もどる

フィリピン共産党は「内ゲバ」主義を放棄せよ       かけはし2005.1.24号

なぜ私たちは「暗殺テロ」の対象として指名されたのか

ウォールデン・ベロ


誰もが「死刑宣
告」だとわかる

 ホセ・マリア・シソンは、われわれを愚か者だと考えているに違いない。彼、そしてフィリピン共産党(CPP)指導部は、生きている「反革命」と暗殺された「反革命」のリストをまとめ上げ、それをCPP党員の間に広めた上で、これはたんなる情報流布のための無害な行為であると主張している!
 シソン教授は、人びとを侮っている。一般の読者が、彼はたんなるCPPの顧問であって、党の議長や「最高祭司」や実質的に暗殺を指令している存在ではないと信じるほど愚かだと、彼は本当に思っているのだろうか。事情に通じた読者が、CPPのような原理主義的マルクス・レーニン主義政党が「反革命」のレッテルを貼ることは、実践的には死刑宣告を意味し、問題は党がそれを実行する時期と場所の問題だけだということを知るためには党員証を持つ必要はないことを理解しないほど、彼は事情に疎くなっているのだろうか。

自らをおとしめ
るCPPのテロ

 シソンが言葉の上でのアクロバットで事実を覆い隠そうとしていること、すなわち、われわれがCPPの信頼を失墜させ、彼の人格を「暗殺する」という陰謀に関わったという流言をでっち上げて、「暗殺リスト」の公表というCPPの誤りを覆い隠そうと努めていることは、いまわしい真実である。CPPは、長期にわたって自らの信用を失墜させてきた。そのプロセスは、党の最良のカードルを千人以上も内部的に虐殺した一九八〇年代半ばのアホス作戦(いわゆる「スパイ摘発運動」)や、その他のパージによって始まった。

「帝国主義の手
先」というデマ

 シソン氏は、われわれを除去するという絶望的な努力の中で、われわれが会議を開催したり、書物を書くために「帝国主義」の基金を受け取っていると示唆している。そう、シソン氏よ。われわれはアメリカをイラクから追い出し、イスラエルをパレスチナから追い出す戦略を定式化するために幾つもの国際会議を組織した。しかしその費用は、進歩的基金から集められたものであって帝国主義からではない。そう、シソン氏よ。われわれは書物を書いたという罪を認めよう。しかしその本は、アメリカや他の超国籍企業による強奪行為を記録し、企業主導のグローバリゼーションへのオルタナティブを追求するものであった。
 ユトレヒトの安全な幽閉の地(訳注:シソンは亡命地であるオランダのユトレヒトからフィリピンへの指令を発している)で、あなたが認識した敵の一覧表を作成することに精を出し、世界革命を夢想している時、あなたが言うところの反革命勢力は、実践的な変革のための真のグローバルな運動を作りだす活動を行っていた。たとえば、シアトルやカンクンにおいて、企業主導グローバリゼーションの主要な手代である世界貿易機構(WTO)閣僚会議の破綻をもたらした複数主義的・民主主義的な大行動計画などである。
 CPPが進歩的変革の担い手だというのは悪い冗談であり、まったくのブラックユーモアである。今日のCPPは、マルコス独裁の暗黒の時代にわれわれがその一部だったような、勇敢だが心の広い革命家の党ではない。今日のCPPは、たんにフィリピン人民の未来に恐るべきビジョンを押しつけることに関心を持つ、アルカイーダ型の原理主義的宗派に堕落してしまった。
 CPPのファナティシズムが、左翼にかかる悪名をかぶせることになったため、CPPが客観的にアメリカの覇権の地域的同盟者として奉仕しているというのはまったく逆説に満ちた話である。実際、アメリカはCPP―NPA(新人民軍)以上に良い同盟者を持つことができるだろうか。反共主義とアメリカの諜報部は、左翼への信頼を失墜させるための宣伝キャンペーンを捏造する必要はない。彼らは、新人民軍(NPA)の殺人行為を指摘するだけでいいのだ。彼らは、レアルとインファンタで五千人以上の死をもたらしたシエラマドレの環境破壊におけるNPAと大規模伐採業者の共謀を作りだすことになった、「革命」税システムを指摘するだけでいいのだ(訳注:二〇〇四年十一月の台風でのレアルとインファンタにおける被害は、違法な森林伐採に関係していることが指摘されている)。
 封建的な土地所有構造や超国籍資本主義やアメリカ帝国主義とならんで、CPP版の左翼ファシズムは、不幸なことにフィリピン人民にとっての基本的な問題の一つとなった。
 したがってアクバヤン(市民行動党)や他の諸組織は、変革のための複数主義的路線を選択することになった。それは、活気ある民主主義的討論と非暴力的手段に基づいた路線であり、論争相手を除去するのではなく、民衆が説得して獲得すべきものと見なす路線であり、異なった政治的伝統を原理主義的純粋さへの毒素としてではなく強さの源泉と捉える路線である。それはわれわれがシソン氏から破門され、呪われる存在になってしまった路線である。
 シソン氏とCPPは、そのすべての悲劇とともに、二十世紀の泥土にはまり込んだ化石である。アクバヤンや他の進歩的諸組織にいるわれわれは、二十一世紀にフィリピン民衆が直面する挑戦に立ち向かう方向に進んできた。われわれが除去の対象に指名された真の理由がここにある。(「フィリピン・デイリー・インクワイラー」紙、04年12月29日)


