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「守ろう平和といのち4・9大集会」へ         かけはし2004.045号

有事7法案反対!イラクから即時撤退せよ

「テロ対策」に名を借りた治安弾圧と「戦時体制」形成に反撃しよう!


 三月十一日に起こったスペイン・マドリードでの無差別列車テロは、「ETAの犯行」という情報操作を行ってイラク侵略戦争に関与した自らへの責任追及をかわそうとしたアスナール国民党政権へのスペイン労働者・市民の怒りを解き放った。アスナールの国民党は、イラク侵略戦争を批判しスペイン軍のイラクからの撤退を公約したサパテロの社会労働党に、政権の座を譲り渡すことになった。「スペインショック」は、米英とともにイラク侵略戦争を支持し、イラクに占領軍を送っている「有志連合」諸国に波及している。
 しかし小泉首相は、三月二十五日付英タイムズ紙のインタビューで「テロによってイラクの復興支援から退くことはない」と述べ、あくまでブッシュ政権と一蓮托生でイラク占領支配に自衛隊を送りつづける意思を表明した。そして日本での「鉄道テロ」の可能性に備えて、都内主要駅に警察官を配置する治安警備体制を強化している。三月二十二日の政府・与党連絡会議では、国内の「テロ対策強化」と「国民の協力」を呼びかけるPR活動の推進が確認された。
 さらに三月二十九日には、対テロ・ゲリラの専門部隊として約三百人からなる陸自「特殊作戦群」が陸自習志野駐屯地で発足し、合わせて同駐屯地内の第一空挺団も増強されることになった。「特殊作戦群」は防衛庁長官直轄の、自衛隊初の対テロ作戦専門特殊部隊である。
 「アジアにもイスラム原理主義者はたくさんいる。日本でテロをしようと思えば、爆発物は現地調達できるし、生物・化学兵器によるテロもできる。国内のイスラム教徒が経済的に困って下働きする可能性はある」「当然荷物チェックは強化すべきだし、爆弾を隠したりできるようなものは撤去すべきだし、網棚も大きなものを置けないように工夫すべきだ。また、テロ対策で一番重要なのは犯人を特定することなので、職務質問強化などの体制整備も進めるべきだ」(大泉光一日大教授の発言、毎日新聞3月26日夕刊)。
 ここでは治安警備体制の強化が、明確に「国内のイスラム教徒」を想定して主張されており、在日外国人を「テロリスト予備軍」として選別的な弾圧の対象とする発言が臆面もなく繰り返されている。
 まさにこのような「対テロ戦争」警備体制と立川自衛隊監視テント村への「反戦ビラ入れ弾圧」・三人全員起訴という状況下で、「国民保護法制」や米軍支援法案などの有事7法案と日米物品役務提供協定改悪案など3協定・条約の国会審議が四月上旬から開始され、連休前にも衆議院通過がもくろまれているのだ。
 有事7法案と3協定・条約は、自衛隊をアメリカ帝国主義のグローバル戦争戦略に全面的に組み込み、労働者・市民を戦時動員体制に強制的に動員するためのシステムにほかならない。この戦争国家体制への法的基盤を完成させるための動きが、アメリカの先制攻撃戦略と連動したものであることは、いっそう明らかになっている。
 三月二十二日、イングランド米海軍長官はワシントンでの講演で今年九月からイージス艦一隻を日本海に常駐配備する、と発表した。三月二十五日には、日米両政府がミサイル防衛システム(MD)に関して、自衛隊と米軍が個別にとらえたレーダー情報をリアルタイムで共有し、迎撃ミサイルで撃ち落とすための情報通信網を設置する検討に入った。アメリカ政府は、そのためにMD用精密地上レーダーの日本配備を打診している。またアメリカ側は、米本土をねらった大陸間弾道弾の探知・追尾が可能な地上配備型「GBRレーダー」の日本配備も計画している。
 三月二十四日に発表された防衛研究所(防衛庁のシンクタンク)の年次報告「東アジア戦略概観2004」では、日本に被害が発生していなくても「法理上、武力を行使して相手国のミサイル基地を破壊することができる」と事実上の「先制攻撃」を自衛隊が行うことを容認し、MDシステムを「補完」するために「相手のミサイル基地を攻撃する能力を備えることが有用」と強調している。自衛隊の「専守防衛」原則は、アメリカのグローバル戦争戦略に自衛隊を組み込む有事法体制によって、完全に放棄されることになったのである。
 小泉政権は、民主党の協力を取り付けつつ、超スピード審議で有事7法案等の今国会での成立をねらっている。イラク反戦運動と自衛隊の即時撤退を求める運動の中で、有事法案の成立を阻止する運動を緊急に作りだしていかなければならない。四月九日には陸海空港湾労組二十団体、市民緊急行動、宗教者平和ネット、キリスト者平和ネットが呼びかけて「自衛隊のイラク派遣NO! STOP!有事法制 守ろう平和といのち 4・9大集会」(午後6時半 日比谷野外音楽堂)が開催される。五月二十一日には明治公園で同様の集会が行われることになっている(午後6時半)。
 全力をつくしてイラク派兵と有事法制にNO!と訴える世論と行動を広げよう。  
   (3月29日 純)


ヤシン師殺害を許さない!

国家テロ糾弾しイスラエル大使館に抗議行動

 三月二十七日、東京・四谷のイスラエル大使館に対して、シャロン政権によるイスラム原理主義組織ハマス指導者ヤシン師殺害に抗議する緊急行動が行われた。この緊急行動は、ATTACジャパン、アムネスティ・インターナショナル日本、基地はいらない!女たちの全国ネット、STOP!改憲・市民ネットワーク、「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク、戦争反対・有事をつくるな!市民緊急行動、パレスチナ子どものキャンペーンなど十七の市民運動団体が呼びかけて作られた「イスラエル・パレスチナピース・ナウ」3・27実行委員会によるもの。
午後六時、イスラエル大使館近くの地下鉄麹町駅前に二百人余りが集まり、手に手にキャンドルやプラカードを持ち、大使館前に向かおうとした。ところが麹町署は不当に交通を妨げ、抗議行動を妨害しようとした。もちろんこの妨害は違法なものであって何の法的根拠もない。
 厳しく抗議した結果、「三十人ぐらいずつなら良い」という、これまた根拠のない「許可」が出された。このため、四十人から八十人のグループに分かれ、四回にわたってイスラエル大使館前で連続して抗議行動が行われるという結果になった。
大使館前では、虐殺に抗議するプラカードや、イスラエルが占領地に建設している「アパルトヘイトの壁」の撤去を求める横断幕、占領地からの即時撤退を求める横断幕などが掲げられ、抗議のシュプレヒコールが繰り返された。
法政大教員の奈良本英佑さんは、シャロンが二十年前のレバノン侵攻とパレスチナ人大虐殺の下手人であり、和平への動きがあるとそのたびにそれを阻止するような軍事行動を繰り返してきた人物であることを指摘し、「イスラエルのなかにもパレスチナの人々とともに生きようと考える人たちはたくさんいる。私たちの行動をそのような人たちに伝え、ともに手をたずさえて平和を作り出そう」、と訴えた。    (I)


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