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                           かけはし2004.05.17号

「学校に自由の風を!」

「日の丸・君が代」強制に反対する教職員への大量処分を許さない


 四月二十九日、石原都政と都教委が都の卒業式・入学式で行っている「日の丸・君が代」の強制と教職員への不当大量処分に反対し、教育基本法改悪を許さない闘いを進めるために、「学校に自由の風を!4・29緊急集会」が開かれた。
 「君が代」斉唱時に座っていただけで二百人もの教職員が「戒告」や嘱託職員採用内定取り消しなどの重い処分を受けるというかつてない事態は、教育を通じて有無を言わせず強権的に「国策」に従わせる「国民」を作り出そうとするものである。人権や子どもの教育権を守るために、憲法改悪を阻止して「戦争国家体制」の形成を阻むために、石原都政と都教委の暴走を許さない闘いは決定的に重要である。
 この集会は、東京の各地で「日の丸・君が代」の強制や「つくる会」の皇国史観教科書採択に反対し、教育基本法改悪に反対する運動を進めてきた多くの市民運動団体や教職員組合の賛同で開かれた。会場の東京新宿・ラポール日教済ホールは五百二十人の参加者であふれた。
 最初に、「卒業式・入学式の『通達・実施指針』の再検討を求める都民署名の会」から、この集会を開くに至った経過が報告された。昨年十月二十三日に出された都教委「10・23通達」は、「日の丸」の位置や「君が代」斉唱の仕方が厳格に決められたことはもちろん、卒業生の作品で会場を飾ることもできず、卒業生と在校生がフロアで向かい合う「対面形式」も禁じられ、車椅子の生徒も例外なく壇上で卒業証書を受け取らなければならないなど、卒業式・入学式から一切の自主性を奪おうとするものだった。合理的理由すらなく、教職員への職務命令と処分の脅迫で「命令には黙って従え」という「通達」である。
 これに疑問を持つ都立高校の保護者たちが「通達」と「実施指針」の再検討を求めて今年一月からはじめた署名活動が、三月末までに八十五の都立学校に広がり、署名数も七千五百筆を超えた。都教委への要請行動や都議会への陳情も行われた。この署名活動に関わる人々の交流のなかから、「学校に自由の風を!4・29緊急大集会」の開催が決定された。
 続いて、養護学校の保護者や不当処分された高校教員などが発言した。
 「娘がこの春、養護学校中学部を卒業した。肢体不自由児も登壇しなければならない。車椅子で自走できる子も、わざわざ式のために七十五万円でレンタルした張出しステージに上がらなければならなくなった。黙っていては賛成したと思われてしまう」。
 「三回処分されれば免職とうわさされている。しかし私たちが立てば子どもを立たせることになる。子どもたちが無理やり壇上に上げられ、自分でできることもさせてもらえない。それを前にして、おかしいとも言えず黙っていなければならないのか」。
 「卒業式に青いピースリボンを着けて『精神的職務義務違反』で処分され、今度は入学式に『君が代』のピアノ伴奏を拒否すれば処分と言われた。キリスト者として、やるべきでないと思うことをしてしまったら、私の精神は崩壊する。ストレスで胃から大量出血して入院した。『日の丸』はいまも人を殺している」。
 「私は一九四三年九月、二歳の時に爆撃で両足を火傷し、いまもケロイドが残っている。『君が代』の起立を拒否し嘱託職員の採用を取り消された。私は武道を教えており、『君が代』を歌わなかったことはいままで一度もなかった。強制的に『国を愛する心』を求めるのは、過去の過ちを繰り返すことだ。教育の場で強制はあってはならない」。
 ザ・ニュースペーパーのコントが会場を沸かせた後、10・23通達を告発する国歌斉唱義務不存在確認等請求訴訟弁護団の加藤文也さんが、「通達」とその後の大量処分が憲法にも教育基本法にも反する、違法で不当極まりないものであることを詳しく指摘した。
 子どもと教科書全国ネット21の俵義文さんは、法律・教育学者緊急アピール「都教委の『日の丸・君が代』強制に抗議する」について報告した。四月二十六日現在、呼びかけ人二十九人に賛同者二百十八人の計二百四十七人が名を連ねている。
 休憩をはさみ、「ココロ裁判をすすめる会」の小学校教員、都立高校保護者やイギリスの新聞特派員の発言に続いて、今年一月にジュネーブの国連子どもの権利委員会で日本の子どもの状況について報告した高校生(校長による突然の『日の丸』掲揚に生徒が抗議し、右翼マスコミの大キャンペーンが行われた国立第二小学校の卒業生)が力強く発言した。
 早稲田大学教員の西原博史さんは訴えた。「10・23通達は、子どもをロボットにするために教師をロボットにしようとするものだ。子どもをロボットにするために『日の丸』が使われている。ひどい状況だが、私たちはそれを直視するなかで日本社会全体をどうするか考えることのできる立場にいる。多くの保護者が子どもたちのために望んでいることが脅かされていることをもっと訴える必要がある」。
 定塚才恵子さんの歌声が響き、集会決議が全体の拍手で確認された。六月十二日(土)には中野ゼロホールで午後六時から、さらに大きな「学校に自由の風を!集会」が予定されている。石原と都教委の「日の丸・君が代」処分をはね返そう。      (I)
 都教委は不当処分を取り消せ! 10・23通達を撤回せよ! 東京都教育委員会に抗議を集中しよう! 
★抗議先〒163-8001 新宿区西新宿2-8-19 横山洋吉教育長 D03-5388-1725 D03-5320-6701 都民の声総合窓口eメールkoe@metro.tokyo.jp

