| 立川に続く選別的政治弾圧だ かけはし2005.1.24号 |
二○○四年十二月二十三日、東京都葛飾区内のマンションで日本共産党の「都議会報告」「区議団だより」を配布していたAさんが、「住居不法侵入」容疑で亀有警察署に不当逮捕された。東京地検公安部と警察は、逮捕後、Aさん宅の家宅捜索を共産党地区委員会の立ち会いを排除して行い、人権侵害も著しい転向強要・長時間の取り調べを連日続け、長期拘留し、○五年一月十一日に不当起訴した。そして、十四日に高額保釈金の支払いを強制してAさんを保釈した。
われわれは、イラク戦時下、小泉政権│国家権力の治安弾圧体制強化の一環であるこの暴挙を糾弾する。立川・反戦ビラ弾圧、「赤旗」号外を配布した堀越さん不当弾圧、今回のマンション・ビラ配布弾圧にみられる連続弾圧は、明らかに憲法第二十一条「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」の破壊であり、小泉政府与党と財界らがねらう憲法改悪の先取り的な攻撃だ。闘う仲間たちに権力の治安弾圧攻撃のエスカレーションの監視・警戒を呼びかけるとともに、憲法改悪阻止、イラク反戦、治安弾圧強化を許さない広範な反撃戦線をともに構築していくことを決意する。
マンション・ビラ配布弾圧の事実経過(「しんぶん赤旗」04年12月25日)はこうだ。Aさんが七階建てマンションでビラを配布中、住人の男が部屋から出てきて、「何をまいているのか。迷惑だからやめろ」と呼び止めた。Aさんは、「正当な政治活動ですが、あなたが入れてほしくないのなら、入れませんので何号室ですか」と対応したら、男は、携帯電話で警察に「PC(パトカー)で来い。ガラ(身柄)はおさえた。警備課につなげ」と警察用語を使って通報した。男は、Aさんを「逮捕」し、警察官に「渡した」のである。Aさんは、警察官にビラ配布が正当な言論・政治活動であることを主張しつつ、亀有署に同行し再主張したが、一方的に「住居不法侵入」容疑で逮捕されてしまったのだ。現段階のところ男は、警察関係者かどうか不明だが、共産党のビラ配布であることを敵視した「逮捕」と警察通報であることは間違いない。
権力は、事前に逮捕態勢を準備し、亀有署に来たAさんを即逮捕し、翌日の午後六時にはAさん宅を家宅捜索している。このように短時間で弾圧プロセスを遂行しているように、共産党、新左翼、市民運動、学生運動破壊のための政治弾圧マニュアルにもとづいて着手したのだ。
つまり、戦争国家化に向けて反戦・反体制を主張する市民運動、新左翼の存在はもちろんのこと、共産党さえもその活動に対して規制していくという「決意」であり、恒常的弾圧シフトの構築を押し進めていることの現れである。また、立川・反戦ビラ弾圧事件の無罪勝利判決が○四年十二月十六日に出た直後の今回の弾圧は、そのことの露骨な政治的表現である。
権力は、従来通り、政治党派、市民運動に対する監視・弾圧、スパイ工作を続行中だが、とりわけこの間、日本共産党に対する弾圧を強めている。社会保険庁職員の堀越明夫さんが休日に「赤旗」号外を配布したとして「国家公務員法、人事院規則違反」で〇四年三月に不当逮捕し、共産党千代田地区委員会など六カ所を家宅捜索した。
警視庁公安部は、共産党に対する打撃を与えるために、堀越さんをターゲットに長期間の監視を行っていた。尾行の捜査員を十一人以上、自動車四台を使ってビデオやカメラで撮影を続けていた。見せしめ的弾圧として多くの公安刑事を投入し、そのために巨額な費用を使い、センセーショナルにマスコミに報道をさせた。このような弾圧手法は、これまで新左翼党派に対して繰り返し行われてきたが、同様の弾圧レベルを共産党に対しても適用していくことの宣言だ。
なおマンション・ビラ配布弾圧事件の担当検事・崎坂誠司は、立川・反戦ビラ不当逮捕時、東京地検八王子支部の検察官検事であり、東京地検に移動してから二○○四年三月、都立板橋高校卒業式時での「日の丸・君が代」強制に抗議する元教諭に対して「威力業務妨害罪」だとして在宅起訴攻撃(十二月三日)も手掛けている。このような弾圧経歴をもつ崎坂にとって、立川・反戦ビラ無罪判決によって反戦派勢力の活動エリアが拡大してしまうことを許すことができないのだ。小泉政権の先兵である崎坂は、政治表現の自由に対する国家的報復と抑圧をしていくために再度、マンション・ビラ配布事件に対して起訴攻撃を行ったのである。
