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大阪高裁で画期的判決                 かけはし2005.10.10号

小泉の靖国参拝は違憲


台湾原住民遺族たちの訴えが靖国側の論理を圧倒した

 【大阪】九月三十日、大阪高裁で、台湾原住民の遺族ら百八十八人が、小泉首相と靖国神社を相手にひとり一万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決があった。裁判は短時間に終わり、法廷から出てきた台湾の原告は、口々に抗議の声を発し、反省・謝罪・賠償などの抗議の文言を書いた紙をかかげ、円陣を組んで彼ら原住民の歌「冬の祭り」を歌って民族の誇りを確かめ、最後にその紙を地面に置いて踏みつけて、怒りを表現した。その後記者会見が始まるまでのわずかの間に判決文検討の結果、違憲判断が出ていることがわかり、「靖国参拝は違憲」、「私的参拝の詭弁否定」という垂れ幕がかかげられた。
 前日、九月二十九日の東京高裁での靖国訴訟判決は、小泉参拝は私的なものであり、従って憲法判断は必要なしとした。三十日のテレビのインタビューで小泉首相や自民党幹部は、同じことについても裁判所によって判決が全く違うから最高裁の判断を仰ぐとしながら、違憲判断は傍論であるとして大阪高裁判決を無視するような発言をしているが、今後首相や議員の靖国参拝にとって大阪高裁判決が大きな障壁になることは間違いない。

損害賠償請求は
棄却されたが…

 裁判終了後報告会が行われ、鹿島弁護士が詳しく判決文の解説をした。
 それによると、判決はまず@靖国神社について多くのページを割き、靖国とはどういう神社かを認定している。そして、Aいつ頃から内閣総理大臣が参拝するようになったかを認定し、小泉首相の参拝が職務行為であることを認めている。B参拝を八月十五日ではなく十三日に変更したことは諸般の事情を配慮した結果であって、職務としての参拝の性格を変えるものではない。小泉首相は公用車で秘書官を伴い、献花し内閣総理大臣と記帳し、テレビが到着するのを待って参拝している。八月十五日参拝は公約だったし、国内外からの批判にもかかわらず、参拝実施の意図は強固であり、一貫して総理大臣としての参拝を否定していないから、行為の外形において職務として行われたものと判断できる。
 C宗教団体である靖国神社に参拝し、神である英霊に畏敬と崇拝の念をもって拝礼し、靖国神社を特別視していることは容易にわかる。二〇〇一年の小泉参拝後、一般の参拝者数が急増している。インターネットホームページへのアクセス数も四倍から十三倍に増加している。従って小泉参拝は憲法二十条三項が禁止している宗教活動に該当する。D台湾の歴史、台湾原住民が受けた苦痛について多くを割いている。E憲法十九条の思想良心の自由の内容についてふれ、「戦没者をどのように回顧し祭祀するかしないかに関して、公権力の圧迫・干渉を受けずに自ら決定しこれを行う権利」を有すると解釈できる余地があるという。Fそして最後に、控訴人の利益の侵害の有無についてふれ、小泉参拝は控訴人に直接向けられたものではなく、また控訴人の平穏を害する目的で行われたものではなかった。参拝の奨励や「見習わせる」という目的はなかったとして、請求を棄却した。

訴訟の目的は尊厳
を取りもどすこと

 鹿島弁護士は、二十四年間政教分離裁判に係わってきたが、この判決は福岡地裁判決を遥かに超え、理論的かつ緻密で画期的だと評価した。ここで、記者会見に参加していた台湾の原告や弁護士、アジア訴訟団事務局の人たちが帰ってきた。演台に張ってあった勝訴の紙や全面勝訴の文字について異論が出て、それは削除された。
 続いて原告団長の高金素梅(チワス・アリ)さんが、「訴訟の目的は尊厳を取り戻すことだ。私は最近国連から帰ってきたばかりだ。裁判に勝利したというのはおかしい。この問題は日本だけでなく国連人権委員会にも持っていくし、命がある限り闘い続けていくつもりだ。日本の弁護士から見れば大きな前進だと思うが、日本の法院は反省・謝罪・賠償というわれわれの訴えを棄却した。上告するかどうかは日本の弁護団の決定を尊重する。だが、これからも沖縄・韓国・フィリピン・インドネシアの人たちとともに闘っていく」と発言し、最後に「日本人から見れば憲法違反かどうかは重大だが、われわれには関係ない。われわれは日本人ではないからだ」と述べた。

