| 3・20イラク反戦世界同時行動で反撃しよう
かけはし2004.03.08号 |
| グローバル戦争への全面参戦へ自治体や民間の総動員を具体化 |
派兵大国化をめざす小泉政権は、二月二十四日、国民保護法制整備本部を開き、昨年六月に制定を強行した武力攻撃事態法の具体化の一環として民衆を戦争動員体制に組み込んでいく国民保護法案の要綱を決定した。また、米帝国主義のグローバル戦争に積極的に参戦していくための米軍行動円滑化法案など有事関連六法案とACSA(日米物品役務提供協定)改悪案などの三協定もこの三月上旬に国会に提出し、強行成立をめざしている。
有事法制は、アメリカの先制攻撃戦略に対して自衛隊、国・地方自治体・民間企業・国民を動員し、統制するところに最大の目的がある。その基本的枠組みを決めたものが有事三法の中の武力攻撃事態法である。
政府が武力攻撃事態の「予測」、「おそれ」段階だと判断すれば、有事法制を発動し、「武力攻撃事態対策本部」が設置され首相が就任する。そして、「対処措置」(1、自衛隊の行動 2、自衛隊や米軍の行動が円滑かつ効果的に行われるための物品、施設または役務の提供などの措置 3、他国の武力攻撃から国民の生命、身体及び財産を保護するための措置)を次々と強行していくのである。
この「対処措置の3」を具体的に明記したものが国民保護法制案である。国民保護法案の要旨は、昨年十一月に公表されており、今回の要綱では、大規模テロに関する規定を入れて「緊急対処事態に対処するための措置」を加えた。
法案は政府の基本方針の策定にもとづいて地方自治体が「計画」、指定公共団体等が「業務計画」を用意しておかなければならないことになっている。つまり、災害対策基本法と違って政府主導で平時段階から戦時システムへの転換を可能にしていくために事前準備・訓練を強制する。
要旨段階では、指定公共団体に対して「業務計画」を作成する際に首相や知事と「協議しなければならない」となっていたが、要綱段階では事業者の批判を配慮して「報告しなければならない」と修正した。だが、平時段階からの訓練を積み上げていくことによって、しだいに統制を強化しようというのが本音である。
さらに国民は、救援の援助や保健衛生の確保などに協力することや、自主的防災組織、ボランティア、自治会・町内会などが協力する義務を負うことになっている。すでに国民保護法制定よりも先行して、全国の自治体で「生活安全条例」の制定が拡大している。いつでも戦争協力システムへの組み込み可能な国民相互監視・管理システムが作られつつあるのだ。
さらに法案は、戦時下において自衛隊の軍事作戦展開を優先するために「原子炉、危険物質等による危険防止のための措置命令に従わなかった者」「土地・家屋の使用、物資の収用、物資の保管命令に従わず、又は保管命令に伴う検査を拒んだ者」「交通規制又は警戒区域もしくは立ち入り制限区域の制限に従わなかった者」など十一項目の罰則対象をあげ、懲役や罰金まで規定している。
法案は法律の名称からして、あたかも他国が日本を侵略したときに自衛隊が国民を保護するかのようなニュアンスを与えているが、その中身の実態は全く逆である。政府自身が有事法制審議の国会答弁で他国からの軍事侵略が現実に想定できないことを認めているではないか。国民保護法制とは、戦争のための統制と動員が本当の姿なのだ。
法案の総則(4)に配慮事項がある。「国民に対して、国民の保護のため、正確な情報を適時かつ適切な方法で提供」「不当な差別、思想及び良心の自由の侵害、表現の自由の不当な制限の禁止など基本的人権を尊重」などと明記しているが、すでに戦時において効力がないことを政府は明言している。
福田官房長官は、「公共の福祉に反しない限り、表現の自由は権利として認められる」(02年5月9日)と国会答弁している。つまり戦争という「公共の福祉」を優先した場合、自由の制限が正当化されるということなのだ。さらに福田は、「人命尊重などの観点から、真に必要な場合におきましては報道協定などについてもお願いすることはありうる」(7月24日)と国会答弁している。事実、自衛隊イラク派兵プロセスにおける報道管制の強化は、現場の記者たちが猛然と怒るほど徹底されている。
武力攻撃事態法の「対処措置」のもう一つの柱である「自衛隊や米軍の行動が円滑かつ効果的に行われるための物品、施設または役務の提供などの措置」は、以下の法案によって具体化されている。これは戦争作戦に必要な物資の補給、輸送、整備、連絡を保障し、強制措置を含んだ米軍兵站支援法案である。
