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5・3憲法集会実が緊急集会              かけはし2005.12.12号

自民党新憲法草案への批判を強め国民投票法案ストップへ


戦争国家づくりの
ための「新憲法」

 十一月二十二日、自民党は結党五十年の記念大会を行い党の新憲法草案を確認した。この「新憲法」は、現行憲法を清算し、9条2項の改悪による「自衛軍」の創設と海外での戦争の容認、「公共の福祉」の「公益及び公の秩序」への改ざんによる基本的人権の破壊、「政教分離」の緩和による国家と神道の接合と靖国参拝の合憲化、首相への行政権限の集中、改憲要件の緩和など、戦争国家体制の確立へ導くものである。
 この日、5・3憲法集会実行委員会は、東京・永田町の星陵会館で「自民党の改憲暴走にSTOPを! 自民党新憲法案に抗議! 緊急集会」を開催した。集会には百四十人が参加した。
 集会に参加した国会議員を代表して、社民党の保坂展人衆院議員と共産党の小池晃衆院議員があいさつした。保坂さんは、国会が終わってからイラク派兵延長をブッシュに確約したり、米軍基地再編を押し付けたりする小泉内閣の手法と自衛隊の治安出動や軍事裁判所を創設する「新憲法案」を批判した。小池さんは立憲主義の根本を否定した自民党新憲法案の本質が「アメリカのたくらむ海外での戦争に自衛隊が参加するため」であると批判し、米軍再編がすべてのマスコミが指摘するように改憲と一体のものだと訴えた。
 しかし、米軍基地再編によって負担を強制されるすべての自治体の首長がそれに反対していることや、APEC首脳会合後の記者会見で韓国メディアから「日本が再び戦争する国になるのではないか」と突っ込まれた小泉が「9条があるから大丈夫」と答えざるをえなかったことなどを小池さんは指摘し、新憲法案の矛盾が早々に露呈していることを暴き出した。

新憲法草案の激
しい変遷の意味

 「やひろ劇団」の寸劇の後、メイン報告を渡辺治さん(一橋大学教員)が行った。渡辺さんは、総選挙の後に自民、民主両党ともその構成が大きく変化したことを最初に説明した。自民党では「古い自民党」を体現する保守主義的傾向が大きく後退し、新自由主義的傾向が増大した。他方、敗北した民主党も旧社会党出身者や労組を基盤とした議員が落選し、きっすいの新自由主義的傾向の比重が高まった。こうした背景の中で、自民党の憲法案が「要綱」や「草案」というかたちで昨年から今年にかけて七回にわたって提示されたが、はじめの三つと後の四つではその性格が大きく変化している、と渡辺さんは語った。
 最初の三つの案の集約は、二〇〇四年十一月の「改正草案大綱(たたき台)」である。それは自民党が「改正」したいすべての内容をぶちこんだ「理想案」だった。家族のために個人の人権は制限され、教育の目標は「日本の文化と伝統を守る」ところに設定された。とりわけ「草案大綱(たたき台)」では、参院議員の任命制まで打ち出された。しかしそれは袋叩きにあった。ここから自民党は方針を大きく変えた。今年八月に出された第一次草案では、伝統的保守派の理想は「前文」に残りかすとして形を止めるだけになってしまい、本文はきれいさっぱり変更された。そして十月二十八日に発表された最終草案では「前文」からも伝統や家族の価値が消え、一見「マイルド」なものになってしまった。
 渡辺さんは、この「新憲法草案」の特徴を五つに整理した。
 第一は、「改正」の焦点を9条と96条(改正要件)に絞ったことである。それは公明党や民主党がやめてほしいと言っている新保守主義的内容をすべて取り去ったことを示している。
 第二は、9条2項の改悪である。解釈改憲によって自衛隊の海外派兵が積み重ねられてきたが、それでもイラクに派遣された自衛隊の活動に見られるように、他の国の軍隊と違って実際の戦闘に参加できない。今回の改悪案では、たとえ国連決議がなかったとしても自衛隊が海外で武力行使することをはっきりと認める内容になっている。
 第三は、環境権など「新しい人権」条項を入れたことである。これは古い改憲派が認めなかったことであり、自民党が「新しい改憲派」の党になったことを示すものだ。
 第四は、「構造改革」推進の立場が、民主党が支持しているものに限って入れられたことである。それは83条2項の「財政健全化」、64条2項の「政党」規定に現れている。ここでは国が「政党の活動の公正の確保及びその健全な発展に努めなければならない」としている。これは国家による政党への介入をもたらす。
 第五は、96条の「改正」によって、改憲発議の三分の二条項が二分の一に変えられ、いつでも好きな時に改憲できるようになってしまったことである。

