| ヨンデネット大阪学習会 かけはし2005.6.27号 |
過去の清算を行い戦後六〇年をアジアの人々との共生の出発に
【大阪】ヨンデネット大阪(日朝日韓連帯大阪連絡会議)の春期学習会が六月一日、エルおおさかで開かれた。「今年は戦後六十年、日韓条約締結四十年の年。情勢は正しい歴史認識とは反対の方に動いているが、しっかり認識を深めていきたい」と司会のキム事務局次長が訴え、主催者を代表して共同代表の合田牧師(日韓問題を考える東大阪市民の会)があいさつした。
「総評傘下にあった日朝共闘は総評の解散に伴い解散したが、継続を求める多くの人の声であらたに日朝日韓連帯大阪連絡会議として出発した。その当時からみても日本という国はどんどん悪くなっている。七月十六日には国際交流センターで大集会が予定されているが、今日はその前段集会として、真実はどこにあるのかしっかり学習していきたい」と述べた。
続いて、二〇〇五年三月十四日から四月二十二日までジュネーブの国連欧州本部で開かれた国連人権委員会の報告と、五月二十日、二十一日に東京で開催された国際連帯協議会の報告を、双方に出席した空野佳弘さん(弁護士・ヨンデネット共同代表)の報告。空野さんは、人権委員会での日本軍性奴隷制をはじめとした戦後補償問題の審議の様子を、同じくその委員会の審議に参加した前田朗さん(国際人権活動日本委員会)の報告レポートをもとに行った。
戦後六十年ということもあり、人権委員会での日本軍性奴隷制をめぐる発言は例年をはるかに上回った。「慰安婦」問題では従来は男性の発言が多かったが、今回逆転したとのことだ。また、韓国政府が従来と異なり踏み込んだ発言をするようになった。被害者の数について、日本政府は昨年の人権委員会で初めて「二十万には根拠がない」と発言。今回も同じだった。日本のマスコミはジュネーブに常駐しているが、これを全然報道せず、韓国の連合通信は詳しく報道したとのこと。報告は概略以下の通りである。
沈黙と居直りを繰
りかえす日本政府
【人種差別・人権侵害】最初に北朝鮮政府が「日本は朝鮮植民地化における創氏改名・四百八十万もの奴隷労働・百万の殺害・二十万の性奴隷という犯罪を犯した。ところが日本は過去を正当化しようとしている。(日本の独島領有権の主張を批判して)日本は財産は豊かだが道徳的に貧しい。日本は国連憲章の「敵国」とされていることを忘れるべきではない」と発言。
これに対して日本政府は、過去にこの問題についての姿勢を述べているので繰り返さないと反論。それに対する北朝鮮政府の再反論が繰り返された。
【重大な人権侵害】オランダのNGOである「対日道議請求財団」は「収容所の三年半に日本軍の性奴隷にされ、今も心身の障害を負ったままだ。日本は何ら補償していない。日本政府は被害者に道義的責任がある」と発言。
この後拉致問題に対する北朝鮮政府と日本政府の反論が繰り返された。その中で、日本政府が過去の問題について述べる必要はないと言ったことに対し、中国政府が「日本では首相が戦争神社に参拝している上、歴史教科書を取りつくろっている。アジア太平洋で被害にあった人民は日本に対してこの問題を提起し続けるだろう」と発言。
【女性に対する暴力】韓国政府が発言し、日本政府との発言反論の応酬となった。韓国政府は「日本政府が検定を通過させた歴史教科書が、日本による過去の重大人権侵害を削除していることに重大な関心を持っている。特に日本軍による強制動員や『慰安婦』の奴隷化問題だ。被害女性の苦痛は続いている。彼女たちがなくなる前に日本政府が過去をたださなければ歴史の不名誉になる。そのチャンスの窓はまもなく閉じようとしている」と発言した。
これに対し日本政府は「村山首相談話で謝罪した。慰安婦問題では国際法上の責務をすべて果たしている。道義的責任からアジア基金を行った。教科書については、日本政府は編集していない。検定は明らかな学問的誤りを正すためのものだ」と発言。
