主義政策と対決して千三百万人がゼネスト


 四月十六日、約千三百万人のイタリア労働者が、ベルルスコーニ政権の社会政策に反対してゼネストに参加した。
 ストライキは、三大労組(CGIL、CISL、UIL)とすべてのオルタナティブ労組、とりわけCobas(オルタナティブ労組)ネットワークによって呼びかけられたものである。さらに同日、CGIL、CISL、UILや社会フォーラム、ならびに新自由主義的グローバリゼーションに反対する運動が呼びかけた多様な、地方的・地域的デモンストレーションにも数十万人が参加した。この二十年間で初めてのゼネストには、記録的なレベルの支持が寄せられた。労組によれば労働者の約九〇%が支持したのである。
 社会的動員の空気の中でますます緊急のものとなってきたイニシアティブは、ベルルスコーニ政権が労働協約の超新自由主義的改革を継続し、とりわけ不当なレイオフを受けているあらゆる労働者に再雇用の権利を定めている労働協約十八条の廃止を求めることを決定した後では、避けられないものとなった(大労組連合の穏健派指導部にもかかわらず)。
 イタリア社会は、ここ数年のすばらしい一連のデモや運動――ジェノバ、戦争反対、教育改革に反対する学生の動員、反レイシスト・デモ――に続くストライキによって、ふたたび、そしてより重要な方法で、その活力と動員に向けた能力を示した。
 こうした運動は、イタリアのほとんどの地域におけるストライキと労働者の闘争の再開をともなっていた。こうして、ゼネストと、自らの権利を守るためのより「伝統的」な労働者の動員は、ほぼ自然発生的に、社会フォーラムの中に組織された「諸運動の運動」と結びつくことができた。この「諸運動の運動」は三月二十三日に行われたCGILの大デモにも参加した。
 四月十六日には、労働者や労働組合とともに、「グローバル・ジャスティス運動」も「ゼネストのグローバリゼーション」という思想を掲げて参加した。そして、臨時雇用事務所や大学の占拠といった多様な地域的イニシアティブや、きわめて若々しく活発な運動も労組のデモに登場した。
 今や、新たな局面が開かれている。そこでは、社会的闘争の追求ではなくまたもや政府との交渉を再開する気になっている労組指導部のあいまいな態度の中で、運動が社会的動員のイニシアティブを発揮しなければならない。
 こうした状況において、従業員十五人以下の企業にも拡大して労働協約十八条を適用するための住民投票を、というアイデアが、CGILの金属労働組合連合によって提案されており、それは制度的レベルで共産主義再建党(PRC)によって取り上げられている。
 政治的レベルでは、PRCが進めている提案を通じて、右翼政権に反対する共同戦線を建設する必要性は依然として明白であるが、あらゆる対案は、新自由主義政策と戦争の阻止を含まなければならないという考え方を見失ってはならない。この巨大な社会的沸騰状況の中で、ゼネストの前日にPRC指導者ファウスト・ベルチノッチが提示した、社会運動に基礎を置いたヨーロッパ反資本主義左翼の建設という展望は、より信頼性を獲得している。十一月にフィレンツェで開かれるヨーロッパ社会フォーラムの中心的課題はここにある。(「インターナショナルビューポイント」02年5月号)  


