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日比谷野音に5500人が結集                   かけはし2004.11.22号

改悪法案の国会上程を阻止する地域、草の根の闘いを

教育基本法改悪をとめよう全国集会

 十一月六日、東京・日比谷野外音楽堂で教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会は、「教育基本法改悪をとめよう!11・6全国集会」を行った。
 北海道から沖縄にかけた全国の教育労働者、市民、学生など五千五百人以上が集まった。会場には、全国各地の教職員組合旗、様々な運動団体の横断幕があらゆるところに掲げられていた。イラク戦争と自衛隊派兵という情勢の中で、この集会のサブタイトルに、「かつて子どもだった人に 今の子どもたちに そして未来の子どもたちへ 戦争しない国で生きたい 子どもは『お国』のためにあるんじゃない!」を掲げ、反戦平和と教育の反動化反対を強く訴えるものとなった。

 集会の柱の一つは、四人の呼びかけ人からの問題提起だった。
 小森陽一さんは、「情勢、意義、平和、愛国心」というテーマで冒頭、教育基本法改悪法案をめぐる状況について報告した。
 「六月に与党は、教育基本法改悪のための中間報告を出した。戦争ができる国家作りの動きに伴って、子どもたちを戦争を担う人間にしたてあげようとねらっている。自民党、民主党などの国会議員による教育基本法改正促進委員会が改悪法案成立に向けて活発な動きをしている。とりわけ民主党の西村眞悟衆院議員は、『お国のために命を投げ出してもかまわない日本人をうみだす』ことが重要だと強調しているように、今回の改悪のねらいをあけすけに述べている。この動きに続いて、石原都知事と都教委は、『日の丸・君が代』強制を押し広げ、反対する教員たちに対して職務命令と処分を連発している。抗議する者に対して何も言わせない暴走を許さず、全国の力ではねかえし、改悪法案の成立をストップさせていこう」と力強く発言した。
 大内裕和さんは、「新自由主義の『教育改革』」というテーマから与党中間報告を厳しく批判した。
 さらに、「市場原理を重視する新自由主義政策によって、公教育費削減、教育の市場化、教職員の多忙・過密化と管理統制の強化、差別・選別・管理教育が一挙に進行している。改悪法案において『ひとしく』を削除し、『能力に応じた』ということを強調し、『教育の機会均等』さえも軽視しようとしています。その先取りを行っているのが石原都政で校長の権限強化、縦型人事構成、都立高校の学区全廃、統廃合を押し進めました。この動きとセットで『日の丸・君が代』強制が行われているように新自由主義政策と新国家主義政策を同時に進めている。このようなねらいをしっかりとつかみ、この集会に結実した運動の力を、さらに大きくしていこう」とアピールした。
 さらに呼びかけ人発言の中で、三宅昌子さんが、戦争ができる国家づくりのために国家・行政権力の不当な介入を認める改悪法案の批判や子どもの心の管理強化に結びつく危険性を暴露していった。高橋哲哉さんは、改悪法によって学校から自由が奪われることを中心に厳しく批判し、改悪法案の国会上程を阻止する取り組みを地域、草の根から包囲していくことを訴えた。
 「各地からの発言」では、北海道、東京・広島・沖縄などの教職員と保護者の運動報告、都教委の「日の丸・君が代」強制に反対した被処分者、浄土真宗本願寺派の僧侶、キリスト者、被爆者、元日本兵士、弁護士、民主党、社民党、共産党から行われた。また、教科書採択問題、廃校攻撃に反対する仲間、ジェンダーフリー攻撃に反対するグループ、マイノリティー教育権訴訟、大学生、フリースクール生などから報告と決意表明が続いた。
 集会の最後にアピール(@教育基本法改悪阻止A「日の丸・君が代」強制反対B都教委「10・23通達」反対と処分撤回C国家主義と軍事大国反対D愛国心教育を許さないE憲法改悪阻止)を採択した。そして、デモ・パレードに向かい、銀座一帯にわたって「教育基本法改悪反対!イラク戦争をやめろ!自衛隊はイラクから戻れ!」などのシュプレヒコールを繰り返していった。
 九月十五日、「与党教育基本法改正に関する検討会」は、自民、公明が合意していない部分を除いて、改正案作成作業に入ることを決めている。
 自民、公明が合意していないのは、@「教育の基本法理念」に自民案が「国を愛する心」、公明案が「国を大切にする心」A前文の「憲法の精神に則り」の記述についてB宗教教育の内容についてC義務教育の年限などについてだ。
 すでに中山成彬文部科学相は就任直後、「愛国心」に関する記述について「愛国心という言葉でいいと個人的には思う。(だが、)国を愛する心と愛国心は同じだ。そういう理解になればいいし、その方向で進んでもらいたい」と指示した。さらに宗教教育の在り方についても「非常に大事だ。宗教を信じろ、信用するなということではなく、宗教が大事であると分かるような文言を入れてほしい」と述べ、公明党との合意を急ぎ、早く妥協しろと強調している。自民党と公明党は利害調整をしながら早期に改悪法案をまとめあげ、国会上程に向けて、そのスピードを加速している。
 全国集会の成功を確認し、教育基本法改悪反対の取り組みを強化していこう。来年の卒・入学式「日の丸・君が代」強制反対不起立闘争、処分撤回闘争を支援していこう。 (Y)


