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改憲と天皇制を考える集い               かけはし2005.2.21号

「紀元節」反対、天皇主義右翼の突出を許すな

憲法改悪の攻撃と象徴天皇制の「国体」化に反対して

 二月十一日、東京・渋谷勤労福祉会館で「改憲と天皇制を考える2・11集会」(主催・実行委員会)が行われ、百八十人が参加した。
 天皇制と侵略戦争を賛美する「紀元節」は、一九六六年に「建国記念の日」として復活した。以降、「国民の祝日を祝う会」の主催という形をとりながら政府後援で「建国記念の日を祝う国民式典」を開催し、天皇主義右派勢力が「紀元節奉祝式典」を行ってきた。
 ところが政府・自民党は、三十九回目の「国民式典」開催について、「建国記念の日は定着し、式典の役割を終えた」「会員の高齢化により式典を運営するのが困難」などの理由から従来の形式を中止にした。だが、渋谷区のNHKホールで内閣府後援「『日本の祝日』祝賀コンサート」という新たなイベント形式に変えて演出し、天皇主義への統合を強行したのだ。
 天皇主義右翼たちも活性化している。「日本の建国を祝う会」(神社本庁や日本会議など)は、明治神宮会館で「建国記念の日奉祝式典」を開催し、憲法と教基法改悪、「日の丸・君が代」強制を拡げていくと決議した。午前中、明治公園から明治神宮に向けてパレードもしている。右翼たちは、政府の「紀元節」国家行事化軽視と「国民式典」中止を批判しつつ、天皇主義賛美の行動隊として自己を再位置づけし、新たな取り組みに打って出ることをねらっている。
 自衛隊のイラク派兵の下で、小泉政権は、天皇主義賛美キャンペーンを動員し、グローバル戦争への恒常的派兵体制を強化しようとしている。集会は、このような「紀元節」をめぐる状況の中で政府・与党、右翼の取り組みの矛盾を見据えつつ、憲法改悪と教基法改悪に反対し、天皇制による攻撃を許さない取り組みとして行われた。
 集会は、実行委員の基調報告から始まり、@イラク情勢│自衛隊の第五次派兵と「慰霊・追悼」A反「紀元節」の取り組みB天皇元首化・「祭祀権復活」をすすめる改憲攻撃反対C皇室スキャンダルと本格化する女帝論議について提起し、「『日の丸』『君が代』『愛国心』の押しつけに反対する教育現場の闘いの合流をめざしつつ、天皇制に反対し、戦争責任、差別・排外主義を許さない闘いも積み上げていきたい」と訴えた。

憲法原則を天皇
制への対抗軸に
 次に、笹沼弘志さん(静岡大学教員、憲法学)は、「護憲は反天皇制の理念たりうるか」というテーマから、「改憲論のもくろみと改憲論を支える土壌」について分析した。そして、「反天皇制の対抗軸は、人権と国民主権(護憲)以外にあり得るだろうか。だからこれを原理とする日本国憲法を守りたい。そもそもわれわれの闘いを擁護してくれるのが、人権であり、国民主権である。反天皇の闘いは、人権が正当化してくれるということだ」と問題提起した。
 続いて、高尾利数さん(法政大学元教員、宗教学)は、「日本神話批判の視座」の観点から渡部昇一『古事記と日本人』批判、「国家幻想の構造」分析、キリスト教批判などを展開し、「歴史的水平から神話的垂直への転化」について明らかにしていった。そして、「神道は多層・重層・混交的なものであり、大日本帝国に奉仕させられてしまった。『神社仏閣』に統合された総体の流れは、皇室を頂点とする『壮大なる』機構に飲み込まれてしまい、現代までもその呪縛から解放されていない」と指摘し、注意喚起した。
 発言は、「日の丸・君が代」の強制反対の意思表示の会、「昭和天皇記念館」建設阻止団、「日の丸・君が代」の法制化と強制に反対する神奈川の会、日韓民衆連帯全国ネット、日本軍「慰安婦」問題アジア連帯会議、小泉・靖国参拝違憲訴訟の会、イラクからの自衛隊の撤退と沖縄の米軍基地撤去を求める実行委から取り組み報告と連帯アピールが行われた。
 集会終了後、デモに移った。番組改ざんを居直り続けるNHKと明治神宮に抗議するというコースだった。

