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9.15鉄建公団訴訟地裁判決の本質            かけはし2005.9.26号

こんなもので救済にはならない

9・15報告集会・加藤晋介主任弁護士の発言

でたらめな理屈に従うことはできない!勝利するまで闘う

明確に採用差別
だと認定させた

 停職六カ月を受けた人、五十五歳を超えていたなど五人を除いて、その他の原告に対して、五百万円の慰謝料を認めた――これが端的な判決内容だ。
 判決の評価を先に述べておけば、十八年の差別を受けた者に対して、こんなもので足りるのか、こんなもので救済判決になるのかということだ。
 本件の訴訟でわれわれが求めたものは、九〇年解雇の無効が第一である。第二は、JRに採用させなくさせたという不法行為に対する損害賠償である。
 第一点の九〇年四月の解雇について、再就職特別促進措置法の三年の時限があるからこの解雇は有効であったという一語につきる。政府側の資料を使い、三年の時限は正当であったというものだ。国鉄改革法が必要であったかどうか吟味することなく、ただ解雇は法律に定めてあるから有効なんだとする解雇についての判断だ。
 われわれはこの点について、少なくとも、不当労働行為をやっておきながら、それで三年後に解雇することができるのかと主張してきた。それについては、一言もふれていない。不当労働行為があったとしても、それは金銭解決すればいいのであって、解雇が無効にならないということをいけしゃあしゃあと書いている。この点については、少なくとも控訴審で争うことになるだろう。
 第二の不当労働行為の認定についてこの判決はコマ切れに認定している。五つに分類している。第一に、八七年の採用差別が不当労働行為になるかどうか。第二に、この八七年までのいじめが不当労働行為になるかならないか。第三に、事業団でやられた再就職あっせんをほとんどしなかった。これが不法行為として賠償責任を負うかどうかである。第四に、九〇年解雇が不当労働行為にあたるかどうかである。第五に、地元JRに採用しなかったことが不法行為になるかどうかである。
 この判決が認めたのは第一の八七年の採用差別のみだが、これは不当労働行為・不法行為にあたって、責任があるんだという認定をした。
 八七年の採用差別については、地労委・中労委で事実調べがなされ、そのなかで明らかに不当労働行為として認定されていた。
 だから、実はこの判決のなかでも、地労委・中労委で認定された事実が証明されている。八七年の民営化に向けて、旧国鉄が出した現場協議を破棄し、人材活用センターを使っての隔離など時間を追っての不当労働行為の認定をしている。
 そして他の労組の間で、どれだけ激しい差別があったかについて認定している。そして国労組合員にどれだけ過酷な労働処分をかけたのか、このようなことを認定した上で、これは国鉄幹部や職制がどのような差別的な発言をやっていたのか認定したうえで、明確な採用差別があると認定している。

「時効」論で不当労
働行為は消せない

 採用差別が明らかに不当労働行為にあたるんだということを認めたのはこの判決での獲得点だと思う。われわれは不当労働行為の認定のもとに、反撃の礎は固めたと考えることができる。
 実は不法行為については、時効の主張は認められないという明確な判断をしている。時効の起算点については、二〇〇三年十二月二十二日の最高裁判決の時点からしか時効は始まらないという認定だ。
 この判決は最高裁が採用差別が不当労働行為であったとすれば、旧国鉄・清算事業団が負うんだという最高裁判決の多数意見には従っている。明確に不当労働行為があったということを認めている。これがこの判決の獲得点だ。
 しかし、残念ながら、その他の四つについては、すべて不当労働行為についての時効、不成立だと判断している。
 不当労働行為の継続があったからこそ、採用差別があったのです。ところが、不当にもこの判決は、そういう事実を認定していながら、採用差別まであった系統的な不当労働行為は旧国鉄がやったという主体が明らかで、だれを訴えればいいか分っているから、とっくに時効は過ぎていると言っちゃっている。
 採用差別のあげくに、清算事業団でも、また就職斡旋の懈怠(けたい)についても、旧清算事業団を訴えればいいんだ。だから三年の時効で消えているんだ。こんなひどい話がありますか。国労組合員だからこそ、分割民営化の過程で、徹底的に差別され、採用差別された。これは一連の不当労働行為だ。こんなコマぎれにやれる話ではないはずだ。
 それをこまぎれにして、ここから時効だとする、これが今の裁判所の正体なんだろう。
 四番目。九〇年解雇については、再就職特別法の年限だからしょうがなかった。第五番目の地元JRへの採用義務。これについては、そのような義務はなかったんだと判決した。
 八七年四月に、採用されなかったのは、不当労働行為・不法行為だと言った。言ったのに、たった五百万円などという慰謝料はありえない。損害賠償の範囲と方法の問題だ。地労委命令は全員を不法行為があったものとして、JRに採用せよという命令だ。中労委の命令は違った。九州と北海道については、全員が採用されたかどうか分らない。大量の余剰人員があることが前提だから、原告ひとりひとりが本当に採用されたかどうか因果関係が分らないという議論であった。
 JRに採用されたことを前提とした賃金や退職金あるいや年金の賠償は認めないということである。全員は採用されないけれども期待権はあった。期待権侵害についての義務があるとした。期待権という賠償請求では五百万円というのは非常に高い。それは裁判所は分っている。彼らはJRに採用されてしかるべき人である。しかし、それを認めてしまえば、あまりに大きな金額が出過ぎる。だから、それを逆手にとって、少なくとも因果関係はないことにして、今度は期待権で額を押さえる。

