もどる

                                    かけはし2004.08.2号

中国政府は北朝鮮難民への弾圧と強制送還を中止せよ

脱北者救援活動家と難民への弾圧に抗議し集会とデモ


脱北帰国者や在日コリアン先頭に

 七月十九日に東京で難民(脱北者)救援活動家支援と中国政府の難民強制送還に抗議する集会・デモが行われた。北朝鮮難民救援基金らが呼びかけた集会には日本に帰還した脱北者や在日コリアンを含めて三十人が集い、炎天下の東京を「中国政府は北朝鮮難民の強制送還を止めよ」「北朝鮮に人権の光を」のプラカードを掲げてデモ行進。脱北者男性は中国政府の難民弾圧を告発するパフォーマンス姿で参加。
 デモ終了後のシンポジウムでは石丸次郎さん(アジアプレス)がコーディネーターとなり、加藤博さん(北朝鮮難民救援基金)、山田文明さん(北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会)、チョン・ギウォンさん(韓国ドゥリハナ教会)、キム・ボンスンさん(難民救援活動中に中国当局に「不法越境組織罪」で懲役五年の判決を受けて現在も中国に勾留されているチェ・ヨンフンさんの妻)がパネリストとして参加。
 パネリストは各自が中国での難民救援活動を理由に中国公安当局(安全局)に逮捕・勾留された経験をもとに報告した。そして、取り調べで「資金と組織とビジネス内容」だけを聞き出そうとして、一貫して難民問題を治安対策とし人権問題としてみようとしない中国政府の難民強制送還政策を批判した。
 キム・ボンスンさんは中国での夫の裁判では韓国語の通訳が不充分であったことも量刑に影響しているのではないかと指摘。チョン・ギウォンさんは去る四月に中国の満洲里からモンゴルに渡ろうとして中国国境警備隊に射殺された脱北少年チョルフン君(17歳・日本人が里親になっていた)の死亡について、中国当局が「抵抗され銃が奪われそうになったので誤って撃った」とデマを流していることを糾弾した。そしてこの事件が、実際には逃げようとする背後から三百発以上の銃撃が行われた故意の殺人であること、同行者がその現場からかけてきた緊急の携帯電話からも拳銃の発射音がはっきりと聞き取れたことを明らかにし、現在も調査中であることを報告した。
 パネリストからは中国政府が〇八年北京オリンピック開催を前にして〇六年までに「難民問題を解決する」対策を準備している、つまり徹底的弾圧に乗り出すとの複数の情報があり、六月の中国人民解放軍国境警備代表団の訪朝協議・協定調印などもこの動きと関連するものではないかとの指摘もあった。
 最後に石丸さんは「この問題を東アジア全体の問題として解決」していく視点、中国自身も大量の難民流入の「被害者」という側面があること、日本にも脱北者問題解決を引き受けていく態勢が必要と指摘した。
 今週中にも東南アジアのある国(ベトナムと推測されている)から四百人規模の脱北者が韓国入りし、また年内にも中国全人代に非常時対処の「緊急事態法案」上程の動きがあることなど、北朝鮮脱出難民(脱北者)問題は東アジアを揺るがす問題として再び焦点化しようとしている。
 難民条約加盟国である中国に対して、脱北者を難民として認定して人道的対応をとるよう働きかけていくこの闘いを、日韓連帯・日朝連帯運動と一体ものとしなければならない。(A)


拉致と朝鮮問題について

                    S生

国民年金差別の問題点

 私は一九九三年十月以来、定住外国人(主として在日の朝鮮・韓国の人々)の無年金者をなくす運動をやっていて、昨年四月から、東久留米市において、市の独自給付処置を獲得しました。引き続き、都内全域の区市町に働けかけていくつもりです。現在、都内では五つの区、市が独自給付処置を行っています。
 戦後在日の外国人は(アメリカ人などは差別されなかった。主として朝鮮・韓国の人々、一部中国人も含まれた)日本国に在住して、納税その他国民的義務を果していたにも係わらず、国民年金の適用除外になっていました(大臣や議員連中みたいな自らの未納とは違って、生活のため、のどから手を出したいほど年金を必要としていたのにである。この処置は不適正として国際世論が高まり、在日の朝鮮人団体の運動があって、この処置は「国籍条項撤廃」として一九八二年に基本的に改善されたが、なおも一九二六年四月一日以前の高齢者と一九六二年一月一日以前生まれの障害者は非適用のまま残されました。これを改める運動です。これはまさに差別そのものではないかということです)。

曽我さん問題に一言

 私は前記のように在日朝鮮人・韓国人問題に関心を強くもっています。そこで言いたいのは、最近の拉致問題、その一つである曽我さん一家への応待と報道の扱いは国賓待遇並みです。曽我さん一家の生活活動(朝鮮、ジャカルタ、日本へ帰国経路)が、それほど、興味をそそられるものだろうか? 内閣参与がつききりで応対している。これは明らかに、日本の国家権力の政治意図にもとづいて興味を煽っているものです。
 すなわち曽我さん一家の問題を、これでもかこれでもかと見聞させられると、曽我さん一家に同情が湧き起こり(もちろん、人間的に同情をすることにはやぶさかではないが……)、果ては、こんな不幸な原因を作った「北朝鮮」って非道な国だという考えにつながっていくことは明白である。テレビ・新聞などの大々報道も単にニュース価値があるからという理由づけはゴマ化しを感ずる。政治権力や国内の反動世論の政治意図と結びついていると考えざるを得ません。
 この結論は何をめざすかと言うと、朝鮮国(彼らは北朝鮮と言って一人前の国として認めたくない)は、拉致という非人道的なことをやる、ならず者国家だ、そして、核兵器で脅しをかけている。軍事力でなにをしでかすかわからない。したがって、日本は防衛力(軍事力)を強化するとともに日米安保を大切にしようということになってしまうのである。
 日本人が拉致された、そして苦難を負った。このことは人間として同情するので一刻も早く解決してほしいと願う。ところが、これをテコにして反朝鮮感情を煽り、日朝の友好の気持ちをぶちこわそうとする。政府や反動勢力に憤りを覚えるということです。