憲法も教育基本法も踏みにじる都教委の不当処分

 東京都教育委員会は、今年の都立学校の卒業式で「君が代」斉唱の際に「起立しなかった」「ピアノ伴奏をしなかった」教職員百七十六人と公立小中学校などの教職員二十人に「戒告処分」を行った。また十人の嘱託職員採用内定者に対して、採用取り消しという事実上の「解雇」処分を行った。たった一回起立しなかっただけで、実損がともなう「戒告」や「解雇」という重大な処分を発動したのだ。
 都教委は卒業式の教員席をすべて個人別の指定席とし、「君が代」斉唱時に教頭が不起立の教員を確認し、それを都教委職員が監視するという体制が取られた。多くの教員が事情聴取に弁護士の立ち会いを求めたにもかかわらず、都教委は弁護士立ち会いを拒否し、逆に「事情聴取を拒否した」と決めつけ、処分手続きに必要な「告知聴聞」の機会さえ与えることなく処分を強行した。三月三十一日、処分言い渡しの場所となった都立技術センター前には装甲車が配置され、機動隊が出動するというものものしさだった。
 「国旗・国歌法」制定過程では、小渕首相が「生徒の内心にまで立ち入って強制しようとするものではない」と答弁していた。にもかかわらず都教委の横山教育長は、「君が代」斉唱時に起立しなかったり歌わなかったりする生徒が多い学校は担任教師などを調査し、指導に問題があれば処分すると三月十六日の都議会で公言した。
 都教委では、「思想表現の自由はあるが(教育は別)」(清水委員長)、「(「日の丸・君が代」の強制に反対する少数派は)徹底的につぶさないと禍根が残る。半世紀巣食ってきたがんだから、痕跡を残しておくわけには行かない。必ず増殖する」(鳥海委員)などの驚くべき暴言が横行している。
 それは、思想・信条・信教の自由を保障した憲法と、教育への不当な権力的介入を禁じた教育基本法を踏みにじる暴挙である。自民党と民主党の超党派議員で結成された教育基本法改正促進委員会の副委員長西村真悟(民主党)は、「お国のために命を投げ出してもかまわない日本人を生み出す」と、そのねらいをあからさまに語っている。
 石原都政と都教委による「日の丸・君が代」強制と教職員大量不当処分は、「お国」の言うことには文句も言わずにすべて従う教員と生徒と教育を作り出そうというものである。それは教育基本法改悪と憲法改悪を先取りするものにほかならない。    (I)
                    



教育基本法改悪ストップ!
「お国のために死ぬ教育」への逆流を押し戻そう!