解説

民衆運動を破壊するシソン派による脅迫

続発するCPP
の「暗殺作戦」

 ここに掲載したウォールデン・ベロ(「フォーカス・オン・ザ・グローバル・サウス」代表、フィリピン大学教授で、フィリピンのアクバヤン〔市民行動党〕議長でもある)の文章は、フィリピン共産党(CPP)とそのカリスマ的指導者であるホセ・マリア・シソンの、反対派に対する内ゲバ主義的暗殺路線を厳しく糾弾したものである。
 フィリピン共産党の隔週刊機関誌「アンバヤン」04年12月7日号は、「反革命集団とトロツキストならびに社会民主主義者とのつながり」と題した一覧表を掲載した。この「一覧表」は、この間のCPP―NPA(新人民軍)によるCPPのシソン路線と決別した左翼諸組織の中心的活動家に対する「暗殺テロ」との関連で見たとき、きわめて深刻な意味を持っていると判断することが妥当である。
 二〇〇三年二月に開催された第四インターナショナル第15回世界大会は、直前になされたロムロ・キンタナールNPA元総司令官へのCPP―NPAによる暗殺を糾弾し、CPP―NPAがそうした暗殺路線をただちにやめることを求める決議を採択した(本紙03年6月30日号参照)。しかしその後も、CPP―NPAはこの「暗殺路線」をエスカレートしており、昨年九月にはビサヤ地方の元CPP―NPAの指導者であり、その後RPM(革命的労働者党)の指導部となったタバラが暗殺されるという事件が起きている。

反グローバリゼー
ション運動に敵対

 ウォールデン・ベロとアクバヤン選出の国会議員であるエッタ・ロザレスは、十二月二十六日の公開質問状において、「アンバヤン」に掲載された「一覧表」が「暗殺リスト」である、と批判した。これに対してシソンは十二月二十六日と二十七日の声明でそれが「暗殺リスト」ではないと否定した。そして十二月二十九日付の「フィリピン・デイリー・インクワイラー」紙に掲載されたこのベローの文章に対する攻撃の声明を、「ウォールデン・ベロ、親米・ニセ進歩派としての正体を自己暴露」と題して十二月三十日付で発表したのである。
 同声明の中でシソンは、暗殺されたキンタナールとタバラが「NPAが逮捕しようとする以前に、殺人や資金の横領という重大な犯罪を犯していたことが明らかになっていた」として、事実上、二人の殺害を認めるとともに、ベロや「フォーカス・オン・ザ・グローバルサウス」が米国の独占ブルジョアジーから資金を得ている米帝国主義の手先であると中傷し、こうした「反革命グループ」が「国際トロツキスト」や「社会民主主義者」とつながっているとして非難している。彼はまた「フォーカス・オン・ザ・グローバル・サウス」が「帝国主義の資金で運営されているトランスナショナル・インスティチュート」(スーザン・ジョージが副所長をつとめている在アムステルダムの民間研究機関)やATTACフランスなどと密接な関係を持っていると指摘し、新自由主義的グローバリゼーションに反対する運動そのものへの誹謗を強めている。
 われわれはこうしたスターリニストCPP・シソン指導部の内ゲバ主義「暗殺路線」を批判し、彼らがフィリピンと世界の民衆運動への誹謗と敵対をただちにやめることを強く求めるものである。
(05年1月2日 平井純一)



