自衛隊・占領軍の即時撤退を求める大阪集会に1万人
【大阪】イラク戦争一周年の三月二十日、大阪扇町公園で、フォーラム平和近畿ブロック会議と「イラク侵略から一年、自衛隊・占領軍の即時撤退を求める3・20大阪集会」実行委員会の主催による集会が、一万人の労働者・市民を集めて開催された。大阪では、同じ日に大阪城公園で一万人以上を集めた共産党系の集会が開かれ、平和の花とPEACEの人文字を咲かせたことがマスコミで報じられた。
「占領反対の1点で結集しよう!」
扇町公園では、全体集会に先立ち自治労近畿地連の「自衛隊はイラクから即時撤退せよ!世界同日行動」自治労近畿地連決起集会が開かれた。
また、近くの野崎公園では、「しないさせない戦争協力」関西ネットワークが呼びかけ、二十六労組・四十九団体と六十人の個人の賛同による実行委員会主催の「イラク侵略から一年、自衛隊・占領軍の即時撤退を求める3・20大阪集会」が開かれ、主催者を代表して馬場徳夫さん(おおさかユニオンネットワーク代表)が「スペイン・ポーランド・韓国とイラク占領からの離反の動きが起きているのに、小泉政権は依然として米国を支持している」と批判した。
団体からのあいさつでは、最初に新聞労連近畿地本の内田委員長があいさつ。「大阪城公園の集会でも発言したが、別々の集会が開かれるのは残念だ。イラク占領の現状を考えれば違いはささいなことだ。占領反対の一点で結集しよう」と訴えた。自由法曹団の杉島事務局長も、「意見の違いは小さい。次は統一集会を」と訴えた。
続いて、立川自衛隊監視テント村のメンバーが自衛隊官舎へのビラ入れをし、住居不法侵入で逮捕されたことの報告と抗議のアピールがあった。この後、十二人の一分間スピーチが続いた。集会後、全員は扇町公園に移動した。
有事7法案を制定させるな
扇町公園での全体集会は、藤原慎一郎さん(和歌山平和フォーラム事務局長)と尾辻かな子さん(大阪府会議員)の司会で始まった。主催者を代表して山田保夫さん(フォーラム平和近畿ブロック会議議長)と中北龍太郎さん(「しないさせない戦争協力」関西ネットワーク共同代表)があいさつした。
山田さんは、「日本政府は米国が望む以上にイラク占領に加担し、それをテコにして戦後のタブーを一気に打ち破ろうとしていること」を批判し、今年一月インドのムンバイで十二万人を集めて開かれた世界社会フォーラムにふれた。
さらに、山田さんは「貧富の格差を広げるグローバルスタンダードは間違いだ、大量破壊兵器を口実に人々を戦争にまきこむブッシュは間違いだ、米国中心ではない別の世界は可能だ。この集まりを新しい出発点にし、三月二十日は全世界でイラク占領反対の大運動を巻き起こすことがムンバイで確認された。安心して暮らせる社会をつくるべきだというムンバイから発信される考えに共感する。イラクに真の平和を」と訴えた。
中北さんは、「イラク派兵が災いし、ひたすらに米国に追随する政治・外交方針によって日本の平和と民主主義が根本から覆されようとしている、小泉政権は今国会で有事関連七法案の制定をもくろみ、いつでもどこでも米軍と一緒に戦える法律を準備している、スペインに次いで殺される前に自衛隊の撤兵を」と訴えた。
続いて、来賓紹介で高嶋良充参議院議員(民主党)、稲見哲男衆議院議員(民主党)が紹介された後、米国のインターナショナル・ANSWERからの、イラクの人々の自己決定権を無条件に支持するというメッセージが紹介された。
韓国反派兵運動からの特別報告
続いて、チョン・ヨンジュンさん(韓国「イラク派兵反対非常国民行動」事務局長)の特別報告に移った。