もっと広範な共
同戦線をめざせ

 このように分析した渡辺さんは、その狙いが民主党、公明党を改憲協議の場に引きずりこむことにあると述べた。今や、民主党では改憲派の前原誠司が党首であり、改憲日程を進める上で最大のチャンスであると自民党は捉えている。二〇〇六年には国民投票法案が上程・成立させられる危険が迫っている。この国民投票法案が改憲それ自体とは無関係だというのは真っ赤なウソであり、たんなる改正手続き法案ではない。
 改憲派にとっては国民投票に一〇〇%勝利しなければならない。しかし改憲支持が世論調査で七〇%を超えていても、9条改憲反対は六二%の多数である。そこで自民党としては個別条項ごとに賛否を問うのではなく一括投票方式にしなければならない。自民党案が「読売」案に比べてはるかに小幅な改憲案であるにも関わらず、あえて「新憲法」と銘打った理由がここにある。新憲法案として打ち出せば、一括投票方式にしやすくなるという判断が働いたに違いない。
 渡辺さんは、「国民投票法案」に盛り込まれているマスコミの報道規制や運動規制を批判しつつ、国民投票で絶対に過半数を獲得するために、今までの常識を覆す広範な共闘を組み、当面、国民投票法案を阻止するために全力を上げようと訴えた。
 実行委員会を構成する平和を実現するキリスト者ネット、憲法改悪阻止各界連絡会議、憲法を愛する女性ネット、憲法を生かす会、平和憲法21世紀の会の発言の後、拍手に包まれて十月二十九日に沖縄で不当逮捕され、十一月十六日に釈放をかちとった日本山妙法寺の木津上人が登壇した。木津さんは、十月二十九日の午前中には、沖縄署が「あなたたちの活動はよく理解している」と言いつつ午後になって不当な弾圧に転じたことを糾弾し、「非暴力、非殺生、不退転」で闘うと決意表明した。
 二〇〇六年、改憲「国民投票法案」阻止を最大の課題に全力で闘おう! (K)   


「危ない教科書」反対運動報告集会
「つくる会」教科書を惨敗させた闘いと今後の課題

 【大阪】「つくる会」教科書採択反対運動の報告集会が十一月二十七日エルおおさかで、「子どもたちに渡すな!あぶない教科書」大阪の会主催で開かれ、方清子さん(パン・チョンジャ 在日韓国民主女性会)と重藤英一さん(大阪教育合同労組)が司会した。
 代表の上杉聰さんが基調報告をした。二〇〇六年度から使用する中学校教科書の採択結果は需要数に対する採択率で、歴史では無難な東京書籍が51・2%(大阪だけでは13・3%)、大阪書籍が15・4%(大阪だけでは62・2%)、公民では東京書籍が60・9%(大阪だけでは48・9%)、大阪書籍が13・6%(大阪だけでは28・9%)と、この2社が他を断然離している。「つくる会」の扶桑社教科書の採択率は、歴史が0・39%(前回0・047%)、公民は0・19%(前回0・055%)だった。
 「つくる会」の惨敗は誰の目にも明らかだ。この結果を受け「つくる会」の八木秀次会長は、敗北を認めた上で、義務制公立中学校教科書の採択をする教育委員会の採決が二対三で惜敗した自治体が多かったことをあげ、歴史・公民に加え地理で四年後の採択に三度挑戦することを明らかにした。
 現行制度では高校教科書の採択は各高校ごとに行うが、日本会議をバックにした明成社の高校日本史教科書は、二〇〇五年度使用の需要数に対する採択率が0・9%であった。この数字が「つくる会」系の基礎的力であり、このたびの結果はこの0・9%にも遥かに及ばなかった。「つくる会」の客観的な限界は二つあると、上杉さんは指摘した。
 一つは、現行採択制度である。広域採択(地域によっては複数の教育委員会の共同採択)では「つくる会」が生き残ることは難しいことがわかった。成功したのは、栃木県大田原市だけだった。広域採択区の規模を小さくするよう、少なくとも市単位は独立採択地になるよう教科書無償措置法改定に取り組みたいと「つくる会」は言っている。「われわれは、広域採択を守れと言うべきだ」と上杉さんは語った。

