| 10.11郵政民営化法案衆院可決糾弾! かけはし2005.10.17号 |
分断をはねのけ小泉「改革」に反撃する労働者市民の連帯を
それでも郵政民営化法案は間違いだ
郵政ユニオン、監視ネット、全労協と全労連が抗議行動
総選挙結果は世論
を反映しているか
十月六〜七日、衆院で郵政民営化法案の本格的な審議が開始されたのを受けて、郵政労働者ユニオン、監視ネット、全労協と全労連が国会前で座り込み抗議行動を行った。
十月七日、昼休みに郵産労・全労連が百人以上で、郵政民営化法案に抗議する決起集会を行った。郵政労働者ユニオンも座り込みを同時に行い、連帯のアピールを郵政ユニオンの松岡書記長が行いエールの交換を行った。一時過ぎから、全労協傘下の労組が次々と訪れ、全体で座り込みを行い、決起集会を開催した。
主催者を代表して、郵政労働者ユニオンの松岡書記長が「八月八日、郵政民営化法案が廃案になった。これは地域の怒り、われわれの闘い、国会議員の闘いがひとつになったから実現した。しかし、選挙結果は小泉のウソとペテンのキャンペーンと小選挙区制度によって、世論が反映されていないものになった。国会を無視し内閣がその上に立つようなものになっている。われわれはあくまで反対していく。きょうから、闘いを開始した。公共サービスの問題をともに考えていきたい。たとえ、郵政民営化が強行されたとしても、公共サービスを取り戻すために法案の問題を明らかにしていく。地域の仲間とともに闘いぬく」と決意表明した。
全労協の中岡事務局長は「リストラ攻撃を強める小泉の構造調整策と断固として闘い、郵政民営化法案、共謀罪、憲法改悪のための国民投票法、障害者の生活を破壊する障害者自立支援法にも全力で反対して闘っていく」と決意表明した。
郵政民営化監視市民ネットの安藤さんは、「小泉は公務員の大幅削減を打ち出し、民主党もそれにのって、削減数を競っているようなあり方がある。公務員を削減すれば、失業やフリーターの問題が出てくる。さらに、働く者の条件を切り下げることになる。こうした状態に若者は不満を示すだろう。この社会の中にある不満をどう組織、表現していくかがわれわれの課題だ」と提起した。
郵産労の山崎委員長は「国民の闘いは、これから本格的に始まる。三分の二を自公が示したとしても、国民の信任を受けたわけではない。郵政民営化賛成派の議員と反対の議員のとった小選挙区での全国総得票数は三十万票差で反対派のが多かった。依然として民営化反対の声は大きい。パワーアップ研修を受けさせられている人の七〇%は五十歳以上の人だ。賃金が高いと言ってイジメを行い、一万人の人員削減をやろうとしている。地域分局では民間委託を大々的にやろうとしている。郵政公社によって、元本保証のない投資信託が始まった。大資本やアメリカのいいなりになるような郵便局にされようとしている。郵便局はこれでいいのかと疑問の声があがっていくだろう。郵政ユニオンとは二年間の共同行動を積み重ねてきた。今後とも郵政ユニオンと手をたずさえて闘っていきたい」と連帯のアピールをした。
鉄建公団訴訟原告団の木下さんが発言。「九月十五日の判決を受けて、これからどう勝ち抜くかがすべての労働者の問題としても問われている。悔いのない闘いを集中してやってゆきたい」。
スピード審議と強
行採決を許さない
二時から、郵産労・全労連の決起集会に合流した。ここで共産党の赤嶺衆院議員が今後の日程を報告した。十月十一日(火)衆院郵政特別委員会で採決、午後一時から本会議で採決。十二日に、参院で審議が開始される。十三日に特別委員会が行われ、十四日参院本会議で採決が行われる。なんとひどいスケジュールか。内容の審議はほとんどなく、ただ数にまかせた採決のスケジュールが決められただけだ。全体で、怒りのシュプレヒコールを行った。
再度、郵政ユニオンなどの集会を継続した。電通労組の日野書記長の発言。「NTTでは、五十歳になると、いったん退職して関連会社に行くかどうかの選択を強要される。五十歳定年制が強制されている。それを拒否した電通労組員などは関東に広域配転させられた。配転させられた電通労組員は十五人で闘いを展開している。さらに、NTTは一九九九年に四分割したのに、今度は逆に一社体制に戻す形で進めようとしている。年功型賃金を成果主義賃金に変えて、さらに賃下げの攻撃をかけてきている。わたしたちはこれに対しても異議申立てをして、公共サービス、労働者の権利を守って闘いを続けていく」。