チョンさんは「イラク戦争でイラクと世界が得たものは、暴力の悪循環。一万人の人々が殺され、失業は七〇%、上下水道施設は破壊され、疾病率は二倍になった。今日、世界の五十カ国、二百五十都市で占領と派兵反対の集会が開かれている。占領の中止なしにテロは終わらない。世界の市民が連帯し派兵に反対し、占領の中止を実現させよう」と呼びかけた。
団体決意表明では、後藤なつきさん(大阪府教組)、服部良一さん(沖縄と共に基地撤去をめざす関西連絡会)、松村史邦さん(ユース交流会)が発言した。
後藤さんは、「国を愛し、国のために死ねる教育をめざす教育基本法の改悪や義務教育国庫負担制度の廃止の動きに反対し、大阪府教委が作っている全国で唯一の平和教育基本方針という有利な条件を活かし、平和総合学習実践をすすめていくこと」を決意表明した。
服部さんは、「一九九五年の沖縄少女暴行事件の後、普天間基地の返還が合意されたが、その代替施設を名護に作るなどの条件のため、未だに返還は実現していない、昨年沖縄を訪問した米国防長官が上空から普天間基地を見て、基地があまりに危険で老朽化していることに驚き、すぐにグアムに移すべきだと述べたが、五月普天間基地を人間の鎖で包囲する行動が準備されている。平和なアジアをつくろう」と呼びかけた。
ユースピースウオーカーズの活動をやっている松村さんは、「イラクに行ったとき会った十歳の少女が、以前街はきれいだったが、米国が爆弾を落として壊した。母を殺した米国を追い出したい」と言っていたことを紹介し、戦争には終わりはない、腐った政治や爆弾はいらない。オレたちはオレたちの明日をつかみ取りたい。若い人一緒に歩こう」と呼びかけた。
集会アピールは西田一美さん(奈良平和フォーラム)が提案し、参加者全員で確認、米澤修司さん(京都平和フォーラム)の団結ガンバローで集会を終え、三コースに分かれてデモ行進を行った。 (T・T)
防衛庁への申し入れへの違法な妨害
防衛庁前では、事前の申し入れで正門前に出ていた防衛庁職員に3・13実行委や立川反戦ビラ弾圧救援会、核とミサイル防衛にNO!キャンペーン2003などがそれぞれの要請文を読みあげて手渡す行動を行おうとした。
これに対して麹町署は、この間にない異常な妨害を行った。昨年来、この実行委だけでなくイラク派兵に反対するさまざまな団体が防衛庁を訪れ、正門前で抗議文や要請文を読みあげて手渡している。一月と二月の二波の行動も同様だった。ところが麹町署は正門横に警官隊の阻止線を張って、要請団の通行を何の法的根拠にももとづかずに違法に妨げた。
「防衛庁と約束しているんだから通せ」「前回と同じ行動がなぜできないのか」「交通を妨害する法的根拠を言え」。厳しい追及に対して「うるさい。言う必要はない」などと叫びながら、警官隊は暴力的に要請団を防衛庁横の一角に押し込め、しかも三角ポールで囲んでしまうなどの違法行為を行った。そのため現場は混乱し、三十分以上にわたって正当なデモ行進が妨げられた。
しかし厳しい抗議を続けた結果、防衛庁に対するこれまで通りの要請行動が行われ、デモも最後まで元気に行われた。 (I)
1日3波の連続反戦行動
3000人が名古屋をデモ
レインボーフラッグをなびかせて
【名古屋】三月二十日、名古屋ではイラク反戦集会が、三波連続して開催された。
まず午後一時より、「イラク派兵反対、憲法を守れ 3・20国際共同行動 愛知県民集会」が、中区栄の久屋広場で開催され、三千人が参加した。集会に先立ち、参加者で平和の人文字を作り、集会パンフに印刷された平和の文字を空に向け掲げた。集会では、元愛労評議長の成瀬さんがあいさつ、立場の違いを超えた広範な共同行動の重要性を訴えた。セイブ・イラクチルドレンの小野万里子さんは、イラクの子どもたちの惨状を訴えた。共産党の八田さん、新社会党の和田さんのあいさつを受け、三千人の参加者はデモに出発、栄一帯をデモ行進した。
