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静岡空港                            かけはし2004.12.06号

県知事の事業認定申請を糾弾する

「許すな! 土地収用」秋空のもと現地行動

「私の山がある限り空港はできない」
「円満解決」と言いながら強制収用

 【静岡】十一月二十八日、静岡県島田市の静岡空港建設予定地内で、空港はいらない静岡県民の会など空港反対七団体が主催して「許すな土地収用、つぶせ静岡空港現地大集会」が行われた。
 集会は秋晴れの空の下で行われ、三百五十人の地権者・共有地権者や市民が県内各地から参加した。また大阪、愛知、東京をはじめ各地で反空港闘争を闘う仲間が参加した。
 集会の冒頭、あいさつに立った県民の会の島野房巳さんは「数日前にこの地で推進派の集会が多額の資金を投入して開かれた。今日ここに集まった人たちは、自らの意志で集まった人々だ。県はわれわれの土地を強制収用するという暴挙に打って出ようとしている。われわれの固い決意で闘えば必ず勝てるし、そもそもこの空港は天下の笑いものだ。決意を固めて空港阻止、収用阻止に向けてガンバロウ」と訴えた。
 集会に駆けつけた衆議院議員の金田誠一(民主党)、阿部知子(社民党)両氏が紹介され、それぞれあいさつを受けた。金田誠一議員は、衆院国土交通委員に就任し、委員会で北側国土交通大臣に、県と地権者の間に入って話し合いの席を設けるよう質問したが仲介の労を取ろうとしないこと、また円満解決を口にしながら、強制収用の手続きを進める県の姿勢を厳しく批判した。阿部知子議員は「子どもの医者として、こんな空港はいらないと思った。なぜならツケを払われさるのは子どもたちだ。イラクもそうだけど、行ったけど引き返せないズブズブの泥沼にはまり込むことになる」と訴えた。
 続いて、登壇した松谷清県議は、県が二十六日に明らかにした〇七年春開港を二年延期し、〇九年春としたことに触れ、「この間の闘いを通して、開港時期をさらに二年向こうへ追いやったこと、地権者が知事の交渉申し入れに対して提示した三条件(土地収用方針の撤回、工事続行の中止、強引な推進の謝罪)を何ら検討すらせず、十一月十二日に強制収用へ向けた事業認定申請を行うと表明したことを断じて許せない。五年先に開港を延ばすなら、なぜ土地収用が必要なのか県は明らかにしなければならない」と迫った。松谷さんは「また今日の集会は、土地収用を阻止するためだけではなく、来年に迫った県知事選へ向けた闘いでもある」と訴えた。

県民に利用されない空港に反対


 県外からの参加者としてあいさつに立った「泉州沖に空港を作らせない住民連絡会」の阿部さんは、「県が土地収用に出てきたことは、追いつめられているからで、相手のやってくることにその都度粘っこく闘うことが必要だ。反空港連絡会も静岡の闘いを支えてがんばる」と発言した。「羽田空港を監視する会」の大道寺さんは、「羽田のある大田区は、産業の空洞化の中で大型公共工事にすがりたいという思いがある。そんな中で羽田の再拡張計画が持ち上がり、四本目の滑走路は多摩川の河口にかかるため浮体工法となる」と報告した。
 県内参加者からの発言は、東中西部三地区と毎週金曜日に静岡市の繁華街で宣伝署名活動を続けている女性グループ、また共産党系の団体が中心となって組織されている「建設中止の会」からも連帯のあいさつが行われた。
 伊豆半島先端の下田・賀茂静岡空港反対連絡協議会は大型バスでこの日の集会に参加した。発言に立った下田市議の小林さんは、「島田・榛原地域に空港ができたとしてもわれわれは利用しない。県民に利用されない空港には反対である。県民の大多数が反対し、政党が賛成するという奇妙な構造があるが、民主主義の原則である人民の抵抗権をかけてあらゆる手段に訴えて闘う」という力強い発言が印象的であった。
 千六百の中小業者を組織する静岡商工会の丸林さんは、「地域が自立できるよう税金を使うことを求めてきたが、会の中で討論を尽くしてムダの多い空港建設に反対であることを確認してきた。県民世論を軽視する延長上に強制収用の暴挙があり、最後まで皆さんと共に闘う」と述べた。

収用阻止のため「いざ起て、戦人よ」

 反対地権者の桧林さん、村田さん、松本さん、大井さん四人が登壇し、それぞれからあいさつがあった。
 桧林さんは、「十一月二十六日は、強制収用の第一幕が上がった。皆さんの支援を受けて四人でがんばっていく」、村田さんは「皆さんのパワーを頂いてこれからもがんばっていきます」、大井さんは「いよいよ収用という新段階に入るが、これまでどおり『辛酸佳境に入る』の気持ちを忘れずがんばりたい」、松本さんは「私の山があるかぎり空港はできない」と発言し、「いざ起て、戦人よ」の歌をアカペラで歌い今後の闘いを前にした今の心境を披露した。
 今後の闘いに向けて、県民の会の桜井事務局長から当面する行動方針が提起され、早速二十九日から国会議員に対する要請行動や十二月二日には、土地の強制収用に反対する院内集会の開催、事業認定の申請に対しては、直ちに抗議行動を展開すること、あるいは訴訟準備のために原告団の結成に着手すること、現地に新たな抵抗拠点を建設することなどの提起がなされた。
 集会の最後に「世論が支持するすべての手段をつくして徹底抗戦し、暴虐な権力の意図を粉砕し、この理不尽極まる空港建設事業廃止の日まで断固として闘い抜く」ことを集会宣言として採択し、無惨に切り崩された里山の路をデモ行進して、反撃ののろしを上げた。 (M)


