「参戦国家」にむけた支出と
増税を企む05年度政府予算 |
大嘘の財政改革を宣言
小泉首相は、一月二十一日、第一六二通常国会の施政方針演説において、憲法改悪の前哨戦である教育基本法改悪の貫徹、自衛隊のグローバル戦争への恒常的参戦、日米安保体制の強化、戦時型治安弾圧体制を構築していくことを表明した。また、郵政などの民営化、規制緩和と構造改革特区などを基軸とする多国籍企業、大資本のための新自由主義政策の展開、「世界最先端のIT(情報技術)国家」「知的財産立国」「科学技術創造立国」と称して資本のグローバリゼーションを生き抜く企業の支援と産学共同体制のレベルアップを強調した。
さらに小泉は、自らが作り出した膨大な借金による財政破綻を棚上げし、「二○一○年代初頭には、政策的な支出を新たな借金に頼らずにその年度の税収等で賄えるよう、歳出・歳入の両面から財政構造改革を進める」などと絶対にできない大嘘を平気で述べながら、民衆に対して、「三味一体の改革や社会保障制度の見直しと併せ、税制の抜本的改革の具体化に向けた取り組み」の開始を開き直り、通告したのだ。要するに、年金・介護保険制度・医療費値上げ、教育費削減、定率減税の半減から廃止へ、税率二ケタをめざした消費税の増税と資本・金持ちへの優遇税制、「三位一体改革」による地方財政削減とサービス切り捨てなどを押しつけていくことを宣言したのである。
この小泉路線の具体化である○五年度予算政府案は、二○○四年十二月二十四日に閣議決定している。政府予算案の反民衆性を明らかにし、地域・草の根、諸戦線から反撃キャンペーンを作り出していくことが、決定的に重要である。
財政破綻を隠す増税
○五年度予算案の一般会計は、○四年度当初予算費○・一%増の八十二兆一千八百二十九億円となった。小泉は、「予算は一般歳出を三年ぶりに前年度以下に抑制し、新規国債発行額を四年ぶりに減額しました」と演説しているが、実態は完璧に財政破綻状態だ。エコノミストやメディアから一斉に「緊縮財政は体裁のみ」と揶揄されているではないか。財務省は十二月二十四日に、さりげなく「小声」で事務的報告をしたが、○四年九月末の国債や借入金などの国の借金残高が七百三十兆九千八百五十三億円という膨大な数字になっており、国と地方を合わせた借金が七百七十四兆円が本当の実態なのだ。国民一人あたり(総人口一億二千七百六十九万人)約六百六万円の借金を抱えていることになる。
巷の話であれば、連日連夜、借金取りに追われ続け、ようやく「自己破産」として一息つけるかどうかという日々だ。だがそんな「悲惨」な状態を通り越し、小泉政権にとっては、たとえ巨額な借金を作ろうが、痛くも痒くもない。借金のツケを民衆にまわし、搾り取ればいいだけだからだ。
小泉政権は、確たる展望があるわけではないが、二○一○年初頭には借金体質を改善し、基礎的財政収支(プライマリーバランス)を達成するとミエミエの嘘アドバルーンを上げながら、それを「実現」するために民衆負担増と増税路線のセットで予算化したのである。この路線を正当化するために財務省は、今後四年間の財政状況を推計した「後年度影響試算」をわざわざ行い、○六年度以降、確実に新規国債発行額が増加し続け、○八年度に四十兆円を突破してしまうと数字をはじき出した。なお○五年度の新規国債が三十四兆三千九百億円だったことを取り上げ、「前年度を下回った」などと小泉は、言っているが、かつては「三十兆円以内にする」と豪語していたではないか。
資本のグローバリゼーションと新自由主義政策、結果としての産業の空洞化による泥沼の構造不況を背景にして資本は、労働者に対してリストラと非正社員化、解雇へと追い込んでいる。完全失業率は、四・七%から五%台が続いている。労働者の家計は、深刻な「火の車」だ。それにもかかわらず小泉は、大増税を叫び、その手始めとしてのターゲットが、定率減税の半減である。
定率減税は、一時的な景気浮揚を期待して所得税の最高税率と法人税の引き下げをセットで一九九九年度税制改正で導入し、所得税額の二〇%、個人住民税一五%を税額から差し引くというものだった。ささやかな減税だが、労働者にとって当然の権利である。そう簡単に手放すわけにはいかない。
だが、財界の強い意向を受けて、○四年十一月に政府税調は「定率減税廃止と消費税増税」を柱とする答申を出した。そして、自民・公明党が○五年税制「改正」大綱で定率減税半減と「税体系の抜本的改革を実現する」と合意した。定率減税半減によって、所得税額一〇%、住民税額七・五%に減税率を縮小し、年間約三・三兆円もの増税効果をねらっているのである。