控訴審で徹底
的にたたかえる

 こんなものでわれわれは闘争を売っていいんでしょうか。こんなあいまいな判決で負けるわけにはいかない。だれが採用されて、だれが採用されないのか、相手方が不当労働行為をやって、だれが採用されるか、採用されないか決めるのに、自分に寝返ったやつだけ、労働処分があろうがなんであろうが、国労を脱退しさえすれば採用しておいて、因果関係が不明だとわれわれがとらなくちゃいけないんでしょうか。
 少なくとも控訴審では、これについては、徹底的に闘えると思っています。不明にした責任をわれわれが負うべきではない。明確に不当労働行為があった。一連の不当労働行為であった。因果関係を不明にしたのはわれわれではない。そうだとすれば、それをだれが償うべきかをハッキリさせる闘いはなお、われわれは続けなければいけないと考える。弁護団は不当な理屈に屈するわけにはいかない。後は、原告団と支援の皆さんの覚悟の問題だ。皆さんが闘う以上、われわれ弁護団は最後まで闘う。(報告要旨、文責編集部)



鉄建公団前で抗議行動
責任を認めて解雇撤回を

 九月十六日、午前八時十五分頃から、鉄建公団前に鉄建公団訴訟原告団が続々と集まり出した。すでに、職員とガードマンがビルの入口を固めて、原告団が中に入らないように阻止線を張っていた。このビル全体は雑居ビルなので、トイレを使ったり、他の会社の社員も通行している。そこで、原告団の岩崎松男さんは敷地内に入り、ゼッケンをつけて座り込みを行ってしまった。職員が出るように促したが、がんとして動かない。岩崎さんの国労争議団の心意気を表わす座り込みは後から来た争議団や支援をも励ますものになった。
 八時三十分から、抗議集会が開始された。
 「不当労働行為の責任をとれ。JR不採用問題の責任をとれ。われわれはすみやかな解決を求めて座り込みを行っている。十九年間の痛みを理解しろ。名誉まで傷つけられた。私たちに謝るべきだ!」とマイクで訴えた。
 八時五十分に、原告団の何人かがトイレを使うために敷地内に入ると、職員とガードマンがそれを阻止しようと押し合いになった。「ガードマンを撤退させよ。話し合いに応じろ。責任をとれ」。シュプレヒコールが続く。一瞬緊張した事態が起こった。
 座り込みを続行し決意表明が続く。留萌闘争団員は「誠意ある謝罪と話し合いを求めている。昨日すでに、課長補佐はお互いに控訴することになるだろうなどと、反省の色さえしめさない官僚的態度だった。官僚的なこうした高圧的な態度を許せない。腹の底から怒りが込み上げてくる。昨日の不当判決を撤回させ、納得ゆく解決を求める」と決意を語った。
 さらに、博多闘争団員は「地裁の判決に強く抗議する。あらゆる不当労働行為を受けた。国労をやめなければ、JRに採用されない、採用名簿からはずされた。清算事業団に三年間送られ、再就職のあっせんもせず解雇された。こうしたことを認めない判決を許さない。この判決では納得できない。最後まで闘う」と決意表明をした。闘いはさらに続く。     (M)



鉄道運輸機構に対し仮執行差押さえ
総額25億1216万6570円


 九月十五日の判決を受け、鉄建公団訴訟原告団は、十六日午前十時より鉄道運輸機構に対し、一人あたり五百万円(総額14億1千500万円)に利子などを含む、総額 25億1216万6570円 の仮執行差押さえを行った。