午後三時からは、有事法制反対ピースアクション主催の集会が、矢場公園で開催された。この集会には、四百人が参加。名古屋弁護士会の岩月さんは、国民保護法案の問題性について指摘した。その他、さまざま人たちが、自分の言葉で、イラクの戦争止めようと発言した。その後、栄一帯をまたもイラク反戦のデモ隊列が恒例のレインボーフラッグをなびかせながら席巻した。
最後に午後六時過ぎより、名古屋市教育館講堂において、池田香代子さんを招いての屋内集会が持たれた。この集会には百人の参加。冒頭、主催者あいさつとしてピースアクションの水田洋共同代表が発言。今日三回目の集会にもかかわらず、元気よく発言した。
池田さんは、マスコミの情報操作、憲法を守ることの重要性について講演を行い、参加者にわかりやすく、かつ具体例を挙げながら、できることの積み重ねによって運動を広げていくことができると訴えた。
この集会の司会をつとめた、イラク派兵差止め訴訟の中心になっている池住さんから、二次を含め原告団参加者が二千人に達したことが報告され、四月に予定されている二次提訴への参加が呼びかけられた。
最後に主催者から、四月の連続街頭情宣・五月集会の開催が告知され、行動参加の要請が行われた。(K)
原爆ドーム前で3600人が占領中止と撤兵を訴える
2人のイラク人医師を迎えて
【広島】三月二十日、原爆ドーム前で、約三千六百人が「イラク戦争一周年世界同時行動 in ヒロシマ」に参加した。サブ・タイトルは、「イラク占領の停止と自衛隊の派兵中止・撤退を求めよう! 街に出よう! NO WAR の歌を響かせよう!」。
天気は泣きそうになりながらも、持ち直した。午後一時より、ピースソング・リレーが始まった。
生協ひろしま虹のコーラス、ピース・ウォーカーズ、新屋まりさん、小林一彦さんらのFar East Lounge、広島合唱団の五組が思い思いの歌とメッセージを熱唱した。会場全体が十二分に盛り上がった。
午後二時十五分、ピース・ウォーカーズの玉谷由美さんとピースリンク広島・呉・岩国の湯浅一郎さんの司会で集会が始まった。献花コーナーには被害者を悼む花が供えられた。また、広教組五百人によるボードを使っての「NO WAR」の文字作りも始まった。主催者あいさつを共同代表の岡本三夫さんが行った。立川基地監視テント村のメンバー三人がビラ配りで逮捕され、昨日起訴された事件にも言及し、平和運動の拡大を訴えた。被爆教職員の会の空辰男さんは、小泉のイラク派兵の決断は間違いであり、第九条は一点の曇りなくそのことをうたっており、アメリカの核使用の可能性は常にあり、その一国主義の不正義を糾していこう、と力強く訴えた。
2人のイラク人医師が現地報告
次に、いよいよメインスピーカーであるイラク医師の登壇だ。広島駅に出迎え、資料館を案内した森瀧春子さんから二人の紹介があった。
「私が開戦前と開戦後にイラクに入った際、お会いした若い二人です。戦争直後からヨルダンに医師を集めて、救援にあたっていました。いま、名古屋大学で研修中です。彼らは自分たちは戦争の中にいると言っています。その実態を聞いてください。私たちが必死に採取してきた尿検査の結果でも推察できるように、放射能兵器劣化ウラン弾の悪影響は明らかです。皆がイラクの人々を支えていく、連帯を作っていこうではありませんか」。
バスラ教育病院のアサド・アーメル医師は、「支えてくださっている皆様に感謝します。電気も水もないなかで、イラクの人々が直面している問題。占領されているという状況。イラクの人々が求めていること。それは外国軍が撤退するということです」。
バグダッド教育中央病院のモハメド・ハッサン医師は、「一年前、病院に次々と運び込まれてきた人々。その方々を治療していました。いまも同じです。そのわれわれの困難さを説明したい。状況は悪化する一方です。平和とは、外国軍がいないことだと思います。世界中の人々とともに、そういう世界をつくりましょう」。万雷の拍手で、占領の停止、自衛隊の撤兵を確認した。
