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                           かけはし2004.03.22号

警察ぐるみの裏金作りは有印私文書偽造と詐欺の重大犯罪

第3者機関による全面的立ち入り調査を

 今、警察機構は、北海道警旭川中央署、静岡県警、福岡県警、警視庁など全国的かつ組織的な裏金作りの発覚で大きな混乱と動揺、危機を深めている。一連の発覚は、氷山の一角でしかない。警察組織は、長年にわたって組織的な共謀によって会計関係書類を偽造し公金の不正支出を行ってきた。この行為は、有印私文書偽造・同行使、詐欺罪が成立する。そして、現在も再犯を続けている。
 さらに、この組織的犯罪に対して警察庁を頂点とする警察機構の幹部たちは、組織的共謀のうえで自らの犯罪を隠蔽するための証拠隠滅と犯罪者たちを匿う犯人隠避罪を積み重ね、自己保身的な延命策を弄して、底無しの組織犯罪の暴露を阻止しようと必死になっている。なお同様の裏金作りは、元検事・三井環の「告発!検察『裏ガネ作り』 口封じで逮捕された元大阪高検公安部長の獄中手記」(光文社)で明らかになっているように、検察機構においても慣習化されている。
 マスコミでも「警察の不祥事」「警察の権威失墜」というタイトルが頻繁に登場するほど、警察組織の腐敗が進行している。すでに一九九〇年代後半にも連続的に警察の不祥事が発覚し続けていたが、警察庁官僚たちは、社会的批判をかわすために公安委員会の機能向上や監察の強化などを目指した「警察刷新会議」なるものを作った。だが、社会的に警察経理の透明化要求が強まっていたにもかかわらず、全国的な警察組織ぐるみによる裏金作りがばれてしまうためこの要求を拒否し、棚上げにしてしまった。
 このような幹部たちの腐敗の実態をいやというほど知っている下部警察官たちも連鎖反応で裏金作り、性暴力、窃盗、脅迫などの犯罪を次々と引き起こしている。裏金作りの発覚を通した警察組織の腐敗堕落を、さらに暴きだし、人権否定と民衆の闘いに敵対する政治警察の廃止、国家警察体制の解体を訴えていかなければならない。
 警察の裏金作り問題は、過去発覚しただけでも、愛知県警で裏帳簿、架空の旅行命令簿の存在(一九九六年)、警視庁赤坂署で実在しない参考人に日当名目で不正支出(一九九六年)、香川県警が架空経費請求で不正流用(二〇〇二年)、宮城県警で捜査報償費不正使用、カラ出張疑惑(二〇〇三年)などがあった。だが、会計検査院や監査委員の調査に対しては、「捜査上の秘密事項」を理由にして事実確認をさせなかった。宮城県警のカラ出張疑惑に対しては、組織的隠蔽による抵抗が強いため、市民オンブズマンが旅費返還請求訴訟を起こしている。また、警視庁銃器対策課に情報提供した事実はないのに自分名義の領収書が偽造されたことに対する損害賠償裁判で、原告が勝訴しているケースもある(二〇〇四年一月)。
 裏金作り問題は、たびたび表面化してはいたが、トカゲの尻尾切り的に関係者の処分だけでもみ消されてきた。また、市民オンブズマンによる訴訟などで敗訴した場合に限ってシブシブと内部文書を提出するという不誠実な対応をとり、組織防衛を行ってきた。
 しかし、北海道警旭川中央署をめぐる公金不正流用問題は、これまでの表面的な対応ではすまない事態に入っている。朝日新聞(03年11月24日)は、旭川中央署内部関係者と思われる者から警察の機密費である捜査用報償費(情報者、協力者に対する諸経費)に関する内部文書が届き、本物であると断定した。
 内部文書は、一九九五年五月分と九七年九月分の「報償費証拠書」で、報償費支出一件ごとの「支出伺」「支払精算書」「領収書」の構成だった。いずれも当時の署長印が押されていた。その後の調査によって支払い相手三十五人中、支払い日以前に死亡していたのが三人、十人が何も受けとっておらず、勝手に名義を使っていた事実が判明した。当時の署長は、「裏金作りはなかった」「コメントする立場にない」と否定。道警本部も「指摘された文書は出所も不明で、原本は保管期限切れで存在せず、コメントしようがない」と発言し、逃げ切ろうとした。
 だが、当時の旭川中央署会計課の幹部が、朝日新聞の取材に対して署ぐるみで報償費を不正請求し、裏金をプールしていた事実を認めたのである(朝日新聞03年12月4日)。朝日新聞に続いて、北海道新聞(03年12月20日、社説)も「報償費の不正支出疑惑は……全道各署、本部各課まで広がっている」とキャンペーンを開始する。日本共産党は、道議会で追及したが、芦刈道警本部長は、資料の受け取りまで拒否して「不正はない」と繰り返し、高橋知事も「道警本部長の答弁を重く受け止めている」と述べ、警察防衛の立場だった。
 このような警察組織ぐるみによる犯罪隠しに対して、元北海道旭川中央警察署長などを勤め、一九九五年まで釧路方面本部長だった原田宏二さんは、二月十日、道警による裏金作りの事実を認める記者会見を行った。原田さんは、旭川中央署の報償費不正流用問題の発覚、道警組織ぐるみによる隠蔽に対して怒り、後悔の念から数々の犯罪を公然と証言した。国民の税金である公金を、捜査費・旅費・参考人旅費などの名目で使ったことにして現金をプールし、署長の交際費、諸餞別費、懇親会費、冠婚葬祭費、タクシーチケットの支払いから、警察庁官僚や道議会議員の接待費までおよんでいたことを暴露した。