全統一の仲間は「日韓FTAに対する闘いを日韓労働者が共同で闘った。新自由主義との対決はアジアの仲間と結びついた闘いが重要だ」と指摘した。東水労の仲間の発言。「今度の選挙では小泉がなぜ勝利したのか。ここには奥深いものがあるのではないか。郵政労働者に対して、オレのひどい状況(低賃金など)まで下りてくればいいのだという他の民間労働者の意識があったのだ。ある意味でファシズムを感じた。そういった人と交わり組織するために、われわれのメッセージをどう届けるかが重要だ。水道も民営化攻撃にさらされている。これをはねかえして、ふたたび八月八日のような勝利を迎えたい」。東京清掃の仲間も闘うあいさつをした。
最後に、東京全労協議長の押田さんが来週の強行採決を許さない闘いを断固やりぬこうと提起し、全体でシュプレヒコールを国会にむけてたたきつけた。最後まで郵政民営化法案を廃案にするために奮闘しよう。(M)
郵政民営化監視市民ネットが集会
金子勝さんが民営化と利権構造をあばく
グローバル化反対
の私たちの理念
九月二十九日、東京・芝で「郵政民営化から見えてくるこの国の将来」が開かれ、百人以上が参加した。主催の郵政民営化を監視する市民ネットワークは、市民団体と郵便局ではたらく労働者などを中心に結成され、郵政労働者ユニオンや全労協などと協力して郵政民営化法案阻止の闘いに参加してきた。
はじめに主催者あいさつに立った監視ネット事務局の秋本陽子さんは「選挙結果だけで民営化が終わるものではない。今後も公共サービスを私的資本に売り渡すという民営化は続いていく。新自由主義グローバリゼーションに対する私たちの理念を作り上げていかなければならない」と挨拶した。続いて、先の通常国会で、市民監視ネットにも参加する郵政労働者ユニオンのたたかいの記録映像が放映された。国会前を中心に全国でたたかわれた民営化法案反対の闘争には、郵政労働者だけでなく、全労協や市民監視ネットなどの取り組みが映し出された。
民営化で財政危
機は解決しない
郵政民営化の問題点や小泉政治について、慶応大学教授の金子勝さんから講演を受けた。金子さんは「小泉は、政治の選択を単純化した。『郵政民営化に賛成か、反対か』という二分法で、メディアを利用しまくった。それはブッシュの『テロリストの側につくのか、われわれの側につくのか』と言ってアフガン・イラク侵略をすすめたやり方と同じだ」と批判した。
「国家財政の見通しについて、政府の主張は全体として国家の体をなしていない。各省庁がばらばらで自分らに有利なデータを基礎にシミュレーションしている。内閣府は二〇一二年には基礎的財政収支は均衡すると言っているが、財務省財政審は二〇一五年に消費税を一九%に引き上げるか、歳出を三〇%削減しなければならない、という。これでは未曾有の財政赤字を解決することはできない」。そして政府の郵政法案が「郵政民営化は利益政治であることをひろく訴えなければならない」と呼びかけた(講演要旨参照)。
この日の集会にむけて監視ネットが作成したパンフレットを執筆した監視ネット事務局の安藤さんから「この社会のあり方を問い、変えていく闘いはこれからが正念場だ。取り組みを継続していくことが重要だ」と提起を受けた。(同パンフや監視ネットニュースはサイトからダウンロード可。http://www.mm-m.ne.jp/dave/)
最後に、郵政労働者ユニオンの山口啓さんから臨時国会に対する行動提起があった。郵政法案の審議が行われる十月六日から可決がもくろまれている十三日、十四日にかけて断続的に国会や議員への取り組みを集中する。国会前の座り込みやニュースの配布などできることはすべてやろう、という元気一杯の提起を受けた。
推進派を上回った
反対派の総得票数
解散総選挙と与党圧勝という厳しい状況が続く。得票数の過半数にも満たない「郵政民営化賛成票」にも関わらず、一票でも多ければ勝ち、という小選挙区制のトリックを徹底的に利用するためのイメージ宣伝戦略と産業・金融関連の財界の全面的バックアップで勝利した自民・公明連立与党は「国民の圧倒的信任を得た」というデマを繰り返しながら、十月十一日に衆院可決、十三日に参院可決、成立させようとしている。
しかし権力が党・メディア・財界を総動員したにもかかわらず、郵政民営化賛成議員の総得票数三千三百八十九万七千二百七十五票に対して、反対派議員の総得票数は三千四百十九万四千三百七十二票と賛成票を上回ったというのが真実である。