アジアから見れば
ほんの一歩の前進

 中心的に係わってきた中島弁護士が、「敗訴は敗訴だが、それがどういう意味を持つかだ。画期的な判決だ。憲法判断や台湾の歴史的事実をきちんと認定したこと。これを足がかりに次のステップに取り組む」と述べた。アジア訴訟団事務局長の菱木さんは、喜びをかくしきれないと述べ、台湾の人たち、特に反対尋問でのチワス・アリさんの完璧な答弁によって靖国側の論理が完全に粉砕されたおかげだと述べ、弁護団としては上告しないのが賢明だが、台湾に帰ってじっくり考えて、結論を伝えてほしいと述べた。
 原告の菅原龍憲さんは、生きている限り闘うというチワス・アリさんの言葉に敬意を表すと述べ、「主体的な一人ひとりの問題だ。小泉首相が、何で憲法違反かわからない、総理である限り続ける、というのは、それを支える国民がいることを知っているからだ。日本人としてどういう闘いをするかが突きつけられている」、と述べた。
 靖国第二次訴訟団の韓国事務局長の金銀植さんは、「小泉首相の参拝は政治的なものだ。アジアから批判されているのは靖国神社が軍事施設だからだ。世論の批判に政府は負けることになろう」と述べた。在日韓国人で原告の一人の林さんは、「アジア訴訟なのだからアジアから見た視点が重要だ。上告に賛成だ」と述べた。
 太田弁護士は、世の中を変えていく裁判にしようと言い、最後に、高松高裁で控訴審の四国訴訟団の安西さん、福岡高裁での沖縄訴訟団の西尾さん、東京訴訟団の辻子さんがそれぞれ感想を述べた。  (T・T)


荒川-墨田-山谷実行委
地域から国民保護法有事訓練を撃つ集会

 【東京東部】九月二十三日、「差別と人権・排外を問う9・23講演集会」が開催された。東京・荒川区の町屋文化センターに、約六十人が集まった。主催の「荒川―墨田―山谷実行委」は、二〇〇〇年に行なわれた「ビッグレスキュー」に反対する闘いを担った三地域合同の実行委。毎年、関東大震災時の朝鮮人虐殺や有事法制に反対する運動、そして九月一日の防災訓練などを監視する行動を続けてきた。今年はとりわけ、二十三区で初めて墨田区で制定されようとしている「国民保護協議会条例」「国民保護対策本部及び緊急対処事態対策本部条例」についての取り組みが呼びかけられた。
 最初に山田昭次さん(立教大学名誉教授)の講演――「関東大震災時の朝鮮人虐殺の今日的な意味」――が行われた。山田さんはまず〇三年に出版した自著(※)とその書評(民族時報)について触れ、「私の主張を的確に理解したのは日本人ではなく、在日朝鮮人たちだった」と振り返った。そして関東各地に建立されている事件の「慰霊碑」の碑文のほとんどに、「加害者」が書かれていないことを挙げ、それが「日本人の精神的病理の結果である」とした。
 〇二年の日朝交渉について、「日本は植民地支配に謝罪しながら、植民地支配に対する償いはしないと宣言した」「罪に対する償いという意味での補償を約束したのなら、日本は日本人拉致問題の解決のみを一方的に前面に押し出すことはでき」ないはずだ。「現在日本は自己が一方的被害者であるという錯覚に陥っている」と断罪した。また、関東大震災時に虐殺された朝鮮人の人数は日本の治安当局の隠蔽により、今日にいたるも不明のままであると結論づけた。(※『関東大震災時の朝鮮人虐殺―その国家責任と民衆責任―』創史社 2003年)

