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いよいよ具体化する改憲の政治攻勢           かけはし2005.1.31号

憲法改悪のための国会法改悪案と国民投票法案に反対を


5・3憲法集会実が院内集会

改憲国会にさせない行動のうねりを作り出せ

 一月二十一日、第162通常国会が開会した。同日午後に行われた小泉首相の施政方針演説は、「国民の『安全』の確保」を正面に押し出し、「治安」の確保、「テロ対策」、有事法制・防衛計画大綱・「国際平和協力活動への主体的協力」を強調した。また郵政民営化についてはあらためて「改革の本丸」と位置づけ、自民党内の反対意見を意識して「『民間にできることは民間に、行財政改革を断行しろ』『公務員を減らせ』と言いながら、郵政民営化に反対というのは、手足を縛って泳げというようなものだ」と批判した。そして戦前の浜口雄幸首相の「男子の本懐」発言を引用しながら、「『恐れず、ひるまず、とらわれず』の姿勢を貫いて改革を断行することは、まさに私の『本懐』」と、いかにも小泉らしいオクターブの上がった自己陶酔的発言で演説をしめくくった。
 また小泉施政方針演説では「教育基本法の改正については、国民的な議論を踏まえ、積極的に取り組んでまいります」「戦後六十年を迎える中、憲法の見直しに関する論議が与野党で行われております。新しい世代の憲法の在り方について、大いに議論を深める時期であると考えます」と述べ、この国会が憲法と教育基本法の改悪に向けてのステップとなることを明確にした。
 この日、二〇〇五年5・3憲法集会実行委員会(この四年間、五月三日に日比谷で開催されてきた超党派的な憲法集会の実行委員会の枠組み)は、衆院第2議員会館で「改憲国会にさせない――行動のうねりを」というテーマで院内集会を開催した。集会には百三十人が参加した。
 主催者を代表して、許すな!憲法改悪・市民連絡会の高田健さんは、日本経団連の改憲案に見られるように財界3団体が憲法改悪に足並みをそろえる中で、この国会に国会法改悪案、改憲国民投票法案の提出・成立がもくろまれていることに注意を喚起した。国会法改悪案は、まる五年をかけた衆参両院での憲法調査会の論議が終了し、最終報告が出されることにふまえ、憲法調査会を改組して「改憲国民投票法案」を審議して国会に提出する委員会にするためのものだ。そしてこの国会法改悪を成立させた上で、ただちに改憲国民投票法案が上程され、成立させるというプランになっている。
 高田さんは、さらに今国会で海外派兵を「本務」とする自衛隊法の改悪、防衛庁の防衛省への格上げ、さらには派兵恒久法の成立がもくろまれていることを紹介し、それらの動きに全力で反対しようと訴えた。
 出席した国会議員からは、無所属で沖縄選出の糸数慶子参院議員、社民党党首の福島瑞穂参院議員、共産党の山口富夫衆院議員、民主党の円より子参院議員が発言した。
 参加した労組、市民団体を代表して最初にVAWW│NETジャパンの西野瑠美子さんが発言した。西野さんは、女性国際戦犯法廷をめぐるNHKの番組改変問題で、安倍晋三・自民党幹事長代理、中川昭一経産相が圧力を行使したことにふれ、「問題を朝日対NHK」に矮小化するのではなく、NHKと政治家との関係を問うものにしていかなければならない、と強調した。
 陸海空港湾20労組を代表して全国港湾の玉田事務局長は、憲法施行の二十日後にマッカーサー指令により政令201号で公務員の争議権が奪われた問題を指摘し、「おしつけ憲法」論で改憲を主張する人びとが、いままたアメリカの軍事戦略に強制される形で憲法を改悪しようとしていることを鋭く批判した。
 つづいて日本青年団協議会の田中さん、許すな!憲法改悪・市民連絡会からふぇみん婦人民主クラブの赤石千衣子さん、弁護士の内田雅敏さんが発言。内田さんは、田英夫、大田昌秀両議員が自民党改憲草案起草にかかわった陸自二佐を、また二十六人の弁護士がこの改憲草案を依頼した中谷元衆院議員を、それぞれ自衛隊法違反で告訴したことを報告した。
 さらに平和憲法21世紀の会、憲法会議、平和を実現するキリスト者ネット、憲法を愛する女性ネット、女性の憲法年連絡会からもアピールが行われた。
 百五十日間の会期で開かれた第162通常国会を「改憲国会」にさせないために、憲法改悪阻止の行動に全力を集中しよう。(K)                    