フランス

ルペンと対決して全国で二百万人がデモ


 二〇〇二年四月二十一日(第一回投票日)以来、主として青年からなる大衆的な運動がフランス全国の街頭デモという形をとって一挙に噴出した。全国的な組織網をもつ反ファシスト運動団体のRa l Front(国民戦線に反対する闘争協会)のような諸団体、LCR(革命的共産主義者同盟=第四インターナショナル・フランス支部)、そしてときにはMJS(社会主義青年運動、社会党の青年組織)やJC(共産主義青年運動、共産党系青年組織)、さらにはインターネットを通じたさまざまなネットワーク諸団体がこの日の晩に警鐘を鳴らしたが、とりわけ学生と高校生が何千人という規模でデモの呼びかけに応えた。
 AFP通信によれば、第一回投票の翌日の二十二日には、約十万人が街頭に繰り出した。デモはその後数日続いた。一般に、これらの行動のイニシアティブを取ったのは、高校生や単科大学の学生、総合大学の学生であり、そこから運動が広がっていった。リールやリオンやレンヌをはじめ至るところでこうしたことが見られた。夜になると、青年とさまざまな団体のネットワークという二つの勢力が合流した。こうしたネットワークの中には、活動家。労働組合員、ブザンスノー(LCR)に投票した人々、またマメール(緑)、ラギエ(労働者の闘争派)、ユー(共産党)、さらにはジョスパン(社会党)に投票した人々が含まれていた。
 パリでは、Ra l Frontが最初の行動を呼びかけた(四月二十一日午後十時)。この呼びかけは、LCR、MJS、緑、によって支持され、この集会とデモはバスチーユ広場に到達するときには二万人にふくれ上がっていた。共産党と「労働者の闘争派」は、翌日夜のデモ(一万五千人)を支持したが、この日のデモには姿を見せなかった。
 デモは、全国の都市、町、そして村でさえ行われたが、それはしばしばLCRのイニシアチブで呼びかけられ、地区のさまざまな政党(革命派、緑、共産党、ときとして社会党も)、労働組合、人種差別に反対する諸団体、フェミニスト団体の支持を受けた。それが頂点に達したのが、五月一日のメーデーで、パリおよび全国の諸都市での大衆的なデモは、ほぼ二百万人を動員した。これは、左翼と労働組合の明確な観点からルペンに対して鮮明な形で拒否を表現するものであった。
 いくつかの都市では、人々の広範な感情を表現するスローガンが叫ばれた。「ファッショにではなく、ペテン師に投票せよ!」 マスコミは、「私は面白半分にブザンスノーに投票したが、いまはそれを悔やんでいる!」と述べる一部の人びとの声に関心を集中させようとした。
 だが、圧倒的多くの人々の感情は、投票をも含めてルペンを阻止するが、大衆動員を持続するというものであった。そして、社会党さえ、さらにはとりわけLCRを含むすべての左翼政党に、入党または再入党したい、あるいはそれ以外のやり方で政治的組識活動とのむすびつきを持ちたいとする人々の多くの要請が殺到している――実際、LCRに対しても何百件もの問合わせ、入党申込みが寄せられている。この大衆的な反応は、新しい急進化の波の第一歩であり、これは今後、フランスに重要な影響を及ぼしていくことだろう。 (「IV」5月号)

―フランス大統領選―

ブザンスノーが青年層で左翼トップの得票率


 十八―二十四歳までの青年層の間では、LCRのブザンスノー候補の得票率は、一六人の大統領候補中、シラクの一五・七%に次ぐ第二位の一三・九%で、左翼諸政党の中では第一位であった。ちなみに「労働者の闘争派」のラギエ候補は、この青年層の中ではわずか一・五%にとどまった。ラギエ女史が最大の票を得たのは、三五\四九歳の年齢層の間で、この中では九・一%を獲得した。
 職業別で見ると、ブザンスノー候補が最大の票を得ているのは、ホワイトカラー労働者、教員、公務員の間で、ここでは約六%の票を得ている。彼に対する男女別の得票率は、女性(四%)、男性(四・七%)とほぼ均等に分かれている。(「IV」5月号)


