かけはし重要記事

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                          かけはし2002.5.20号より

国連人権委員会で「良心的兵役拒否決議」が通過

韓国は「模範事例」報告をできるか

 「今回の決議案を評決なしに全員合意によって通過させることを要請します」。クロアチア政府代表の要請に、全員が約束でもしたかのように一瞬、沈黙が流れる。議長は直ちに採決に入り満場一致での通過を宣言した。
 四月二十三日、ジュネーブで開かれた第五十八回国連人権委員会の会議場で展開された、わずか二、三分という短い瞬間のことだった。だが、この瞬間のために、これまで二年間、とくに今回の国連人権委の期間中、夜となく昼となく努力してきた韓国や国際人権非政府機構(NGO)の活動家たちにとっては緊張の連続だった。現場でこの場面を見守った人権NGOの活動家たちは安堵と会心の笑みを浮かべた。
 今回の決議案は形式的には提案国クロアチア政府をはじめとする十余のヨーロッパ各国の主導によって実現した成果ではあるが、内容の面では人権NGOの寄与が決定的だった。つまり一部の親人権国家と人権NGOの合作品なのだ。
 決議案の採択直後、今回の決議案の重要性について聞いてみると、クロアチア政府の関係者は「国連人権高等弁務官室が良心的兵役拒否権の認定や代替服務制の導入に関連した模範事例を集めて分析する報告書作成の作業を継続することが核心」であり、すべての国家に「良心的兵役拒否権にかかわる自国内の現行法や慣行を国際人権基準にてらして検討することを促す」内容も重要だと強調した。
 NGOの資格で決議案の草案作成に参与したクウェーカー教徒で人権学教授のレイチャル・ブレット氏は「昨年と比べて注目すべき部分は次の会期の報告書作成に国家人権委員会の参与を保障している点だ」と語った。さらに彼は「二〇〇〇年の決議案に従って人権高等弁務官室が今年初めに国連人権委に提出した報告書によれば、約百八十カ国を超える国連加盟国のうち十一カ国だけが資料を提出した。このような流れならば次の会期にも忠実な報告書を作るのは難しい」し、今回の決議案は「国家人権委や人権NGOの積極的な参与を強調している」と説明を付け加えた。
 この部分は、韓国の良心的兵役拒否運動にも重要な戦略的契機を提供するものと思われる。韓国政府は良心的兵役拒否に関する模範事例を集めて提出することを要請する二〇〇〇年決議案に賛成したけれども、いかなる資料も提出しなかった。理由を聞くと、政府のある関係者は「模範事例がなくて送る内容がなかった」という極めて簡単な「模範回答」を提示した。当然にも今回の報告書には韓国の状況が全く言及されなかった。だが今年の決議案に国家人権委が含まれたことによって、次の報告書には韓国政府が協力しなくとも国家人権委を通じて公式の手続きを踏み、韓国の実態を国連に伝えられる道が開かれることになった。
 良心に従った兵役拒否権は一九八七年の国連人権委で初めて認定された。だが他の人権問題に比べて相対的に大きな注目を受けるテーマではなかった。そうこうするうちに良心に従った兵役拒否権の「マグナ・カルタ」として知られる一九九八年の決議案や、その後の二〇〇〇年決議案が採択されるとともに、最近になって関心を集め始めた。偶然と言うべきか、韓国でもオ・テヤン氏の事件を契機に最近、急速に公論化され始め、ついに昨年、国連のNGO協議資格を獲得した「民主社会のための弁護士の会」(民弁)は国連人権委に代表団を派遣した。従って例年なら国連人権NGOの活動家三、四人が集まってやっていた仕事を、今回はクウェーカー教、戦争抵抗者連盟(WRI)、国際和解親交連合(IFOR)、パクスロマーナなどの国際NGOに民弁が加わり十余人で構成された「多国籍ロビー・チーム」が構成された。
