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グローバリゼーションを考える・語り合う         かけはし2005.7.4号

今、若者にとって「しごと」とは?

三鷹でATTAC―Cafe

「使い捨て労働」の時代に、どう立ち向かうか?

 六月十一日、三鷹市市民協働センターで「今、若者にとって『しごと』とは? 『使い捨て労働』の時代に、どう立ち向かうか?」というATTAC―CafeがATTAC―みたかの主催で行われた。

超低賃金・過酷な
フリーター労働

 最初に、NHKビデオ「フリーター漂流」(05年2月5日放映)が上映された。中味は衝撃的であった。まるで、一九三〇年代のチャップリンの映画「モダンタイムス」のように、機械のように働く若者が写し出された。
 中味を紹介しよう。
 フリーター百万人時代。正社員は従業員の半分以下。単純作業。人間ロボットだ。代わりはいくらでもいる。突然の配置転換。
 二十一歳の青年。中卒でアルバイトを繰り返してきた。学歴で仕事内容が左右されるので、通信教育で高卒の資格をとろうとしている。札幌では、二十三歳以下の完全失業率が一〇%を超える。
 請負会社を通じて、栃木の通信機器メーカー工場へ。一分で二十四本のピンをいれられるかどうか。ここでは学歴や経験は必要ない。時給九百円。四十時間残業をすれば、二十三万円以上がうたい文句。札幌では時給七百円。契約は半年間で、三人一部屋の完全寮制だ。全国から募集。請負会社は六千人を採用し、千二百社に送り込んでいる。年間売り上げが一千億円。
 携帯電話の組立作業、一日四百台が目標。同じ作業の繰り返し。この会社は二〇%のコストダウンに成功した。仕事が減れば首を切る。
 三日目、生産調整のためラインが止まった。新機種のラインに廻ってもらう。派遣法では規制があってこうはいかない。フリーターはなくてはならない。
 三十五歳。運送会社を親子で営んでいた。一キロメートル運んで九十円。一カ月働いて、七万円まで落ち込んだ。ふたりではやっていけない。
 札幌からきた若者が五日目で首。職場でトラブルを起こした。半数が半年もたずにやめていく。家賃・光熱費を引いて二万三千円。
 コマーシャルの宣伝文句。「必要な時に必要な人材を」「一兆円産業」。
 請負会社は一万社だ。人集めに毎日が戦争だという。
 製造業へ派遣は禁止されていたが、昨年三月国は解禁した。自動車、家電、半導体メーカーは労働力をフリーターに頼っている。
 二十五歳の結婚し立ての男性。妻は二十二歳。ふたりで寮住まい。高卒でいままで二十の会社を移ってきた。彼の信条は「本当にやりたいことを探す。妥協せずに仕事を探したい」。彼は経験があり、リーダーに。しかし、責任を負わされても時給九百円はかわらない。一カ月で三つ目の仕事に移された。
 基盤の塗装の仕事を始めて二週間後に病気になった。夜十一時までの残業後、三十八度の熱が出た。ストレスと疲れが原因だ。結局一週間休んだ。残業で取り戻そうとしたが、仕事が減って残業がない。十九日働き、残業が八・五時間。十四万七千九百五十一円。八万円引かれて、手取りは六万七千八百二十二円にしかならなかった。将来に不安を感じて、請負派遣の仕事をやめ、夫婦してアルバイトして、その会社で働く。

経営や働き方を
点検する若者も

 ビデオ上映後、遠藤一郎さん(全国一般全国協書記長)が「非正規雇用の実態と問題点」と題して報告を行った(別掲)。報告の後の討論では活発な意見が出された。
●「ビデオをみて、私も転職してしまったが、一年契約なので不安になった」。
●「ネットで連絡を取り合った自殺が増えている。社会全体がおかしくなっている。資本家も保険・年金制度などが維持できなくなり、困るだろう。社会全体を変えるしかない」。
●「中小零細企業の経営者はかつては、『労働力は宝だ』と言い、少々余剰人員がいても使っていた。そうした社会の方が健全だ」。
●「ビデオでの現実は完全な使い捨てで、希望がなく絶望的だ。機械を導入するより人間の方が安いという扱いをしている。しかし、若い人がそう深刻に危機感を持っていないのではないか。みんながいっしょになって地域から作り変えていくしかない」。
 こうした意見に対して、遠藤さんは「宮城県のある旅館の合同労組支部は執行部が全員若い。彼らは旅館の経営のあり方まで提案して、労働条件の改善に努めている。また、ある特養ホームで働く若者は仕事に誇りをもって働きかたをチェックしている。素地はあり、どう引き出すかが重要だ。外国人労働者の場合は、地域に情報交換を持つ場所が必ずある。そうしたたまり場を利用して組織する必要がある」と提起した。(M)