関西共同行動が憲法学習討論会

自民党改憲草案を徹底的に検証する

 【大阪】第一回目の「護憲団体と語る」に次いで、第二回目の関西共同行動「憲法学習討論会」が一月十七日にエル大阪で開かれた。講師は、米国のロースクール客員研究員の経験のある木下智史さん(関西大教授)。題目は「憲法を変えて日本はどこへ行くのか」。従来の論議が9条に焦点を当てたものであったのに比べて、視点を変えた新鮮な内容であった。要旨は以下の通りである。
 自民党は、次の二〇〇七年の総選挙までに 改憲の足固めをしようとしている。国会の憲法調査会は、憲法の悪口を言うサークルになっていて、その活動の中で「平和の党」公明党も、今では9条に手をつけるかもしれないというところまできている。与党・民主党のほか日本経団連・商工会議所、さらにマスコミ(産経・読売・日経)も改憲派だ。
 なぜ「改憲」なのか。自民党の「憲法改正のポイント」では、@個人の尊重ではなく、公共が基本A伝統に根ざしたわが国固有の価値(国柄)を明記し、日本人のアイデンティティを明らかにする、がキーワードだ。これは、考えようによっては、9条問題以上に重大問題だ。早く変えないと大変なことになるという危機感があるようだ。
 改憲の本音の内容は、事務局が作った自民党改憲草案のたたき台が一番よく出ているが、それは今は公開されていないので、産経新聞が掲載した改憲草案についての素案要旨によれば、@平和主義への全面攻撃。具体的には、集団的自衛権を行使できる自衛軍の創設。武器使用できる国際貢献の任務。専門裁判所の設置(軍法会議・軍事裁判)等の明記
 A日本人のアイデンティティの強調。つまり国柄を体現した憲法
 B「公共の福祉」による個人の人権の制限。つまり国民の国防義務の明記。国民が勝手なことを言わせないようにする
 C多数決による悪政のごり押し。行政権は内閣ではなく首相に属するとする
 D衆議院の優越性の強化。法案を再議決する要件を、衆議院の三分の二から過半数の賛成に引き下げる。(この件について党内の参議院議員からの強い反対で、改憲案は撤回された)
 E憲法改正手続きを、衆参両院の過半の賛成で国民投票に附すと変える
 F憲法裁判所を設置し、ここだけが違憲合憲の判断をする、などである。
 憲法を変えて、社会をどう変えようとしているのか。@米国はほとんど全世界で戦争をするから、その同盟軍として自衛隊は世界中で軍事力が行使できるA国民はその戦争に協力させられるB個性より日本の伝統が大切にされるC少人数の反対は無視できるようになる、ということだ。
 しかし、この本音は表に出ない。〇四年二月の「論座」(朝日新聞社)の巻頭インタビューで安倍晋三は改憲の必要性について、押しつけ憲法だから、半世紀たち時代にそぐわない条文があるから、新しい時代には新しい憲法を、の三つを述べている。訳がわからない支離滅裂の理由だ。
 改憲案は絶対勝てる時しか出せない。負ければ致命的だからだ。だから本音をカモフラージュするものが付け加わる。首相公選制もその一つ。これは自民党内の反対で消えた(?)。新しい人権としての名誉権やプライバシー権、肖像権もそうだ。これらも実際には報道の制限に使われる可能性の方が大きい。新しいものを出すたびに改憲派の中にジレンマが生じる。
 軍隊による国際貢献論も破綻しているし、改憲派の貧弱な国際関係観も明らかになってきている。政治家が日本ほど憲法を守らない国も珍しいが、しかし改憲というタブーに挑戦する政治家がいつまでも安泰であるという保証はない。だから、個人の尊重・平和主義を国民がどこまで強く考えるかがカギとなろう。

