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韓国はいま                       かけはし2004.6.14号

世界経済フォーラム東アジア首脳会議に対決する闘いを!

新自由主義者たちのソウル会議を包囲しよう

                                   
 6月13日から14日まで、ソウル・シルラホテルで「アジアの平和と繁栄」というテーマで世界経済フォーラム東アジア経済首脳会議(「アジア戦略ラウンドテーブル」という名称が付いた)が開催される。
 世界経済フォーラム(WEF)はブラジルのポルトアレグレや今年のインド・ムンバイで成功裏に開催された世界社会フォーラムが対抗しようとしていたまさにその会議で、主要強大諸国の政治官僚、世界経済を牛耳っている超国籍企業のCEOたちが会員として加入している。WEFは毎年、世界会議と地域別会議を通じて今後の新自由主義と軍事主義戦略を討論し、樹立する。そのような会議のアジア版が、まさにソウルで開催され、このために600〜800人の政府官僚や企業家たちがソウルに集まることとなる。
 「独立的な非営利団体」と自称している世界経済フォーラムの歴史は北米とヨーロッパで新自由主義の政策が導入され始めた1970年にさかのぼる。スイス・ジュネーブ大学のクラウス・シュワップ教授は1970年に世界の政界・経済界の指導者間の紐帯関係を形成し、地球的レベルでの政治、経済的戦略を討論し樹立しようとの必要性を提起し、このためにスイス・ダボスでの会合を提案した。「ダボス・シンポジウム」は1987年に「世界経済フォーラム」へと改名され、より包括的で安定的な体系へと転換される。WEFに加入した1200余人の企業家たちは毎年ダボスで年次会議を開催し、地域会議と各種のテーマ別会議を開催している。
 一名「ダボス・フォーラム」と呼ばれる年次会議は、われわれにとってもそう耳慣れていないものではない。WEFがダボスで開催されるたびに全世界の反自由主義の諸勢力はダボスとヨーロッパの各地に集まりデモを行い、また地域会議が開催されたメルボルン、香港、メキシコ・カンクンなどでも、この数年間、WEFに対決する大規模な反グローバル化闘争を展開した。
 そしてWEFに対抗する数回にわたる闘争が進められる中で闘争の戦略や対案を論じるための世界社会フォーラムが誕生したのだ。世界「社会」フォーラムが全世界の反自由主義、反戦諸勢力が集まり、以降の戦略を討論し、共同行動を決意する場だとするなら、世界「経済」フォーラムは新自由主義勢力と戦争屋どもが集まって世界の支配秩序をいかに強化するのかを討論し決議する場なのだ。
 このようなWEF東アジア経済首脳会議がソウルで開催されるのは偶然ではない。同会議のソウル開催は新自由主義に対する韓国政府の意志と戦略をあらわにしているのだ。IMF(国際通貨基金)救済金融の早期償還とWTO(世界貿易機構)に対する忠誠などによって新自由主義の「伝道師」の役割を忠実に果たしている韓国政府は、WEF東アジア経済首脳会議のソウル開催を通じて韓国をアジアの金融の中心地として発展させていくとの構想を可視化する予定だ。
 実際に昨年シンガポールで開かれた会議でキム・ジンピョ経済副総理は04年ソウル開催を受諾する演説を通じて「労使改革、外国人の投資環境改善、東北アジアの物流・ビジネスハブ構想などが東アジアの活力回復と共同繁栄に寄与する」と語った経過がある。これは超国籍(金融)資本に最大限の自由を付与し、抵抗勢力をすかしなだめることによって海外投資を積極的に維持するという計画の延長線なのだ。
 また、昨年のカンクン閣僚会議以後、決裂の危機に直面したWTO交渉に対する突破口を模索しつつ、同時に両者間の自由貿易協定(FTA)を推進して地域自由貿易協定の可能性を打診するものと予想される。実際に政府は現在、日本およびシンガポールとのFTAを交渉中であり、最近カナダ、ヨーロッパ連合、メキシコ、インドともFTAを推進すると発表し、FTA締結を本格化しようとしている。
 韓(朝鮮)半島やイラクなど軍事的懸案も重要な議題として扱われるものと予想される。韓半島がアジア地域で歴史的に帯びてきた地政学的位置、現在イラク戦争に対する正当性が捕虜拷問・虐待や報復によって一層悪化している中で、権力の移譲や大統領選挙が予定されている点、そしてソウルに集まることにした主要な国内外の企業のうち、イラク再建事業を通じて充分な利潤を期待している企業が多いという事実を考え合わせれば、今回の会議が韓半島に対する帝国主義的解決方案や「対テロ戦争」に対する支持を訴える契機となるものであることを予想できる。
 現在、国内外の反自由主義運動の諸勢力は「世界経済フォーラム東アジア経済首脳会議反対共同行動組織委員会」を構成してWEFに対する闘争と反自由主義・アジア連帯を強化するための「アジア社会・民衆運動会議」の開催を準備している。
 6月13日の開会式に合わせて進められている闘争は、一方では超国籍企業や新自由主義政治官僚らが集まるWEF会議それ自体に対する直接的な打撃の闘争であると同時に、広くは新自由主義のグローバル化と戦争に対する包括的な闘争となるだろう。特に、先に言及したように今年はさまざまな面(WTOとコメ市場開放の再交渉、洪水のように押しよせるFTA、新自由主義経済改革)において新自由主義に抵抗する闘争が急がれるべき年であるがゆえに、一層そうだ。また3・20全世界反戦闘争を成功的に進めた地球的反戦運動も手綱を引きしめるべき状況にある。
 このような状況は実質的なアジア連帯の強化を要求する。事実、「アジア連帯」は以前よりも数多く提起されてきており、その必要性を否定する人間はいないけれども、実践的連帯はこれまでのところ当為性、すなわちあって然るべきことというレベルにとどまった場合が非常に多かった。だが情勢も情勢だが「WEF」のような極めて象徴的な会議がソウルで開催されるという点にアジアの運動陣営が多大の関心と期待とをかけている。現在、日本から百余人規模の参加団が構成されており、各国から労働、農民、女性など多様な部門の活動家たちが闘争をするために、そしてアジア社会・民衆運動会議に参加し、今後のアジアの共同闘争を論議し、具体的な計画を立てるために入国する予定だ。
 WEF反対闘争と会議はWEFが持っている位置や象徴性を考えるとき、それ自体としても重要だ。だが同時に、今回の反WEF闘争が自足的な闘争、あるいは1回限りの闘争に終わらせないためには今回の闘争をWTOとFTA、帝国主義戦争に対する今後の闘いの基肥として位置づけ長期的な計画や戦略の中に配置していかなければならないだろう。(「労働者の力」第55号、04年5月21日付、チョン・ソヒ/自由貿易協定・WTO反対国民行動=KoPA事務処長)

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