かけはし重要記事

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韓国は、いま                     かけはし2002.4.15号より

南北共同で「平和のアリラン」

大統領特使のピョンヤン訪問をめぐって


 南側政府が遂に「特使派遣カード」を選択した。
 南北韓当局は三月二十五日午前十時、同時にキム・デジュン大統領特使のピョンヤン訪問合意の事実を言論を通じて公開した。派遣時期は四月初めであり、特使はイム・ドンウォン大統領外交安保統一特別補佐役が担当となった。このような決定には両者が、これ以上、対抗していては共滅するかもしれないとの危機感が大きく作用したというのが政府高位関係者のほのめかしだ。
 「北・米の間にはいま、向き合って疾走する汽車のように激しい緊張感がみなぎっている。名分や自尊心にしがみついて互いに背を向けて立っているなら、まかり間違えば南北韓ともに致命的な打撃を被りかねない。イム特補のピョンヤン派遣の決定は、このような危機意識から生まれたものだ」。

「韓半島危機再発防止策」に焦点

 米国は年頭から息継ぐひまもなく北韓に対して悪の枢軸発言、先制核攻撃の可能性をほのめかした核態勢報告書の公開、国際原子力機構(IAEA)の早期核査察の圧力など全方位の攻勢を繰り広げてきた。イム特補も三月十九日の特講を通じて「一年以内に相当な水準の北・米関係の進展が実現しない場合、一九九四年の核問題をめぐった危機のときのように韓半島に安保の危機が招来しかねない」と語った経過がある。したがってイム特補は今回の訪北でキム・ジョンイル国防委員長らとの会談を通じて韓半島の危機再発防止に対話の焦点を合わせるものと見られる。これとともに南北韓の間の他の諸懸案も幅広く協議するだろう。
 北側は体制生存の死活をかけんばかりのアリラン祭典を成功させなければならず、南側も離散家族の相互訪問再開のような懸案をはじめ、ワールドカップなど国家的な行事をつつがなく仕上げなければならない状況に置かれている。北韓の食糧事情も再び困難に陥っており、南側はもちろん、国際社会の食糧や肥料支援などが至急に必要な時だ。互いにもはやグズグズしている余裕はなかったというわけだ。
 「戦争と平和」は最近、南側の人々がピョンヤンに行って最もよく耳にする言葉だ。いま、北韓は戦争か平和かの先鋭な岐路に立っているという。米国のただならぬ攻勢によってピョンヤンには全く戦時をほうふつとさせる緊張感が漂っている。三月二十二日付「労働新聞」が「わが共和国は米帝の戦略武器の林に取り囲まれており、いつ、どこから核兵器が飛んで来るか分からない日常的脅威の中にある」と報道したことからも彼らの切迫した雰囲気が読み取れる。
 けれども、これとは対照的に他方では北韓各地から上京してきた数万人の住民らが政権樹立以後最大規模のアリラン祝典をおひろめするために玉の汗を流している。アリラン祝典が掲げている核心のスローガンは「平和」だ。北韓は大規模行事を通じて国際社会に平和のメッセージを劇的に示そうと限りなく意気込んでいる。一方の手には銃を握り、他方の手には扇を持って舞いを舞わざるをえない苦しい局面を迎えたのだ。
 アリラン祝典は弓から放たれた矢のように急速に進められている。北韓文化省の官僚は三月二十二日の「朝鮮中央通信」とのインタビューで「大集団体操や芸術公演『アリラン』が最後の総合訓練段階に入った」と語った。事実、北韓をずっと見守ってきた多くの観測通は、アリラン祝典を準備している北韓をとても心配しがちに眺めている。米国と槍先を対峙した状況で、はたして祝典を成功的にやり抜けるのかという憂慮からだ。