 これまでの十余年間、この問題に取り組んできた国際和解親交連合のチョナダン・シソン氏は「千六百人を超える大変な数、しかも恐らくは世界最大の兵役拒否の良心囚を擁する韓国の人権NGOがいまになって国連人権委に参与したのは遅ればせの感がある」「けれども韓国NGOの参与によって良心に従った兵役拒否権が西欧民主主義国家に限定された問題ではなく普遍的な人権であることを確信させる契機を提供した」として韓国人権NGOに対する高い期待感を表した。
 民弁および人権平和連帯の会員で構成された五人のNGO代表団の団長格であるイ・ソクテ弁護士は「約十日間のジュネーブ滞在期間に国連、政府、NGOなど、韓国の良心に従った兵役拒否権問題にいささかでも力になれるほとんどすべての人々に会い、またすべての会合に参加した」と語った。アジア人権NGOの支持を引き出すために民弁のオ・ジェチャン弁護士は韓国NGOを代表して、マレーシアの国家保安法の被害者のための一日断食に参加したりもした。
 代表団はチュニジア出身の、宗教と信念の自由(以前は、宗教的不寛容)に関する国連特別報告官アモロ氏に会って韓国訪問を積極的に要請したし、国連人権高等弁務官の良心に従って兵役拒否権報告書の作成者に会って今回の報告書の不充分な点、今後の改善点や協力について論議した。
 これに先立って四月三日、良心に従った兵役拒否権をテーマにして開かれたNGOの討論会でイ・ソクテ弁護士は現在、監獄にいる千六百四十余人の名前が書き込まれた五十余ページの英文資料やビラを中心にして韓国の状況について発表した。一方、ジュネーブ代表部大使の招請で開かれた懇談会で代表団は韓国政府がアモル特別補佐官の韓国訪問と決議案の通過に協力するよう要請した。
 民弁は国連人権委でのNGOの口頭発言では韓国政府に「良心に従った兵役拒否者に対する人権侵害を公開的に率直に認め、彼らを赦免し即時釈放することによって彼らを犯罪人に仕立てるのを中断し、監獄や社会生活で味わっているすべての差別の慣行を速やかに解決すること」を主張した。これに対して韓国政府は「憲法裁判所に違憲審査の要請が行われている最中だ」との理由をあげて明確な立場の表明を留保した。
 そのかわり、「良心の自由に関するすべての人の権利を完全に保障しているが、韓半島の特殊な安保状況によって義務服務制および徴兵制を採択している」として国内状況の特殊性を主たる理由として提起した。かつての軍事独裁の時代に国家保安法の必要性を強弁していた論理が再び登場した、というわけだ。
 これについて、人権専門家の一人は「普遍的に認められた良心に従った兵役拒否権を、国際人権法でもない国内法の問題へと還元して責任逃れをしようという防衛的な対応」だと指摘した。ともあれ韓国政府は今年の決議案に賛成した。韓国政府が「良心」に従って決議案に賛成したのか、それとも国連では賛成して国内ではこれを無視しようとする「両心」で賛成したのかは、まだ即断しがたい。
 結局、韓国の良心に従った兵役拒否権問題はジュネーブを経て再び国内に戻ってきた。決議案通過の知らせを国内で伝え聞いたNGO代表団の一員は「よしんば一ページという分量にすぎない小さな文書ではあるものの、良心に従った兵役拒否が、普遍的に認められた人権であることも知らずに『罪人』となった約千六百四十人の良心囚にとって、そして問題の解決のために努力してきた韓国の人権活動家にとって希望と勇気とが吹き込まれた」と大きな意味を付与した。
 はたして二〇〇四年の国連人権委に提出する報告書において韓国の「模範事例」を見ることはできるだろうか。いまのところ憲法裁判所が国際人権基準にふさわしい「模範答案」を作り出せるのかにかかっている。(「ハンギョレ21」第407号、02年5月9日付、ジュネーブ=イ・ソンフン通信員)

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