スペインからのメッセージに共感
次に湯浅さんからメッセージ紹介があった。「今日、いまから、世界中で数十カ国、国内数百カ所で、取り組みが行われています。プログラムには、私たちがニューヨークで会い、広島にも来られたアメリカのピースフル・トゥモローズのリタさんからのメッセージと、東京のワールド・ピース・ナウからのメッセージもありますが、スペインからのメッセージを読み上げます」。
「一年を経たいま、私たちが正しかった、ということが悲劇を通じて明らかとなった。暴力で暴力はなくならない。ありもしない大量破壊兵器は、戦争の正当化の理由にはならない。スペイン国民の多くの気持ちが戦争を支持した政府を退場させた。世界によびかけたい。私たちに続け、と」。
次に、集会アピールが読み上げられ、拍手で採択された。最後に、「世界の命=広島の心」が渡辺朝香さんと市民合唱団によって高らかに歌いあげられ、集会を終えた。
ピースウォークの説明を受けて出発した。長蛇の隊列が米英主導の占領をやめよ、自衛隊は撤退せよ、と思い思いに工夫しながら、街頭の人々に訴えた。(K)
全米三百カ所など世界で数百万人が反戦デモ
三月二十日、昨年の二月十五日に続き、イラク反戦・占領の中止を求める民衆の行動が全世界を一周した。日本、韓国、オーストラリアから始まった同日行動は、フィリピン、タイ、インドネシア、インド、パキスタンなどのアジア諸国から占領下のイラクや占領下のパレスチナ、エジプトなどの中東諸国、そしてヨーロッパへとつながった。
ローマでは二百万人という最大規模の行動がくりひろげられた。政権交代を実現したばかりのスペインではバルセロナで十三万人、マドリードではそれ以上の数で街頭を埋めつくした。ロンドンでは十万人が結集し、国会議事堂の時計台(ビッグベン)には「真実を語る時」と書かれた旗が掲げられた。
特記すべきは、ウクライナ、ポーランド、ハンガリーなどの東欧諸国でもイラクに派兵された自国軍隊の撤退を要求する大衆的デモが展開されたことである。ドイツではベルリンなどの大都市でのデモとともに、米軍基地への数千人の抗議行動が行われた。
アメリカではニューヨーク十万人、サンフランシスコ五万人など、全国で三百カ所以上のデモが組織された。
全世界的に見た場合、対イラク開戦直前の昨年二月十五日に比べれば、デモの動員は少なかった。しかし侵略・占領の既成事実化が進行する中で、数百万人の反戦・反占領の意思がつながったことは、この上なく重要な成果なのである。(K)
「占領にもアメリカのテロリズムにも反対」
世界同時行動と結びイラクで3.19デモ
三月十九日、イラクでも非宗教グループ、イスラム教スンニ派グループ、イスラム教シーア派グループ、キリスト教グループ、トルクメン人グループ、アッシリア人グループ、労働組合、部族グループ、その他の政治潮流(イラク共産党、労働者共産党など)が共同で呼びかけて、占領に反対する国際連帯デモが行われた。一つのデモ隊はシーア派モスクから出発して、米軍基地のそばを通って、チグリス川を渡り、他のスンニ派モスクから出発したデモ隊と合流するというもの。スローガンは「占領反対」「アメリカのテロリズム反対」。以下に、イラク国内で発表された呼びかけを掲載する。
占領は分断と混乱を生み出す。
私たちの国を占領している軍隊は、いまだに、彼らが目的としている安全も自由も反映ももたらしていない。それどころか、イラク民衆は失業、インフラの壊滅、貧困に引き続き喘いでいる。人権は侵害されている。ここでは、女性や子どもたちが理由なしに逮捕されている。そして無実の市民が無作為に殺されている。米軍はイラクに破壊とテロリズムだけ持ち込んでいる。彼らは混乱、国の分断と解体に着手した。