税調答申は、○六年度までに定率減税を廃止し、その次に消費税の税率を一○%以上に引き上げるという増税スケジュールを主張している。予算案が大増税攻撃に向けたシナリオの始まりであることを暴露し、批判していかなければならない。
このような増税攻撃だけではなく来年度予算は、民衆に対して負担増を次々と押しつけ、二兆円もの巨額な収奪を強行する。削りやすいところから削る安易な手法に貫かれている。まず、生活保護費の老齢加算の引き下げと○六年度廃止。生活保護費の母子加算も十六歳以上について三年間で段階的に削減し、廃止をめざしている。
社会保障関係費の高齢化にともなう自然増分に対して小泉は「在宅と施設介護の利用者と負担者の公平化と年金給付との調整を計る」などと手前勝手な理由を強調したが、要するに介護保険の施設利用者に居住費・食費を自己負担化させることによって補おうとするにすぎない。介護保険制度改悪によって約三千億円の増額をねらっている。国民年金保険料は○五年四月から十七年度まで毎年度、月額二百八十円ずつ引き上げし、厚生年金保険料も十七年度まで毎年、○・三五四%ずつ引き上げる。
文教関係費は、前年度五・四%減の五兆七千三百三十二億七千百万円となった。「三位一体改革」によって義務教育費国庫負担金を暫定措置として四千二百五十億円減額した。今回は、とりあえず減額相当分を税源移譲予定特例交付金によって補ったが、今後も削減対象として位置づけている。国立大授業料標準額は一万五千円値上げし、五十三万五千八百円とした。教育基本法改悪を突破口に、新自由主義的教育改革路線にもとづいた差別・選別的な文教予算の配分傾向をより強めていくことを確定している。
このように文教費の減額に始まり、中小企業対策費、食料安定供給関係費など民衆生活の充実化のために予算配分すべきところを満遍なく減額か、手薄な予算配分でしかない。小泉政権は、資本への法人税や所得税の最高税率の引き上げに触れることなく、民衆に対する大規模な増税で延命しようとしているのだ。このような反動的性格に貫かれた予算案を絶対に許してはならない。
旧態依然たるバラ撒き
予算案の一般歳出は、○四年度当初予算費○・七%減の四十七兆二千八百二十九億円と計上した。小泉は「防衛費は三年連続、公共事業費は四年連続でマイナスにするなど、重点的に予算配分をした」と自慢しているが、その実態を見てみよう。
軍事費は四兆八千五百六十四億円で○四年度比一・○%減だが、他分野予算と比較しても突出した予算配分を継続している。小泉は、「米国との関係は日本外交の要であり、日米同盟は我が国の安全と、世界の平和と安定の礎」だとして、米軍の世界再編に対応し、「国際平和協力活動」などど言い換えて、米のグローバル戦争に積極的に参戦していくことを改めて決意表明した。その具体化が、新「防衛計画の大綱」に基づいた先取り的予算なのである。
大きな柱の一つが、米の先制攻撃戦略を支える「ミサイル防衛」(MD)予算だ。防衛庁は、今後、八年間で八千億円から一兆円かかると試算している。○五年度予算案では、米国からのイージス艦搭載用の「SM3」ミサイルの購入、日米共同技術研究費などで千百九十八億円をつけている。
第二の柱として自衛隊の海外派兵にむけて装備・機構強化のための予算を盛り込んだ。すでにイラク派兵において軍事作戦で配備されている軽装甲機動車を百六十両で五十億円、装輪装甲車十五両で十八億円としている。さらに海上自衛隊艦隊の衛星通信ネットワーク・システム経費が百七十三億円、航空自衛隊が飛行距離を延ばすための空中給油機に二百四十八億円をつけ四機目の調達を決定した。また、長距離航続機能を持った輸送機開発経費に七百八十億円、三自衛隊の海外派兵展開強化のための「統合幕僚監部」の新設費に八億円も計上した。
このように着々とグローバル戦争参戦への自衛隊作りが予算面においても顕著に現れだしてきているのだ。
さらに、日米安保体制強化の観点から、神奈川県米海軍池子住宅地への新たな米軍住宅建設に向けた調査費八千五百万円、沖縄米軍基地強化のためのSACO(沖縄に関する特別行動委員会)経費に二百六十三億円、在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)が二千三百七十八億円など手厚い予算配分もあいかわらずそのままだ。これ以上の巨額な軍事予算に歯止めをかけ、民衆のための予算配分を強制させなければならない。
自衛隊の海外派兵体制の強化とセットで押し進めようとしているのが、国内治安弾圧体制作りだ。「世界一安全な国」「テロの脅威に対応する」として、自衛隊の対テロ・ゲリラ訓練整備費、「国民保護・防災部」新設、入国管理体制の強化に向けた人員増、警察特殊部隊(SAT)や警察官の増員などの予算を組んだ。IC旅券の導入にみられるように外国人に対する差別・排外主義・人権無視の監視・管理体制の徹底に対して厳しく批判していかなければならない。