「むのたけじ氏を囲む会」を開催

「歴史と平和」の討論・集会・デモを重ねて

 【秋田】十一月七日、午後一時より、湯沢ロイヤルホテルで「むのたけじ氏を囲む会」が開催され、六十人を超える人々が集まった。
 あいさつの中で、むの氏は「人類四百万年の中で、この一万年だけが男中心社会として権力が成立し、形成されてきた。イラクの次は中国、インドのマーケットがアメリカの標的になる。その動きの中に、日本が完全に組み込まれている。男中心の歴史と運動を見直し、本物の運動を作り出し、来るべき衆院選に戦列を統一して、戦争か平和かの一大対決軸を作り出そう」と呼びかけた。
 この「囲む会」は「どごおんまでも平和を」の会が中心となって開講してきた「むのたけじ平和塾」が成功裡に終了したことを受けて企画された(「むのたけじ平和塾」は、今年度に入り二カ月に一度の割合で計六回開催された)。
 「平和塾」は、日本の戦後にあって権力や時代の風潮にペンと舌鋒で闘い挑んだ反骨のジャーナリストとしてのむの氏が各回冒頭に「歴史と平和」についての基調と問題意識を提起し、「塾生」がそれについて意見交換をするという形式で開催されてきた。
 当初五十人の予定で始めたこの塾は人員が倍以上に拡大し、毎回六十人を超える参加者を得て全六回を十月に終了した。
 その中で第二回目の塾で問題となっていた天皇の戦争責任については、十二月八日(太平洋戦争開戦日)に「天皇の戦争責任と平和憲法」と題して講演とシンポジウムを行いたいと司会から提案され、会場で確認された。また「どごおんまでも平和を」の会では、六月イラク現地報告集会、八月には戦争を語り継ぐ湯沢雄勝集会や街頭デモなど、精力的に取り組んできている。      (H)