立川・反戦ビラ弾圧事件に対する東京地裁八王子支部の判決は、自衛隊官舎の共用部分が「住居」にあたり、「侵入」としたが「刑事罰に値いする違法性はない」とした。さらに、反戦ビラの「投函自体は表現の自由が保障する政治的活動で、民主主義社会の根幹をなすもの」「商業的宣伝ビラの投函に比して、いわゆる優越的地位が認められている」と述べ、憲法二十一条「政治的表現の自由」の観点から無罪とした。この立川判決からしても、マンション・ビラ配布は、正当な政党活動である。
小泉政権の派兵国家化と新自由主義政策は、弱肉強食競争、格差の拡大、社会分裂を促進させ、同時に暴力装置の肥大化と治安弾圧体制を強化していくというものだ。グローバル戦争参戦に向けた自衛隊の軍事力強化、公安警察・警察官の増員、「テロ対策」「安全・安心まちづくり」と称して人権無視の監視・管理強化、東京都「生活安全条例」を通した自治体・学校・住民・警察が一体となった治安体制作りなど、次々と打ち出している。
このような国家的意志に忠実な検察は、立川・反戦ビラ事件無罪判決を絶対に認めることができず、十二月二十四日、控訴した。立川反戦ビラ弾圧救援会は、ただちに検察の控訴糾弾声明を発し、控訴審闘争勝利に向けて全国支援を呼びかけた(別掲)。マンション・ビラ配布弾圧を許さず、広範な反弾圧戦線を拡大していこう。改憲阻止の闘いは、このような粘り強い闘いの積み上げと、共に闘う信頼関係の構築によって、力強い陣地を作り上げることができるはすだ。ともに闘わん! (Y)
声明
一審無罪判決を受けての検察の控訴を糾弾する
立川反戦ビラ弾圧救援会
十二月二十四日、東京地方検察庁は立川反戦ビラ入れ裁判の一審無罪判決を受けての控訴を決定した。多くの「控訴反対」の声を無視して強行されたこの暴挙を私たちは怒りをもって糾弾する。
立川自衛隊監視テント村に対するこの不当弾圧は、イラク派兵国家日本の銃後社会を作り上げるべく強行された政治弾圧であった。八王子地裁は「無罪」という当然の判決を下し、自衛官に対する政治的表現の自由を抑圧した公安警察・検察を断罪した。
日本政府が行うべきは、「控訴」という形で被弾圧者を再び不安定な位置に留め置くことではなく、被弾圧者の七十五日間の勾留とテント村メンバーに対する家宅捜索に対する謝罪と賠償である。
二〇〇三年三月のイラク戦争以降全面化した反戦運動への弾圧をこれ以上許してはならない。
私たちは全国の仲間とともに、控訴審での闘いを全力で進めていく。検察は控訴を取り下げろ! 反戦ビラ入れ裁判に勝利するぞ!
十二月二十四日
投書
立川反戦ビラ裁判
「よし勝った!」と歓声
藤井 保
十二月十六日、立川反戦ビラに無罪が出た。自衛隊のイラク派遣反対のビラを自衛隊官舎に入れたというだけで逮捕、拘留された三人に判決が出ました。誰もが勝利を確信していた。しかし、最近裁判反動化しているので勝てたのはうれしい。
午後一時、裁判所中庭には傍聴者百五十人を超えました。四〇一法廷七十人しか入れないので八十人は外にいました。
午後二時から始まり午後三時、判決は三人に無罪と出たのです。「よし勝った!」と一斉に声が上がります。裁判長は「静かに、静かに」と言いました。十五時十五分、法廷から大洞俊之さん、大西章寛さん、高田幸美さんの三人がVサインで出てきました。支援者一同ご苦労さんで迎えた。
判決前に見た救援会のビラはこういう書き出しで始まっていた。「とうとうこの裁判の判決が出ます。自衛隊に直接反戦ビラを呼びかけることは有罪なのか、無罪なのか、この答えが本日明らかになります」と。
本判決でも言っていますが人間が持つ表現の自由を奪ってはならないことは当然です。ここで官舎に配ったビラを見ておこう。わかりやすいビラです。
「自衛隊ご家族のみなさんへ、自衛隊イラク派兵反対! いっしょに考え、反対の声をあげよう」です。
イラク派兵で国が二分している時、とりわけ自衛隊関係者にとってはこれほど冷静な呼びかけはなかったのではないかと私は考えます。それだけに本件を「事件」として計画した国家権力にしてみれば、ビラが読まれることを恐れたと私は考えます。
ここで十カ月前の二月二十七日逮捕、三月十九日起訴、七回の公判を振り返ってみましょう。これは逮捕にあたいする程のことなのか、その政治弾圧に怒りを持ちます。住居侵入罪を適用し、逮捕、拘留までしてしまう――これでは戦時社会の先取りです。また検察は本件は計画的であり、反省はしていない、再犯の恐れありとも言いました。本件無罪を教訓に警察、検察の反省を求めます。検察は控訴を絶対にするな。
大洞さんは最終意見陳述で次のように述べています。@私の受けた被害A検察は何を裁こうとしたのかBイラク戦争のその後C各集会に参加して、そして終わりに、私は無罪であることを確信しますとはっきり主張しています。本当にごくろう様でした。
(12月18日)
声明
女性天皇はいらない! 天皇制はもっといらない!
