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全面破綻するイラク侵略戦争と追いつめられるブッシュ政権 |
四月三十日、一カ月近くにわたってイラク中部の都市ファルージャを包囲し、市民への無差別の爆撃、砲撃によって七百人以上を殺害した海兵隊などの米占領軍は、ついに市内から撤退を開始した。米軍に代わってイラク人からなる「ファルージャ防衛軍」が市内に入った。「四人の米傭兵を殺害した犯人の身柄と武器の引き渡し」を名目にした米軍のファルージャ包囲・壊滅作戦は、その目的を達成しないまま、敗北せざるをえなかったのである。
もちろん米軍の一時撤退は、米軍がファルージャへの攻撃を断念したことを意味しない。しかしファルージャでの戦闘がイラク民衆の反米・反占領軍意識の高まりを背景に、国際的に批判を巻き起こし、所期の戦争目的を達成できなかったことは、占領支配そのものの決定的な崩壊局面に向かう転機となるだろう。
ファルージャ攻囲戦は、イラク全土に広がった米英占領軍に対するイラク民衆の抵抗闘争を、六月三十日の「主権移譲」期限までに一掃するという占領軍の戦略にとって、当面する最大の焦点であった。イラクの大多数の民衆がシーア派とスンニ派の宗派的違いを超えて共同闘争を繰り広げ、ますます公然と占領支配に立ち向かう中で、米英が主導する占領軍は、国連を抱き込んで「暫定政権」を発足させた後にも、帝国主義の中東支配の拠点たるイラクに自らの排他的支配権を維持するために、圧倒的軍事力に依拠して抵抗の拡大を押さえ込もうとしたのである。
しかしファルージャの一般市民は自ら武装し、米軍に対する闘いを果敢に繰り広げた。恐怖に駆られた米軍は、モスクを爆撃するとともに市民への食料や水の供給を遮断し、病院に負傷者を運ぶ救急車の通行をも妨害し、各家屋に対するしらみつぶしの破壊を行い、市民への無差別の殺りく攻撃を強行した。このような米占領軍の無差別攻撃は、国連人権委員会が「人道・人権に対する国際法違反」として「独立・中立」の調査活動を連合国暫定当局(CPA)に要求するほどであった。
昨年五月一日、ブッシュが米空母上で「イラクにおける大規模戦闘は終わった。われわれは勝利した」と傲然と宣言してから一年、アメリカのイラク侵略戦争と占領は逃れることのできない泥沼に陥っている。戦争は全土に拡大し、占領軍とその協力者は、いつでもどこでも攻撃にさらされている。四月だけで米軍の死者は百三十人を超え、昨年三、四月のイラク侵略戦争の「主要戦闘期間中」の米軍死者百十五人を大きく上回った。五月一日段階での米兵の死者は昨年三月から数えて七百四十人を超えた。
六月三十日に予定されている「主権移譲」をめぐり、国連、CPA、そして統治評議会の三者間の対立はますます混迷の度を深めている。占領軍とそのカイライ機関、そして占領支配の破綻を補完するために動員された国連に対して、「イラク人のためのイラク」を求める闘いは、さらに拡大していくだろう。
そしていま、米軍のイラク侵略戦争と占領統治の「末期症状」への突入を象徴するもう一つの事態が、ブッシュとブレアを揺り動かしている。
占領支配の不法性と残虐な人権弾圧を明るみに出す衝撃的な画像が、次々と報道されている。アブグレイブ収容所などで拘束されているイラク人に対する占領軍のおぞましい拷問・虐待の一端が暴露された。
占領軍が拘束したイラク市民を、裸体にしてはずかしめ、激しく殴打し、首に縄をかけてひきずり回し、電気ショックをかけ、軍用犬をけしかけ、性暴力を行うなどの犯罪が日常的・組織的に行われていたのだ。イラクやアフガニスタンの収容所で少なくとも二十五人の収容者が殺されている事実も明らかになった。取り調べ中の拷問で虐殺され、ビニールに包まれたイラク人の遺体写真も公開された。
明白なジュネーブ条約違反である拷問・虐待の証拠を突きつけられた米英の当局者は、この非人道的行為の存在を認めざるをえなかった。ブッシュ米大統領やブレア英首相、ラムズフェルド米国防長官もしぶしぶ「謝罪」を表明した。しかし彼らはこの犯罪があくまで個々の軍人・兵士の責任によるものであり、決して占領軍が組織的に関与したものではないと言い逃れようとしている。
しかしこうした虐殺・拷問・虐待がCIAの直接の指示にもとづくものであり、キューバのグアンタナモ米軍基地内に収容されている「アルカイーダ容疑者」に対しても同様の不法で残虐な処置がなされていることが明らかになった。
告発された兵士は「われわれの任務はイラク人に地獄のような状況を作りだすことだった」と告白した。この「地獄」は、まさに米英軍の占領政策の不可欠の一部として、組織的かつ系統的に作りだされていたのである。明らかになった事実は氷山の一角にすぎない。
こうした戦争犯罪は、イラクに「自由と民主主義をもたらす」という口実でイラクを侵略し、占領している米軍が「自由、人権、民主主義」を踏みにじる存在でしかないことを如実に証明している。このおぞましい虐殺・拷問・虐待は決して「戦争がもたらす異常心理」の帰結ではなく、帝国主義の植民地主義的レイシズムの表現なのである。
侵略者による市民への虐殺・拷問・虐待のショッキングな画像は、この「大義」なき戦争と占領の危機に追い打ちをかけた。米英の国内世論でもこの戦争の不正を訴える声が急増している。スペインをはじめ、「連合国」として占領に参加していた諸国が続々と撤退を開始している。
しかし小泉政権はこの期に及んでも、あくまで「イラク国民のための復興人道支援」という自己欺瞞にしがみつき、陸上自衛隊の第二次派遣部隊をイラクに派遣した。この夏に「テロ特措法」にもとづき陸上自衛隊をアフガニスタンに派兵するという計画も報道されている(5月5日、読売新聞)。
われわれは訴える。「国連」の衣をかぶせた米英軍の占領支配のこれ以上の継続を許してはならない。民主主義的で主権を保持したイラクの建設は、占領軍の存在と両立しない。占領軍の戦争犯罪を糾弾し、イラク民衆の反占領抵抗闘争に連帯しよう。占領軍はただちに撤退せよ。自衛隊はイラクから撤退せよ。いまこそ「イラク人によるイラクの再建」のための国際的な支援を! (5月10日 純) |