郵政民営化法案が可決されたとしても民営化自体は十年の単位で進められる計画である。民営化に向けた郵政公社内部の労働強化や利用者無視の体質は今後いっそう強化されるだろう。民営化、公務員バッシング、公共サービス解体という新自由主義政策の「ハリケーン」はこれからが本番である。これまでも小泉政権や郵政民営化に対するさまざまな主張や批判がなされてきたが、現実の社会的抵抗と結びつかない主張や批判は、社会全体が右へと地すべりするなかで「よりまし」で「現実的な選択」としての「非自民」=民主党政治圏の一部になるか、あるいは自らの党派的主張を防衛するためだけのセクト的主張にしかならないだろう。
郵政民営化に反対する国会勢力との共同はもちろんだが、郵政民営化法案に反対する具体的なとりくみを労働運動や市民運動の共同作業として闘い抜き、郵政の労働現場と地域社会をつなぎ、世界的に広がる新自由主義に抵抗するオルターグローバリゼーション運動の中に位置づけることが重要になるだろう。 (H)
金子勝さんの講演から
郵政民営化こそ新しい利権政治だ
なんの解決にも
ならない与党案
郵貯の預け入れ額の引き上げは、一九八〇年、遊説中に大平総理が死亡した直後に行われた総選挙で自民党が圧勝した際に、新自由主義路線の中曽根・福田派と公共事業など利益誘導路線の田中派の妥協の産物でした。八〇年代は臨調行革という一般会計の公共事業を削減する一方で、郵貯や年金などを原資とした財政投融資が増大していった時代でもありました。しかし現在は国の債務は七百九十六兆円にのぼり、ばらまく弾がなくなった。だから構造改革、ポピュリズムなのです。
郵政民営化に関する各党の主張の中で実は、民主党案がもっともラディカルでした。
どうして民主党案がラジカルなのか。現在の公社のまま民営化をしなくても、郵便貯金の受入額を現在の一千万円から五百万円に引き下げれば、郵貯の規模は三割程度縮小するでしょう。そうすれば他の国に比べても極端に肥大化しすぎた郵貯の規模を「普通のサイズ」に戻すことができるのです。人員削減がともなうのであれば生首を飛ばさないように労使で協議すればいいのです。そうすれば官僚の利権を大幅に縮小することができたのです。
しかし民主党は岡田代表もこのラディカルさを自覚していませんでしたから途中で「民主党も民営化は必要だ」と言い出したのです。与党の民営化案はまったく何の解決にもなりません。民営化をする、株は国が保有する、国債と財投債を引き受け続ける、そして国の赤字は先送りにする、というものだからです。
民営化しても財政問題は解決されないことは、小泉のブレーンは分かっているから、それまで「改革の本丸」(=本丸を落とせば戦争は終わり)と言っていたのを「これができなくて他の改革ができるのか」というふうに言い方を変えてきたのです。
今の時代、攻め
の姿勢が必要だ
郵政民営化はパフォーマンスで、自分達の生活とは直結しない、関係ないという安心感があったから、有権者は「小泉劇場」を安心して「鑑賞」できたのです。これが年金改革となるとそうはいかないでしょう。社民党や共産党は「反対」「守れ」という保守のイメージとして今回は受け止められた。今の時代、守りに入っていてはせいぜいよくて引き分け程度です。攻めなければならない。
もうひとつ強調しなければならないことは「郵政民営化は利権政治である」ということです。これまでの公共事業のバラマキとは違う意味での利権政治です。巨大な国債をかかえていても、まだ約二百兆円の運用可能試算があり、その利回りを狙っている外資があります。
また郵貯が民営化されると当然、貸付や金融商品の販売などが考えられるのですが、郵便局にはそのノウハウがない。民間の銀行はそこをねらっているのです。そして利権にあやかるのは官僚も同じです。凄惨な事故を起こしたJR西日本の井出会長は神戸の高級住宅街である芦屋に何億という豪邸をたてて、関西経団連の副会長にまでのぼりつめ、そして膨大な退職金を持って逃げた。郵政公社のトップもそのような道が開けるのです。民間会社になってしまえば、国会はノーチェックであり、既得権云々を言われることもなくなるのですから。(発言要旨、文責は編集部)
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