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声明                          かけはし2005.5.30号

日本は近隣アジアとの衝突の道から引き返せ

―歴史認識と「反日デモ」について―

 韓国・中国で大きく広がった「反日」デモに対して日本政府とマスメディアは排外主義的国家主義に満ちたキャンペーンをくりかえしている。そこには侵略戦争と植民地支配を居直り、正当化する姿勢があからさまに表現されている。ここに掲載する声明は、十六人が呼びかけ、六十四団体、七百二十三個人の賛同を得て発表されたものである。五月十二日には、衆院第1議員会館と外国特派員協会で記者会見が行われ、マレーシアのTVではその模様が放映された。大国主義的ナショナリズムを正面から批判する運動を広げよう。


 日本と近隣アジアとの関係は憂慮すべき、深刻な危機に入っている。ここ数年、小泉政権の下、急速に右傾化を強めた日本は、アジアに対する日本帝国の過去の行動を合理化する行為を重ねることで、近隣アジア諸国との衝突の道を突き進んできた。四月初旬から中国各地で激しく行われてきた「反日デモ」は、このような日本の選択にたいする近隣アジアの叫びであり応答である。韓国の盧武鉉大統領は「侵略と加害の過去を栄光と考える人たちと生きるのは全世界にとって大きな不幸だ」と述べた。日本がこの道に固執するかぎり、日本と近隣アジアとの関係はその根底部で破壊され、敵対と不信に浸透された不幸な関係に陥っていくしかない。私たちはそれを望まない。
 一九九五年、日本政府は、村山首相談話を通じて、「わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与え」たことを認め、「未来に誤ち無からしめんとするが故に、疑うべくもないこの歴史の事実を謙虚に受け止め、…あらためて痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを表明」した。
 これは戦後五〇年、遅すぎたとはいえ、日本がアジア諸国へなした誓約であり、日本の対外関係を律する文書である。小泉政権もそれを否定していない。そればかりか、四月二八日ジャカルタで開かれたアジア・アフリカ首脳会議ではそれを読み上げ、今日の危機をすり抜けるために利用さえしている。だが現実には、小泉首相は就任以来、この誓約を反古にする道をあえて選び取り、一切の批判を受け付けずに開き直ってきたのである。小泉首相の靖国参拝への固執とそれへのアジアからの批判への無視は、まさに一九九五年誓約の反古化を宣言する象徴的行為であった。ドイツには戦死したドイツ兵士とともにヒトラーやゲッベルスを祀った宗教施設などは存在しないが、かりにそのようなものが存在して、ドイツ首相がそれに参拝したとすれば、ドイツの侵略を受けたヨーロッパ諸国の社会が、どう反応するだろうかを考えてみれば、日本国首相の靖国参拝が、近隣アジアにとってどのような挑発、侮辱なのかは一目瞭然である。首相の靖国参拝は、他国が口を出す権利のない国内問題ではなくて、明らかに重大な国家行為・外交行為である。そうである以上中国や韓国がそれを批判し、抗議する当然の権利が存在する。
 さらに日本政府は、右翼勢力と気脈を通じつつ、「日の丸・君が代」の強制、「心のノート」などによる子どもたちへの愛国心教育の押し付け、歴史歪曲教科書の採用の推進など、日本帝国の過去を復権し、自己反省に立つ「歴史認識」を退ける政策を公然・隠然と推し進めてきた。韓国の盧武鉉大統領はこの経過を指して「日本が何度か謝罪したのは確かだが、最近はこうした謝罪を白紙化する行動を見せた」と指摘した。そしてこの文脈のなかで、日本政府は、領土や資源開発など隣国との最も敏感な問題について次から次に挑発的行動に出た。隣国との関係の全面的悪化が、こうして小泉政権によって作り出されたことは明白である。