この三十年以上もの間、イラク民衆は、最初は残虐な独裁者に、次に犯罪的な経済制裁にあえぎ、そして、今は占領にあえいでいる。そしてその間、時代は違っても、独裁者を支援してきた同じ国や政府が、経済制裁を組織し、そしていま、この国を占領している。
いまこそ、私たちは自由と平和への道に戻るべきときである。いまこそ、私たちの国は独立を回復すべきであり、イラク民衆が、強要や介入、支配を受けることなしに自由に自分たちの未来を決定できるときである。いまこそ占領を終了すべきであり、米軍およびその同盟軍は去るべきである。
三月二十日に世界的に行われるデモの目的は、私たちの自由と独立を支援することである。このデモは三月十九日に予定されているイラクのデモに続けて行われる。三月十九日には、あらゆる宗教と民族グループのイラク人たちが、占領を排除して、同じ権利を持って、一緒に生活していこうという意思を表明するためにともに行進を行う。
そして、いま、イラク民衆は混沌の中で生活しているが、私たちは同時にパレスチナやチェチェンの兄弟姉妹たち、さらにすべての抑圧された人々たちのためにも行進する。私たちは、帝国主義、植民地主義、レイシズムの悪魔から解放された正義の世界にある自由なイラクを求める。
この平和行進は、イラクの戦争と占領の開始日における国際連帯行動への呼びかけでもある。私たちは皆さんの声を聞かなければならない。
私たちは、世界の人々が占領に反対して連帯行動に立ち上がっていることに耳を傾ける必要がある。
イラクの自由と独立のために独裁政権はいらない! テロリズムはいらない! 占領はいらない!
イラク侵略戦争開始から1年-危機を深める米占領軍支配
三月八日、占領軍暫定当局(CPA)の監督下にあるイラク統治評議会のメンバー二十五人は、難航の末に「暫定憲法」としての性格を持つ「イラク基本法」に署名した。前文と六十二条からなる同基本法は、今年六月三十日までにCPAからイラク側に「主権を移譲」し、遅くとも二〇〇五年一月末までに国民議会選挙を行い「移行政府」を発足させ、「恒久憲法」の承認後同年十二月末までに本格政権樹立を定める、とする「主権移行」スケジュールを定めている。
「基本法」はまた、「共和制、連邦制、民主主義、複数政党制」をうたって北部のクルド地域政権に広範で高度な自治を許容し、公用語もアラビア語とクルド語の二本立てとする一方で、「キルクークを含む係争地の帰属の最終解決は、新憲法にもとづく国政調査の実施後まで延期する」として、問題を先送りにした。さらに「宗教・信仰の自由の完全保障」をうたいながらも、「イスラム教は国家の公式宗教で、あらゆる法の源とされる。イスラムの基本的本質に反する法の制定は認められない」という極度に矛盾した条項をも盛り込んでいる。
当初、二月末に予定されていた署名が一週間以上延期されたことに示されるように、「基本法」はアメリカ主導の占領軍が強制した不安定な妥協の産物であって、そこに印されたスケジュール通りに事が運ぶと考えることはできない。それは占領支配の泥沼化をさらに促進することはあっても、危機解決をもたらすものとはなりえない。
イラク国民の多数を占めるシーア派の最高権威シスタニ師は「基本法は恒久憲法制定の障害になる」「移行期に準備されたいかなる法律も、選出された国民議会が承認しない限り、合法性はない」と批判している。また三月八日の調印当日、バグダッドで三百人の女性が「イスラム教があらゆる法の源」と位置づけられたことにより、女性たちの権利が制限されると抗議のデモを展開している。
ブッシュ米政権は、相次ぐテロ攻撃に象徴される占領支配の危機のいっそうの深まりと、住民の間での反米・反占領意識の持続的高揚に直面し、軍事的占領と米系大資本による利権の独占的確保を堅持しつつ、国連に依拠した「主権移行」への工作を推進しようとしている。