この後、韓国政府が、クマラスワミ「女性に対する暴力」特別報告者の報告とマクドゥーガル「戦時性奴隷」特別報告者の報告(サンフランシスコ講和条約や二国間条約では解決していない、日本政府に法的責任・補償・責任者処罰を勧告している)を引用して反論し、日本政府は学習指導要領で教科書を検定し、採否は政府が行っていると反論。これに日本政府が反論し、北朝鮮政府の応酬。この議題については、多数の発言があった。
NGOの「リベレーション」は「クマラスワミ報告に基づいて女性国際戦犯法廷が開催されたが、NHKは天皇が有罪となったことを報じず、番組改編に中川・安倍という自民党の政治家が関与していた。日本の首相の謝罪はリップサービスにすぎない。被害者が平和な晩年を送れるようにするのは国際社会の責務だ」と発言。
安原桂子さん(国際人権活動日本委員会)は、「軍事的性奴隷制は日本政府の政策として行われた補償を求める裁判は棄却されていると発言し、渡辺美奈さん(アジア女性資料センター)は、日本政府は被害者への正義を拒否しながら常任理事国になりたがっている。人権委員会が常任理事国の基準を設定することに注意を喚起したい」と発言した。
全中国女性連盟は「日本政府が歴史に向き合い、戦争犯罪に責任を負い謝罪と補償を行うよう促したい。北京行動綱領から十年、女性に対する非暴力と平等は願いであるに留まっている」と発言。韓国女性団体連合は「補償は民間機関からではなく政府が払うべきだ」と発言した。
【子どもの権利】韓国政府が「正しい歴史的事実に基づいた歴史教育を通じて子どもに健全な世界観を持たせることは重要だと発言。二〇〇二年以来日本では在日朝鮮人に対する暴力と差別が起きているが、日本政府は対策を講じていない。性奴隷被害者の数について、調査することも資料を公開することも拒否している」と発言した。
十三万件に達する
強制動員被害申告
空野さんは、韓国で「日帝強制占領下強制動員被害真相究明等に関する特別法」が成立して、日帝強制占領下強制動員被害真相究明委員会が五月末につくられたこと、すでに被害申告が十三万件に上ぼっていることを報告した。
「浮島丸沈没事件・靖国神社合祀問題等の調査が決定し、韓国大統領が小泉首相に遺骨調査を直接要請した。現在、全国の自治体や寺院に照会されている。この問題は、遺骨を返せばそれでいいというものではない。なぜ死んだのか、責任はどこにあるのかが判明されねばいけない」と述べ、「反日」の問題についての見解を付け加えた。
「中国の反日デモは、日本では中国政府のやらせではないかとの見方があるが、そうではない。一九七二年の日中共同宣言で中国は対日請求権を放棄したが、中国が民主化される中で、戦争被害の問題が言えるようになった。反日デモの先頭は民主化運動の先頭に立っている。過去を克服するには、過去から学ぼうとする力がいる」。
空野さんは、時間はかかるがアジアと向き合う努力をしていこう、と述べた。
戦時性的強制被害
の立法的解決を!
ジュネーブ報告の後、戦時性的強制被害者問題に長年取り組み、国連人権委員会にも提訴しながら活動してきた戸塚悦朗さん(龍谷大法科大学院教授・JFORジュネーブ国連主席代表)が問題提起をした。
戸塚さんは、第二次大戦中、上海の旧日本海軍向けの「慰安所」に、日本人女性を「仕事は女中」などと偽って送り込んだ業者ら十人を国外移送誘拐罪で有罪とした一九三六年の長崎地裁判決全文を長崎地検で入手した。戸塚さんは今回の人権委員会にも出席している。
戸塚さんは、はじめに最近の中国と韓国について話した。二〇〇四年九月に北京で開かれた第二次大戦中の「抗日戦争」史実保存世界連帯が主催した国際会議は、中国政府が初めて認め世界中の中国系学者が集まった。最近の中国では大変大きな変化が起きていて、人権を語るまでに民衆の状況が変化してきている。反日デモの背景には中国の民主化がある(人々がものが言えるようになった)、最近中国は正面から発言するようになったことなどを語った。
また「『対日ドクトリン・四大基調五大原則』を発表した韓国のノ・ムヒョン大統領はこれまでの対日政策を転換したが、これを小泉首相は韓国の国内事情のためだと言った。それは違う。光州事件の調査、4・3済州島事件の名誉回復などのしっかりした土台の上でのことだ。大統領はドイツの過去清算のやり方に注目しているが、日本では慰安婦の記載が教科書から減少したことを喜ぶ閣僚発言が飛び出す始末。小泉首相以下日本政府・自民党を中心とする与党の横暴では、過去の侵略行為を反省する態度は見えず、なぜこうなったのかの歴史的背景には関心がうかがえない」と述べた。