女性と天皇制研究会
十二月二十三日の「天皇誕生日」に反天皇制運動連絡会は恒例となっている「天皇誕生日」に天皇制の戦争責任を考える12・23集会を東京・文京区民センターで開催した。今年のテーマは「『皇室スキャンダル』と戦死者の追悼」。反天連の集会では恒例のことだが、会場の外には天皇主義右翼の街宣車が登場し「国賊反天連は解散せよ」と大音量でがなりたてる。
司会の天野恵一さんはまず、右翼の集会への威嚇・妨害が、天皇制と国家による性暴力の問題を結びつけて課題にした二〇〇〇年末の「女性国際戦犯法廷」以来、とりわけ顕著になったことを指摘した。そして、今年五月の「雅子の人格否定の動きがあった」という皇太子発言以来の一連の「皇室スキャンダル」、十一月二十九日の秋篠宮の「皇太子批判」発言、紀子の「雅子批判」などを紹介しながら、「皇室の危機は誰にとっても明白であり、それをどう読み解いていくかを論議したい」と、集会の目標を説明した。
報告者は大津健一さん(クリスチャンアカデミー)、海妻径子さん(ジェンダー研究)、太田昌国さん(民族問題研究)の三人。
大津さんは、「新しい戦没者追悼施設」構想と靖国神社、小泉首相の「靖国」参拝と中国の批判などにふれながら、新たな「戦没者」が現実化する「戦争国家体制」づくりを批判した。
海妻さんは、「皇室外交」の担い手となることを約束されながら「家の掟」に従属させられた雅子への「理解ある夫」としての皇太子発言は、果して「応援」すべきことなのか、この皇太子のスタンスはフェミニズム的に見てどうなのか、と問題を投げかけた。
「フェミニストの側からの皇太子発言に対する反応はきわめて少ない。しかし皇太子の発言は、典型的な『ロマンチックラブ』のパターンだ。徳富盧花の『不如帰(ほととぎす)』は、根本から家父長制を破壊しえない『やさしい夫』に絶望した女性が主人公だが、それは異性愛にもとづく近代家族における『情愛』の強調が抱える矛盾の表現でもある」。
海妻さんはさらに、かつての総力戦体制からポスト湾岸戦争期の「日常化された戦時体制」という変容の中で、「男性」性が決して暴力の行使には還元されない「正常な社会の理想」として立ち現れてきている現実を分析した。
太田さんは、改憲論議の中で「国家が国家である以上、軍隊を持つのは当たり前」という主張がメディアを席巻している現実を批判して、次のように語った。
「国家は、対外戦争をする場合に国内に反対する人はいないという前提で有事法制、国民保護法を制定した。しかし、国家が戦争に入った時に、すべての内部的対立は消え失せるという主張はフィクションに過ぎない。長期的スパンで考えた場合に、軍備を廃棄し、戦争をしないというメッセージの持つ喚起力は重要だ。改憲論議の中で、それに反対する私たちに求められていることは軍隊なき国家・社会のイメージをどう打ち出していくか、ということではないか」。
三人の報告を受けた討論の中では、グローバリゼーションの中で「秩序・伝統」が温存されていくあり方などに関して、意見が交換された。
天皇制を「日本の国柄」の象徴とし、皇室祭祀を天皇の「公的行為」とし、さらに女性天皇を認める改憲案が提起される中で、象徴天皇制はその存続をふくめた深刻な危機の中にある。その動向に対する批判的分析を研ぎすまし、天皇制イデオロギーとの闘いを進めていこう。 (K)
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