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「国のために死ぬ」ことを拒否しよう                かけはし2004.08.30号

派兵・参戦体制と連動した「象徴天皇制」の再編を許すな

右翼の妨害はねかえし

「全国戦没者追悼式」に対決し「靖国」反対デモ

 八月十五日、東京・西神田公園で「『戦争と象徴天皇制』を問う8・15行動」(主催・実行委員会)が行われ、百三十人が参加した。
 司会の天野恵一さん(実行委)は、「今年の八・一五集会は、とうとうイラクに軍隊を派遣し、戦時下の八・一五集会となった。敗戦何年という時間的区切りで発言することが、ある意味では終わってしまったという事態の中で闘争を貫徹していてきたい」と開催あいさつを行った。また、新時代社の右島一朗が山岳事故で亡くなったことを紹介した。続いて、新時代社の国富建治が、「『週刊かけはし』の編集長である右島が南アルプスで登山中、八月八日、滑落し亡くなった。十三日、東京駅で彼の遺骨と対面した。後日、偲ぶ会を行います」と発言した。
 次に、参加団体からのアピールが行われた。靖国解体企画は、靖国神社に向けて正午の黙祷粉砕行動を展開してきたことを報告した。
 もうやめよう国体・埼玉の会は、「アテネオリンピックが始まり、イラクでドンパチをやっていて、ふざけんじゃねぇ!今年も埼玉で国体が開催されるが、無駄なカネは県民に追負わせ、ボランティアでやろうとしている。様々な行動を取り組むので参加してほしい」と呼びかけた。
 昭和天皇記念館建設阻止団は、「立川の昭和記念公園内に天皇制を賛美する昭和記念館が建設されている。これが完成すると、初の昭和天皇を賛美する国営施設となる。また、浜松の花博で昭和天皇自然館が開館しているが、現地調査をしてきた。この会館と似たようなものを立川にも作ろうとねらっている。反対署名が千二百人以上集まり、国土交通省に提出した。天皇制の戦争責任をあいまいにし、天皇制と結びついて自衛隊の派兵が強行されている。これからもデモ、抗議情宣などを行っていくので協力してください」と訴えた。
 京都・天皇制を問う講座実行委、大阪・参戦と天皇制に反対する連続行動からのアピール紹介後、集会を終了し、靖国神社に向けて抗議デモに移っていった。
 西神田交差点付近において天皇主義右翼の大日本愛国党、日本青年社、直皇民族青年協議会、大日本誠道同盟の街頭宣伝カーが待機し、四〜五人の右翼が旗竿に日の丸を掲げて振り回し、デモ隊に向けて挑発を繰り返していた。権力は、右翼の挑発を口実にしてデモ行進に対して規制するという暴挙を行ってきた。権力は、右翼宣伝カーの危険な走行に対して放置し、なれあいを繰り返し、一体となって闘争破壊を策動してきた。デモ隊は、このような権力と右翼が一体となった挑発をはねのけ、靖国神社に向けて「天皇制の戦争犯罪を許さない!天皇制と靖国解体!自衛隊はイラクから撤退しろ!憲法改悪反対!教育基本法改悪反対!」のシュプレヒコールを行った。デモは、解散地点の飯田橋まで元気よく行進した。
 デモ終了後、参加者は、豊島区民センターに移動し、屋内集会が行われた。
 集会は、実行委からの基調報告で始まり、そのポイントについて@イラク情勢下の八・一五A「命がけ」などない。「散華」を称揚する慰霊・追悼の政治を許すなB「教育基本法」改悪と「日の丸・君が代」の強制に反対しようC九条改悪と天皇制強化のための改憲を許すな!D戦争を煽るナショナリズムの高揚に警戒を││と提起した。
 次に、講演が行われ、浅野健一さん(ジャーナリスト/同志社大学教員)は、「戦争の時代とジャーナリズムの責任」をテーマに問題提起した。
 浅野さんは、「一月下旬、クウェートに駐在する防衛記者会所属のほとんどの報道機関が『自衛隊の統制に従って行動し、取材で知り得た次の事項の報道を自粛する』と明記した誓約書を防衛庁に提出した。ほとんどのメディアは、このことを報じていない。航空幕僚は『メディアの方々には抵抗感があるだろうが、これは軍事の世界では常識のことだ』と説明している」と紹介しながら、メディアが自衛隊が流す情報を無批判的に報道し、戦争加担していることを厳しく批判した。そして「天皇制の廃止、憲法改悪阻止、不当解雇・自殺者のない平等・公平な社会を創出する努力を。国際連帯で」と強調。
 山本浄邦さん(国立戦没施設に反対する宗教者ネットワーク)は、「靖国も国立新施設もいらんわ!国家による戦死者追悼を拒否する精神を」という観点から、靖国問題、国立追悼施設構想の背景と推進派の意図を分析し厳しく批判した。さらに、国家の擬似宗教性を見抜き、生死をめぐる自律的価値観を確立していことや、戦争する主体づくりへの回路を拒否する主体性を構築していこうと訴えた。
 最後に、反安保実、「日の丸・君が代」の法制化に反対する神奈川の会、反天皇制連絡会からアピールが行われた。