 だが日本国内においては、問題は中国における「反日デモの暴走」にすり替えられている。町村外相は「反日デモ」をめぐって、政治的責任は日本側にあるという中国政府の立場声明には何も述べず、デモによる日本政府公館や日本企業への被害について中国政府に「陳謝、賠償」を要求するという攻撃的姿勢で開き直った。この見方が政治とメディアを制圧している。中国警察は投石を黙認した、責任を追及せよ、中国政府の「愛国教育」=「反日教育」が問題だ、いや体制に不満な若者たちの反日にかこつけた反政府運動だ、など他人事のような議論が飛び交う中、靖国、教科書問題、歴史認識をめぐる日本への要求が正当かどうかについて、国会でもメディアでもまじめな議論は欠如している。
 私たちは、このなかに居直りと無神経さを感じ取る。いま自民党と小泉政権が戦略的目標として推進している憲法改定の柱の一つは、日本帝国の過去の復権である。そして近隣アジアにおける「反日」の爆発によって、この帝国の過去復権の企てこそ近隣アジアとの関係を決定的に壊すものであることが明白になったのに、日本の政治とメディアはそれを直視しようとしていないのである。
 今日推進されている改憲の企ては、戦後国家から平和主義の原理を抜き去る(九条改憲)ことと日本帝国の復権を組み合わせ、それによって、軍隊と交戦権をもつ国家として安保理常任理事国の座を確保し、同時にアメリカ帝国の世界支配に軍事的にも全面参加するよう日本国家を作りかえるというものである。米国のグローバル戦略のなかに日本を位置づける有事法制など一連の軍事化法制は、周囲の諸国・諸国民に近未来における日本からの脅威を意識させ、それによって過去の侵略の記憶を喚起させるものである。
 自民党憲法起草委員会の小委員会のまとめた憲法改正要綱は、中曽根康弘が座長となって作成した「憲法前文」部分に、帝国の復権をはっきり書き入れている。曰く「日本国民は…和の精神をもって国の繁栄をはかり、国民統合の象徴たる天皇と共に歴史を刻んできた。日本国民が先の大戦など幾多の試練、苦難を克服し、力強く国を発展させてきた」。「先の大戦」は日本国民が「試練、苦難を克服」した美談として総括されるのである。そこには「植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与え」(村山談話)たことの総括はもとより、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにする」決意(日本国憲法前文)もない。
 いま私たちは近隣アジアからの激しい抗議と批判によって、帝国復権への道がすでに破綻していることを告げ知らされている。アジアの不信の海の中で、アジアと敵対しつつ私たちは二一世紀を生きることはできない。
 私たちはこの道から日本を引き返させなければならない。
 小泉内閣は、靖国参拝を始め、近隣アジアとの全面的敵対関係を引き起こした責任をとって退陣すべきである。日本政府は、その政策の全体を村山談話に照らして再検討し、日の丸・君が代強制、扶桑社教科書の上からの押し付けなど、日本帝国による侵略・植民地化の忘却・免罪・美化につながる行為、政策を廃止すべきである。これらを推進してきた右翼連合は権力から排除されなければならない。日本は国連安保理常任理事国入りへのキャンペーンを直ちに中止すべきである。戦争を反省しない国、アジアの信頼を勝ち得ない国が世界のリーダーになる資格はなどないのである。そして何より、非武装平和原理の廃止と帝国継承性の復権を目指す改憲の企ては撤回されなければならない。
 私たちはこれらをアジアの平和と正義を願う多くのアジアの人との共同の努力によって実現するであろう。
 二〇〇五年四月

鵜飼哲(一橋大学教員)/太田昌国(民族問題研究者)/大橋正明(恵泉女学園大学教員)/小倉利丸(ピープルズ・プラン研究所共同代表)/櫛淵万里(ピースボート共同代表)/熊岡路矢(大学教員)/越田清和(ほっかいどうピースネット)/高里鈴代(沖縄・基地軍隊を許さない行動する女たちの会)/長澤正隆(日本カトリック正義と平和協議会事務局長)/西野瑠美子(VAWW―NETジャパン)/花崎皋平(さっぽろ自由学校「遊」共同代表)/弘田しずえ(カトリックシスター)/武者小路公秀(反差別国際運動日本委員会理事長)/武藤一羊(アジア平和連合(APA)ジャパン)/吉見俊哉(東京大学教員)/山本俊正(日本キリスト教協議会総幹事(NCC))



