| シンポジウム‥労働現場からの発信 かけはし2005.9.5号 |
【大阪】「労働現場からの発信 JR事故から考える労働と安全 民営化・規制緩和によって軽視される安全性」集会が、大阪労働者弁護団の主催で、八月十一日大阪のいきいきエイジングセンターで開かれた。司会は中島・定岡両弁護士。代表幹事の在間秀和さんがあいさつした。
在間さんは、「JR西日本の垣内社長は株主総会で死亡した百六人の犠牲者の方に謝罪したが高見運転手のことを忘れている。彼を加害者だと思っているのではないか。そうなると事故の本質が見えなくなる。JR事故は公共交通共通の問題であり、労働現場に共通の問題だ。もう一つの問題は公共交通の民営化をどう考えるかだ。労働運動はどうなっているのか、現場から指摘してほしい」と述べた。
大企業の安全対策
のずさんさが問題
最初の発言者は西野さん(関西労働者安全センター)。西野さんは、厚生労働省が出した「全国の鉄道事業者に安全衛生管理の点検を要請」(H17・6・15)と言う通知の別添1「JR西事故に対する調査結果の概要について」についてふれた。
「それを見るとJR事故に対して厚労省がどのような指導をしたかが分る。五月にJRが出した安全計画にその内容がないのは重大なことだ。労働安全衛生法を守っている企業ならどこでもやっていることを、いかにJRがやっていなかったかがわかる。安全パトロールでいろいろな企業を回るが、労働災害は企業の大小・設備の新旧と相関はない。安全性を前向きに検討してきた企業ではコスト低下にもつなげている一方、最近巨大企業の安全対策のずさんさが目立つ。労働者の安全はお客の安全と同じだ」。
JR事故のことで西野さんは、東海村のJCO事故のことを思い出したと語った。
労働運動の質が
問われている!
続いて、講師の鎌田慧さんが発言した。
「世の中の考えが変わってきている。郵政民営化で衆議院を解散した横暴で非民主的な小泉の支持率が九%も上昇する。自分には信じられない。JR民営化のあとには合理化があり、その後に何が起きるかは予測できたが、誰も歯止めがかけられなかった。労働運動の質が問われている。そのことを考え直すチャンスだ。三池炭坑の大爆発は三池争議が一九六〇年に敗北し、三池労組の安全闘争がつぶされてから三年後に起きた。地域からの要求は会社を変えるチャンスだったのにチッソの組合はこれを拒否した。パイを大きくし、分け前をふやす!がスローガンになった」。
「JRにあるのは安全よりコスト第一で、組合もチェックしなかった。『折れたレール』という公共部門のレポートがある。鉄道が民営化されてかえってコストがかかっていると暴露している。作業の技術はマニュアルだけでは伝えられない。同じ空間を共有しながら仕事をする中でしか伝わらない。今は下請けの仕事をする人材派遣業により、資本論に出てくる言葉だが、労働は細分化され人間は圧殺されている。同じ会社で働いていても、みんなで力を合わせて仕上げるということはない。JRの保線の仕事もそうだ。命を守るためにはストでもしない限り無理なのではないか」。
鎌田さんはこのように訴えた。
人を殺す日勤教
育を厳しく告発
安田さん(JR西労組書記長)は日勤教育について報告した。
一九九七年三月JR東西線が開通して尼崎電車区ができ、新しい区長が着任し、ルールを守らないものにはペナルティを課す、セクト的な発言をするものは違う職場に去ってもらうと言った。日勤教育はその時から始まった。それは期間の定めがなく、暗いトンネルに入れられているようだった」。
二〇〇一年九月、尼崎電車区に運転手として勤務していた服部さんが自宅で自殺をした。彼は京都駅で発車待ちをしていたところ、ATS電源が点灯していたので、車掌室まで行って点検した。そのため電車の発車が五十秒遅れた。そのことが原因で服部さんは、九月三日から日勤教育に指定された。管理者の勤務する部屋の中心に座らされ、お茶やタバコも規制され、トイレに行くにも許可が必要だった。三日間で十八枚のレポートを書かされ、三日目の九月六日に自殺した。服部さんの労働災害認定の地裁判決は、管理者は予測できなかったとの理由から訴えを棄却し、いま高裁で争われている」。安田さんは、安全対策は職場にあると強調した。
タクシー・バス・航
空会社の現場から
森田さん(全相互タクシー労組)は、規制緩和について話した。
「規制緩和は現場を知らない学者や有識者によって決められる。規制をかけないと安全性はない。今安売り中古車がもてはやされている。安ければいいという風潮だ。規制緩和によって値段は下がり車両は増えた。運転手は焦っている。競争は担保があってのこと、安全にはコストがかかる」と話した。
川上さん(泉州ユニオン)は、近鉄八尾バスに勤務していて、主張先のトイレで死亡した出原さんのことについて話した。「出原さんは、夜間高速バス・路線バスの運転手だったが、近鉄バスが分社化してからは勤務が不規則になり、いつまでが勤務時間かがわからなくなり、長い拘束時間に比べ勤務時間が非常に短くなっていた。八尾労働基準監督署に過労死認定の申請を出したが、業務外ということで認定されなかった。出原さんの妻は、死を無駄にせず、きちんと報告できるまで納骨はしないで闘っている」と、支援を訴えた。