「持たざる者」の連帯行動・東京

グローバリゼーションは労働者の権利を踏みにじる


 十一月三日、「社会的排除に抗し、グローバリゼイションと戦争に反対する『持たざる者』の連帯行動」が行われた。昨年に続いて二回目で、会場の恵比寿区民会館には一回目を倍する約二百五十人が結集し、集会・デモが行われた。
 司会のなすびさん(山谷労働者福祉会館活動委員会)は野宿者運動の団体が呼びかけ団体となって、さまざまな運動に呼びかけて今年の行動を準備してきたこと。昨年の行動以降、ムンバイ、ソウル、そしてヨーロッパ社会フォーラムなどに仲間が参加してきたこと、しかし、日本ではグローバリゼーションに反対して闘っているさまざまな団体がまとまって行動することがまだまだ少ない、と今回の行動を呼びかけた動機を説明した。
 まず初めに山谷争議団の荒木さんが実行委員会を代表して基調を提起した。新自由主義的グローバリゼーションによって労働者としての基本的な権利を奪われ、労働市場から排除されているパート、アルバイト、フリーター、移住労働者、失業者、日雇い労働者、野宿者や、女性、障がい者、高齢者、難民、民族的マイノリティ、性的マイノリティ、など社会的弱者や、構造的な差別を受けてきた人々を、「持たざる者」と規定し、「持たざる者」が、その多様な運動の枠組みを超えて声を上げ、存在を主張すること、そして「この行動を起点に相互の理解・交流を深め、新自由主義グローバリゼーションによる暴力と戦争に、総体として反撃していく連帯を目指す」ことを提起した。
 続いて海外からのアピールの最初に、日韓FTA第6回交渉に反対する行動で来日中の韓国民主労総の仲間が発言。
 「グローバリゼーションが労働者の権利を踏みにじり続けており、政府と資本はすべてのものを独占し続けている」。「WTO、FTAを阻止するには万国の労働者が団結してこそ」と熱く訴えた。なお、集会には今回来日した韓国の労働者十数人が参加した。
 次にフランスからSUD―PTTのエレワン・ケランさんの発言。まずATTACジャパンの仲間が、約十五年前にフランス・テレコムの中で少数派の組合としてSUDが作られ、その後鉄道部門のSUD―レールなどが作られ、アタックと共にフランスの反グローバリゼーションの運動の中核を担っていることなどを解説。
 続いてエレワンさんがフランスでも解雇の条件を緩和するなどの攻撃がかけられており、十二万人もの労働者が非正規雇用の常態に置かれている。また若者が親の家からなかなか独立出来ないなどの状況を報告し、「新自由主義に対する闘いでは労働組合が大きな役割を担わなければならない」と強調した。さらに本日の集会に韓国からの仲間が参加していることは重要であるとして、国境を越えて闘うことの必要を訴えた。
 さらにタイの人間居住財団、貧困者フォーラム、四地域スラムリンク、国民民主主義のためのキャンペーンの連名によるメッセージがタイの仲間によって読み上げられた。

 そして六月のソウル行動に参加した仲間、十月のヨーロッパ社会フォーラムに参加した仲間の報告が行われた。
 次に国内のさまざまな課題で闘っている運動体によって連帯のアピールが行われた。参加団体が多いためにそれぞれの持ち時間は短かったが、各団体とも熱のこもった発言であり、その多様性は「持たざる者」という概念をキーワードとした運動の今後の可能性を感じさせるものだった。
 発言したのは以下の仲間、在日外国人の支援団体であるAPFS、反資本主義行動(ACA)ピープルズ・プラン研究所の小倉利丸さん、性的労働に従事している人々の権利を守る活動をしているSWASHの要友紀子さん、釜ヶ崎の高齢者特別就労組合の仲間、全国「精神病」者集団の長野英子さん、統一獄中者組合、フリーター全般労働組合、ジャマルさん救援会/ジャマルさんを支援する会、北部労働者共同闘争会議、日雇労働組合全国協議会・笹島日雇労組。
 団結がんばろう!で締めくくった後は恵比寿から渋谷の町を一周する約一時間のデモが闘われた。途中渋谷警察署の前では約十分にわたって「ジャマルさんを釈放しろ!」と抗議の声を響かせた。なお、当日、在仏日本人、フランスの仲間はパリの日本大使館に抗議行動をした。
 十二月五日には同実行委員会による拡大討論会が呼びかけられている。(板)
b持たざる者の国際連帯行動拡大討論会 
12月5日(日曜)午後六時 文京区民センター3B(地下鉄春日駅下車)


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