イラクへの戦争政策を加速するブッシュ政権

 アメリカは、イラクの側には戦争の口実を与えるものは何もないのにイラクへの全面戦争を開始する準備を行っている。さらにアメリカは、もし必要とあればこの戦争で核兵器を使用することを決定した。
 それは、「核状況報告」と題するリークされたペンタゴン機密報告の中に示されている。ブッシュは、アメリカが核の第一撃を準備する諸国のリストを持っている。このリストにはイラクだけではなく、北朝鮮、イラン、リビア、中国、そしてロシアさえもが含まれている。プーチン大統領がNATOに再び顔を向けているにもかかわらずである。またこの報告には、アラブ―イスラエル紛争が起こった場合の核兵器の使用も含まれている。
 核兵器がこれら諸国に対して使用されうる状況の中には、「非核兵器による攻撃では持ちこたえることのできる目標」の可能性や「注目すべき軍備拡張」も含まれている。それとともにこの報告は、アメリカが特定の状況に向けて、いわゆる実戦向きの最新世代の核兵器を開発していることを明らかにしている。
 九月十一日以前ならば、こうした恐るべき暴露は、極端な右翼のたわごととして片づけられたかもしれない。五十年間にわたって仮想の抑止力として売り込まれていた核兵器は、こうした兵器を持たない国に対する戦争においても、いまや戦闘の正当な手段として復権している。
 いまや共和党右派はアメリカが世界で唯一の超大国であることを宣言している。そして、彼らが核兵器の使用――少なくともイラクに対して――を熟考する準備をしていることは明らかである。
 同時に、イラクへの攻撃の政治的準備が急速に進められている。ブッシュ政権の攻撃をそらすためにイラクにできることはないように見える。
 もしイラクが、いわゆる武器査察官の入国を原則として受け入れるならば、アメリカはあまりにも厳しすぎるためにイラクが受け入れることが不可能な要求――即時にあらゆるもの、すべてのものにアクセスすること――を行うだろう。ラムズフェルド国防長官は、「われわれはイエスの回答を得ようとはしていない」と述べた。
 アフガニスタンへの攻撃のためにまとめあげられた連合は、もちろんイラクへの戦争にも適応させられるだろう。ディック・チェイニー(米副大統領)の中東における最近のシャトル(往復)外交は、アメリカのバグダッドへの新たな強襲に対するいかなる敵対的反応をも中立化させ、封じ込めるために構想されている。
 ブッシュは、彼の「反テロ戦争」の「第二段階」であるイラクに対する戦争の準備を呼びかけている。しかし第一段階はいまなお急速に拡大しており、世界は日々変化している。アフガニスタンでの軍事行動は、いわゆる「掃討作戦」の仮装の下で継続している。
 同時に、パレスチナの人びとは、アメリカの直接的支援と保護をともなったイスラエルによる全面戦争に直面している。それは九月十一日以後、一貫してエスカレートしており、現在でも拡大し続けている。
 ブッシュはアメリカにおいて、国防支出を一四%、四百八十億ドルも増やしている。この戦争への動きは、アメリカ自身における反民主主義的措置とパラノイア的監視の大規模な増大と並行してなされている。何千人もの移民が検挙され、何百人もの人びとがいまだに刑務所に閉じ込められているが、その場所はしばしば秘密になっている。米軍はすでに、ソマリアやイエメンとともにフィリピン、コロンビアにも介入しており、全世界で市民の諸権利が攻撃にさらされている。
 イギリスでは、欧州人権協定に違反して、「犯罪・治安条例」による裁判ぬきの拘留が導入された。この過酷な法律の下で、そのすべてがアラブ出身者である多くの人びとが裁判ぬきで、あるいは不法行為の明白な証拠もなしに拘留されており、最高機密の状況下に置かれている。この種の措置は主要な欧州諸国で採用されており、そしてEUのレベルでも個々の加盟国のレベルでも、新自由主義的グローバリゼーションと闘う運動に対して利用されうる新しい法律に磨きがかけられてきた。
 インドも、カシミールにおける自らの「テロリスト」問題を国内的取り締まりの口実として利用した新たな厳しい反テロ法でそれに応え、他方パキスタンの軍事独裁は、長いこと育成してきたイスラム原理主義への取り締まりを開始した。この取り締まりは左翼諸政党や労働組合をも見逃すものではない。
 こうしたことの結果、アメリカ帝国主義は軍事的・政治的にかつてなかったほど強化されて、より攻撃的になり、中央アジアで新たな覇権を獲得し、ロシアや中国に対してより大きな影響力を手に入れた。
 「テロリズム」に対する不正な戦争のために、世界の支配的な帝国主義国家が最も残忍な大量破壊兵器を使用する無期限の戦争の危険が、これほど大きくなったことはなかった。
 地球の未来に関心を持つすべての人びとは、無防備な従属諸国を核兵器で爆撃するアメリカの計画に怒りと憎しみを持って立ち向かうべきである。抑圧された人びとの権利の防衛に関与するすべての人びとは、小さな歴史的な伝来の土地に独立国家を作ろうとするパレスチナ人民の熱望をすべて破壊しようとして、イスラエル軍がテロリスト国家の総力をふるって行っている残忍行為に対する抗議の列に加わるべきである。
 サダム・フセインを追放し、彼の独裁体制をワシントンにとってより従順な政権に置き換えることをねらった新たなアメリカの戦争は、九月十一日以後起こっている無実の人びとの大虐殺をさらにエスカレートさせるだろう。
 すでに九月十一日のツインタワーとワシントンでの死者の総数よりも多くのアフガンの一般市民が、アメリカの爆撃によって死んでいる。しかし、イラクに対する戦争は、アクリカの核攻撃の脅威がなかったとしても、さらに多くの死者を作りだすだろう。この間、アメリカがイラクに強制している経済封鎖は、イラクの一般市民と子どもたちに大量の死者をもたらし続けている。国連当局によればその数は毎年九万人、その多くは五歳以下である。
 アメリカとNATOの犯罪的な世界覇権と新たな戦争への動きに対して、民主主義の価値と人類の利益に関心を持つすべての人びとは反対しなければならない。(「I・V」02年4月号)      

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