朝鮮問題に対する考え方はどうすべきか

 日本の政治権力者は、過ぐる九十四年前の朝鮮半島の植民地支配と、引き続く七十数年前から行ってきた中国侵略・太平洋戦争においての強制連行、そして朝鮮人蔑視政策を基本的に反省していません。その一例は、拉致問題が起きると、朝鮮人の中の弱者である朝鮮人の児童や生徒に対してイヤガラセをやる日本人が出てくるということです。そして年長の日本人の中には、未だに「朝鮮人のくせに」という言葉をささやく人がいるのです。
 これは政治権力に関係ないというかも知れませんが、政治権力者の根底にこう言う思想があるから、一般民衆を通してあらわれてくるものです。次に触れなくてはならないのは、いまの日本の保守政権は、反共産主義のチャンピオンのアメリカ帝国主義の最大のパートナーだということです。したがって、同じ朝鮮人でも韓国に対しては友好的扱いをするが、朝鮮国が社会主義を名のっているため、敵意をもって接し日朝関係をぶちこわしているのです。
 これを改めることから始めるべきと言いたい。朝鮮共和国の現実の政治体制が本来の自由、平等、友愛の社会主義の政治理念にもとづいて行われる社会主義的政治として全面的に行われているとは思いませんが、これの批判は社会主義を求める同志の立場から行うべきです。もっとも、あの朝鮮共和国は社会主義でもなんでもない、スターリン主義の権力で敵だとの認識をもつ場合は別ですが……。
 その場合でも朝鮮の民衆とは同志ですから反差別、友好的に接すべきですし、もちろん(国としても友好的に接すべきです)、世界の民衆は全部同志の立場です。最後に再び言いますが、どう考えても北朝鮮という呼び方はいぶかしい。朝鮮半島の南部の韓国のことは韓国と呼ぶのですから朝鮮半島の北部の朝鮮共和国のことを、朝鮮または朝鮮共和国と呼ぶべきで、北朝鮮という呼び方は全く根拠はありません。


「かけはし」編集委員会編―新時代社発行 300円
『オリンピックもワールド・カップもいらない!』
――国家主義スポーツ大会批判

 アテネ・オリンピックが始まろうとしている。開会式から閉会式までの十七日間とその前後、テレビや新聞・雑誌などのあらゆるマスメディアは、連日連夜「がんばれニッポン!」の絶叫と「日の丸」の洪水で埋めつくされることになる。もちろん日本だけではなく、世界各国で文字通り「国を挙げた」応援合戦が繰り広げられる。
 新自由主義グローバリゼーションは、貧富の差を拡大し、社会の分裂と対立を深め、支配体制の国民統合力を日々掘り崩している。オリンピックやサッカーワールドカップなどの巨大な国際スポーツ大会は、対立し分裂する人々の意識を、現にある支配体制としての「国民国家」に強力に統合していく作用を持っている。9・11テロとアフガニスタンへの侵略戦争のなかで開かれたソルトレークシティー冬季五輪では、9・11テロ現場で発見されたボロボロの星条旗が掲げられたメイン会場でブッシュが開会を宣言し、ひるがえる星条旗の小旗で埋められた会場には「USA!」「USA!」の大合唱が轟いた。
 現在、石原都政と都教委による「日の丸・君が代」強制の攻撃が吹き荒れ、三百人以上の教職員が不当処分を受けながら闘っている。オリンピックやワールドカップで「がんばれニッポン!」のかけ声とともに打ち振られる「日の丸」の波や「君が代」の大合唱は、教育労働者を中心にしたこのような苦闘を、一瞬のうちに無化してしまうような力で、青少年に「日の丸・君が代」を受容する意識を植えつけるのである。
 IOC(国際オリンピック委員会)やFIFA(国際サッカー連盟)は、数十億ドルもの収入をふところにする多国籍スポーツ興業資本となった。国家主義と商業主義がもたらす勝利至上主義は、スポーツのあり方を歪め、ドーピングやワイロによる不正ジャッジを必然化させ、まんえんさせている。
 また、巨大国際スポーツ大会につきものの腐敗したゼネコン政治は、巨額の税金を食い物にすることによって予算配分を一層歪め、労働者人民一人一人が自らの運動能力を解放してスポーツ活動を楽しむ権利をむしろ侵害する。過労死労働で疲れ果てた労働者は、国家と企業による水着や靴やトラックなどの用具の改良と選手の科学的管理が生み出すスポーツショーの「新記録」でつかの間の憂さ晴らしをする「観客」におとしめられるのである。
 オリンピックもワールドカップもいらない! 国家主義と金権腐敗のスポーツショーを拒否しよう。
(04年7月)  
―内容―
bギリシャからのアピール 2004年オリンピック反対はわれわれすべての義務である!
bソルトレーク冬季五輪と「グローバル戦争」
bソルトレーク冬季五輪採点スキャンダル
b五輪批判―金権と国家主義のスポーツショーを21世紀に残すな
bサッカーワールドカップ―国家主義とスポーツマフィアの祭典
bワールドカップ韓日大会が果たした政治的役割


もどる

Back