差別・排外・人権
を問う貴重な発言

 後半の最初に「立川反戦ビラ弾圧事件」の被告大西章寛さんからの発言があった。大西さんは事件の経過を説明した後、取調べ拘留中のエピソードを披露した。刑事の行為は、ほとんど事件とは関係のない嫌がらせ、転向強要の類であったこと。家宅捜査の際に「部屋が汚い」などとさんざん罵られたことを明るく振り返った。
 現在控訴審を闘っているが、年内にも判決が予定されている。二審の焦点は検察側が証拠調べを請求し裁判長が採用した「商業ビラでの処罰報告」。これらの「住居侵入罪」の事例で起訴・有罪となったのはほとんどが外国人。その実態は彼ら外国人を取り締まるための別件逮捕であり、これもまた治安弾圧であるということだ。大西さんは今年の防災訓練についても報告をした。
 地域からの報告の一人目は、部落解放同盟荒川支部の高岩さん。不況で職人が仕事を失っている。絶望した彼らは自殺に追い込まれている。日本のモノ作りが危機に瀕するなかで「連続・大量差別ハガキ事件」が起きた。全国で四百通にも上る悪質極まりない差別ハガキを書いた犯人は、青梅市役所の食堂で犯行中に発見された。「懲役二年」の実刑判決には、裁判長と検察双方の「差別は重大な犯罪」であるとの認識が込められている、と高岩さんは評価した。
 「つくる会教科書」の不採択運動を進めてきた「教育を考える墨田ネット」の仲間が報告した。「政府自民党は、戦争に参加する子供を育てる教育の重要性を考えている。比較的正しい史実を書いている日本書籍新社を敵視している。扶桑社は今回不採択になったが四年後に向けて気を引き締めていく」。
 山谷の仲間は、少年に殺された野宿労働者の追悼式の報告をした(本紙9月12日号で既報)。足立区で有事法制に反対する運動を続けている在日のKさんは、毎月一回以上の地道な駅頭情宣の報告をした。また山田講師の発言について「在日は決して遠慮しているのではない。日本人に正攻法で正論を押しつけても反発を買う。正論と萎縮の狭間で身悶えしながら運動を続けてきた。小泉の靖国参拝に見られるように、明らかな論理矛盾や言葉の持つ意味の破綻という社会状況のなかで、日本人とともに闘っている」と語った。

墨田で国民保護
協議会条例制定か

 昨年六月に成立、九月に施行された「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律」に基づいて国は、都道府県と市区町村に対して、同協議会の設置と国民保護計画を策定するよう求めている。市区町村は今年度中に同協議会条例を、来年度には同計画を定めなければならない。墨田区では二十三区に先がけて九月末、可決・施行されようとしている。しかし他区では共産党をはじめ条例に反対する動きもあり、議会内の力関係によっては、条例制定が難航する可能性もある。
 集会は最後に「国民保護協議会条例」制定に反対する緊急決議案を読み上げ、参加者全員で取り組みを確認して閉会した。 (S)



財政危機の矛盾を押しつけるな
障がい者自立支援法案を再び廃案に追い込もう!


 衆議院の解散で、いったんは廃案になった「障がい者自立支援法案」が特別国会に再提出された。
 障がい者の生活を激変させる重要法案であるにもかかわらず、小泉政府はたった一カ月の特別国会で成立をめざす、としている。
 それも「この法案は、先の通常国会で衆議院を通過しているので、参議院で先に審議し、衆議院は本会議にいきなり提案」という前代未聞の強行スケジュールが組まれている。
 この法案には、多くの障がい者団体が反対しており、七月五日の全国行動には一万一千人の障がい者・支援者が参加し、国会へのデモ行進を行った。この法案は、二〇〇九年に行われようとしている介護保険と支援費の統合の布石という性格が強い。障がい者福祉から、介護保険に移行する部分を分離し、その部分に以下のような介護保険のシステムを先行的に導入しようとしているのだ。@サービス利用にあたり、費用の一割自己負担が発生A認定審査会の導入B在宅サービス(ヘルパー派遣など)への上限の設定C外出支援が市町村の裁量にDいずれも障がい者福祉サービスの著しい低下に直結する。小泉政府が招いた「財政危機」の矛盾を障がい者に押し付け、障がい者の生活を三十年前に逆戻りさせる、「障がい者自立支援法案」に反対する緊急の取り組みが進められている。  (H)


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