問題の立法的解決につながる「戦時性的強制被害者問題解決促進法案」(はじめは戸塚さんの個人提案)は、現在野党三党と無所属国会議員の協力で二〇〇〇年三月以降常に国会に提出されている。
「すべての被害者支援団体が歓迎している。また、全体の問題の真相究明のためには、衆議院で継続中の『国会図書館法改正の議員立法法案』が重要だ。当初この立法提案は、内閣法制局の同意を得ていず、被害者側全体に歓迎されていなかったが、その後の誠実な努力の結果、問題が解決し、立法の提案が実現した。内閣法制局が同意しなかったのは、サンフランシスコ講和条約と二国間条約で解決済みのことを蒸し返すのは憲法違反だという理由。これについては一九九九年、野中官房長官が違憲ではないとの政府見解を示したために状況が変わった」という。
戸塚さんは、パネルディスカッションの中で、「戦時性的強制被害者問題解決促進法案」の提出に反対したのは連合だったと言い、この問題の将来を決定するのは、日本の草の根運動だと述べた。
人権委員会に参加した大学生のリユ・ユジャさんが感想を述べ、今日の教科書問題にすべてが含まれていると語った。特別アピールとして、「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク(VAWW│NETジャパン)から、六月に開かれILO総会に提出し決議をかちとるため、日本政府が日本軍性奴隷制問題を解決するよう要求する「支援と連帯のための国際キャンペーン」への署名協力が訴えられた。
また、「子どもたちに渡すな、危ない教科書 大阪の会」からは、つくる会教科書採択に反対する運動への訴えがあった。日本会議が政治力を動員し、採択可能な東京の半分・愛媛の全体の地域や和歌山・奈良・京都などに圧力をかけているとのとである。最後に、山下恒生さん(教育合同労組委員長)が行動提起をし、扶桑社の社会科教科書が採択されないように大阪府下のすべてのの教育委員会に申し入れ行動を行う分担案を示し、返事が曖昧ならば全員で改めて申し入れを行うなど、みんなで動き回ろうと訴え、集会を終えた。 (T・T)
尼崎市議選で市民派が善戦
丸尾さんトップ、酒井さん中位当選をかちとる
【大阪】六月五日は、兵庫県尼崎市議会議員選挙の投票日だった。十二年前の議会ぐるみのカラ出張問題を追求する運動から出発した尼崎の市民派議員の運動は四期目をめざす選挙に取り組んだ。前期の期間中の市長選では、白井市政にとっては市民派と共産党を除く総野党化現象のなかで、市民派の白井文市長が当選するなどし、市民派の果たす役割が問われるものとなっていた。
今回は、定数三減の厳しい選挙であったが、現職の丸尾牧さんは前々回、前回に続きトップ当選(五九二二票)、酒井一さんは得票を伸ばし、四十五人中二十三位での当選(三三一〇票)を勝ち取り、尼崎での市民派議員活動の定着を示した。しかし、この二人と協力して選挙に取り組んだ無所属市民派で「障害者」運動などに取り組んでいる田中寿雄さんは、残念ながら落選(一七七〇票)した。さらに、今後の協力共闘が予定されている新社会党の都築徳昭さんも当選した。
しかし、公明党は定数減の中にあって、これまでの十人に一人プラスして立候補させ、十一人全員が二位から十二位までの高位当選を果たした。十一人は十二年前のカラ出張問題で議員数減から回復したことを意味する。公明党は、地方議会の議長をねらう戦略に向けて着々と基盤を築いており、今後の議会を巡る市民派の活動にも課題を残すことになった。
さらに、厳しい地方財政やマスコミも総掛かりの公務員労働運動への攻撃など、白井市政にも市民派運動にも多くの困難も待ち受けていて、そのがんばりが期待されている。 (H)
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