外国人15〜20万人の誘致目標

 一部では北韓指導部が大賭博を展開しているのではないかとの分析まで持ち出している。それほどに今回の行事の比重が大きいという話だ。幸いにうまく執り行われれば北韓は変わるだろうという心理も重なって、体制の強化はもちろん国際社会に堂々と踏み出せる決定的な契機となるだろうし、逆にそうでないなら政権は相当の負担を与えかねない。
 北韓は四月二十九日から二カ月間、開かれるアリラン祝典に外国人を十五〜二十万人ほど呼んでくるとの目標を立てた。その中心的内容は十万人が動員される集団体操と芸術公演「アリラン」だ。民族の情緒と魂が込められた伝統民謡アリランを土台に民族の運命史と世相風俗を叙事詩的形象化する考えだ。
 この公演には北韓の名曲の数々や民俗舞踊、芸術体操、書き割り美術、先端装置や照明手段などが、すべて動員される。もちろんピョンヤンを訪問する外国人たちは体操や公演だけを見るわけではない。ピョンヤン市内、妙香山、金剛山、七宝山、開城など他の名勝地もあまねく見て回ることができる。一部の観光客はゴルフをすることもでき、時中湖で泳ぎを楽しむこともできる。
 北韓の期待通りに二十万人の外国人がピョンヤンを訪れるかは極めて不透明だ。まさに注目すべきは北韓が分断以後このようにすっかり門戸を開いたことはない、という点だ。だからといって、何か大規模なイデオロギーの大会を開くわけでもない。北韓全域を観光商品としてさらしたのだ。その中で集団体操やアリラン公演は代表的な商品の一つであるにすぎない。
 今回の祝典を成功的に行えるならピョンヤンやピョンヤンの人々の様子や意識は少なからず変わるだろう。何よりも、これまで長い間、沈黙していた北韓社会に新たな活力を吹き込み、相当の自信感を回復するだろう、との主張も出てきている。韓国がオリンピックを成功させるた後、社会全般がとみに成長したように、北韓もそうなるだろう、との分析だ。ピョンヤンの外観も大幅に変わるものと思われる。
 今回の祝典の成功を測る尺度はドル収入の規模だ。北韓の腹積もりでは今回の祝典で一億ドルほどの純収益をあげる考えだと伝えられている。北韓がすでに決めているパッケージ観光の費用は滞在日数によって違いはあるものの、大体において一人当たり韓国ウォン換算で二百〜三百万ウォンになるものと思われる。北韓当局が最も苦心したところは価格だった。とんでもない観光費用を決めて観光客がみな逃げ出す事態を心配してだ。
 北韓指導部は今回の催しの結果を綿密に分析した後、体制に及ぼす悪影響が微々たるものである場合、その後の開放の措置さえ準備しているものと伝えられている。問題はどれほど多くの観光客がピョンヤンを訪れるのか、だ。これは直ちに外貨の収入と直結するからだ。いまのところ全般的な参加の規模は霧の中だ。ひょっとしたら成功かどうかのカギは南側当局が握っていると言える。けれども多くの南側の観光客がピョンヤンの地を踏むためには事前に南北両当局が会い協議することが一度や二度ではあるまい。身辺の安全保障、出入国領事、移動ルート、突発事故の予防問題などなど。
 
政府にとり対北関係での最後の挑戦
 
 事実、南側政府はアリラン祝典が対北関係において最後の機会であり挑戦だと考えている。うまくいけば現政権の対北政策を華麗にしめくくることができるが、そうではなく、かつての8・15の行事のたびのような不祥事が起きれば対北政策を未完成で残したまま店仕舞いの仕儀となる。専門家らは「南側政府がアリラン祝典を無視する場合、今年の南北関係は終わり」だと言いきっている。
 アリラン祝典成功の尺度を観光客数で見るとき、日本や中国、ヨーロッパ連合などから来る人々がどんなに多くとも、南側の観光客の規模を上回る可能性はほとんどない。しかも、これらの観光客は南側の人々がアリラン祝典にどれぐらい関心を示して参加するのかによって、観光かどうかを決定する可能性が極めて高い。南側の観光客の動向が、それだけ重要だということだ。
 いずれにせよ韓国政府も、もうこれ以上引っ込んではいられない崖っ渕に立っているかのように見える。南側が最も神経を使っているのは行事内容や突発事故だ。北韓もこれを意識して公演内容のうち政治的に微妙なところはかなりの程度に改めたり、なくしたものと伝えられる。南側政府は何よりも国民をどう説得するのかに没頭している。政府の論理は、こうだ。「ワールドカップをしっかりやろうとするなら韓半島の安定と平和が優先されなければならない。このためには南北間の往来・交流協力が絶えることなくなされなければならい。この過程でアリラン祝典は極めて重要だ」。
 一部からは、いまから政府が南側の観光客を送って北韓を助けてやる必要があるのかという批判の声が出ている。したがって専門家らは、北韓当局が南側政府のこのような立場を考えて離散家族の相互訪問や金剛山観光特区の指定などに誠意を示すことが、選択事項ではなく必須事項だと一様に指摘している。また彼らはアリラン祝典がワールド・カップの雰囲気を打ち消すための対抗的性格が強いとの誤解をぬぐいさるためにも、ワールド・カップに高官クラスの祝賀使節団を送るなどの和解のジェスチャアが必要だと付け加えている。はたして大統領特使であるイム・ドンウォン特補が、このすべての難問を解決する突破口を準備できるか注目されている。(「ハンギョレ21」第402号、4月4日付、イム・ウルチュル記者)
 注、本原稿は三月二十九日以前に執筆されている。

 四月三日から六日までピョンヤンを訪問していた韓国の林東源・大統領特別補佐役は金正日総書記らとの会談を終えて、六日、板門店を経て帰国した。「朝日新聞」四月七日付によれば、韓国と北朝鮮が六日に同時発表した共同報道文(合意文)の要旨は次の通り。
 1、(00年6月の)南北共同宣言の精神に合わせ、相手方を尊重し、緊張が醸成されないよう努力
 2、一時凍結されてきた南北関係の原状回復
 3、新たに(朝鮮半島)東海岸の鉄道・道路を連結するほか、(合意済みの)西部の鉄道・京義線と道路を早期に連結
 4、対話と協力事業の積極推進。そのために@第2回南北経済協力推進委員会を5月7〜10日にソウルで開催。鉄道・道路連結と(北朝鮮)開城地域の工業団地造成、臨津江水防対策のための実務協議も開催A金剛山観光事業活性化のための第2回当局者会談を6月11日から金剛山で開催B第4回離散家族訪問団交換を4月28日から金剛山で実施C北朝鮮は経済使節団を5月中に韓国派遣D以上の事項履行の進捗(しんちょく)状況により第7回南北閣僚級会談を開催へ
 5、軍事当局者間の会談再開
 6、同胞愛と人道主義、相互扶助の原則で相互に協力


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