今や、イラク侵略戦争を正当化する口実にされた「サダム・フセインによる大量破壊兵器開発の脅威」という虚構が暴露され、ブッシュ政権への批判は国際的にも国内的にもかつてない広がりを見せている。国連による「大量破壊兵器査察」の責任者だった国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)のブリクス前委員長すら、三月十五日の対談で「イラク戦争は間違った判断で行われた」と米英を厳しく批判した。
ブッシュ政権の国際的孤立を決定的にしたものは、ブッシュ、ブレアとならんで対イラク開戦の引き金をひいたスペインのアスナール国民党政権が、三月十一日のマドリッドでのテロ事件を契機に三月十四日投票の総選挙で予想外の大敗北を喫したことである。アスナールに代わって次期首相となる社会労働党のサパテロ書記長は、ブッシュ、ブレアは「侵略戦争を行ったことを自己批判すべきだ」と主張し、国連が「イラク復興」に中心的役割を果たす枠組みが成立しない限り、イラクに派兵しているスペイン軍を六月末までに撤退させる、と述べた。
スペインの政権交代は、米英とともに「有志連合」を組んでイラク占領支配に加担してきた諸国に大きな動揺を作りだしている。イラク占領軍「国際協力部隊」の指揮権をスペイン、ウクライナとともに握っているポーランドのクワシニエフスキ大統領も、三月十八日に「イラク戦争は誤った情報にもとづくものであり、われわれは米英にだまされた」と述べている。スペイン軍の指揮下でイラクに出兵しているホンジュラスも六月末までに撤兵する方針を明らかにしている。そして四月末からキルクークに三千人を派兵することを決定した韓国も、派兵時期を二カ月遅らせ、派兵地域も北部のキルクークから南西部のナジャフ周辺に変更すると発表した。
アメリカ国内の世論もブッシュの戦争への批判に大きく傾いている。イラク開戦当時の米世論調査では七五%が支持していた戦争は、最近の調査では四六%と過半数を割ってしまった。戦闘による米兵の死者はすでに五百七十人を超えており、連日の武力攻撃の中でその数は増えつづけている。イラクから昨年十月に休暇で帰国したまま、部隊に戻らなかった米兵が侵略と占領に疑問を抱き「良心的兵役拒否者」の扱いを求めてフロリダ州の州兵隊本部に出頭したこと(3月16日)は、全米に大きな波紋を投げかけた。すでにイラクに派兵された米陸軍兵士のうち約一%の六百人が「無許可離隊」状態にあり、不法な侵略と戦争に対する厭戦気分や批判が米軍兵士の中でさらに拡大している。
こうした批判と孤立の中で、ブッシュは「テロの脅威に対する先制的攻撃」の正当性をあらためて強調し、「国民への脅威と戦い、撃破することはすべての政府の義務」と危機感に駆られながら絶叫している。この中でブッシュにとりわけ賞賛されているのは、ほかならぬ小泉政権である。
三月十九日、イラク開戦一年を記念して八十カ国以上の駐米大使をホワイトハウスに招いて行った演説で、ブッシュは昨年十一月にイラクで殺された奥克彦参事官の「活動日誌」を引用して絶賛し、自衛隊の派兵を「歴史的な軍隊の参加」として評価するなど、わずか二十四分の演説の中で「日本」という言葉を六回も語った。
絶望的危機にあえぐ米英軍のイラク占領と、それをあくまでも支えようとする小泉政権に対する闘い、とりわけ派兵された自衛隊の即時撤退を求める闘いは、国際的に重大な意味を持っていることを、日本の労働者・市民はあらためて確認する必要がある。
(3月22日 純)
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