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静岡空港の建設工事を凍結せよ                 かけはし2004.12.13号

事業認定糾弾! 収用阻止

「土地の強制収用に反対する」院内集会

「ムダな事業のために土地を手放すわけにはいかない」

地元選出民主党議員全員が参加

 十二月二日、衆院議員会館で「静岡空港に関する土地の強制収用に反対する」院内集会が開かれた。伊東、三島、静岡の地元から地権者をはじめ三十人が参加した。国会議員は金田誠一議員(民主党)はじめ、鳩山由紀夫議員(元民主党代表)、佐々木憲昭議員(共産党)、阿部知子議員(社民党)、そして県選出の牧野聖修議員、細野豪志議員、津川祥吾議員(いずれも民主党)など九人が出席した。また、海野とおるさん(前静岡選出議員)も同席した。
 松谷清県議の司会で始まり、県民の会共同代表・島野房巳さんは「空港建設の前提は用地の取得が確実にできるということであった。しかし、用地確保が出来ていないので、強制収用では、法の下でのルールがないことになる。県の強制収用申請は民主主義への挑戦だ。断固粉砕する固い決意だ」と報告した。
 続いて、地権者の松本吉彦さんは「反対運動を始めて十七年目になる。なぜ土地買収に応じないかといえば、空港建設がムダな公共事業だからだ。良いことは良い、悪いことは悪いと全国に伝えたい」と語った。続いて地権者の大井寿生さんは「知事は『もう不正はない』と言いながら、次々と県職員などの不正が発覚している。ムダな事業に強制力を使って土地を奪いとることはできない。私で十六代目になるが、ムダな事業のためにこの土地を手放すわけにはいかない」ときっぱりと土地収用の不当性を訴えた。

鳩山由紀夫ら国会議員9人が連帯表明


 この後、各出席国会議員の発言があった。鳩山議員は「県民の多くが反対しているのになぜ県知事がこだわり続けるのか。土地収用に対して負けずに反対していく。『正義は勝つ』。いっしょに闘う」と決意表明した。そして、熊本選出の松野議員は、川辺ダムの収用問題で「近く、事業却下されるのではないか。ムリをやれば、しっぺ返しがある」と紹介し、「静岡空港収用阻止に応援できることを願っている」と報告した。佐々木議員、阿部議員も明確に空港反対の立場を明らかにした。
 静岡県選出の牧野さんは「空港はいらない、収用は絶対に反対である」と明確な考えを述べた。細野さんは「空港反対、収用反対の考え、信念に変わりはない」と断言した。津川さんは「需要予測や、社会情勢の変化によって、静岡空港がその影響を受けている」と発言した。
 とりまとめ役の金田議員は「県民に信を問うというのが知事の確約書だ。ここまで来たのだからと、なし崩し的にやろうとするのは一番良くない。県民投票をやって信を問うた方がよい。円満解決に向けて、国交大臣が中に入るべきだ」と自身の立場を述べ、地元の人たちの反対の運動に最後まで支持を表明した。
 集会の最後に、桜井建夫事務局長が「北側一雄国交大臣への、静岡空港・土地収用に関する申し入れ」を読み上げた(別掲)。この後、国交省に出向き、この要望書を手渡した。
 以上のように院内集会は、今後も静岡空港が国の補助事業のあり方を問い、さらに土地収用という強権発動が、国会において厳しく問題にされるべきだし、されることに確かな手応えを与えるものとなった。後は、この問題を県民議論の声として広げ、全国的な闘いの課題にどのようにして押し出すかが問われている。(M)