遠藤一郎さんの報告から
二極分解する社会を変える仕組み作りを



32%を超えた非
正規職の労働者

 二〇〇四年の非正規雇用は三一・四%だったが、今年は三二%を超えている。非正規職で一番多いのはパート労働。それも正規職と同じようなフルタイムパートだ。パートというのは、本来は短時間労働で、他の条件は正規職と同じというものだった。日本の場合、九百万〜一千万人がパート。派遣労働の人数は幅があり、九十万〜百万人を超えそうだと言われている。
 いま見たビデオでは、NHKで放送されたということもあり、違法性はないだろうが、派遣法では契約について勝手に変えられない。請負の場合はそうした規制がなく、変えられる。
 トヨタ自動車は今年の一時金を二百四十四万円で妥結した。なぜそんなことができるのか。トヨタのカンバン方式といってトヨタ工場の周りには下請けの部品・組立て工場がたくさんあり、ブラジル人がいっぱい働いている。日系2世は月収が最高で十七〜十八万円だ。

年収200万円
では食えない!

 ビデオの青年が病気で休んでなんの保障もなかったが、社会保険に入っていないからだ。無権利状態だ。パートは社会保険に入れるようになっている。
 三月六日に外国人労働者を中心に、ジョブセキュリティーマーチ=安心して働ける労働の保障を要求して、渋谷で集会・デモをした。そこに参加していた英会話のNOVAは六千人の外国人労働者を雇っているが、社会保険に入っておらず、旅行の時の保険に入れている。国保と社保の違いは休業保障があるかないかだ。先日、語学学校に国の立入り調査が入った。これは労働者の闘いがあって初めて国が動いたのだ。
 ビデオにあった請負会社による派遣は、団結をして要求することからも排除されている。半年契約では、組合を作って要求していたら半年後に雇い止めされてしまう。
 非正規労働はいつでも仕事がなくなったら雇用調整をすることができる。いつでも首を切れる。雇用が不安定だ。規制改革の座長をしているオリックス社長の宮内は「規制撤廃をやれ。ペンシル雇用をやれ。鉛筆の芯だけを雇っていればいい。外はいつでも取り替えられる。日本全体が豊かになろうとするのは間違っている。エリートを育てる。落ちこぼれたものを他がもらえばいい」と主張している。
 非正規労働は賃金が安い。正規職の半分だ。時給九百円だと年間で二百万円。貧困の問題として深刻化している。
 「年収二百万円で食えるか」と三月十七日に日比谷野音で集会を持ち、むしろ旗をもってデモをした。高速道路集金所の下請け労働者は三十年かけて、年収四百万円になった。道路公団の民営化攻撃を受けた。三年間かけて支出を四割減らせとなった。そうしたら、賃金を四割減にした。民営化は進歩なのか。そうした不当な攻撃に対して、労働者はストライキで闘っている。
 労働者は二極分解している。世帯収入が三百万円を下回る人が三割を超えた。大手民間企業のボーナスは四%アップで、半年で七十四万円になった。逆に製造業は世界の最低賃金水準に引きつけられるという。日本国内でも、低賃金化が進んでいる。韓国は五〜六割が非正規職だ。日本は数年前まで二〇%だったが、あと数年で韓国と違わないところまでくるだろう。
 こうした状況を変えるシステムをみんなで考え、作っていかなければならない。(講演要旨、文責編集部)


