| 憲法改悪と一体となった「人権・平和」の破壊 かけはし2005.12.19号 |
| 「国家」を主体にした教育理念と「競争原理」の全面導入策す |
自民党にすり寄る公明党指導部
早まる改悪案作
成の政治日程
政府・与党は、全国的な教育基本法改悪反対運動の高揚によって改悪法案を国会に提出できない状況に追い込まれてきた。だが政府・与党は、この間、改悪法案を〇六年通常国会に上程しようと諸策動を強めている。
これまで改悪法案の「愛国心」に関する表現問題を中心に、自民党案の「郷土と国を愛し」という文言と、公明党案の「郷土と国を大切にし」という文言が対立したままの状態が続き、両者妥協しないまま現在に至っていた。ところが、この間、自民党幹部は、通常国会で教基法改悪法案、防衛省設置関連法案、憲法改悪に向けた国民投票法案の提出、成立をめざすことを公明党幹部に伝え、新たな踏み出しを開始した。
神崎公明党代表は、「毎日・世論フォーラム」(十一月二十九日)で「中教審答申から二年半、自公間で議論を重ねてきた。相違点は『国を愛する心』をどう表現するかの一点に集約している。表現をどうするのか最終調整した上で、次期通常国会で決着をつけることも考えていきたい」と自民党にすり寄ることを公言したのである。また、防衛省設置関連法案については、「防衛国際平和省とか、防衛国際貢献省とか、自衛隊が変わったことを国民に説明することが必要」などと名称問題にすりかえて、グローバル戦争に積極的に参戦していくための国家作りに賛同表明したのである。
この公明党の自民党へのすり寄り姿勢は、小泉首相が衆院選後、自民党大勝を背景に、民主党分裂と混乱を作り出すために大連立を前原代表に打診していたことや、対中国外交路線のスタンスの違いの表面化など、場合によっては公明党と一定の距離が発生してもかまわないという判断に対して公明党指導部が驚き、妥協せざるをえないところまで追い込まれていた現れである。公明党内・創価学会対策として存在価値をアピールするために、来年度予算編成に向けて自民党と公明党が児童手当支給対象拡充で合意したことがその結果だ。自民党は、これを取り引き材料にして、三法案の提出と成立で一致させたのである。
そもそも小泉首相が教基法改悪推進派の安倍晋三を官房長官に就任させることによって公明党・創価学会の妥協を引き出すことを決断していたのである。他方で、推進派は、日本会議国会議員懇談会、立正佼成会など宗教族議員を中心にして公明党・創価学会と対抗してイニシアチブを取る動きも水面下で進行していた。
このような公明党に対する複合的な圧力と包囲によって、「国を大切にし」の文言修正、撤回も含めて政治的に取り引きしていくことを明らかにした。即座に、小坂文科相は、「次の通常国会でなんとしても出したいと思っている」と強調し、改悪法案のとりまめを急ぐことを官僚らに指示したのである。
中教審答申とつ
よまる管理統制
教基法改悪の動きは、文科相の諮問機関である中央教育審議会が〇三年三月に「新しい時代にふさわしい教育基本法の在り方と教育振興基本計画の在り方について」を答申して以降、加速しだした。答申後、自民党と公明党は、「与党・教育基本法改正に関する協議会」を設置し、〇四年六月に「教育基本法に盛り込むべき項目と内容について」(中間報告)を明らかにした。同時に、「現行前文中の『憲法の精神に則り』の扱いについて」、「宗教教育及び宗教的情操の内容と取り扱いについて」、「義務教育制度について、特にその年限について」、「教育行政における『不当な支配に服することなく』について」など合意できていない項目を「論点」という形でまとめている。
中間報告以降も協議会は、早いペースで進み、すでに法案の条文は十九項目で合意し、個別検討に入ることを明らかにした(九月二十一日)。十九項目は、「前文・教育の目的・教育の機会均等・生涯学習社会への寄与・家庭、学校、地域の連携協力・家庭教育・幼児教育・学校教育・義務教育・大学教育・私立学校教育の振興・教員・社会教育・政治教育・宗教教育・教育行政・教育振興基本計画・補則」。中間報告の論点については、後回しにして検討を始めた。
新局面に入った
改悪反対の闘い
法案全文は公表されていないが、中間報告の延長で改悪条文案を作成しているはずだ。
「前文」は、「個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成」を削除するなど憲法改悪とセットで現行前文とは全く異なる内容となる。「民主・人権・平和」の原理を捨て、新自由主義と国家主義をミックスした内容だ。「教育の目標」は、「道徳心の涵養」、「公共の精神」、「良き習慣」、「伝統文化を尊重し、郷土と国を愛し(大切にし)」など新たに加える。この観点から学校教育の内容や、内心に対する不当な介入を強化しいくだろう。「国際社会の平和と発展に寄与」は、戦争ができる国家作りのために教育現場まで貫徹させようとするだろう。