 講演はおよそ以上のようなものであった。
 講演の後、質疑応答があり、まとめは、中北龍太郎さん(「関西共同行動」共同代表)が行った。
 国会と市民社会の間には大きなずれがある。改憲派は外堀を埋め、満々たる自信を持ってからでないと改憲できない。私たちも市民に訴えるスタイルを工夫しなければいけない。自分がわからなければ他人には訴えられない。一人一人が伝書鳩になる能力を身につけよう」としめくくった。
       (T・T)



こらけ「架橋」

「ビラ入れ」の原風景 2

 私は以前、本欄に「ビラ入れ」の光景を描いた拙文を書いた(本紙二〇〇〇年十月十六日号)。今でいう「ポスティング」である。地域での選挙情宣が、中学生時代の新聞配達と同じ道を通ることを題材に、都市の風景に
見る時代の変遷を謳ったものだ。自分ではお気に入りの文章だったので、掲載はつい最近のような気がしていた。調べてみると、もう四年以上も前の執筆になる。ありきたりだがまさに、「光陰矢の如し」である。
 ビラ入れやビラまきは、自分たちの主義主張を直接大衆に訴えることのできる、典型的な手段である。受け取る人の圧倒的多数が「無関心」だが、時には同調者にも、反対者にも出会う。そこで討論になるのが醍醐味でもある。賛同してくれた時などは疲れも吹き飛ぶ。鼻唄まじりで軽快にこなしていく。「闘争は楽しく」である。
 さてここまでは、私的な回想。これからが本題。言うまでもない。昨年二月、立川で起きた「反戦ビラ弾圧事件」であり、その無罪判決直後の十二月に起きた「葛飾マンションビラ弾圧事件」である。とりわけ後者の発生直後の「しんぶん赤旗」の報道は衝撃的である。合法政党である共産党の支持者が、これまた合法的な議会活動を報告する内容のビラを配付しただけで、逮捕・家宅捜査。そして長期拘留の末、まったく不当にも起訴されたのだ。恐るべき弾圧である。
 罪名はやはり「住居侵入」。「赤旗」によれば、公安警察による逮捕は極めて悪質巧妙・計画的。商業紙は当初、横並びで住民側の利害を強調したが、起訴後は総じて批判的である。そりゃそうだろう。ドア前まで「侵入」する新聞配達や各種検針、ピザ屋はいったいどうなるのか。「付近で空き巣や窃盗被害が相次いでいた」と亀有署は強弁するが、政治活動としてのビラ入れは、住民がその目的を確認さえすれば、むしろ安心ではないか。なぜなら持っているのはただの「紙切れ」だけだからである。宅配業者を装った強盗事件が先日、荒川区で発生したばかりだ。
 「ビラ配りイコール犯罪と言っているのではない。内容とは関係ない」(1・12/東京新聞)。東京地検よ。そんな戯言いまどき小学生でも信用しないだろう。「共同部分」が「住居」だというなら、同じマンションに住む住民が配付したらどうなるのか。ドア幅だけ廊下を分割して「侵入した」と立件でもするか。
 「正当な政治活動だ」。冷静に対応した被告には一点の落ち度もない。あらゆる反体制派を狙い撃ちした露骨な政治弾圧を、絶対に許すことはできない。前回のコラムと変わってしまったのは、町の風景だけではなかった。しかし私たちは、けっしてビラ入れをやめたりはしない。 (隆)


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