北側一雄国交大臣への申し入れ

何故この時期に土地収用か


 十一月二十九日、石川嘉延静岡県知事は国土交通省に対して静岡空港建設事業での土地収用に関して、申請現場での混乱を回避するとして異例の「郵送」による申請を行いました。この静岡空港はムダな公共事業として三大新聞(朝日・毎日・読売)の社説でも取上げられたように、東海道新幹線や東名高速道路、さらに東西の隣接地域では中部国際空港の開港や羽田空港の拡充など高速交通ネットワークに恵まれた静岡県で、その事業の是非についての県民的議論が巻き起こっていることは周知の事実であります。また、今年の三月には国会議員百五十二人による「事業の凍結と強制収用反対の署名」が当時の石原伸晃国土交通大臣に提出され、補助金の削減が行われてきたまさに異例の公共事業であります。
 こうした中で石川知事は、反対派地権者が示してきた話し合いのための三条件を真摯に検討もせず、十月二十六日の土地収用事業説明会前日においては「話し合いに応じてもらえれば申請の延期もありうる」との姿勢を示したにもかかわらずその努力も放棄し、この申請に際して二〇〇九年春開港と二年延長というスケジュール変更手続きを行うなど、何故この時期に土地収用が必要であるのか極めてその根拠がとぼしく、新東京国際空港建設事業の教訓から国土交通省が示してきた空港建設における「共生の原則」を無視して、強権発動による空港建設にまい進しようとしております。
 北側一雄国土交通大臣におかれましては、十月二十六日国土交通委員会において金田誠一議員の質問に歴代大臣同様に「静岡県には円満解決の努力をしていただきたい」との強い意志を表明していただきました。
 この際、北側国土交通大臣に対して、本日参加した国会議員と住民団体による共同の集会にて決議した、静岡県からの土地収用申請を拒否し、反対派地権者が示す三条件を前提に、話し合い実現のための努力をすることを要請する次第であります。

「静岡空港に関する土地収用に反対する」院内集会参加者一同


訪韓報告
ソウルで韓国労働者大会を開催
弾圧を跳ね返し千五百万労働者の未来のために


 〈ソウル〉十一月十四日、全泰壹(チョン・テイル)烈士の精神を受け継ごうと、民主労総主催による全国労働者大会が今年も開催された。壇上には、「千五百万労働者の未来に向けて希望と連帯でたたかおう!」のスローガンが掲げられた。
 街の中心部であるチョン路は、労働者たち五万人が八車線道路を埋め尽くし、その隊列は一・五キロにも達した。
 今回の大会は、公務員の労働権を求めるための公務員労総のストライキを控えていたため、ノ・ムヒョン政権は戦闘警察隊一万三千人を配備し、ものものしい弾圧体制でのぞんだ。しかし、イ・スホ委員長は、主要スローガン(労働者の非正規職化に反対し、公務員の争議権をはじめとする労働三権を勝ち取る闘い。国家保安法の完全撤廃に向けた闘い。韓日FTA(自由貿易協定)・韓米BIT協商協定反対!イラク派兵延長阻止!米軍基地移設強化反対!国民年金法改善!)を掲げ、整然と闘い抜こうと訴えた。
 また、今回の労働者大会の特徴は、民主労総から送り出した民主労働党の国会議員十人が参加し、公務員ストに続き十一月二十六日には民主労総がゼネストで合流することを決定したことである。これは、今年の韓国労働運動の闘いの中でももっとも注目される闘いとなるはずだ。
 開かれたウリ党の勝利と大統領弾劾訴追の棄却決定から始まる第二期ノ・ムヒョン政権の労働運動の弾圧ぶりは、新自由主義・グローバル戦争の尖兵の位置に韓国を押し上げてしまった。
 六月に改悪された労働基準法は、労使の代表者たちによる合意のみを進め、階級的な妥協を繰り返すことで、争議を解消していくという性格のものだった。公務員たちの争議権を認めない非正規職の保護を名目にした法案は、「非正規職の撤廃」をまったく問題にもしていない。
 政府による公務員たちの争議権を認めない弾圧体制は、公務員労組指導部三十三人の逮捕状をとり、集会やビラを撒いただけで逮捕するといったものになっている。また、国家保安法は、廃止ではなく代替案を提出し、お茶を濁している。
 超国籍協定も急ピッチで進められている。多国間交渉が労働者民衆の力によって暗礁に乗り上げたとたんに、新自由主義者たちは、二国間の利害で調整していこうとする二国間型FTA(自由貿易協定)にシフトチェンジしてきたが、ノ・ムヒョン政権と自由貿易交渉国がこぞって、韓国の労働運動を「障壁」とし、農民たちの生存権を守るための主張をことごとくつぶそうとしている。
 さらには、昨年のイラクへの派兵決定を踏み台とした、グローバル戦争への加担は、キム・ソニルさんの殺害を招き、龍山地区からピョンテックへの米軍司令部の移設などの戦争と基地被害をもたらしてきた。
 韓国労働運動は、このような情勢の下で、大きな岐路に差し掛かっていることは確かだ。私たちも日本から、韓国の労働者・民衆と連帯した闘争を韓日FTA反対闘争などを軸にねばり強く闘っていこう!(KS)