「教育の機会均等」は、国家として機会均等義務を否定し、差別・選別・エリート教育の強化をねらっている。
「義務教育」は、国家が望む国民像の押しつけをめざし、「九年の普通教育」を「別に法律に定める」として学校教育法の改悪を射程にしている。すでに義務教育費国庫負担金は財政破綻を理由に削減し、教員削減など地域間の格差が拡大してしまうことを肯定している。
「男女共学」は、男女平等教育を否定しジェンダー・フリー・バッシングキャンペーンを強化し、憲法二十四条「婚姻・家庭生活における両性の平等」改悪を射程にしている。
「学校教育」は、学校設置者の範囲を拡大し、新自由主義教育を推進する。教員に対しては、「規律を守り、真摯に学習する態度」や「自己の崇高な使命を自覚して」などを強調し、国家が望む教員像を強制する。つまり、「日の丸・君が代」などに抵抗・反発する教員は排除の対象となり、これまでよりもさらに処分攻撃が強化されるだろう。
「大学教育」は、グローバル経済を勝ち抜く人材育成と位置づけた。「私立学校の振興」は、教育特区や株式会社学校などを広げようとする。いずれも資本の要請に応えた内容である。
「宗教教育」は、公明党の妥協を引き出しながら、「改正案」に「一般的な教養」を加え、「宗教的情操の涵養」と称して、復古主義的な国家神道教育も可能にすることを策動している。
「教育行政」では、教育への国家・行政権力の介入を禁じた現行法十条を否定し、「不当な支配に服することなく」を押しつけ、教職員組合や市民運動などからの批判を排除し、処分攻撃で弾圧してくるだろう。
補則では、教育振興基本計画を教基法に組み込み、行政施策法にする。つまり、文部科学省、行政の権限や介入・統制、予算措置などが強化される。
小泉政府・与党は、通常国会で改悪法案を提出し、強行成立させる意志一致を終了している。教基法改悪法案反対運動は、新たな局面に入ったのである。全国連絡会が提起する全国千ヵ所行動、三月三十一日(金)国会包囲全国行動に向けて取り組みを強化していこう。 (遠山裕樹)
教基法・憲法の改悪を止めよう
三五〇〇人の結集で来春千カ所行動を確認
十二月三日、教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会は、東京・日比谷野外音楽堂で「教育基本法・憲法の改悪をとめよう!12・3全国集会」を行い、全国各地から三千五百人が集まった。
呼びかけ人の小森陽一さん(九条の会事務局長)は、小泉劇場と称する情報操作を批判し、「教基法と憲法が一体のものとして改悪されようとしている。国民の命と税金を使って、米の世界戦略のために利用されるだけだ。人を殺すことは、人間としてもっともやってはいけないことだ。自衛軍を持つことは、人を殺すことを国家の名のもとで正当化することだ。このような教育現場にさせてはならない。隣近所に反対をはたらきかけていけば、本当の力となる」と元気一杯に発言。
次に、壇上に「日の丸・君が代」の強制に反対して処分に抗議して作られた諸団体・グループの横断幕が並び、「さまざまな運動から」発言が始まった。「新しい歴史教科書をつくる会」の歴史・公民教科書の採択反対運動、九条の会を職場で取り組む大阪府高教の仲間、東京都の「日の丸・君が代」不当解雇撤回を求める被解雇者の会が報告と闘う決意を発言した。
「日の丸・君が代」の強制に抗議する被処分者の根津公子さんは、「都教委は、夏に転向強要のための再発防止研修を強行した。私たちは、ゼッケンなどを付けて抗議の意志を現した。ところが都教委は、腹をたて十二月一日、十人を処分をしたのです。研修時が授業とぶつかっていたため欠席したところ『拒否』したとして減給六カ月の処分をした。私たちは弾圧には怯みません。不起立することが常識となれば弾圧はできない。今年度の卒業式も頑張りましょう」と訴えた。
次に、呼びかけ人の三宅昌子さんが「グローバリゼーションの中の労働と命」というテーマで新自由主義的教育改革を批判した。
さらに発言は、小池晃参院議員(日本共産党)、福島瑞穂参院議員(社民党)、西原博史さん(早大教授)が自民党憲法草案を批判、高橋哲哉さん(呼びかけ人)、昨年四月、「人質」となってバッシングを受けたがイラク反戦の取り組みを続ける今井紀明さんなどから行われた。
最後に、大内裕和さん(呼びかけ人)が教基法と憲法改悪を許さない労働運動を作り出していこうと集約した。また、集会アピールを参加者全体で採択。〇六年三月三十一日(金)に全国結集して国会デモ、全国千ヶ所行動を取り組むことを確認した。
集会後、銀座に向けてデモに移り、「教基法改悪を許さない!憲法改悪反対!」を訴えていった。(Y)
イラク派兵延長閣議決定許すな!