山崎さん(日航航空機長組合)も規制緩和による最近の整備の問題点を述べた。
「日航機御巣高山事故以来、機長を責任者にしたので、現在千百五十人の機長は全員管理職になっている。最近着陸時に日航機の車輪がはずれる事故があった。タイヤの使用ミスと言われているがそうではない。タイヤの誤使用がわかったので問い合わせている間に、誤使用と知った上で離陸させたのが問題だ。航空業界は、運行・整備・客室・グランドハンドリング・営業のすべてが今までの日本では考えられない状態になっている。一九七八年の米国の規制緩和以来、日航の民営化があり、どこを飛んでも、運賃をいくらにしてもいいことになった。新しい空港ができると事前に見に行って、後ろでオブザーブしてOKを出していたが、今はしない。自社整備がなくなった。整備ができない(インチキ)航空会社がいっぱい認可したためだ」。
「今までは日航の飛行機は日航で整備していたが、今は全体の三〇%、重整備の五〇%は外国でやっている。整備部門でもオレの会社だという意識はない。教育はするがいっしょに仕事はしないから、技術の伝承もない。同じ日本で同じ仕事をしながら賃金が半分の派遣労働者がいる。一体感などもてるわけがない。定時とか厳格とか言うが、同じ八時に羽田発の便が三つもある。こんなことは本来不可能なことだ」。
山崎さんは、「規制緩和した国の責任は大きい、業界・政治・マスコミともに悪質だ」と述べた。
前田さん(大阪全労協)は、「抵抗なくして安全なし」のスローガンを強調した。「抵抗しない労働組合は信用できない。抵抗しないということは労働組合の社会的責任の放棄だ」と語った。
過酷をきわめる
合理化の被害者
最後に平田さん(国労)が報告した。
「一九八六年ごろ国労離脱を迫られ、二百人を超える労働者が自殺した。国鉄民営化で三千五百人が首を切られ、その後千四十七人が解雇された。労働者はものを言わなくなり、合理化が進んだ。例えば、保線でも以前は同じ線路を往復して作業と点検をしていたが、今は規制緩和によって片道の保線作業の時に安全点検もいっしょにやっている。運転手も人手不足の時は、本来休みの者を超勤で睡眠不足のまま勤務させている」。
平田さんは、国労に入り会社を変えたいと、JR尼崎事故以来四人が国労に入ったと報告した。
まとめを鎌田さんが行った。
「職場や社会の民主主義がなくなっている。規制は民主主義のためのものだ。民間活力導入がこれを壊した。人材派遣業はもうけ産業になった。人命よりもうけ、が言われてきた。もうけより人命だ、労働運動は労働者が安全に生きて行くための運動だ。安全のため地域と労働組合がつながること、それを大阪でやってほしい」、と語った。
閉会のあいさつは、自殺したJRの服部さんの裁判を担当している浦功さん(労働者弁護団顧問)が行い、日勤教育が違法なものであることを司法にも認めさせたいと控訴審を闘う決意を述べた。(T・T)
リストラ時代に、人らしく、フェスティバル
音楽とトークで鉄建公団訴訟勝利へ交流を深める
八月二十八日、「リストラ時代に、人らしく、フェスティバル」が東京のすみだリバーサイドホールで開催された。フェスティバルには約六百人が参加し、午後一時半から五時半の長時間におよんだが、全く時間を感じさせないものであった。
十二時半に会場が開けられると、会場の一隅には十八団体の物品販売のコーナーが作られ、ビール、焼酎などの酒やソーセージ、やきそばなどのつまみも売られ、いつもの集会とは全く違う趣であった。こうした形式を取り入れることをめぐって実行委員会内部でもかなりの異論があったというが、結果は大成功であったと思う。
フェスティバルは、全国一般の尾山則子さんと歌手の趙博さんの司会で始まった。マンドリン奏者で実行委員長の矢野敏広さんのあいさつ、沖電気争議団の田中哲郎さんの闘争報告と歌、二瓶久勝国鉄闘争共闘会議議長のあいさつ、生田卍&SoSoの歌という具合に、スピーチとミュージックが交互になるシステムでビール片手にライブを聞いている感覚で、非常にテンポよく進められた。
後半は九月から上映運動が行われる『レールは警告する』のビデオが上映され、中山千夏さんの司会で、鎌田慧と立山学両氏の「リストラも事故もイヤだ! 今JR民営化を問う」のトークがなされた。
鎌田さんは「国鉄民営化には、民間企業が労働組合をつぶすためによくやるように、国家による偽装倒産であり、利益優先の民営化が事故につながっている」と述べた。立山さんは「闘う側が、@民営化二十年の総括A安全問題とは何かB憲法改悪=戦争をする国家とは何かの三点について、明確な態度が必要だ」と語った。
トークの最後に鎌田さんは、「小泉政府は、誤った国家政策を止めた一九七八年の3・26管制塔占拠闘争に不当な強制賠償請求をかけてきている。国労闘争団の支援とともに管制塔の元被告を支援するカンパを」と壇上から訴えた。
フェスティバルの最後は、国労闘争団、全動労争議団、動労千葉争議団の原告団全員が登壇し鉄建公団訴訟9・15判決にむけて、最後の闘いを全力で闘おうと呼びかけ、決意を固めた。 (D)
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