「つくる会」が孤立し
たさまざまな要因

 二つめの限界は、教育行政の独立という制度である。今回は、「つくる会」支援議員連盟の元座長の中山成彬が文科相であり、前回の文科相の町村が外相という最強の布陣で、「つくる会」・日本会議・保守系議員の三者共闘で運動を展開してきた。文科省が暗に扶桑社教科書採択をにおわす指導をし、手続きを見直す自治体も出始めた。奈良県議会や宮城県議会では学校長や現場教員の希望を取り入れるやり方の改善を求める請願を採択した。閣僚からも扶桑社教科書を援護する言動が目立った。にもかかわらず、基礎的力の0・9%すら超えられなかった。典型的例は新潟県だ。拉致被害者の会の請願が議会で採択されたが、教育委員会はそれには従わず、少なくとも採択に関しては自立性を保ったと言える。
 さらに、韓国・中国からの働きかけ、子弟の80%を日本の学校に通わせている在日の人たちの運動が大きな要因だった。また、「つくる会」のような運動は、現時点では安部晋三など自民党の右翼を動かせても全国の自民党全体を動かすことはできなかった。「つくる会」は孤立している、と上杉さんは分析する。

しかし薄氷を踏
む勝利であった

 さらに上杉さんは、「つくる会」は惨敗したとはいえ、「採択結果はわれわれにとって大勝利とはいえない、薄氷を踏む勝利だった。教育委員会の採決〈2対3〉で扶桑社が惜敗した自治体は、埼玉県、帯広市、栃木市、東京江東区、調布市、鎌倉市、新浜市、大阪枚方市、広島県庄原市と九に上る」と述べ、「これが全部ひっくり返っていれば『つくる会』の採択率は二〜三%になっていた。『つくる会』を孤立させる方向で今後の運動を考えるべきだ。そうすれば次回の採択では、彼らの採択をゼロにすることもできる」と語った。
 また、「つくる会」効果として、従軍慰安婦問題・強制連行を載せたのはわずかに二社のみで、教科書の内容が全体として悪くなっていること、歴史教科書として内容的にもっとも優れている日本書籍新社の採択率は3・1%で、前回より大きく採択率を減らしていることをあげ、今後教科書内容の点検をしていく必要があると述べた。

愛媛の反対運動の
教訓を共有しよう

 この後、西日本各地からの運動報告として、愛媛から「えひめ教科書裁判を支える会」の奥村悦夫さん、熊本から「教科書ネット八代」の中山邦夫さん、和歌山から「和歌山県平和フォーラム」の藤原慎一郎さん、そして地元大阪からは北摂(三島高槻・吹田)、大阪市、枚方各地域から、最期に韓国民団大阪府本部から、扶桑社教科書の採択反対運動が詳しく報告された。
 愛媛では、中高一貫校など県立学校での採択取り消しと損害賠償を求めて訴訟の準備が進んでいる。奥村さんは、「採択に際しての閣僚や加戸愛媛県知事・保守系議員の行為は教育基本法十条に違反する政治介入である、『つくる会』の運動は採択という公共入札における不正な落札行為である、したがって『つくる会』は入札から除外すべきだ」と裁判を提訴することになった論理を明快に説明し、このような訴訟を構えた要請行動や公開質問状の行動が、教育委員会による扶桑社教科書の採択を未然に防いでいたと述べた。
 集会の最後に、実行委員会から東京日比谷公会堂での「12・3教育基本法の改悪に反対する全国集会」への参加の呼びかけがあった。      (T・T)


秋田県湯沢市
平和塾の成果をさらに発展させよう

 【秋田・湯沢】十一月二十六日、湯沢市コミュニティセンターで、第二期第五回むのたけじ平和塾学習会が開催され四十人が参加した。
 はじめに、むのたけじさんから衆院選の総括が話されて「小泉劇場を誰が準備したか、それは沖縄にある米海軍情報戦の中心を担う『ゾウのオリ』ではないか」と語り、「今回の選挙結果は、病理学でひもとけば分かる。二十五歳から四十五歳の、ふだんは選挙に無関心な層を動かす心理作戦であった」と提起した。
 「憲法改悪も、もしかしたら国民投票を実施しないで、中国との実戦体制を準備していこうとしているのではないか」「これを打ち破るためには、これまでの平和運動ではなく、間接代議員制を突破し、直接デモクラシーをめざし主権を取り戻す闘いが必要であり、戦争反対から戦争をさせない、権力にしばりをかける直接運動を実現しなければならない」と話した。
 さらに「この二年間の平和塾の成果をさらに前進させるために『湯沢平和学校』を設立し、日常的関係の構築のために地域に事務所を設置し、他団体、地域との共闘を実現しよう」と具体的に踏み込んだ提案がなされた。
 これを受けて、参加者による活発な討論が行われた後、司会から「事務所設置の具体案については実現の方向で、運営委員会で検討したい、次回今年最後の平和塾は十二月十七日に開催したい」と意見集約がなされ散会となった。 (H)


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