都議選 
福士敬子さん三選を
市民の立場で都政を変えよう
草の根から平和・人権・民主主義を実現するために


エリート主義の
石原都政にNO

 六月二十四日公示、七月三日投票という日程で東京都議選が行われる。今回の都議選は、極右・石原慎太郎都政に対する労働者・市民の反撃を作りだしていく上で、一地方選挙にとどまらない重要な政治的意義を持っている。G8の一員でもあるカナダ一国の予算を上回る予算規模を持つ東京都での闘いの帰趨は、国内政治だけではなく国際政治にも重要な影響を持つだろう。とりわけ日本の戦争国家化の先兵である石原都政への賛否を問う都議選は、韓国、中国をはじめとする東アジア諸国との関係においても注目を集めている。
 石原都政は、卒入学式で「日の丸・君が代」を突出した形で強制し、「不起立」の教員への処分を乱発している。さらに「ジェンダーフリー」教育や「性教育」に対する攻撃を繰り返している。石原都知事は、「ババァ」発言に見られるように最悪の女性差別主義者であり、在日外国人を「犯罪者」として排除の対象にし、中国、韓国への排外主義的ナショナリズムをあおりたてるファシストとしての本質を露呈している。
 「東京から日本を変えよう」と煽動する石原は、憲法改悪の旗ふり役であるとともに、福祉を切り捨て、エリート主義にもとづく「優勝劣敗」の能力主義競争原理を推進する新自由主義の権化でもある。教育・福祉予算を削減する一方で、二〇〇〇億円ものカネを高速道路建設につぎこむ石原都政は、まさに大資本の利害を露骨に体現する存在である。

実績を訴えて激
戦に勝ちぬこう

 われわれは今回の都議選で、最重点の候補者として杉並区選出の福士敬子さん(自治市民93)の三選を勝ち取ることを呼びかける。福士さんは、一九九九年の都議補選で初当選して以来、共産党まで賛成した石原の「外形標準課税」にただ一人反対するなど、一貫して市民の立場から石原都知事への批判を貫いてきた。「日の出の森」トラスト地の強制処分に対しても、現場でともにこの暴挙を糾弾してきた。福士さんのこうした市民の立場に立った議会での活動は、多くの杉並区民の支持を得て、二〇〇一年の都議選では「小泉ブーム」によって自民党が圧勝する「逆風」をはねのけ再選をかちとった。
 今回の東京都議選は、いっそうの激戦となる。杉並区(定数6)では、すでに定員の二倍の有力候補が出馬を表明しており、大きな組織的基盤のない福士敬子さんは厳しい選挙を強制されている。杉並区の現議席は自民、公明、民主、共産、生活者ネットが各一、そして福士さんという構成だが、自民、民主は各二人を公認し、有力な保守系候補も当選の機会をうかがっている。中核派も「全国的決戦」と位置づけて長谷川英憲候補を押し立てている。
 こうした中で、福士敬子さんは杉並区民だけではなく、全都の市民の声援を受けてその実績と政策を訴え、連日精力的に活動を開始している。福士さんの三選をかちとるために、草の根からの平和と人権と民主主義を実現していくために、支援を広げよう。(K)
連絡先:福士敬子と都政をつくろう会 
167―0051 東京都杉並区荻窪1―33―17 TEL/FAX 03―5932―2947

福士敬子&小室等 井戸端トークコンサート
b6月2日(木)午後6時
b久我山会館(京王井の頭線久我山駅南へ3分)
b会費 一〇〇〇円
連絡先 自治市民93/東京都杉並区荻窪1の33の17/TEL・FAX03―5932―3437
 福士敬子と都政をつくろう会


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