民主党・前原新代表の選出
改憲と安保強化、新自由主義路線を小泉自民党と競い合う


「安倍晋三とどこ
が違うのですか」

 九月十一日投票の総選挙で大敗した民主党は、岡田代表の辞任を受けて、九月十七日に行われた両院議員総会で、若手リーダーと言われる前原誠司衆院議員(民主党「次の内閣」防衛庁長官)を新代表に選出した。もう一人の代表候補である菅直人・元代表とはわずか二票差という僅差の選出であった。
 松下政経塾出身の前原は、民主党内の改憲タカ派で、米国防総省や自民党の防衛族とも深い関係のある人物として有名だった。今回の代表選で、「憲法9条の2項を削除し、自衛権を明記する。党内の憲法論議をスピードアップする」と述べている。そして代表選出後の記者会見でも「憲法改正が必要だとする政党と議論し、まとめるべきだ」と強調した。九月十八日のTV番組「サンデープロジェクト」に出演した前原は、「自衛権の明記とは、当然にも集団的自衛権をふくむ。サマワの自衛隊が、イギリスやオーストラリアの軍隊が攻撃を受けている時に、武力行使できないのはおかしい」と明言した。この前原の主張に対しては、名うての排外主義的極右国家主義者である桜井よしこが「きわめてまっとうな立場」と称賛した。
 二〇〇三年の国会で有事3法案が自民・民主の「修正合意」によって成立したとき、「民主党は外交・安全保障問題で自民党とそれほど大きな違いがない」と述べて、この合意の原動力となったのは前原だった。それもイラク侵略戦争の真っ最中においてである。
 今年七月に成立した「ミサイル防衛法案」では、前原ら民主党外交・安保部会は、民主党が法案反対の立場であったにもかかわらず、与党と水面下で話をつけ、自衛隊三軍統合運用の促進やMD(ミサイル防衛)以外の軍拡にも道筋をつける詳細な付帯決議を画策し、それを実現した。すなわち前原は、一部の自民党議員以上に改憲・軍事問題については積極派である。つまりブッシュ政権の「対テロ」グローバル戦争戦略への自衛隊の組み込みについては、なんのためらいもなく支持する立場である。したがって筑紫哲也などからは「自民党の安倍晋三さんとどこが違うのか」と揶揄される始末である。

労働組合への敵意
ムキ出しの前原

 前原の主張は、「公務員労組が改革のガン」とキャンペーンした自民党・小泉執行部の反労組攻撃に民主党内から呼応し、小泉とまったく同じ立場から公務員労組と民主党の「支持・協力関係」を排除し、「小さな政府」という公共サービス解体・民営化の新自由主義路線を貫徹するものである。
 先に紹介した「サンデープロジェクト」において、司会の田原総一郎が「菅直人さんは、小泉首相のような一人のホリエモンと百人のホームレスをつくる政策に反対と述べたが、それについてはどうか」と問われた時、前原は「私は菅さんの考え方とは違う」と語った。つまり「一人のホリエモンと百人のホームレス」という「競争万能・優勝劣敗・自己責任」の新自由主義路線を肯定する意思を明確にしているのである。
 たしかに今回の総選挙での民主党「マニフェスト」においても、「権利としての社会保障」や「セーフティーネット」的要素はほとんど見られない。前原の立場は、より明確に労働者の権利、障害者など「弱者」の権利を剥奪する資本の攻撃に全面的に加担し、労働組合運動そのものを敵視するものだ。
 本紙前号でわれわれは「民主党の敗北は、党内の旧社会党的要素や『連合』労組官僚の位置をさらにいっそう後退させることになるだろう。……今回の敗北は、改憲や『緊急事態基本法』の制定をふくめ、『政権交代』のスムーズな実現を展望した小泉路線との接近をさらに促進するものとならざるをえない」と述べた。前原・新代表の誕生は、その方向に舵が切られたことの象徴である。鳩山由紀夫幹事長、野田佳彦国対委員長、松本剛明政調会長という新執行体制も、旧社会党や連合系議員は排除されている。
 朝日新聞の9月18日社説は、「めざせ『日本のブレア』」と前原の代表選出を歓迎した。労働者・市民は当然にもこうした立場にきっぱりと反対し、憲法改悪阻止、自衛隊海外派兵阻止、労働者・民衆の生存権を破壊する新自由主義反対の闘いを推進する政治的潮流を築き上げていくことが必要である。 (9月18日 純)


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