かけはし重要記事

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戦争国家体制作りと対決して5・3憲法集会に5000人  かけはし2002.5.13号より

有事法制3法案を廃案に!

廃案めざし5〜6月闘争に全力を

 五月三日、東京・日比谷公会堂で「生かそう憲法 高く掲げよう第九条 許すな有事法制」をメインスローガンに、「二〇〇二年五・三憲法集会」が開かれた。この集会は昨年に続いて、憲法改悪に反対する独立した市民運動と社民党系・共産党系などの護憲団体が組織や支持政党の枠を超えて連携し、幅広い闘いを作り出すために実行委員会を形成して実現された。
 小泉政権が有事法制三法案を国会上程し、連休明けから審議が開始されるという緊迫した状況のなかで開かれたこの集会には、会場に入りきれない五千人が結集し、平和憲法を破壊する有事法制を絶対に阻止することを誓い合った。集会後、憲法記念日の休日で賑わう銀座通りから東京駅までのデモで、有事法制を阻止しようと訴えた。
 開場の正午には、すでに日比谷公会堂前の公園に数百メートルの長蛇の列が左右に大きくうねりながら連なり、どんどん長くなっていく。開場とともにたちまち一階も二階も満席となり、通路も埋まり、ロビーも埋まり、それでも入り切れない人が公会堂の外にあふれている。入り切れなかった人たちは、ロビーのテレビや会場の外に設置されたスピーカーで報告を聞くという大盛況となった。
 集会は、憲法改悪阻止各界連絡会議の高田公子さんと「憲法」を愛する女性ネットの山口菊子さんの司会で進められた。最初に主催者を代表して、許すな!憲法改悪・市民連絡会の富山洋子さんがあいさつに立って訴えた。「意志表明もできず、殺し、殺されてゆく戦争が早く終わってほしいと願ってきた。戦中世代として平和憲法への胸のときめきを忘れることはできない。憲法にもとづく平和政策によって絶対に有事をもたらさないようにすることこそ求められているということを共通の確認としよう。闘いをさらに強め、政治状況を変えるために努力しよう」。
 続いて、「軍隊を持たない国」コスタリカから来日した国際反核法律家協会副会長カルロス・バルガスさんが連帯あいさつを行なった。「一九四八年に内戦ののち軍隊を放棄した。それから人権と民主主義が大きく広がった。軍隊に投入していた予算が教育費になった。環境を大事にし、国土の二五%が国立公園になっている。八三年には永世中立を宣言した。私たちは紛争の多い中米に平和と平和的解決を輸出している。すべて軍隊を放棄したからできたことだ。世界中のたくさんの人が、日本が戦争への道を歩まないように願っている」。
 各界からの発言は、平和をつくる宗教者ネットの小河義伸さん、全港湾労働組合の伊藤彰信さん、CHANCE!の海南友子さん、女性の憲法年連絡会の中小路貴子さん、子どもと教科書ネット21の糀谷陽子さんから。この中で伊藤さんは、「われわれは『港を軍港にするな』のスローガンで朝鮮戦争でもベトナム戦争でも荷役を拒否して闘ってきた。報復戦争でインド洋に派遣されている自衛隊への荷役も拒否している。いまは協力依頼だが、有事法制ができれば強制になるだろう。憲法を否定する有事法制に反対してともに闘いたい」とアピールした。
 学校中退者や生きる道に迷う若者を受けとめる学校「のむぎオープン・コミュニティー・スクール」の若者が中心になった「のむぎ平和太鼓」が、ぶち合わせ太鼓のダイナミックな演奏で会場の熱気をさらに高める。
 スピーチは社民党党首の土井たか子さん、作家の小田実さん、埼玉大名誉教授の暉峻淑子さん、日本共産党委員長の志位和夫さんから。土井さんは、「戦争の準備をすれば戦争になり、平和の努力をすれば平和になるというのが、人類史が示してきたことだ。小泉内閣は平和への抵抗勢力だ。廃案をめざして闘いぬこう」と訴えた。
 ベトナム戦争の博物館にべ平連運動の資料を贈るためにベトナムに行って帰国したばかりの小田さんは、博物館に展示してあった米軍の七トン爆弾について触れながら述べた。「もっと巨大な爆弾がアフガニスタンで使われている。アメリカはベトナム全土を破壊して三百万人を殺したことにも、枯葉剤を撒き散らしたことについても責任を認めず、何の補償もしていない。日本が中国侵略を反省していないのと一緒だ。憲法は実現していない。九条を守れではなく、どのようにそれを実現するか考えるべきだ。日本は良心的兵役拒否国をめざすべきだ」。
 暉峻さんは、深刻な不況のなかで小泉政権が青年からも高齢者からも生きていく希望を奪う政策ばかり押しつけるとともに、社会の軍事化を推し進めていることを糾弾し、「議員一人一人に心から訴え、新聞に投書し、つながりを大事にしながら一歩でも動いてほしい」と呼びかけた。
 志位さんは、「有事法制三法案は読めば読むほど恐ろしい内容だ」と述べて、アメリカが行なう介入戦争に国民を強制的に動員しようとする憲法破壊の悪法案を、全力を上げて廃案に追い込もうと訴えた。
 平和を実現するキリスト者平和ネットの西原美香子さんがカンパアピールを行ない、憲法を生かす会の小笠原はるみさんが集会アピールを提案し、全体の拍手で確認された。全労協の武藤弘道さんがデモについての指示、最後に全労連の田中洋子さんが閉会あいさつを行なった。
 銀座を通るデモでは、右翼集団が巨大な宣伝カーからがなりたてて妨害を試みた。五千人のデモはより一層、「憲法改悪を阻止しよう」「有事法制三法案を廃案にしよう」と強く呼びかけながら、連休で賑わう銀座通りから東京駅に向かった。
 われわれは、集会参加者に「かけはし」号外を配布するとともに、市民運動や労働運動の隊列のなかで行動の成功のためにともに闘った。有事法制三法案の廃案をめざし、五〜六月の闘いに全力を上げよう。(I)

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