 米英などのイラク占領軍に対して反米勢力は、全土にわたって反撃を拡大し、情勢は泥沼的な状況に入っている。自衛隊も占領軍の一端を担い、銃口をイラク民衆に向け続けている。政府は、陸上自衛隊第三次隊第一波、第二波の自衛隊派兵を強行し、「全国戦没者追悼式」を開催した。出席した天皇は、「世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります」と延べ、公然とイラク派兵と戦争国家化を讃えた。小泉首相も「世界各国との友好関係を一層発展させ、国際社会の一員として、世界の恒久平和の確立に積極的に貢献してまいります。平和を大切にする国家として、世界から一層高い信頼を得られるよう、全力を尽くしてまいります」と強調し、米のグローバル戦争への自衛隊の積極的参戦を拡大していくことを宣言した。また、その戦争態勢を強化していくために米政府が積極的に憲法改悪を行え、と発言していることに忠実に応える形で小泉は、憲法改悪を射程にした政治スケジュールに具体的に着手している。
 この日、亀井善之農相、中川昭一経済産業相、小野清子国家公安委員長、小池百合子環境相は、憲法違反、侵略戦争賛美の靖国神社参拝を強行した。さらに、「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」に参加する自民党、民主党の国会議員など五十八人も参拝した。石原都知事は例年通り参拝し、その後の記者会見で、来年終戦六十周年にあたって、「ぜひ、天皇に一国民として参拝していただきたい。天皇にしか果たせない国家に対する大きな責任を果たしていただくことになる」と発言し、戦戦争国家化、憲法改悪の軸に天皇制を位置づけるべきだと提言した。
 天皇主義右翼団体で構成する「日本会議」と「英霊にこたえる会」は、靖国神社境内で「戦没者追悼中央国民集会」を行い、憲法改悪・教育基本法改悪運動を拡大していくと確認した。
 イラク派兵下における戦争国家化、憲法改悪、天皇制統合装置の強化に抗して、反戦反天皇制運動を押し進めていこう。 (Y)


WTO枠組み合意

具体的中身にはふれず結論を先送りしただけ

 七月二十七日から開催されたWTO一般理事会に向けて提起された枠組み合意案(大島正太郎議長原案)は、九項目の本文と枠組み案を示した四つの付属文書で構成され、農業分野も付属文書の一つになっていた。
 農業分野は、農業委員会のティム・グローサー議長(ニュージーランド)がまとめ、市場アクセス分野では、関税率が高い品目ほど税率を大幅に引き下げる「階層方式」を採用するが、コメを含む重要品目については例外扱いも必要とした。ただ、例外品目を階層方式の例外扱いする代わりに、一定の輸入枠に低関税を適用する関税割り当ての拡大などの代償措置を必要としている。また、すべての農産品の関税率に上限を設ける「上限関税」については結論を先送りした。
 輸出規律強化分野について、合意案では、輸出補助金の一定の期限内の撤廃を明記したものの、他の輸出支援措置は一定の規律強化にとどまっていた。
 そして、七月三十日から八月一日にかかる徹夜交渉の中で、途上国への様々な圧力や脅しの結果、かろうじて大枠合意の体裁を整えたのであった。カンクン閣僚会議の時に抵抗していた南側諸国連合G20の中のブラジルやインドは、今回、非グループ五カ国(NG5)の一員に取り込まれ、カンクン以降の情勢をめぐる総括で指摘されていたとおり南側諸国の結束は、崩れ去った。
 また合意案も、数値を含む具体的な中身はほとんど先送りとなり、とりわけ、先のカンクン閣僚会議で先進国側と途上国側との深刻な対立から会議決裂の最大原因となった農業の輸出補助金等の撤廃についてもあいまいなままである。
 また、日本政府は「上限関税」について結論を先送りしたこと、コメなどの「重要品目」について各国の裁量で選べることになったことなどから合意案を評価し受け入れたが、日本農業に厳しい内容は、ことごとく先送りとなったから受け入れるという農政無策の姿勢であり、国内の異常なほど低い食料自給率を打ち破り、食糧主権を確保していくという国内外の民衆の声からは程遠いものである。   (北野はじめ)




途上国への排除と圧力

アイリーン・コー

(フォーカス・オン・ザ・グローバル・サウス)