右翼の挑発と警
察の不当な規制

 国家権力は、右翼警備と称して渋谷勤福周辺に装甲車と多数の機動隊、公安を配備し集会に対する不当な監視・威圧、弾圧の機会をねらっていた。右翼は、会場に接近することはできなかったが、ハチ公前で挑発宣伝と大音量による街宣車活動を続けた。さらに、午後四時から宮下公園で大日本正義塾、愛国青年同盟などの右翼たちが反天皇制集会と対抗する形で集会とデモ(約百人)を行った。右翼デモは、渋谷一周コースで渋谷勤福の横を通る。明らかに反天皇制集会に対する挑発行為をねらったものだった。
 右翼たちは、集会とデモをしている間、宮下公園周辺、ハチ公前に右翼のバス・ワゴン車二十五台以上も違法駐車していた。渋谷署は、一般の車輌走行の障害になっているにもかかわらず、これまでの右翼とのなれ合い的付き合いの延長上において違法駐車を放置し続けたのだ。渋谷署・公安による不当警備・規制糾弾!改憲攻撃と連動する天皇主義右翼の挑発をはね返していこう!    (Y)


強制反対ホットライン大阪集会
天皇制イデオロギーは良心の自由を破壊する


 【大阪】「日の丸・君が代」強制反対ホットライン大阪主催の集会が、二月十一日にエルおおさかで開かれた。主催者を代表して冠木弁護士が次のように発言した。
 「自民党の改憲案には両性の平等をうたった憲法二十四条までが含まれている。国家の底辺に家族を置き、個人の尊厳の尊重ではなく、国家のための個人にしようとしている。海外に生産拠点を移している企業は、自前の軍隊を持ち、日の丸に守ってもらいたいと考えている。改憲を論議している経団連は、教育基本法改訂案も出すという。彼らは企業の中枢を担う人材だけを育て、その他は実直な労働力になるような教育を考えいる。われわれはこの総体としての攻撃を受けて立たねばならない」。

「和」をキーワード
にした国家主義

 続いて、事務局の黒田伊彦さんが、「神武」の存在についての諸説がある中で、権力が実在説を正論として認定することは学問の自由の侵害だとして、建国記念の日に反対するホットライン大阪の主張を述べた。
 黒田さんは「今まで奉祝式典を主催してきた『国民の祝日を祝う会』が、式典を政府主催で開催するよう要請してきたが、自民党がこれを断わった。右派勢力は、宗教色の薄い『国民の祝日を祝う会』を嫌い『日本の建国を祝う会』をつくり分裂集会を行ってきた」と紹介した。
 黒田さんは、皇后美智子が行ったニューデリーでのビデオ講演の中で建国記念神話(ヤマトタケルノミコトとオトタチバナヒメの話)を愛と犠牲の不可分性として美化していることにふれ、それが皇国史観を支持する政治機能を果たしていること、また、新京都学派と言われる梅原猛・上山春平らが「和」をキーワードに天皇制にアイデンティティを与え新しい国家原理をつくろうとしてきたと批判した。

北九州市の処分攻
撃と「ココロ裁判」

 講演は、本人訴訟の「ココロ裁判」を闘ってきた原告の竹森真紀さん(北九州がっこうユニオン)。
 「ココロ裁判」は一九八六年に始まる。北九州市教育長の時に福岡県教組つぶしをし、その後文部官僚になった高石邦男(リクルート事件に連座して辞職)が、一九八五年に「国旗国歌実施調査」を実施した。
 これを受けて北九州市は四点指導(式場中央に国旗掲揚、式次第に国歌斉唱、全員起立して国歌斉唱はピアノ伴奏で正しく心を込めて歌う、卒業式には教師は原則として全員参加)を行い、卒・入学式の「君が代」斉唱時の「着席」が校長によりチェックされ、その氏名が報告され処分が強行された。処分理由は校長の職務命令違反。処分は回を重ねるごとに重くなり、戒告処分や減給処分となった。多くの処分者を出した福岡県教組(日教組)は処分を出さない闘いへと路線を転換し、当時処分された組合員を跳ね上がりとして救援しなかった。