 さらに、原田さんは、「裏金作りが暗黙の了解のうえで行われていたのであり、一九五八年の札幌中央署時代のカラ出張作りを契機に、一貫して裏金作りを各部署で繰り返してきた」と証言した。
 この原田証言によって、朝日新聞に届いた内部文書で旭川中央署の報償費不正流用をしていたと指摘された九五年五月時の署長の島満広、九七年九月時の署長の舞良昭宏は、厳しい社会的批判に動揺し、うまくかわそうと「公金を不正に使用したことはない」と述べながら、約七〇万円の返還を道警本部に申し出た(2月12日)。だが、二人の独走にあわてた道警本部は、「不正はないから返還の必要なし」と受け取りを拒否し、居直り続けたのである。
 原田証言の衝撃を受けた警察庁は、道警の裏金作りを黙認し、自分達も「甘い汁」を吸ってきた犯罪を隠蔽するために急きょ、警察庁官僚を中心とした検討委員会を設置する。衆院予算委員会でも問題となり、小野清子国家公安委員長は、「徹底解明する」と言わざるを得なかった。しかしこの「徹底解明」作業は、あくまでも警察庁検討委員会が行うことを強調し、第三者機関による監査を拒否する答弁を行った。また、警察庁が道警に対して、「道の監査委員による調査活動を拒否せよ」と指示してきたことが明らかになり、露骨な組織防衛工作の実態が浮き彫りになった。
 ところがこのような隠蔽策動は、道警弟子屈署元次長の斉藤邦雄さんの証言によって吹き飛されてしまった(3月1日)。二月に退職した斉藤さんは、記者会見で「原田さんが孤軍奮闘している姿を見て、沈黙を守ることが出来なかった。道民の前に実名で名乗り出て謝罪したい」と述べた。そして、弟子屈署で二〇〇〇年度の捜査費と捜査用報償費合計八十九万円の裏金帳簿を示し、幹部の交際費に使っていたことを暴露した。
 原田証言、斉藤証言と続いた実名告発と具体的な裏金証拠書類の存在によって道警は、道議会総務委員会で内部文書を「本物の可能性が高い」と認め、裏金作りと不正流用を認めざるをえなかった。だが道警はその後の調査で、当時の捜査員たちが「記憶にない」と繰り返しているため、いきづまり状態だとする意図的な情報を流し、逃げ道を作ろうとしている。
 このような北海道警察の裏金作りの社会問題化を引き金に、全国の警察各部署で裏金作りが組織的に行われてきたことが、立て続けに発覚した。福岡県警本部銃器対策課にいた元警部(二〇〇一年退職)が一九九五年度から九九年度までの間に六千六百万円以上の裏金作りを証言した(毎日新聞3月5日)、静岡県警がカラ出張などによって裏金を作り、県警本部長など幹部に対する慶弔金に使っていたことを認めた(3月5日各紙)、元警視庁警備部警備第一課庶務係主任の大内顕さんが警視庁で裏金を十八年間作り続けてきた実態を証言している(「しんぶん赤旗」3月5日から連載)。
 警察組織の混乱と動揺に対して危機感を持った小泉首相は、小野国家公安委員長を首相官邸に呼び出し、北海道警察と静岡県警の裏金問題に対して「警察全体の信頼にかかわる。一日も早く解明し、不正には厳正に対処するように」と指示した。
 なぜ小泉は、危機感丸出しでこのような命令をだしたのか。小泉は警察の組織ぐるみで裏金を作ってきたことを最もよく知っており、この問題が長引けば、第三、第四の暴露証言者が登場し、全く収拾がつかなくなることを恐れているからだ。戦場への本格的な海外派兵を強行し、「戦争する国家」の完成へ突き進む小泉政権にとって、治安弾圧機構の強化は不可欠である。警察機構の瓦解は絶対に避けなければならないのだ。また、小泉構造改革と称する新自由主義政策は、弱肉強食の競争社会を拡大させ、社会的分裂を押し進める。したがって、同時に治安弾圧機構を強化しながら社会統合システムを構築していかなければならない。旧来の警察機構のあり方からの転換を積極的に推し進めている過程なのである。
 治安担当官僚、検察・警察幹部たちは、全国的な裏金作り問題の発覚による組織的危機に対してグローバル派兵大国化と戦争体制を支え抜く治安弾圧体制の再編強化路線を担うことを通して、ガタガタな警察組織を権威主義的に再建し、腐敗・堕落の諸事件をもみ消そうとしているのだ。それは、グローバル戦争への全面参戦に向けて自治体や民間を戦争動員するための有事七法案の要綱決定(二月二十四日)を受けて、警視庁公安部が、その先制攻撃として立川テント村弾圧(二月二十七日)、共産党ビラ配布弾圧(三月四日)を強行したことに象徴的に体現されている。戦争体制を支える治安弾圧型警察の強化を許してはならない。
 裏金作り問題の徹底究明を! 警察予算と実態を明らかにせよ! 第三者機関による監察強化が必要だ! 警察組織=犯罪者集団は、自らの犯罪を明らかにすることはできない。民衆の手によって警察の裏金作りをはじめとする諸犯罪を明らかにしていかなければならない。   (遠山裕樹)

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