 一般理事会が開催された七月二十六日から、この週前半の農業をめぐる主要交渉は、非グループ五カ国(NG5)と呼ばれたアメリカ、EU,オーストラリア、ブラジル、インドだけのメンバーでもたれていた。その他多数の代表団は闇の中に取り残されていた。しかし、途上国にとって最も重大なことは、ブラジルとインドの判断に主要な決定を委ねてしまうことである。農業委員会議長ティム・グローサー・ニュージーランド大使は、あけすけにも、五つの「利害関係国」から「政治的指針」を受け取っていると語っていた。一方、ある途上国代表者は「われわれはみな利害関係国だ!」と非難した。
 修正された七月三十日提案はグローサーの作業であったが、NG5内での非公式・無記録の討論から表に現れたものだ。このような排除によって、途上国の多数は自らの立場を求めることに著しい不利益をこうむるだろう。
 七月三十日案は、それからさらに、三〇日夕方から翌土曜日朝八時まで続いた二十カ国によるグリーン・ルーム(密室会議)で論議された。そして、二十カ国はこの案を支持した。この修正案は、その他の諸グループ(アフリカ諸国、途上国、G20など)にもたらされたが、圧力を強く受ける状況下で、そして、G20内のより有力な途上国が、この案をすでに受け入れたと述べられる中で、小さな参加者による拒否は極度に困難であった。
 こうして、たとえこの提案がアメリカやEUの輸出補助金を見え透たように保護するものであっても、農業の提案は賛意の印章が与えられたのである。

集会案内
《WTOは農民を殺す! 韓国農民イ・ギョンヘさん自死抗議1周年シンポジウム》
グローバリゼーションは食とくらしをつぶす
自由貿易から公正な貿易へ!
◎日 時:9月10日(金)午後6時30分〜
◎会 場:文京区民センター3A会議室(地下鉄「春日」「後楽園」駅下車すぐ)
◎参加費:500円
◆講演:「アジア経済とグローバリゼーション」(小林尚朗明治大学助教授
◎主 催:脱WTO草の根キャンペーン実行委員会、「異議あり!日韓自由貿易協定」キャンペーン



コラム

遺伝子ドーピング

 オリンピックはもろに時代を反映する。開会式前日のマスコミは一斉に「まるでイラク」「アテネのイラク化」という形で警備態勢を報道している。ホテルや競技場の前には「自動車爆弾テロ」を防ぐために巨大コンクリートが設置され、空には数台の武装したヘリコプターが飛び交っている。警備の予算はシドニー大会の約三倍の十億ユーロ(約千三百五十億円)にも達している。
 しかしアテネ大会で最も紙上をにぎわしているのがドーピング問題である。聖火の最終点火者の候補でもあったシドニー五輪陸上男子二百メートルの金メダリストでギリシャのコンスタンテイノス・ケンデリスと女子百メートルの銀メダリストであったエカテリニ、サヌがドーピング検査当日、交通事故を口実に病院に入院してしまった。
 そしてこのドーピング逃れの入院を画策したのがギリシャ・オリンピック委員会であることが暴露されつつある。
 そして大会二日目に開催された重量挙げでは一挙に七人がドーピング検査で薬物使用が発覚し失格になっている。
 検査で見つかったのは筋肉増強剤のアナポリックステロイドという古くからの薬物だけで、高地トレーニングと同様に赤血球量を増やすエリスロポエチン(エポ)やヒト成長ホルモンによるドーピングには歯がたたなかった。
 エポの検出方法が可能となったいま、体内でエポを直接生産する遺伝子を手や足の筋肉細胞に注入する遺伝子ドーピングが開発されている。これは先天性疾患などの治療のために開発されたもので体内に局所的な「ホルモン生成基地」を作る方法で、副作用で死の危険を内包するが、血液や尿の検査では絶対に見破ることができないと言われている。
 オリンピック種目になっている競技のスポーツ選手に対するアンケートでは「金メダルが取れるならば、五年後に死ぬとわかっていても薬を使うか」という問いに、五二%がイエスと答えたという。コーチや監督ではさらにこの比率が高くなるという。そして赤血球を増やす薬の開発だけではなく、赤血球の一個当たりの大きさをできるだけ小さくする薬の開発が始まっている。赤血球が小さくなればなる程、鉄分や酸素を毛細血管の隅々まで送れるから、瞬発力や耐久力、さらにはストレスや重力にも強くなると言われる。赤血球の大きさを示すMCU(平均赤血球容積)は、正常値が八四〜一一〇フェトリットルであるという研究結果が出ている。これを八四以下にするというのがねらいなのである。
 ドーピングの検査結果の一%が「黒」であっても、残りの九九%は「灰色」で「白」はほとんどゼロ%である。。
 死を隣り合わせてでもメダル獲得にこだわる選手が存在し、それを支える国、企業が後に控えている限り、ドーピングは続く。     (武)


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