国家の暴走を許
すものは自己規制

 そのような中で、十九人の処分者が本人訴訟を提起していく。二十年にわたる裁判闘争で、原告は一人ひとり意見陳述し、口頭弁論を展開した。裁判の中では心を込めて(斉唱すること)も職務命令に含まれるのかどうかなども争われた。
 原告側の証言に対し被告である教育委員会の反対尋問はなく、信用失墜行為は処分理由としないということが公判で確認された。被告側が当時作成した状況報告書の開示もかちとった。西原博史さんなど学者にも証人になってもらった。
 日本の近代公教育を問い直すという視点からの、九十ページにもわたる最終準備書面を提出し、今年一月二十五日に最終弁論を終えた。処分者を事情聴取した市教委は、職業選択の自由があると言い、いうことを聞かないものは辞めればいいと言ったことも語られた。
 三十三回にわたる公判は終わった。判決は四月二十六日に下される。法廷では始めに号令により起立させられるが、原告たちは起立しなかった。公判の二回目からは起立を強制されず、裁判長自らも号令を止めさせるようになり、被告側の教育委員会も最後の頃は起立していなかったという。
 竹森さんは、講演の最後に、最終準備書面の最後の部分を読み上げた。その部分は、「戦後」が「戦後」として生まれ変わることができなかったゆえんを見いだすとすれば、譲れない一線だと判断をする自由を社会が保障していないことだと述べ、「自らの思想良心の自由を獲得するために、原告らはまた『黙って座り』続けることから、新たな『戦後』は始まると信じている」と言う言葉で結ばれている。竹森さんは、国家の暴走を許すのは自己規制であると語った。

各地でねばりつ
よい闘いつづく

 講演の後休憩を挟んで、各地域からの報告に移った。
 「市教委への申し入れと卒業式でのビラまきを今年もやる」(黒瀬さん:押しつけないで「日の丸・君が代」高槻市民ネットワーク)。
 「七点指示を出している市教委が〇二年度の入学式で起立しなかった教職員の氏名を報告させた。開示請求して出てきたものは、スミ塗りのコピー。市民が『不起立教員調査』費用返還で訴訟(『スミ塗り裁判』)を起こした。次の公判には当時の教育長が証人に立つ。福山さんらが報告書からの氏名と理由の削除を請求し、市の情報公開・個人情報保護審査会は〇四年九月に教員名削除を答申した。これに対し市教委は反発している。転勤一年で、不起立のためまた転勤させられた福山さんは、〇三年度の評価(評価システムは〇四年度本格実施)がDであった」(松田さん、福山さん:ひらかた「君が代」訴訟=スミ塗り裁判をすすめる会)。
 「〇四年六月頃から性教育に対して攻撃がかかり産経新聞が昨年十二月に二回これを報道した。市教委は性教育に批判的な一握りの勢力の不当な要求に屈服し、謝罪した校長は昨年十二月末に退職した。これから卒業式の時期を迎え、市教委・校長はこの事件を現場に自己規制させる材料として利用している」(宇野さん:押しつけないで「日の丸・君が代」吹田市民の会)。
 「一月に市教委に申し入れをした。職務命令を出して起立を強制するような感じは持たなかった」(恩地さん:箕面ピースアクション)。
 「君が代の強制反対の申し入れや、『心のノート』の問題点を指摘しその使用について市教委や文科省に質問書を出した」(森島さん:子どもたちの人権と教育を考える大阪市ネットワーク)。
 続いて、〇二年度の大阪東豊中高校の卒業式で国歌斉唱時に抗議し処分された中野五海さん、同時期の府立豊中養護学校の卒業式での国歌斉唱時の発言で処分された田中直子さんが人事委員会の報告をした。

東京都での闘い
に全国の支援を

 報告の最後に事務局の井前さんが全国状況の一部を報告をした。
 東京町田市教委が、卒・入学式での国歌斉唱時の声量を他の歌と同量の声量で歌うよう指導し、式の前日に声量調査の報告をするよう指示を出していること。都教委は昨年度の都立高校の卒業式で、不起立・不斉唱だったため処分され、再発防止研修に参加するように言われたが不参加であったものに戒告処分にし、その上であらためて再発防止研修に参加するよう指示をしていること。教育基本法改正の政府原案が読売新聞で報じられたが、それは読売のねつ造であったこと、再三公明党議員が申し入れをしてようやく文科省が読売に抗議をしたこと。教育基本法改正の与党内協議には多くの自民党文教族、多くの文科省役人、数名の公明党議員が出席しており、現時点では全く合意していないが、反論は限界に近づいていると公明党議員は言っている、などだった。
 事務局の寺本さんから、ホットラインは二月八日から四月十六日まで開設すること、メールやファックスをくれた人が直接弁護士と相談ができるようしているとの報告があった。百八十人の集会参加者は、集会後JR大阪駅前までデモ行進をし、市民に訴えた。
(T・T)


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