WPNが国会前行動と首相官邸へ抗議の訴え
十二月十四日のイラク派兵基本計画の二度目の期限切れを前に、小泉内閣は十二月八日に臨時閣議を開いて、イラク派兵を延長することを決定した。この決定に先立って十二月三日に額賀福志郎防衛庁長官はイラクのサマワをわずか四時間半だけ訪問し、自衛隊やオーストラリア軍の指揮官、サマワのイラク行政当局の話を聞いて「サマワの治安は安定している。自衛隊の活動は市民から感謝されており、今後とも復興支援活動が必要」と語った。しかし、額賀があわただしくサマワを退いた翌日、自衛隊が市民に包囲され、投石されて「ノー、ジャパン」の声を浴びせられる事態が勃発した。額賀の発言はまさに茶番となったのである。
十二月八日の閣議決定は、派遣期間を二〇〇六年十二月十四日までとし、十二月十五日に予定されているイラク国民議会選挙と新政権樹立のプロセスや、イラク治安部隊への権限移譲、英豪軍などの多国籍軍の活動を見極めながら「適切に対応」するとしている。
英豪軍などが来年五月にも撤収を開始し、選挙後に成立するイラク正式政権が「占領の早期終結と多国籍軍の撤退」を強力に要求することが予測される中で、小泉政権の任期中の来年九月までに陸自部隊を撤退させることが含意されている決定だ、という観測も強まっている。これ自体、イギリスやオーストラリアの模様眺めの判断で、イラク情勢やイラク民衆の要求には完全に背を向けたものである。しかし、たとえ陸自が撤退したとしてもクウェートで米軍の人員・物資の輸送支援にあたっている空自部隊は残すとも報じられている。
実際、イラクに駐在する陸自部隊は二年間で六百五十億円もの予算を浪費しているにもかかわらず、もはやほとんど実質的な活動は行っていない。「人道復興支援の主要任務」とされていた給水活動は今年二月に終わっており、「道路や学校の補修」といった活動も、実際の作業はイラク側に委託している。自衛隊派兵の延長は、「日米同盟」の下での海外派兵の実績を積むという政治的アピールという性格が強いものだ。
しかし、われわれは今回の派兵延長閣議決定を絶対に軽視すべきではない。それは、ブッシュ政権の発動している「対テロ」を名目としたグローバルな先制攻撃戦略に、実戦部隊として恒常的に参加するための不可欠の土台なのである。憲法9条を無視して強行されたイラク派兵・占領軍への参加は、特措法の限界を超えた今後の恒常的派兵法や9条改悪にとって不可欠のプロセスなのである。われわれは十二月八日の派兵延長閣議決定を許さない。
米軍再編反対!
即時撤兵実現へ
十二月八日、WORLD PEACE NOWは正午から国会前の路上で、午後に予定されている派兵延長の閣議決定に抗議する緊急の集会を行った。五十人が集まった集会では民主党の神本美恵子参院議員、共産党の塩川鉄也衆院議員が連帯のあいさつを行い、日本山妙法寺、ふぇみん・婦人民主クラブ、VAWW―NETジャパン、東水労、憲法を生かす会、中野の谷津志津さんなどが派兵延長に抗議して発言した。つづいて首相官邸前に移動し、「スグモドレ自衛隊」、「派兵を延長するな」とシュプレヒコールを繰り返した。
来年二月には第九次派兵が陸自東部方面隊から派遣される。一月十五日、二月十二日には練馬、朝霞で派兵反対の集会・デモが予定されている。
米軍再編に反対する全国各地の闘いと結びつき、自衛隊イラク派兵反対・即時撤退を求める行動を作りだそう。 (K)
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