 四月二十四日、東京・よみうりホールで「教育基本法改悪ストップ!4・24中央集会」が開かれた。この集会は、小泉政権が「戦争国家体制」形成と憲法改悪に向けて強行しようとしている教育基本法改悪を阻止する闘いを強化し、教育基本法と子どもの権利条約を生かす運動を作り出すために、教育基本法改悪ストップ!実行委員会が主催して開かれた。
 教育基本法改悪をめぐる国会情勢は緊迫している。小泉政権は年金改悪法案や有事七法案をはじめとする重要法案が山積し、七月参院選を前に日程が詰まっていることから、今国会への上程は見送ると予想されている。しかし参院選明けから秋に向けて、法案提出をめぐる山場を迎えることは間違いない。
 実行委員会参加団体は、平和フォーラム、部落解放同盟、平和・人権・民主主義の教育の危機に立ち上がる会、子どもの人権連、子どもと法・21、退職婦人教職員全国連絡協議会、日本退職教職員協議会、12・23集会呼びかけ人、日教組の九団体。会場の東京・読売ホールは全国各地の教育労働者などで立錐の余地もない状態となり、通路もすべて埋められ、ロビーにもあふれる盛況になった。参加者は二千人(主催者発表)。
 会場全体が「OH!YEH OH!YEH」とこぶしを振り上げる元気一杯なオープニングの歌で始まった集会は、「教育基本法の改悪が学校現場に及ぼす影響」「教育基本法の改悪と憲法『改正』」「公教育を市場原理にゆだねることの問題点」の三つのテーマで進められた。
 司会進行は漫画家の石坂啓さん、東大教員の高橋哲哉さん、ザ・ニュースペーパープロデューサーの杉浦正士さん。それぞれのテーマごとの講演とザ・ニュースペーパーのコント、教員や生徒や保護者や市民運動など、教育をめぐるさまざまな現場からの参加者と講演者が語り合う「しゃべり場」という盛りだくさんな形式だ。
 第一のテーマの講演は、東大教員の佐藤学さん。
 二月二十五日に自民・民主両党を中心とする超党派六十人の議員連盟として発足した「教育基本法改正促進委員会」は、三月末には二百八十三人にふくらんでいる。佐藤さんは、この「教育基本法改正促進委員会」の副委員長になった民主党衆議院議員・西村真悟の「お国のために命を投げ出してもかまわない日本人を生み出す」という言葉を紹介しながら、参院選明けの八月から九月にも法案が提出されようとしているという現状について報告した。
 続けて佐藤さんは、憲法改悪の先取りとして教育基本法改悪が強行されようとしているだけでなく、すでにそれが「全体主義国家のミニチュアとしての学校」として、「心の管理社会」という形で実体化されつつあると訴えた。
 それは「日の丸・君が代」の強制と国定修身教科書としての『心のノート』を通じて、着々と現実化されている。「日の丸・君が代」で二百人近い教員に不当処分を課した東京都教育委員会の清水委員長は「思想表現の自由はあるが、(教育は)別問題」と述べ、鳥海委員は「(少数派は)徹底的につぶさないと禍根が残る。特に半世紀残ったがんだから、禍根を残しておくわけには行かない。必ず増殖する」と放言した。思想表現の自由もなく反対派は徹底的に排除される、まさに「全体主義国家のミニチュアとしての学校」が作られようとしているのだ。
 佐藤さんは、このような全体主義の流れと対決するために、「民主主義の主体を形成する市民性のための教育」「平和主義、民主主議、平等主義の復権」をめざして、学校の内と外から運動を進めようと呼びかけた。
 第二テーマの講演は、早稲田大学教員の戸波江二さん。戸波さんは、教育基本法が「平和主義」「民主主義」「平等主義」という憲法原理の教育現場での展開として、なによりも「子どもの権利としての教育」という観点から構成されていることをあらためて確認した。
 中教審答申や教育基本法改正促進委員会の「新教育基本法大綱案」は、この基本的な論理を逆転させ、「国家のための教育」「国家に役立つ人材育成のための教育」に転換しようとするものにほかならない。「人権と民主主義」という価値に代わって押し出されるのが、天皇を中心にした「日本の文化と伝統」というわけなのだ。
 第三テーマについて講演した国際基督教大学教員の藤田英典さんは、中教審答申が主張する「教育基本法改正必要論」の根拠薄弱で極めてイデオロギー的な性格を批判した。中教審答申が指摘する「日本社会の自信喪失感・閉塞感の広がり」も、「倫理観・社会的使命感の喪失」も、「少子高齢化・社会活力の低下」も、「経済停滞・就職難」も、いずれも教育基本法が原因ではない。今日の社会の行き詰りを何でもすべて教育基本法のせいであるかのように言う、とんでもない逆立ちしたイデオロギーなのだ。
 同様に中教審答申が指摘する青少年の目標喪失、規範意識の低下、いじめや不登校や学級崩壊や青少年の犯罪増加なども、教育基本法が原因ではない。藤田さんはこれらはむしろ、この十数年間、教育基本法改悪をねらう勢力によって押し進められてきた「強者の論理」にもとづく矛盾に満ちた「教育改革」が増幅したものであると指摘した。にもかかわらず彼らは、より一層の強者の論理=エリート主義と競争の論理、そしてより一層の国家主義を押しつけようとしているのだ。
 間にはさまれるコントでは、教育課程審議会の極右作家三浦朱門や小泉首相が登場し、爆笑の連続。集会の最後に、「しゃべり場」のたくさんの発言者や実行委員会構成団体が壇上に並び、一言ずつ発言した。
 一人の高校生の元気一杯な、しかし危機感に満ちた発言は、教育基本法反対の闘いをはじめとする運動が置かれている状況を鋭く突くものだった。
 「身内だけで集まって元気になって安心したりしないで! 先生たちには良心がかかっているかもしれないけれど、私たちには命がかかっている。私の友達は家にお金がなく勉強もしたくないといって自衛隊に行った。もっともっと過激になってほしい!」。
 闘いはいよいよ正念場だ。「お国のために死ぬ」ことを強制する教育を阻止する闘いを、イラク反戦闘争と結びつけてもっともっと拡大しよう。  (I)


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