郵政民営化反対日誌 6.19-6.24
疑惑を追及される竹中大臣

6月19日(日)●武部勤自民党幹事長がテレビ番組で同党反対派議員に対して「覚悟を決めてやってもらなわなくてはならない」と発言、解散総選挙になった場合には公認しない可能性を示唆。
6月20日(月)●郵政民営化を監視する市民ネットワーク(http://www.ubin-watch.net/)がニュース第4号を配布。「論議は尽くされたどころか、民営化への疑問は深まるばかりです」と民営化審議を批判。●徳島県議会が本会議で「郵政事業民営化の慎重審議を求める意見書」を全会一致で可決。昨年の定例会では拙速な民営化・分割を行わないことを求める意見書を政府に提出している。●共同通信が行った郵政民営化に関する世論調査で「民営化を進める必要はない」「この国会にこだわらず議論をつくすべき」があわせて72・1%に。「この国会で成立させるべき」は21・7%にとどまる。●衆院郵政民営化特別委員会は理事会で公聴会について協議。与野党の協議まとまらず。
6月21日(火)●竹中郵政民営化担当大臣の秘書官の知人が経営する広告会社が、民営化PR政府広告を随意契約で受注した問題で、民主党の五十嵐文彦議員が追及。竹中大臣は「うそはついていない」と。しかしその後政府答弁を六件訂正●郵政民営化特別委員会は理事会で法案採決の前提となる地方公聴会を28日に開催することで合意。民主党国対幹部は「これ以上は拒めない」と。●自民党執行部は21日、郵政民営化法案の修正原案をまとる。(1)窓口会社の業務として貯金・保険を明記(2)過疎地の郵便局設置基準を政省令から法案本文へ格上げ(3)地方自治体の事務を肩代わりするワンストップ・サービスを郵便局の業務として明確に位置づける――という内容。自民反対派を切り崩すためだけの修正法案。●自民党執行部は、17日本会議で会期延長の採決に欠席した綿貫民輔前衆院議長、亀井静香元政調会長、野呂田芳成農水相の処分見送りを決定。●小泉首相はこの日閣議決定された骨太方針について「今の財政状況をみれば、歳出削減だけで健全化にもっていくのが難しいのは皆分かっている。4割を国債に依存し、これから歳出削減の痛みは当然だ。かといって、今すぐ増税というとそうでもない。だからこそ、今民営化路線をとっている」「郵政民営化をすれば、将来増税しなければならなくても、その幅は少なくてすむはずだ」と。自民党利益誘導政治による借金解消は、労働者への増税と公共サービス破壊の郵政民営化ではなく、法人税と累進課税の大幅拡大、軍事費や米軍駐留維持費の全面的削減で行うべきである。
6月22日(水)●政府は特別委員会理事会に前日問題となった政府広報の随意契約問題で、訂正資料を提出。答弁や資料などに訂正が相次ぐことから民主党が郵政民営化特別委員会出席を拒否し、一般質問が中止。衆院決算行政監視委員会でもこの問題を追及された竹中大臣は「時間、予算、人員の制約の中で適切に対応している」と苦しい答弁。
6月23日(木)午前中に開かれた郵政民営化特別委員会の冒頭で細田官房長官が郵政民営化の政府広報受注問題で政府答弁が二転三転していることについて「国会で虚偽の答弁をすることは断じて許されないのが当然であり、今後このような疑惑を招くことのないよう、十分監督することを政府を代表して当委員会に対し誓う」「政府参考人の答弁や説明が意図的に改ざんの中でなされたと指摘されたことについて、政府を代表して遺憾の意を表し、心からおわびする」と陳謝。民営化には利権が常に付きまとってきた。新たな利権を生み出す民営化をとめよう。●特別委員会に参考人として出席した全国地方銀行協会の瀬谷俊雄会長は「(民営化後の郵便貯金銀行の)資金量は地銀64銀行すべてを足してもかなわない。供給過剰の融資市場に急激に入ってきた場合、竹中大臣が言うように仲良くするというのは相当難しい」と民営化による民業圧迫もありえると答弁。●この日、郵政民営化特別委員会での審議時間が、民営化関連では過去最長だった国鉄改革関連法案(86年)の76時間に並ぶ。にも関わらず民営化に対する世論の支持は一向に増えず●自民党の武部幹事長ら三役は29日に特別委員会で、7月1日までに本会議で郵政民営化法案を採決する方針を申し合わせる。27日に自民党総務委員会で修正案を提示し、党議拘束をかけるとも。●自民党内の郵政族議員で作る郵政事業懇話会が幹部会を開き、執行部の修正案に反対する方針を確認。●野田聖子、綿貫、亀井など自民党内反対派は都内で会合。平沼赳夫前経済産業相、古賀誠元幹事長、高村正彦元外相、麻生太郎総務相らでつくる「士志の会」が郵政民営化関連法案は修正が必要、戦没者慰霊の新施設は靖国神社の代替施設にはならないとの認識で一致。
6月24日(金)東京・三鷹で「郵政首切り物語」上映会。免職者の池田実さんが郵政民営化法案の問題点を提起。●久間章生自民党総務会長が青木幹雄参院議員会長と会談し、6月28日までに法案修正案をまとめ、7月1日までに特別委員会で採択することを伝え、青木会長も了承。郵政民営化特別委員会の与党理事からは「まだ採決時期を議論する時期にない」と批判。民主党の中井洽筆頭理事も二階俊博特別委員長に抗議。二階委員長は「裁決日程はまだ決まっていない。困る」」と中川秀直自民党国対委員長に抗議。


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