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                          かけはし2002.5.20号より

「パレスチナ民衆は今」

岡田剛士さんの報告を聞く――グローバル戦争と有事法制反対

 四月二十七日、東京・文京区民センターで派兵チェック編集委の岡田剛士さんを招いてアジア連帯講座「パレスチナ民衆は、今」を行なった。まず、前半の三十分を使ってNHK総合テレビで放映された「兵役拒否イスラエル・十八歳の決断」のビデオを上映。その後、岡田さんに話してもらった。
 まず、イスラエル国内の兵役拒否の運動に関してニュープロファイル(新しい横顔)というメーリングリストで運動が展開されていることや、その運動形態にも一月末の予備役拒否者のように上級階級者のみを集めたりする手法もとられたりすることを紹介。兵役拒否者の処遇もユダヤ人とドルーズで軍による差別化が図られているようだ。
 次いで、中学生が自爆テロを図るところまで来た最近のパレスチナ情勢を説明し、イスラエルの侵攻が自爆テロによる自国内の犠牲者をも生み出し続けていること、まずイスラエルの変革が、虐殺と占領の泥沼状態を打開にとって必要であることをを強調した。そして、四月二十五日には日本を含む二十一カ国がパレスチナ自治政府救済を話し合う「支援国会合」を開いたことが報じられたが、9・11テロ後に日本がテロ対策特措法を成立させたことと、イスラエルでシャロン首相がアフガン空爆にならって市民の大量虐殺に乗り出せたこととは類似点があると指摘。また、アメリカによる和平交渉にはイラク侵攻を前にしたアラブ諸国の反発慰撫という面があるということにも触れた。
 日本が自衛隊の駐留を続行しているゴラン高原派兵についてはカナダ軍のホームページを引用。それによると、ゴラン高原は紛争地帯とは距離が離れていて、もっぱら安全、平穏であるということが伝えられている。岡田さんはこの事実を見ても日本政府による中東和平「下支え」論が日本国内での実績づくりを目的とするだけで、欺まんに満ちたものでしかないと言っている。
 岡田さんはほかにも自治区がバイパス道路によって寸断されている状況を地図で見せてくれたり、今回のジェニンなどで行われた虐殺が「軍事閉鎖地域」宣言によってされているために、「軍事命令」という資料を用いてイスラエルの軍事行動に見るパレスチナ占領の性質を解説したりしてわかりやすかった。質疑では日本人も関わっている国際平和連帯などの現地行動の様子、自爆テロをめぐる運動のあり方などに質問が集中した。
 四月のジェニンでの虐殺について国連が派遣する現地調査はイスラエルの強硬な拒否によって実現しなかったが、このことをとってもイスラエル国家が、「先進国」が推し進めるグローバリゼーションの中東での拠点として存在し続けていることは明らかである。民族間、宗教間の対立激化という視点での報道によって、テロリズムの連鎖という現実ばかりを注視するのではなく、アメリカが推進するグローバルな侵略行為を阻止する観点で日本でも有事法制関連法案を廃案に追い込むなどの行動の緊急性を感じさせられた。戦争が恐いから有事法制に反対すると言うだけでは足りない。グローバル戦争に追随する有事法制を許さないことによって、パレスチナの地でも一切の占領と殺人行為を許さない、というアピールをパレスチナの民衆に伝えたい。    (K)

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