日韓連帯「ヨンデ・マダン2004」
「FTA交渉反対!」公務員ストライキに連帯を

 チョン・テイルさん焼身自殺抗議三十四周年―日韓働く者の連帯と交流の集い「ヨンデ・マダン2004」が、十一月二十八日、町屋文化センターで行われた。参加者は八十人ほどであった。二本のビデオ上映(日韓FTA反対闘争、韓国11・14労働者大会)、寸劇(神奈川シティユニオン)、韓国闘争歌(ノレの会)が、あいさつやアピールの合間に組み入れられて、三時間を超える集いを終始、新鮮味のあるものにした。
 この日の集いのメインは、日韓労働者対談である。韓国側からはキム・ヨンジュンさん(「労働者の力」政策室長、前民主労総公共連盟組織局長)が、日本側からは村山敏さん(神奈川シティユニオン執行委員長)が報告や問題提起を行った。キムさんは、十一月の労働者ストなどをめぐる状況について報告した(別掲)。村山さんは、労働相談を通しての外国人出稼ぎ労働者組織化の教訓を報告(組合員八百五十人の内、七五%が二十一カ国の外国人労働者)し、「FTA反対の闘いを全労協が本腰を入れて取り組み、連合、全労連と対抗できる力をつけることが必要だ」と訴えた。
 韓国民主労総の闘いに応えられる日本労働運動の再生がますます問われている。(R)

キム・ヨンジュンさんの報告

11月ゼネスト闘争と課題、国際連帯の道


11・26民主労総ゼネストに突入

 今年の労働運動最大の課題は、非正規職拡大のための法律を阻止することだ。非正規職労働者が国会前のクレーンに籠城したり、ウリ党本部での座り込みを闘うなかで、民主労総のゼネスト方針が決められていった。
 そんななか政府は、「法律の国会上程は来年に引き延ばす」という非公式見解を明らかにした。この政府見解を受けて、当初の無期限ストは六時間の時限ストに変更となった。しかしこの戦術ダウンに対して、非正規職労働者からの反発もあった。

非正規職労働者の実態と組織化


 〇二年現在で、韓国の労働者千三百六十万人のうち、非正規職は七百七十万人(56・5%)である。九八年の通貨危機時点での比率は約四〇%であった。
 非正規職は、製造業、建設業、中小企業、特殊職の四部門に存在している。それぞれの部門で労働者の要求が違ってくるし、また移動性が高く企業との関係性の薄さもあって、組織化は困難である。
 建設労働者は組織化のなかで「労働あっせんセンター」を設立して、企業に対して全体で対応できるようになっている。労働者として認定されていない特殊職労働者も、業種別に労組を結成して闘っている。二〇〇〇年の釜山一般労組結成からは、清掃労組など公共機関を中心に地域ユニオンとしての組織化も本格化している。

公務員ストと政府の弾圧


 日本と違って、韓国では現業部門は公務員ではない。機能職(事務、技能)だけが公務員である。九九年以降の組織化で、現在十四万人が公務員労組に組織されている。合法化(労働三権の保障)を要求して闘っているが、最大の対立点は労組加入範囲(課長までか係長までか)をめぐってである。
 十一月十五日から三日間の公務員労組のストがあった。スト権投票の時から政府の全面介入があり、各支部への警察の介入と弾圧があった。困難な中でのスト突入となった。幹部全員が指名手配されたために、連絡体制がストップした。このためにスト参加率は地域ごとにバラついた。

アジア・日本の労働者運動の連帯


 現在二十四人が拘束され、十九人が手配され、約二千五百人が処分(内千三百人が解雇)された。しかし被弾圧者への支援体制もでき上がっており、全教組(10万人)の闘いを教訓にして、解雇された労働者を先頭とした闘いが重要だ。
 日韓労働者にとって、FTA反対の共同闘争の実践が重要だ。韓国労働運動だけでは世界は変えられない。アジアの労働者運動との連帯を強める必要がある。特に中国労働者の今後の動向に注目している。アジア全体の運動に日韓の労働者が連帯していけるのかが問われている。
(発言要旨、文責編集部)


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