静岡空港整備事業の説明会に抗議

県民の反対や疑問に全く応えず土地収用法のための形式的手続き

何度も変わる需要予測

 十一月二十六日、静岡県は、静岡空港建設反対派の土地を強制収用するために「静岡空港整備事業の説明会」を島田市中央公民館で強行した。この説明会に対して、空港はいらない静岡県民の会など七十人が説明会中止を掲げて抗議行動を行った。
 土地収用法で定められている手続きの一つである事業説明会で県は、県民の多くが反対、疑問を表明しているにもかかわらずまともに答えようとせず、手前勝手な空港建設事業について一方的に説明した。反対派系の参加者が「来年春には中部国際空港が開港する。静岡空港の百六万という需要予測に疑問を持っている」、「建設に反対の県民は多い。住民投票を行うべきだ」などと質問したが、県は「需要予測は審議された妥当なものだ」と開き直り続けた。
 県は、今後、国土交通省中部地方整備局に土地収用法に基づく事業認定を申請する予定だ。さらに、当初計画の二〇〇六年十一月工事完成期日を二年延期し、開港を二〇〇九年春とすることを明らかにした。地権者、共有地権者ら反対派の闘いに連帯し、強制収用阻止の取り組みを強化していこう。

不誠実な話し合い拒否の態度


 抗議団は、市民会館付近の公園に集まり、デモに出発し、「空港をつぶすぞ!事前説明会を中止しろ!土地収用申請をやめろ!」とシュプレヒコールを会場に向けて繰り返し行った。会場正門に到着して、抗議集会か開始された。
 島野房巳さん(空港はいらない静岡県民の会代表)は、「私は、こういう説明会をボイコットします。だが、勝手なことをさせないために監視も必要です。どうせインチキな説明に決まっています。それを確かめます。今から入って一声吠えてきます。皆さん、頑張りましょう」と発言した。
 愛知、東京から駆け付けた仲間の連帯アピールの後、反対地権者からの発言が行われた。
 村田利廣さんは、「ついに来てしまったか、という気持で一杯です。こういう状態を迎える中で、私たちは本当に悲しい。なぜここまでやらねばいけないのか。たとえこういう形でやったとしても、絶対にいいことにならない。誠意ある政治に戻ってほしい」と発言。
 大井寿生さんは、「県は、強制収用を想定して工事を進めてきた。こんな税金の無駄遣いを許さないという気持でやってきました。金や力ですべての人の心を動かせると思ったら大間違いだ。説明会は、一つの通過儀礼でしかない。これからも色々なことがあると思いますが、自分の土地を守っていきます」。
 松本吉彦さんは、「事業認定申請を認めていないから、会場には入らない。県の行為は時代に逆行し、不透明な部分が多くて不信感でいっぱいだ」。
 次に松谷清県会議員が発言した。
 「反対派は、@ボタンの掛け違いに対する謝罪A工事の凍結B収用の放棄、この三条件が満たされれば、石川知事と話し合うと訴えてきた。だが、収用ありき、話し合い拒否の態度だ。こんな不誠実な態度を許さない。さらに石川知事は、土地収用のために空港完成が二年遅れると言った。理由は、これだけではなく、国の補助金が予定通りこない。だから、土地収用をやっても工事を続けられないという証だ。土地収用をやるために十億円の調査費用がかかる。こんな無駄使いを許さない」と力強く報告した。
 静岡県オンブズマンネットワークの発言の後、桜井事務局長の集約発言が行われた。
 会場に監視行動で入っていた島野さんが途中退席し、説明会の模様を怒りを込めて報告した。続いて、参加者全体で抗議のシュプレヒコールを繰り返し、11・28現地大集会の成功をかちとっていこうと全体で確認した。    (Y)


むのたけじ氏講演会に100人
「絶望から希望が見える」
憲法9条こそ平和の根本理念

 【秋田】十一月十四日、秋田市文化会館で「むのたけじ氏平和を熱く語る」と題した講演集会が、改憲阻止・九条を守り憲法を暮らしに活かす秋田一〇〇人委員会の主催で行われ、百人が参加した。
 むの氏は、はじめに農耕とメソポタミア文明の発祥の地イラクを侵略するブッシュとそれに加担する小泉を糾弾し、「イラクの次はインド・中国のマーケットをねらっている。現在アメリカが進めている軍の再編問題は、こうしたことをみすえたものであり、在日米軍と自衛隊はますます一体化している」と指摘した。
 さらに「戦争は絶対悪である」として「戦争の正当性をはじめて理論化したクラウゼヴィツ以来二百年間これを超える理論は出てきておらず、レーニン、毛沢東もこの理論のもとで武力を行使し、七十年で革命的成果を食いつしぶした」と述べ、「この体制に依拠した運動や政治党派は必然的結果として衰退せざるをえなかった」と述べた。
 さらに「絶望の中から希望が見えてくる」として、これまでの「男中心の運動から女性を先頭に立てた運動へ―異質なものの排除ではなく共闘と、それぞれの切磋琢磨が必要である」と運動の質的転換を訴え、次の三点を課題として提起した。
 第一に、さらなる闘いの継続を。第二に来たるべき衆院選に戦列を統一して平和統一候補を。第三にコスタリカをはじめとして十七カ国におよぶ「戦争不参加」国家のさらなる拡大を追求すべきとした。
 最後に「憲法九条こそ平和の根本理念であり、改憲勢力に対して、自己満足的運動ではなく一人一人が生きざまをかけて闘おう」と締めくくった。
 また集会では、条田瑞穂さんの詩の朗読も行われ参加者も唱和した。
 集会は最後に「自衛隊のイラクからの即時撤退を求める決議」を集会参加者全体で確認した。  (H)


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