米軍行動円滑化法案は、米軍の軍事行動に対して武器・弾薬を含む物品を提供するとともに、地方公共団体及び事業者に戦争動員を強制するための法案だ。また、米軍のための土地の強制使用を認めたり、その損失を国が補償する。そして、土地使用のための立ち入り検査を拒否したら検挙するというのだ。
この法案とセットで米軍の後方支援を主任務とした日米物品役務提供協定(ACSA)が改悪される。これまでは日米共同訓練、PKO(国連平和維持活動)、国際救援活動、「周辺事態」において適用されていたが、武力攻撃事態等、米軍の在外邦人輸送、国内災害応急活動、訓練などにも適用の拡大を可能にすることをねらっている。
交通・通信利用法案は、武力攻撃事態下では、米軍や自衛隊の軍事行動を優先する観点から、特定公共施設等(港湾、飛行場、道路、海域、空域、電波)の強制使用ができることを定めている。つまり、自治体、公団、事業主などが戦争使用のために港湾、飛行場、道路などの使用協力を拒否したとしても「内閣総理大臣の権限」によってすべての強制使用が可能となってしまうのだ。さらに、「制限海域」や「飛行禁止区域」を設定し民間港を軍港に、民間空港を軍事空港として強制使用を可能にしてしまうのである。電波に関しても軍事連絡無線を優先にし、民間使用電波を制限することを目的としている。つまり、戦時下において報道管制を強行するための法律だ。
自衛隊法改正案は、日米物品役務相互提供協定(ACSA)の改悪に伴う物品・役務の提供権限を整備した。日米軍事一体化をさらに強化していこうとしている。
外国軍用品等海上輸送規制法案は、米軍との共同軍事作戦下において海上自衛隊が公海上で敵国に武器を運んでいる疑いがある外国船の臨検を強行することを認めた。さらに、臨検に応じない船に対して武器の使用を可能としたり、大量破壊兵器の廃棄措置を認めている。法案は、臨検を軍事物資輸送に限るとしているが、それを事前にどのように判断するのかあいまいである。つまり、最初から憲法違反の「交戦権の行使」を前提としているのだ。
国際人道法違反処罰法案と捕虜等取り扱い法案は、戦争における傷病者、捕虜の扱い、文民保護などを規定したジュネーブ条約の追加議定書の締結を承認し、国内法を整備しようとする。このように戦争による死者、傷病者の発生、捕虜に対する諸措置を前提として、有事法制が組み立てられていることを意味している。
政府による国民保護法制の国会提出は、昨年の有事三法(武力攻撃事態対処法、安全保障会議設置法、自衛隊法等改正法)に民主党が賛成し、その段階で自民党と民主党が合意しており、予定どおりの展開なのである。だから小泉は、法案成立に向けて「与野党対決法案じゃなくて、国民全体の利益にかかわる問題なので、むしろ協力してやっていくべきじゃないか」と述べ、民主党とともに法案成立させることを明らかにしている。
すでに民主党は、いち早く成立に向けて修正協議を積み上げ、協力していくことを確認している。このような対応は、財界による、新自由主義政策の貫徹と二大政党制による新たな政治システム作りの意図を忠実に体現し、憲法改悪、国連待機部隊と称する自衛隊のグローバル戦争への恒常的参戦体制作り、アメリカの先制攻撃戦略であるMD(ミサイル防衛)への参加路線の結果なのである。
三・二〇全世界同日反戦行動の組織化の真っただ中、有事関連七法案と三協定がいかに民衆に敵対する内容なのかを暴露し、徹底的に批判しぬき、同時に民主党の反動的意図と役割を明らかにしながら、法案の成立を阻止していく陣形を広げていかなければならない。
昨年の有事関連三法案強行成立に対して全日本港湾労働組合は、「港湾荷役、運輸を担う労働者は戦争の加害者にも被害者にもならない」として抗議声明を出した。日本民間放送労働組合連合会は、有事立法が言論、表現、報道の自由を奪い、集会や結社の自由を侵すものだとして廃案を訴えた。航空安全推進連絡会議、航空労組連絡会、日本乗員組合連絡会議は「イラクへの自衛隊派遣と民間航空の軍事利用」を批判した。
陸・海・空・港湾労組二〇団体をはじめ闘う労働者とともにイラクから自衛隊は即時撤退せよ、米グローバル戦争に参戦するための有事関連七法案と三協定の成立阻止に向けた共同行動を作り出していこう。自衛隊のイラク出兵を拡大させながら急ピッチで「戦争ができる国家」を構築していこうとする小泉政権の野望を打ち砕いていこう。(遠山裕樹)
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