公共事業関係費もこれまでと同様に、大資本・ゼネコンの意向を忠実に反映した内容である。小泉が「公共事業は四年連続でマイナス」だと言っているが、本当の姿は大都市乱開発に比重をかけた巨額な予算配分である。
大都市圏空港整備費が二・二%も増額している。大阪出身で公明党の北側国交相と関西経済界が一体となって、採算が合わず、とてつもなく無駄な関西空港二期工事に三百五十四億円の予算をもぎとってしまった。ゼネコン「再生」のために作った都市再生路線にもとづいた羽田再拡張事業にも三百五十三億円計上している。成田国際空港会社がB滑走路完成に向けて要求していた整備費に百八十七億円の政府保証債を認め、北側延伸と東峰追い出し攻撃強化に対してゴーサインを出した。
無駄なカネばらまきは、これだけではない。東京・大阪・名古屋の三大都市圏環状道路建設、京浜・伊勢・阪神港湾整備、与党政治家と地元利権屋の政治攻勢で受け入れた整備新幹線の北海道・北陸・九州長崎ルートの着工、群馬県八ツ場ダム建設、諫早湾干拓事業などの巨大プロジェクトに高額予算を計上した。
以上のように予算案の主な歳入と歳出内容を点検してわかるように、徹底して民衆に敵対しており、、派兵国家化と治安弾圧強化、大資本や多国籍企業などのために作られたのが、〇五年度政府予算案なのである。殺人のための膨大な軍事費はいらない!無駄なカネばらまき公共事業を止めろ!民衆の生活のための予算組み換えが必要だ!予算案に反対し、反動小泉政権を打ち倒していくうねりを作り出していこう。
(1月23日 遠山裕樹)
コラム
金持ち優遇の新税制
つい先日税務署より今年の所得税の申告用紙と説明書などが送られてきた。定年退職後はじめての申告を昨年行ったのでその資料に基づき送付してきたのだろう。申告用紙には住所、氏名、わけのわからぬコード番号が記載されていた。早速説明書を見ながら下書き用の申告書に記入をしてみたら、なんと税金が十一万円ほどかかることとなった。
昨年の申告用紙の下書きを見たら社会保険料控除額が約四分の一しかなく、さらに配偶者特別控除の適用がなくなっていることがわかった。社会保険料は退職時それまで加入していた健康保険組合に任意継続加盟し、昨年の四月までの掛け金を一括払い込みをしていた。昨年四月以降は国民健康保険に加入したが、掛け金はまだ全額を支払ってはいないし、前年の所得税が〇円の保険料も安いのだろう。
配偶者特別控除は前年までには配偶者控除を受けている場合でも受けることができ、所得が五万円未満の配偶者は合計で三十八万円+三十八万円の控除を受けることができた。今年から三十八万円以下の所得者は特別控除を受けられず配偶者控除のみ、三十八万一円〜七十五万九千九百九十九円の所得の場合は配偶者控除は受けられず特別控除の対象になり、配偶者控除と特別控除のダブル控除は行わないことになっていた。
連れ合いの厚生年金は年額約十八万円で税務署による所得では〇円対象であり、年金のみの所得しかないわが家の家計から見れば三八万円の控除がなくなったことは大きな痛手である。
来年以降は定率減税も半減されると聞く、今年の場合税額から二〇%もしくは二十五万円のいずれか低額のほうを差し引くことになっている。私の場合は三万円に満たないが減額されなくなればやはり痛い。
現在の税制は金持ち優遇である。所得から社会保険料や基礎、配偶者控除などの金額を差し引いた「課税される所得金額」は千円以上に四種類の税額算出式しかない千八百万円未満が金額に応じて三種類、千八百万円以上は青天井で「金額×0・37−二百四十九万円」である。毎年公表されている高額納税者番付で何億円、何十億円支払ったにせよ三七%にすぎないし、地方税を含めても最高税率は五〇%である。いつから四種類になったかわからないがかなり以前はもっと多くの算出式があったはずだ。
プロ野球の新人契約金がかなりの高額になり始めたころどうせ七〜八割は税金としてとられるのだからと、わが給料の安さを嘆きながらも自らに納得をさせていたことを思い出す。
特別配偶者控除のダブル控除の廃止や定率減税の廃止は高額納税者にとってはなんの痛みも感じないだろう(千万円以上の所得者は特別配偶者控除は受けられない)。しかし年金生活者や低所得者には大きな痛手である。高額所得になればなるほど有利になる現行の税額算出式を改革し低所得者に優しい税制にさせたい。いや、しなければいけない。 (高)
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