ATTACフランス総会

EU憲法に対して断固たる「ノン」

フランソワ・ラモンターニュ

84%が憲法草案
に拒否表明した

 ATTAC総会はサン・ドゥニで二〇〇四年十一月十一日に開催され、EU憲法の賛否を問う投票に参加したうちの八四%がそれに対する拒否の意志を表明した。
 運動に一貫して関与し続けているATTACの総会が激しい寒気が続く中で開催されたのは、サン・ドゥニ(93区)にあるサーカス学校の階段席においてであった。それまでの年よりも参加者は少なかったが、例年通りに、二〇〇三年度の活動の総括について討論した。だが、参加者がとりわけ、EU憲法草案に対するATTAC内部の投票結果を待ち望んでいた。ATTACは一カ月前から内部で全会員に投票用紙を送付してEU憲法草案に関わる二つの質問についてATTAC内部である種の「国民投票」を実施していたのだった。ひとつの質問は、「この度起草された「ヨーロッパ憲法を批准するのに賛成かどうか」であり、もうひとつの質問は、「ATTACがこの批准をめぐる投票に関する態度を一般の人々に呼びかけることを望むかどうか」であった。投票した会員の八四%が憲法草案に反対を表明し、「この批准をめぐる国民投票行為にATTACがはっきりと関与すべきである」としたのは七二%であった。
 まず通常の総会に比べて今回の総会の参加の重要性を強調しておかなければならない。年次規約の投票の際に、年次規約が必要であると表明した会員は、約一八%の反対票に対して、四二%以上にのぼったのである。さらに、社会党の多数派がつい最近、ヨーロッパ憲法草案「賛成」に転じたばかりであるのに対して、ATTACの会員はこの自由主義的計画に対して大衆的にはっきりと反対を表明したという点は重要である。ATTACのこの投票結果は、明らかに憲法草案反対運動に入っていく上での励みとなるものである。多くの委員会がすでにこの運動を展開しており、他の多くの委員会もATTACのこの投票結果を待っていたのであった。

3月19日の欧州
デモも決定した

 ヨーロッパに関する分科会は、社会運動が直面しているかつてない挑戦課題を改めて解明する機会であった。参加者たちは、現在のヨーロッパに対して「ノン」の意志と反自由主義路線の立場を確認し、「中心的問題はヨーロッパではなく、自由主義なのだ」と主張した。社会運動団体の組織的なキャンペーンと共闘の必要性が前面に打ち出された。キャンペーンが社会党の党内決定によって実現できると信じ込まさせようとするマスコミの大々的なキャンペーンが現になされているし、今後もそのような宣伝がなされていくでろう。このようなマスコミの宣伝に対抗するためにすべての人が利用できるキャンペーン媒体が提案された。また青年に説明するための宣伝物も検討された。
 雇用、社会保障、農業、女性の権利、文化、民主主義、キリスト教教会の社会における比重といった主要テーマが新たに設定された。集会も決定された。ロンドンの欧州社会フォーラムの際に開催された社会運動総会の呼びかけに応えた二〇〇五年三月十九日のブリュッセルでのヨーロッパ規模でのデモ、そしてとりわけATTACのイニシアチブで開かれる予定の四月三十日の集会が、それである。後者は、もっぱらヨーロッパ規模の参加になる予定であり、これには左翼政党や革命派政党と並んで、ATTACやさまざまな社会運動団体が参加することになっている。この計画については、総会の後に開かれる運営評議会で討論されるはずである。

指導スタイルへ
の厳しい批判も

 たとえヨーロッパ問題が総会の中心問題であったととしても、同時に、自由主義と決別するオールターナティブの問題、オルターグローバリゼーション運動の現状、この運動の中でATTACが占める特殊な位置、ATTAC内部運営機能のあり方、の問題もまた討論された。特に「独裁的」とみなされた「指導スタイル」について、何人かの創設メンバーに対して厳しい批判が浴びせられた。一定の「硬直性」を嘆く声も聞かれた。トゥルーズの委員会の遺伝子組み換え植物の刈り取り運動をやっている活動や農民連盟の活動は、遺伝子組み換え植物の全国的な刈り取り運動に対するATTACの取組みの不充分さを激しく批判した。何人かの発言は、規約改正をも含めて創立団体と地区委員会との間の結びつきを改善する必要があるという点を強調した。おそらく、こうした点については、運営評議会が更新される二〇〇五年に向かう過程で大幅な見直し作業が進むだろう。さしあたり、ATTACは、自由主義路線に反対する立場から欧州憲法に対して「ノン」を主張するヨーロッパ規模の運動に向かおうとしている。そして、これが、この週末の核心であった。(「ルージュ」04年12月16日)

【訂正】新年号6面山口啓さんインタビュー8段右から10行目「二〇〇三年の正月」を「二〇〇四年の正月」に、1月17日号2面「津波救援キャンペーン」記事7段中見出しから7行目「被災国への対外債務」を「被災国の対外債務」に訂正します。同7面「フーコーとの対話」1段目小見出しを右に7行移動します。


もどる

Back